2020/06/27 のログ
ご案内:「ドライブ」に富士 雅さんが現れました。
ご案内:「ドライブ」にラピスさんが現れました。
■富士 雅 > 常世学園から徒歩圏内にあるレンタカーショップへ向かい。
顔見知りの店員から車を借りる。今日借りた車は小型ながら室内が広く、パワーのある車。イメージ的にはハスラー系に近い感じ。
室内も玩具みたいだが、運転しやすいので男のお気に入りだ。
ちなみに色はオレンジで。
店と学内は少し距離があるので、男は車で先生を迎えに。
「お待たせ。」
助手席側のドアを開け、乗車を促す。
既に室内はクーラーで冷えており、今の季節は快適に遊ぶために必需品と言えるだろう。
ついでに店で貰ったお茶のペットボトルが席に設置されている。
「特に希望がないなら、今日は学生・教職員居住区の辺りを海岸沿いに周るが大丈夫か?途中で港によって、時間が来たら飯にしよう。」
■ラピス > 車を借りてくるから、という彼の言葉に従って、少女は保健室で軽く準備。
日焼け止めのクリームを錬成して肌に塗りつけ、ほんのりと香水も身にまとって。
一応これでも女の子。ちょっぴりおしゃれモードな先生を演出する為のいろはである。
そして、準備が終われば足早に待ち合わせの場所へ。キョロキョロとしていれば目の前に停まる車。
やってきた一台――四角いフォルムがゴツくも可愛いオレンジのやつ――に目を輝かせて。
「おおー、四角いけどなんか可愛い感じですねー。
オレンジなのも良い感じ。ではでは、お邪魔しますよー?」
エスコートされるままに、助手席にひょいとよじ登る。
そのままシートに収まると、涼やかな風に飲み物まで完備の快適空間がそこに。
「ん、富士君の気分が赴くままにで大丈夫ですよ。
海辺は気分が爽やかになるから好きですし、港のお料理美味しいですし!」
お出かけお出かけ嬉しいな。ワクワクしながら足をぶらつかせる様子は、幼子そのものだった。
■富士 雅 > 暑い中、歩かせるのも…位の気持ちで待っていてもらったのだが。
迎えに行く頃にはまさかのお洒落状態だったので、思わずドキリと。
さっきまでは子供らしい可愛らしさだったが、今は立派な大人の女性だ。
「おお、乗りやすくて俺は気に入ってるんだ。
これなら上り坂でも余裕だし、小さいから狭い所も楽だしな。
しかし先生よ。俺相手に気を遣わなくても良かったんだぞ。」
扉を閉めると、香水の香りが漂う先生に苦笑する。
しかし、この一瞬で印象が変わってしまうくらいには男は単純であった。
「了解した。 ちなみに食べたい料理はあるのか?」
足が床まで届きそうで届かない、小柄な先生を連れて車を出発させる。
学園地区から学生街の辺りはまっすぐ南下する。
学生・教職員居住区に入った所からスピードを落とし、
海岸線に沿って車を走らせる。
「この島の山はとても遊びで行く所じゃなさそうだし、他のエリアも難ありみたいだからな。
意外と出かける場所に苦労するな。」
■ラピス > 香水をつけていくと、女生徒達には『おませさんめ』とぷにられる。
しかし、目の前の彼はそのようなことはないから、ちょっぴり嬉しい。
仄かに香る柑橘は、都度生成するが故に匂いもフレッシュだった。
「小さめで可愛いのに力持ちとは、なかなかやりますねぇ、こいつも。
ん、折角のお出かけですから、お仕事から気分を切り替えるために、です。
ふふふ、先生のこと、見直してくれても良いんですよぅ?なぁんて」
付けてきた香水は、お休みを楽しむためのスイッチでもあり、大人アピールでもある。
それで彼の抱く印象が変わるなら『よしよし、大成功だな』と後でひっそり喜ぶのだ。
「食べたい料理。そうですねぇ、折角の港ですから海の幸が良いです。
