2022/12/28 のログ
ご案内:「送電塔」にカロンさんが現れました。
カロン > 夜の鉄塔。送電の為に建てられたそれは、それなりに巨大で高さもある。
定期的なメンテナンスに訪れる作業者くらいしか、まず訪れる者は稀であろう。

そんな鉄塔の天辺付近。足場はあれど、風の強さもある不安定な場所。
一つの黒影が何時の間にか幽霊のように佇んでいた。

「――、――…、」

フードで覆い隠された顔のその口元。そこだけが何かを呟くように微かに動いた。
だが、それが明確な呟きとは為らず、地上付近よりも強い風の流れに掻き消える程度。
聞こえるのは風の音。見えるのは広大な島の情景。そして、感じるのは多種多様の魂魄の気配。

「――数、というよりも。…性質や在り方が特殊な魂魄が多いのですね、この島は――…。」

今度は、微かに夜風を縫うように呟く声色。男とも女とも付かぬ曖昧で中性的な声色。
まるで幽霊か死神かのような風貌と呟きなれど。その手に携えるのは死神の鎌ではなく。
彼岸の向こう側へ渡す為に用いる船の舵取りたる、漆黒の木製…の、ようにも見える1本の《櫂》。
彼/彼女は【渡し守】。誰かの命を刈り取る物はその手には最初から必要が無い。
その手に携えるのは、迷わず幽界冥府の向こう側へ送り届ける為の導となる道具。