2022/12/29 のログ
カロン > 「――私がやれる事はそれなりにある…と、いう事ですか。」

善悪、思想、人種、世界の違いなど関係無く、彷徨する魂を向こう側へ送り届ける。
それが、唯一にして彼/彼女のただ一つの行動規範。己がこの島に来た理由。
生きる者に己が出来る事は無い。既に死して、そして道標すら無い者達へ。
ささやかながら、この道はどうかと勧めて送り届ける事が己に出来る事。

(もっとも…ここまでの特異な魂魄の気配の多さは流石に前例が無いですが…。)

この島に渡る前、他の地で囁かれていた噂。この島そのもがある種の【特異点】である。
――当たらずとも遠からず、もしかすると掠りくらいはしているのかもしれない。

(…さて、この島の治安維持の組織にも、それと対峙する組織とも距離は保ちつつ…)

自分の生業をこなす。どちらにも肩入れする気は無く、己が役目を果たすのみ。
少なくとも、この島の治安維持を主とする組織からみれば彼/彼女は立派な【不法入島者】の一人だ。

元々、彼/彼女には居場所など無い。帰るべき場所も大事な誰かも居ない。刺激的な日常も退屈な非日常も知らない。
ただ一つの目的の為に作り出されたロボット、あるいはニンゲンもどきみたいな…そんな存在。

「…何処から取り掛かったものでしょうかね…。」

呟きながら、2メートル程度の長さを持つ黒い櫂を肩へと緩く担ぎ直す。
人気が無く、眺望に優れた場所は自分のような者にとっては特に都合が良い。

カロン > そして、気が付けば闇夜に溶け込むように、渡し守の姿は鉄塔の上から消えていた――。
ご案内:「送電塔」からカロンさんが去りました。