リクエストはその位なので、富士君の食べたいものがあるなら、それがよいかと。
こじんまりとした定食屋さんからおしゃれなレストランまで、先生はこよなく愛してますから!」
趣味を料理と宣う少女は、食べ物の好き嫌い少なめで、割と何でも楽しめる。
それこそ、学生さんと一緒に食べる牛丼も先生のお付き合いでいく居酒屋のおつまみも、といった具合に。
それ故、幅広めのリクエストだけを提示して、後はおまかせすることにした。
車に乗って少し経てば、目の前が開けて海岸線へ。
水平線の彼方、遠くまで広がる青色は、夏の兆しに煌めいている。
窓を開ければ、潮の香りもするのだろう。冷房がもったいないから開けないけれど。
「ん、そうみたいですね。私はインドア派なので、あまり苦労はしませんけれど、ね。
一部治安が悪い場所とかもあるらしいので、どんな感じなのかな、とは思ってます」
こうして駆け抜ける海岸線の道路も、日常では訪れない場所だ。
この島は広くて、まだまだ知らない場所ばかり。なるほど、興味深いと思う。
■富士 雅 > 「ああ、だから気に入っている。
この島はどうか知らんが、田舎に行くと大抵道が狭いだろう。
テレビでもたまに車が難儀しているのをよく見かける。
なんだ? 俺はすっかりその気になってしまったぞ。
見なおすなんてレベルじゃすまねえな。」
柑橘系の香りは新鮮で、小柄な先生に一人前のレディとしての印象を与える。
車の中で密室になるには少し刺激が強い程だ。
「海の幸、そうだな。 海沿いの高台に良い店があるからそこにするか。
俺の好みだと和食になってしまうが。
先生みたいに連れて行きやすい相手は助かるな。」
連れて行く先を思いつき、車を走らせる。
エスコートしやすい相手だけに男は気が楽だ。
海岸線に付けば、途中で車を止める。
「あれ、見えるだろう。
この辺りに来るカモメとかにやる餌の自販機だ。
餌付けに興味あるならどうだ?」
目の前数メートルの位置にある自販機を指さす。
ちなみにこの辺りは車も少なく、道の隅で遊んでいても咎められない。
既に数十羽のカモメが周囲を飛んでいる。
皆、この辺りを通る人間から餌を貰っているのだ。
「治安もそうだが、普通にモンスターやらが出てくる危険地域もあるらしい。
そんなところを流石に先生を連れてはいけんだろう。」
■ラピス > 「そうですねぇ。道を広く作るには、お金も資材も必要ですから。
軽自動車とか二輪車だと、田舎でも取り回しが良さそうな気がしますね。
――ふふ、先生に惚れたら、幼女趣味だってレッテル張られちゃいますよ?」
くすくす、と笑いながら、冗談めかして見せる。
元よりこの矮躯では、そういう目で見られることも中々無いだろうし。
そういう関係性に忌避感はないが、先生だからちゃんと線は引かないとなぁとも思っていたり。
「ん、和食も先生大好きですよ。何より、お出汁が素敵です。
和食でお魚だと、お刺身ですかね。それとも煮魚?ふふ、楽しみですよー」
あれだけうどんを食べても、美味しいものの話は好きだから仕方ない。
次の食事を楽しみにしつつ、彼が車を転がすままに身を任せ、無邪気に海を眺めていて。
やがて、休憩できそうなスペースのある一角に車が停まる。自販機いくつか並ぶ区画だ。
遠くには、海を思わせる鳴き声を上げながら、空を泳ぐ鳥の姿があった。
「ほむ、餌やりですか!ふふ、いいですね。
いつもは餌付けされてばかりなので、たまには餌付けしてあげましょう!」
やる気十分。ぱたたっと自販機まで向かうと、周囲にはかもめの大群が。
明らかに待ち伏せ。かもめたちの視線を浴びながら、がまぐちを取り出して。
コインをぽいぽいっと数枚入れて、餌を二つ買ったなら、お茶のお返しとばかりに差し出した。
「せっかくですし、一緒に餌付けしましょう。
