2020/08/20 のログ
ご案内:「風紀委員会本庁 第一級監視対象監査役執務室」に神代理央さんが現れました。
ご案内:「風紀委員会本庁 第一級監視対象監査役執務室」にラヴェータさんが現れました。
神代理央 >  
『異能殺し』との戦いから一夜明けて。
施療院から迎えに来た風紀委員に連れられて本庁に戻ってみれば、ハチの巣を突いた様な大騒ぎ。
若干鈍痛の残る身体で取り敢えずシャワーを済ませ、新品の制服に身を包み。報告を済ませつつ話を諸々聞いてみれば――

「……山本が負傷。その加害者として沙羅が査問会。伊都波先輩が警邏のシフト入り。……何が、どうなってるんだ」

此方も万全の体調という訳では無い。
施療院で迅速な治療を受けた為、こうして登庁する事は出来るが、後日精密検査を受ける予定にはなっている。

私費で購入した座り心地の良い椅子に身を預けると、深々と溜息を吐き出して宙を見上げる。
――そういえば。そろそろ"彼女"が、出頭する時間である筈だが――

ご案内:「風紀委員会本庁 第一級監視対象監査役執務室」にラヴェータさんが現れました。
ラヴェータ > そんな風紀本庁の廊下を我関せずとばかりに歩く少女。
その足取りは軽快でも鈍重でもない無感情なものであり、その表情にもこれと言った感情は見受けられない。
可能な限り心を空にして、可能な限り何事もなく事を終わらせるため...

「失礼する。ラヴェータだ
出頭義務を果たしに来た」

執務室の扉をノックし、室内へと足を踏み入れ、扉と神代の座る執務机の間に直立したまま淡々と言葉を告げる。
ここ数日繰り返されているやりとりの、開始を告げる言葉だ。
今日も特に報告することはない。あちらから何か通達がなければこのまま終わる...はずだ。

神代理央 >  
彼女の言葉を、椅子に身を預けた儘黙って耳を傾ける。
それは、彼女がここ数日繰り返している日常と大差無いもの。
此の侭、感情の籠らない労いの言葉で、報告は終わる――かと思われたのだが。

「……どうせ、此の後暇だろう。少し私との話に付き合わないか、ラヴェータ」

何時もと違う言葉。
椅子に腰掛けた儘、彼女をじっと眺める少年の瞳には――
何とも言い難い、感情の揺れの様な色が灯っているだろうか。

それは一言で言い表すなら『気まずさ』と『後悔』が混ぜ込まれている様な、そんな瞳。

ラヴェータ > 「......ああ、確かに特にすることはないが...」

このままどこぞへと去っていこうと考えていたし、きっと理央もこのまま自身の執務へと戻るのだろうと思っていた。
しかし、予想とは裏腹に理央からかけられたのは引き止める言葉で。
普段ならここで軽口の一つでも返してやるのだが、そんな気持ちにはなれず。

こちらを見つめる神代の瞳を少女は見返すが...すぐに気まずそうに目をそらした。
なぜなら、その瞳に後悔のような色が見て取れたから。

...なぜそんな瞳をこちらに向ける、悪いのは私だと言うのに。

そんな言葉が脳裏をよぎるが、口をつくことはない。

神代理央 >  
「…そうか。まあ、立ち話もなんだ。座ったらどうだ」

椅子から立ち上がり、彼女に勧めるのは部屋の片隅に置かれたソファ。
質素な執務室に置くには少し大きなソファは、もっぱら少年の仮眠用に使われるばかりであったのだが。

「……お前には、その。色々と言いたい事と、謝りたい事が、あるからな」

と、立ち上がってソファに足を向けながら。
何時もの覇気を感じさせない声色で、彼女に言葉を投げかける。

ラヴェータ > 「...貴様がそう言うなら」

僅かに表情を曇らせ勧められるがままにソファの端に腰掛ける。
少し座ればわかる、彼の執務室に置かれるにふさわしい品であると言うことが。
しかし、今はソファの座り心地などよりも同じ部屋にいる理央の事の方が気がかりだ。

