2020/08/21 のログ
ラヴェータ > 「...それは私の経験不足と言うやつだ
理央」

撫でている手を跳ね除けないようにゆっくりと頭を起こして、理央の顔を見つめながらそう応える。

「全く、貴様と言うやつは...苦しんでいる女に手刀する男がどこにいると言うのだ」

呆れた様に肩を竦めてふん、と鼻で笑って見せて。
それが理央の言葉がこうも受け入れられる理由になってはいるのだが、それは秘密だ。

「喧嘩両成敗、か
わかった、お前の謝罪も受け入れよう
報告書を増やされては敵わんからな
それと、貴様の醜態も忘れてやるからさっきの私のことも忘れろ」

清算。先ほどまでとは比べ物にならない勢いで、清々しさすら感じさせる思い切りの良さで言葉を紡いでいく。

「貴様がそう言うのなら仕方がない」

ふっと笑って

ラヴェータ > 「こちらこそ、これからもよろしく頼む。理央」
神代理央 >  
「ちゃんと加減はしただろう。優しい監査役に感謝するんだぞ、駄狐」

彼女に投げかける言葉は、何時もの様に偉そうで、高慢で。
それでも、顔を上げて此方を見つめる彼女に向けるのは、穏やかな笑み。

「ああ、良いだろう。御互い、無様な姿は綺麗さっぱり忘れようじゃないか。
尤も、チュール一本に尻尾を振っていたお前の姿は、別勘定だがな?」

軽口を叩き合う。
監視対象と、その監査役。ではなく。
憎まれ口を飛ばし合う悪友の様な、そんな雰囲気。
彼女とのこういったやりとりが、存外嫌いではないが故に。

「……ああ。宜しく。そして、ありがとな。ラヴェータ」

嬉しそうな笑みを浮かべて、彼女の頭を撫でていた手が、其の侭差し出される。
再び背中を預ける相手へ、握手を求めようと。

ラヴェータ > 「その程度のことは水に流してくれねば優しいとは言えんと思うがな
それともなんだ?それくらいしか言えんとでも言うのか?」

数日ぶりの軽口の応酬に愉快気な笑みを浮かべながら。
やはり、これぐらいの感覚が良い、安心する、と。

「こちらこそだ、理央
ありがとう」

差し出された手に応えるのは、彼のそれよりも僅かに小さい掌と感謝の言葉。

「それと、なんだ...
もう少し、撫でていてくれないか?」

あれは、存外安心するものだ。
少々恥ずかし気に、そうお願いして、

神代理央 >  
「おや、俺が今迄何枚お前への苦情を握り潰したのか、寝物語に聞かせてやらねばならぬか?こんなに優しい監査役は、他にはいないだろうと自負するところだがね」

とはいえ、最近はそうでもないな、とか思っていたり。
擦れ違っていた期間は兎も角、彼女へ対する苦情クレームは緩やかに減りつつある。零になった、とは決して言わないが。

そんな軽口を投げ合って。交わされた握手。
強過ぎず、しかし弱すぎず。己よりも少し小さな掌を握って、そっと離した。
さて、無事に仲直りも出来た事だし、自販機にでも――と思った矢先。
彼女から紡がれた言葉に、ぱちくりと不思議そうな表情を浮かべた後――

「……ああ、構わんよ。何なら、膝でも貸してやろうか?」

クスリ、と笑って頷きながら、冗談めいた口調で己の膝をぽふぽふと叩いてみる。

ラヴェータ > 「ああ、貸してもらおうか」

きっと理央は冗談で言ったのだろうが。
ありがたく貸してもらうこととしよう。

神代の膝へと体を傾けて頭を乗せて。

「前も思ったのだが
男らしくない膝だな。私が訓練してやってもいいぞ?」

なんて軽口を叩いて、目を瞑る。

神代理央 >  
冗談のつもりで投げかけた言葉に応えたのは、己の膝に頭を乗せる事だった。
一瞬、少し驚いた様な表情を浮かべるものの、彼女を止める事も無く、そのまま受け入れるだろうか。

「……余計な御世話だ。まあ、鍛えなければならないとは思っているが…」

と、返す軽口の口調も穏やかに。
彼女の髪を梳く様に、静かに撫で始める。
目を瞑った彼女を労わる様に。或いは、案外情に脆い彼女を、あやし続ける様に。

ラヴェータ > 「前も言っただろう。いつでも貴様を鍛えてやる。その気になったら何時でも言うがいいさ」

だんだんと言葉の尾に近くに連れ、窄んでいく勢い。
耳が大人しくしなだれ、目尻には安心が浮かぶ。
撫でられるというのはやはり...

「ああ...安心するな...」

斬鬼丸から言われた言葉を思い出す。
安心させてあげれば良いのではないか、と。
安心させるどころか安心させられている現状では到底無理だろうが...
何時か理央を安心させてやりたいな、なんて。

そんな事を思いながら、小狐は微睡に沈んでいった。

神代理央 >  
――微睡みに沈む少女を撫で続けながら、はふ、と吐息を零す。
恋人も、彼女も。己の脆弱な精神によって、傷付けてしまった。

「……鍛えるべきは、身体よりも精神。心の在り方、なのかも知れんな」

微睡む少女を撫で続けながら、ぽつりと零した独り言。
それでも今は、穏やかな寝息を立てる少女が、己の膝の上で安堵してくれている事に、満足すべきなのだろう。

――幾ばくかの後。少女と共に寝息を立ててしまった少年を発見したのは、何時まで経っても退室表示が出ない事を気遣った同僚。
呆れた様な声をかけられて目を覚ますまで。穏やかな寝息が二つ、無機質な執務室に、響いていたのだろうか――

ご案内:「風紀委員会本庁 第一級監視対象監査役執務室」からラヴェータさんが去りました。
ご案内:「風紀委員会本庁 第一級監視対象監査役執務室」から神代理央さんが去りました。