封切ったらめちゃくちゃに寄ってきそうで、一人だともみくちゃにされそうですし」
大群から離れようとすると、大群も着いてくる。
どうやら逃げ場はないらしい。虎視眈々と狙われているのが分かる気がした。
「モンスターですか。見てみたくもあり、危なそうだから出会いたくなくもあり、ですね。
先生も、全く戦えない訳ではないですが、あんまり得意じゃないですからねぇ……」
生徒を守る術は学んでいるし、魔術と異能を組み合わせれば、それなりの事もできるはず。
とは言え実戦経験はないに等しいものだから、戦場には出ない方が無難なのは確実だ。
■富士 雅 > 「まず、拡張工事が必要だからな。そこまでして広げてくれることはなかなかないわな。
二輪は悪くないんだが、暑い寒い、人を乗せるにはハードだと俺は思うんだが。
ああ、俺の見た目だと特に不味いな。」
冗談めかした返答に、男も苦笑する。
確かに、そういう雰囲気で連れ歩けば職質を受けても可笑しくないだろう。
「本当に料理が好きなんだな。 スラスラ出てくるじゃねえか。
この時期だから刺身だろうな。 たまに動いてるのが出てくるが、そっちは大丈夫か?」
エビだの烏賊だのが活けで出てくるお店なので、箸で突けばこっちを向いてくることもある。
男は平気な顔で食べてしまうのだが、苦手な人も居るだろう。
「乗り気だな。 向こうもそのつもりだし、丁度良いな。」
少し離れた所で車を止め、二人して自販機に向かう。
鳥たちが明らかにこちらを見てくる中、先生が餌を購入する。
餌が取り出し口に落ちてくる音を聞きつけ、鳥たちの輪が小さくなってくる。
「悪いな。 でもまあ、鹿と違って襲ってくることはないから大丈夫だぞ。
ほれ、皆先生が投げてくれるのを待っている。」
餌のパックを一つ受け取り、中を取り出す。
中身は粒タイプの餌複数。パックそのものもコーンで作られており、そのまま食べさせることも出来る。
鳥たちは目線はこちらからひと時も離さないが、意外にも一定の距離を開けている。
「ほれ。」
先に数粒を手に取って投げる。
鳥たちが一斉に群がり、餌を取り合う。
食い損ねた鳥にまた餌を。
「せっかくこっちに来たんだし、一度くらいはやりあってみたいな。
先生も戦えるのか。意外だな。」
■ラピス > 「それに、作っても使われなかったら無駄遣いになってしまいますからねぇ。
ふむ、風を切って走るのは気持ちよさそうと思ってましたが、そんな罠があるのですか。
――こんなちんちくりんより、もっと美人が一杯いますし、そっちにしとくのがおすすめです」
笑いながらの言葉は、謙遜でも卑下でもない。
恋愛はいまいちぴんとこないから、縁遠いものだと思っている。
それよりも、悪友みたいにおサボりしてクスクス笑いあえたりしたら良い。
名実ともに、色気より食い気みたいな生物。それがこの教師なのである。
「ん、趣味ですからね。たまに食堂のキッチン借りたりもしてますし。
お刺身、良いですねー。あぁ、大丈夫ですよ。活け〆も経験済みです」
刺し身にされた後で、未だ死なずにいるお造りなんかも見たことがある。
あれは、ちょっとかわいそうには思うのだが、それ以上に美味しいからやめられない。
「やったことないなら経験しないと、ですよ。世の中楽しいことがいっぱいですから。
――っとと、予想以上にお行儀が良いですね。着いてくるけど、突いてはこない、と」
小さくなる鳥の輪は、しかし一定の距離を保ってぐるぐると旋回している様子。
餌はあっても掌にまで飛んできて突くことはない様子。ほっと一安心だ。
掌に餌を少しばかり開けると、せーの、と勢いをつけて遠方へと放る。
ぱっと拡がったいくつかの餌に向けて降りてきたかもめは、器用に食らって。