「...そうか」

ああ...言い出せない自分が情けない。
何時もの彼らしくもない覇気のない様子を見ないように顔を逸らして短く素っ気なく答えて。

神代理央 >  
素っ気なく、短い返事を告げる彼女に、小さく吐息を零す。
溜息では無い。彼女を此処迄傷付けたのは己なのだ。
何時も人を揶揄って楽しんでいる様な彼女が、此処迄表情を曇らせる、など。

そっと、彼女の横に腰掛ける。
二人分の重さで、柔らかなソファがぎしり、と沈む。

「……先ずは、謝らせて欲しい。あの日、あの夜。
俺はお前に、酷い言葉を投げかけた。お前の尊厳と、優しさを踏み躙って、突き放した。
本当に、すまなかった。ラヴェータ」

彼女に躰ごと向き直ると、頭を下げる。
余計な言葉や言い訳等無い。唯、あの夜の己の言葉を、謝罪する。
非は己にある、と懸命に伝えようと言わんばかりに。

ラヴェータ > 理央は先ほど口にしたように、謝った。
自分が悪かった、と。
ああ、違うのだ。
謝るのは私の方だ。悪いのは私であり、理央はただ自分の被害者でしかない。
自分の思うが儘に、自分の言葉通りに彼を動かそうとした私が悪いだけなのだ。
それなのに私は何を言わせているんだ?
先に口を開くべきではなかったのか?

「違う」

頭を下げる理央に対して、絞り出すように、苦しそうにそう溢す。

「違う、違うんだ...理央
悪いのは私だ...
あの夜だけじゃない、私は...私はお前に自分の理想をかなえさせようとしていただけだ...
私はお前に私の理想を押し付けていたんだ
私が出来なかった事をやらせようとしていたんだ
...すまなかった...理央...悪いのは私だ、顔をあげてくれ」

お前に謝らせるのは、お前に謝られては、私が苦しいだけだ、と。
だから、私の謝罪を受け入れてくれ、私が悪いと言うことにしてくれ、と。
項垂れ、苦しそうに、頼むように。

神代理央 >  
顔を上げて、苦しむ彼女に視線を向ける。
あの夜、己が彼女に投げつけた言葉が、此処迄彼女を傷付けている等とは。世の中のあらゆる事を達観した様な彼女が、苦し気に、呻く様に言葉を零している。

「……そうか。それが、お前の悔恨か。俺に理想を押し付けていたお前の、懺悔か」

「だから、自分が悪いと。だから、お前の謝罪を受け入れろと」

「……そう言いたいんだな?ラヴェータ」

己が抱いた彼女の有様を確かめる様に。すれ違いを、起こさぬ様に。
じっと、彼女を見つめながら、訥々とした口調で言葉を投げかける。
苦し気な彼女を、静かに見守りながら。

ラヴェータ > 「ああ...そうだ
お前の言う通りだ...私はお前に理想を押し付けていた...それが上手くいかなかっただけだ...」

神代の確認を肯定する。
重たい頭を起こせないまま、下を向いたまま。
苦しそうに、わかってくれ、理解してくれ、受け入れてくれ、と。

神代理央 >  
「…分かった。それなら――」

彼女の言葉に小さく頷いて――

ぺし、と。下を向いた儘の彼女に、軽くチョップ。

神代理央 > 「…こういうのは、ラヴェータ。喧嘩両成敗、という事にしておこうじゃないか」

「理想を押し付けていた?ふむ、そうだな。それに対して、俺は随分とみっともない様を見せてしまった。出来れば忘れて欲しいくらいだ」

「そんな俺の醜態を曝け出した事については、謝罪を受け入れよう。全く、人が落ち込んでる時に自宅に上がり込むからだ」

「とはいえ、あれはお前なりの気遣いだったんだろう。それに対して、俺は随分と酷い事を言った。其処に関しては、謝りたい。というか、謝罪を受け入れろ。受け入れないと報告書増やすぞ」

神代理央 > 捲し立てる。
落ち込む彼女の頭に軽く手刀したまま、一気に捲し立てる。
そして、ちょっと乱れた息を整えて。
彼女の頭を叩いた手は、其の侭彼女の頭を撫でようとしながら――

神代理央 >  
 
 
「……だから、その、あれだ!諸々全部水に流して、此れからも宜しく頼むと言っているんだ!何故分からん!この駄狐!」