幾度か繰り返すと、幾分かコツも掴めてきたのか、餌を投げる手付きも手際よく。
「自分から戦いに赴く気はないですが、生徒が危ない目にあってたら、助けないとですから。
とは言え、傷つけるよりは治すのほうが得意なので、他に任せられるなら丸投げしますけどね」
得意なことをした方が、最終的な結果が良いものになるから。
そんなモットーを口にしながらの餌やりは、何ともスッキリする楽しいものだった。
■富士 雅 > 「使われない道なんてそうそうないだろう。俺なら間違いなく使わせてもらうがな。
先生なら平気かも知れんが、俺は人を載せるなら車に限るな。遅くなってもその場で寝ることが出来る。
まあ、先生ならその気ならそれ以上俺からは言わんさ。」
その辺りのスタンスは人によって大きく異なるだろう。
だから先生がその気でない限りはこちらからこれ以上のアプローチは控えることになる。
「ほお、今度何かご馳走してくれよ。
活けも〆も経験済みか。タフな先生で助かるな。」
確かに、調理される前の魚などを見ると心が痛むこともあるが。
目の前に並べられると嬉しそうに食べてしまうだろう。
「だろう。 たまに寄ると餌をやってるんだが、突いて来られたことはまだないな。」
先生も餌を投げ始めたころ、今度はトンビまでやってくる。
観光地などでは食べ物を奪われる悪者扱いだが、ここではカモメたちに混じって行儀よく餌を貰う。
当然、取り合うようなこともしない。
先生が手際よく餌投げを習得した所で、男は投げる餌がなくなってしまった。
「一度くらいは自分から戦いに行くのもいいかなと俺は思ってるんだがな。
無論、行く場所と相手は選ばないといけないが。」
車のボンネットに腰を付け、先生の餌やりを見守っている。
待っている間に異能で煙管を取り出し、煙を吹かせる。
煙草であるが、甘い香りがして悪臭の類は出てこない。
「先生も治療系か。俺と同じだな。」
■ラピス > 「ん、基本は必要だから作るものですから、使われないことは珍しいかもですね。
あー、確かに、バイクだと寝るのは無理ですねぇ。それこそテントでも持ってないと。
ふふ、いずれにせよ、恋だの愛だのは、もっと長い時を過ごして、仲睦まじくなってから、です。
まずは仲良しさんとして、一緒に色々遊ぶところからスタートってやつですね!」
彼が本気でアプローチを仕掛けてくるならば、その時にどう思うかはわからない。
だが、まずはもっと色々な経験を積んで、お互いをよく知ってからな気がする。
性の分野にも忌避感はないが、ちゃんとしたステップは大事。結構身持ちは固いのだ。
「えぇ、構いませんよ?好きなお料理、教えてもらえれば作りますので。
いやぁ、可愛そうって思いますけど、それ以上に美味しいから仕方ないじゃないですか!」
俎上に、卓上に上がった以上は、逃げ場などないのだから。
だから、美味しく食べるのがせめてもの供養となる、というのが持論である。
出てきたら美味しく食べる。楽しんで食べる。そしてお礼を忘れないのが重要だ。
「ぉー、良い子達ですね。これなら餌をたっぷり上げたくなっちゃいます。
うりゃ、っとと、そっちはまだ投げてなかったですから――てりゃっ……!」
いつの間にやらトンビまでもが一緒になって、賑やかな餌やりショーに発展。
ぱっぱっと撒けば鳥たちが釣られる光景は、何とも楽しいものがある。
やがて、少女の手持ちの餌もなくなると、最後に器のコーンを砕いてポイッと空へ。
お利口な鳥達は、餌がなくなったことを理解したのか、再び空に戻っていく。
「――ん、その時は、怪我して帰ってきたら診てあげますよ。
これでも薬学の先生ですから、味を我慢するならきっちり直してあげましょう」
餌やりを終えれば、少女もまた車の方へポテポテと歩み寄る。
最中にふと漂ってくるのは、甘い香りの煙。ちらりと見れば、煙管を吸う彼の姿。
むず、と吸いたい欲が出て、少女もまた懐の煙草入れから手巻きの一本を取り出して。
「あー、先生も一服、良いです?こんななりでも、ちゃんと大人ですので」
生徒の前で吸うのはなぁ、という抵抗もあったが、我慢できずに一言言い置き、切っ先に火をつけた。
少し経てば、彼のものとはまた異なる、甘い紫煙がゆるりと立ち上る。
■富士 雅 > 「だから俺は基本的に車なんだ。急に荷物が増えても対応できるからな。
それに、車は締め切ると邪魔が入らないのがちょうどいい。
ほう、確かにな。 ま、それならそれで構わんが。
同じ委員なのだし、今後顔を合わせることは多いだろう。」
焦らずのんびりと。男はそう結論付けることにした。
ここに居る限り時間は幾らでもある。
運よく、先生とそういった関係になるのならそれはそれで素晴らしい事だが。
「確かにそうだ。せめておいしく食べてやらないとな。
そうだな、俺は基本的に余程辛いとかで無ければなんでもおいしく頂くほうだ。」
口には出さない、先生の手料理となれば断る奴はいないだろう。
その際は保健室でゆっくりお茶でも入れながら楽しむとするか。
「だろう? 貰いなれているのか、行儀がいいんだ。
だからたまにやってきてはあげている。」
去って行くときも一斉に居なくなる鳥たち。
鮮やかな後姿に男は手を振っていた。
先生も楽しんでいるようだったので、男は安堵していた。
「いや、自分で治すから大丈夫だ。
味を我慢してまで世話になるのはちょっと怖そうだな。」
良薬は口に苦しと言うが、相当なのだろう。
男は自らの異能である煙管を口に咥えたまま、困った表情で手を振っている。
「ああ、ゆっくりしていきな。しかし、先生も俺と似た様な異能を持っていたとはな。
そっちは自前か?」
一般的な市販品とは異なるようだ。甘い香りが漂い、官能的な香りである。
二人で車の前で思いがけない休憩となった。
■ラピス > 「ふむふむ、良いですねぇ。中で眠れるのも、荷物が増えても大丈夫なのも。
移動するプライベートな空間でもある、というわけですね。
まぁ、長く付き合った上で、先生が絆されたら、その時はその時、としておきましょう。
生徒と教師の恋愛、となると、先生の倫理観を疑われそうな気配もしますが……!」
でも、この学校普通に大人いるし、案外そこらへん緩いのかも?とも思ったり。
何れにせよ、答えを焦って出すような問題でもないから、今はまだ保留。
同じ委員会で色々気の利く素敵な仲良しが一人増えたと思うことにする。
「料理されたものを残さず食べる。それが一番です。
何でも美味しく、ですか。特に好きなもの、とかはない感じです?」
リクエストがない場合、男の子の好きな物、というざっくりしたプランになる。
唐揚げとかとんかつとかカレーとかハンバーグとか、食卓が茶色主体になること請け合い。
一応サラダとかおひたしとかも作るし、お漬物なんかも置いてはみるけれども。
「うんうん、また上げに来ますから、良い子に待っているがいいですよー」
去っていく鳥達を見送れば、遠く彼方で鳴き声が。
海を思わせる、郷愁を誘う音だ。
「自分で治せる分には、軽傷だから良いのです。
そう出来なくなったら、ちゃんと頼るんですよぅ?」
やせ我慢はいけません、なんて。
時折出てくる、教師らしいお話だった。
「うい、自前ですよ。薬草を数種類配合して、ローラーで巻くんです。
他に少しだけ紅茶を混ぜたりすると、匂いが移って良い感じになるのですよ」
手巻きのそれをぷかぷか吸えば、自然と思考が整理されて、体に活力が湧いてくる。
二筋の煙がゆらりと棚引くのを眺めながら、少女はすっかりぽやぽやとリラックス。
聞こえる潮騒の音。1/fゆらぎ、というやつだろうか。穏やかな時間は、思った以上に心地よかった。
■富士 雅 > 「そうだな、中で寝れるのが一番都合がいいな。
昼寝もそうだし、夜も車中泊ってのがあるんだってな。
…まあ、その時はその時だが。
この学校は自由なんだろう?殊更騒ぎ立てる奴もおらんだろう。
それに、俺はこう見えて二十歳だからな。」
酒も煙草も色んなものが許される年齢である。
今更生徒と教師だのと言われることもないだろう。
無論、現状は委員会の仲間であるが。
「好きな物か…出される物は大抵頂いているからな。
まあ、あまり手の掛からないものでいいんじゃないか?」
先生の負担にならないように、との思いだが。
言った後に却って火を付けてしまわないかと危惧する。
「いやいや、俺が俺に使う分には結構深い傷迄治してくれるんだぞ。
その代わり、時間はかかるんだがな。
ま、先生も気軽に言ってくれ。疲労回復にも効果はあるからな。」
今の所、異能をそういった方面で使った事は他人への方が多い。
それを思い出した。
「本格的だな。そこまでやっている人はそう見かけないだろう。
なるほど、香りつけに紅茶も入れるのか。」
男の煙管はそろそろ煙が尽きてくる。
後は先生が吸い終わるのをのんびり待つことにしていた。
波の音を聞いたりして過ごしていると、遠くの海が赤く染まっていく。
もうじき、ライトを付けて走らないといけない頃になるだろう。
■ラピス > 「空調もありますし、何より鍵をかけられるのが大きいですね。
電源入れっぱなしだと、その内バッテリーが飛んじゃうかもですが。
まぁ、誰相手でも贔屓をするつもりはないので、律することさえできれば、ですかね。
――先生のほうが年上ですが、詳しくは女の子の秘密、ということで」
異世界に居た頃の記憶はすっ飛んでいるが、それでも自分がどのくらいの年かは分かる。
生きているだけならば、きっと彼の倍以上。精神は割と年寄りなのである。
外見は幼すぎて、内面は老けている。ポンコツ教師は、何とも面倒くさそうな生物だった。
「ふふ、他の子にも料理を食べさせてほしいなんて言うなら、ちゃんとリクエストしたほうが良いですよ?
何でも良い、なんていうのは作りがいがないですからね。肉が好き、とかだけでも言うが吉です」
彼のためにやってあげたいのだから、彼が喜ぶものにしたい。
そんな感情を満たすなら、ちゃんとリクエストを教えて欲しいと思うもの。
女の子と付き合う時のコツ、などと冗談めかしつつ、ぷかり、ぷかり
「時間をかければ、ということは、戦闘中よりはその前後に有効な感じですね。
ヘロヘロになったら、その時は助けてもらうことにしますよー。頼れって言った手前、ね」
頼れと言っておいて、自分は頼らない、というのもそれは違う話。
相互に助け合う良好な関係には、遠慮しすぎないほうが良いのだから。
「それだけじゃなくて、灰も煙も害がない様に、改良済みなのですよ。
料理もそうですが、薬や煙草を仕込むのも、凝り性なもので。
――っと、そろそろ日も暮れますし、ご飯、行きましょう?先生、ご馳走しちゃいますから!」
日が傾き始める頃合いともなれば、くぅとお腹が減ってくる。
だからそろそろ、と促しつつ、先生の余裕とやらを見せてみることにした。
お給料を貰っているのだから、お礼にご馳走するくらいはいけますよ、なんて。
■富士 雅 > 「まあ、この島は物騒だからな。車を止める場所は選んだ方が良いだろうが。
バッテリーは、エンジンを入れっぱなしで問題ないだろう。地球環境への影響は知らんが。
まあ、俺もそういったセコイことを考えてるわけじゃないからな。
だから試験問題を教えてくれなんて一言も言わなかっただろう?
なんだ、そうなのか。ただまあ、今更年上だからって甘えるのもな。」
相手の年齢はあまり興味が無かっただけに、愛想笑いを浮かべる程度。
実際の年齢を知った所でお互いの関係性は変わることもないだろう。
「ああ、そうだな。 それなら…うう~~む。」
確かに失言だったと、腕を組む。海に向かって暫く唸り。
「なら、肉にしておこう。いや、そうだな…トンテキで頼む。」
先生の指摘が男に突き刺さったので、しっかりと考えて。
出てきたのは元の世界の料理。豚肉をステーキにし、タレを掛けた料理である。
果たして、女性に頼む料理かと言われると疑問が浮かぶが。
先生ならやってくれそうな気もした。
「流石に即効性はないな。敵を制圧してからじっくり治すことになる。
まあ、ヘロヘロになる前に言ってくるんだな。俺のは乱発した所で使えなくなるような物じゃない。
…ほう、それなら昨今言われている嫌煙とかもなくなるな。
しかし、色々と出来るんだな先生は。
ああ、悪い悪い。 なんだ、奢ってくれるのか?」
こっちではなかなか奢らせてもらえる機会が無かった男。
今日も先生のがま口に助けてもらうことになってしまったかと苦笑して。
二人して車に乗り込むと、夜の海岸を走る。
車のライトや、街灯があるのでまだ平気だが。
夜の海はやはり多少雰囲気があった。
「ついたぞ、ここだ。」
到着したのは一軒の和風建築。
料亭のような趣の建物だが、値段はどちらかと言うとリーズナブルで美味しいと評判の店。
車を止め、中には居ると店員に窓際の席へと案内される。
場所的に港や海を見下ろせるような位置。
ちなみに席自体はテーブルで。
靴を脱がずに食事ができる点もお手軽なのだが、その代わり中央のピアノで店員が曲を演奏している。
「さて、どれにする?
俺は車だから止めておくが、ここは酒も美味いぞ。」
男は先生の前にメニューを広げて見せる。
窓の外は既に夜景へと変わっていた。
■ラピス > 「盗られたり、壊されたりが考えられますからねぇ。
ふむ、エンジン入れておけば大丈夫なら、楽に過ごせますねぇ。
あぁ、いや、富士君が、じゃなく私が、ですよ。律するのは大事です。
試験問題は、今教えても多分変わるので意味ないですよー?」
己の年齢を暗に示しても、彼の様子に変わりはない。
割と何歳でもいける感じなのかしら?なんて考えが浮かんだ。
「ほい、それじゃトンテキ、楽しみにしとくと良いですよ。
がっつりかぶりつける分厚いトンテキ、作ったげますから」
トンテキ、といえばこの世界にもある料理で、豚肉のステーキ、だったか。
せっかくなら生姜や玉葱を駆使して、柔らかくも食べごたえのある方面を目指したい所。
料理については、趣味のお陰で一家言ある。美味いと言わせてやる、なんて燃えていた。
「ふふ、先生のは即効性ある代わりに、魔力をごっそり持って枯れる感じですね。
魔力をセーブするなら、逆に時間を対価にしてゆっくり治す感じになります。
煙草は、今の所だと先生以外が吸うとうまいこと煙や灰を変換できないので、そこが課題ですね。
吸う人が魔力を持たなくても、分解の術を使える、なんていうのは先生には出来ない技術なのです」
生憎と、異能者としても魔術使いとしても、少女は凡庸なレベルである。
勿論色々研究や改良は重ねているが、実現できるのは大分先の事になるはず。
そこに至るまでの年月だけは、長い寿命のお陰で確保できそうではあるが。
「ご馳走しますとも。先生相手に、見栄を張る必要はないのです」
車の隣に乗せてもらって、後はそのままブイーンと移動。
夜の帳が下り始める頃に、港の料理屋にたどり着く。
店内は雰囲気の良い外装に、流れる軽やかなBGMが心地よい。
案内された窓辺の席は、夜の海が月明かりに照らされて幻想的だった。
「それじゃ、先生もお酒はなしで。
生徒の前でベロベロに酔っ払うのは、先生にあるまじき、ですから」
お酒は嫌いじゃないが、絶対飲みたいほど好きでもない。
それよりも、色んな料理を楽しみたいから、とメニューをご機嫌で眺めていた。
ご案内:「ドライブ」からラピスさんが去りました。
ご案内:「ドライブ」から富士 雅さんが去りました。