2020/08/23 のログ
ご案内:「演習施設」に日下 葵さんが現れました。
ご案内:「演習施設」にさんが現れました。
日下 葵 > 「もうそろそろ、ですかね」

ストレッチをしながら時間を確認する。
今は先日常世渋谷で出くわして連絡先を交換した彼女と待ち合わせ中だ。

謹慎期間中にやることがなさ過ぎて、
ついにはドラゴニックな拳法とやらが気になりコンタクトを取ってしまった。

テレパシーが使えるまでになる拳法だ、相手をするのがある意味楽しみで仕方がない。
少しソワソワしながら、格闘演習用のリングに上った>

>  
「テレパシーなんて使える訳ないでしょ、エスパーじゃあるまいし……」

開口第一声にいけしゃあしゃあと宣ったとんでも一言。
気づけば彼女はそこにいた。
少しばかり涼しくなったとはいえ、まだまだ暑い夏の日差し。
葵の真正面、距離のある向こう側の景色に溶け込むように、そこにいた。
まさに自然体とも言うべき姿で、意識しなければ文字通り景色と見過ごしてしまうような一体感だ。

「やぁ、こんにちは葵。今日はどういったデート内容かな?」

融和な微笑みを浮かべ、龍はゆったりと歩み寄ってくる。
勿論連絡内容は知っている。
だが、敢えて聞いている。

日下 葵 > 「むしろエスパーを名乗ってもらったほうが
 私としては混乱しなくて済むんですけどねえ?」

勝手に頭の中を覗くなと言わんばかりのひきつった表情で龍を見る。
いつからそこにいた?とか、だからなんで思考が読める?とか、
そんな表情。正直彼女が入って来たことに全く気が付かなかった。

「謹慎期間中暇で仕方がない私の暇つぶしとして、
 殴り合いをお願いしたんですよ」

デートの内容を質問されると、ボクシングのグローブを嵌めながら答える。
メールに内容を書いて送ったのにあえて聞いてくるあたり、
”いい性格”をしていると思う。本当に。呆れて笑っちゃうくらいに>

>  
「勘弁してよ、ただの拳法家なんだからさ。
 ちょっとした氣の応用だよ。多分」

あの場にはあの場のノリというものがある。
きっとその時偶々できたようなものだ。
まぁ、ただのちゃらんぽらんと言われればそれまで。
困ったように軽く肩を竦める。

「おやまぁ、謹慎中なのに大丈夫なの、それ?
 下手な事すると、期間伸びちゃうと思うけど……」

一体何をやらかしたのかは聞かないが
幾ら演習とは言え、やりすぎたら彼女の立場が危うい気もする。
それなりに乗り気ではあったが、それを聞くとどうするものか、と迷うものがあるが
龍はそれでも、立ち去る気配もなく、凛然とした姿勢のまま葵を見ていた。

「……それで、"どこまで"やるの?
 私としては、精々試し合いで終わるのが理想かなぁ。
 "熱を入れる"と、私も困っちゃうからね」

日下 葵 > 「自分でもよくわかってないんですか。
 それだとなおのこと私の中での”拳法”が分からなくなってしまいます」

もしかしてバーベキューに参加して開花した特殊能力なのだろうか。
だとしたら私も何かよくわからない流れで必殺技だせるようにならないかな、なんて。
その表情には羨望の色すらあった。

「謹慎中のトレーニングはOKらしいので。
 トレーニングでヘマをしなければ大丈夫ですよ」

私がへまをしても、貴女がへまをするとは思えませんし?
なんていえば、グローブをつけ終わって装着感を確かめる。
パンッという乾いた音が響くと、改めて彼女に向き直る。

「あまり熱を入れるつもりはありませんよ。
 そうですねえ、絞め技ありで堕とすのはなし。
 顔面への打撃は寸止め、ってルールはどうでしょう?」

試しあいにはちょうどいいルールじゃないだろうか>

>  
「ホラ、なんかこう。『やれるかなぁ~~~』って思ってやったら出来ちゃって……
 ノリでやったから忘れちゃった、テレパシー。でも、私が今は正統継承者だし
 新しい技作っても問題ないよね?」

明かされるドラゴニックテレパシーの真相。
実際ちゃらんぽらんだった。良い子の皆は真似してはいけない。

「そっか。じゃぁ、"運動"位で留めておこっか、お互いにね?」

だとすれば、彼女の"期待"には応えるようにしなければいけない。
緩く首を回せば、脱力。肩の力を抜き、両手が静かに垂れ下がる。

「それじゃぁ、何時でもどうぞ?」

悠然と佇まい、小首を傾げた。

日下 葵 > 「たぶんやろうと思えば今でもできると思いますよ?
 ただ後継者に継承できるかはわかりませんけど」

いやさっき思考読み取ってたじゃん!
なんて内心つっこみを入れるが、ここはあくまでクールに、クールに……

「そうですね、運動運動」

お互いリングに立てば、私は一度会釈を。

よろしくお願いいたします。

と挨拶をして、脱力しきった彼女と対面するように構えると、
まずは彼女の腹部に右手でボディーブロー。
続けて右手を戻す要領で左フックと技を連発していく>

>  
「後継者ねぇ……」

何か含みのある言い方だった。
龍本人も何処となく、笑みに困った色が浮かんでいる。
それはさておき、"運動"ともなれば思考は切り替わった。
相変わらず笑みは絶やさず、但し瞬きもしない爛々と輝く金色の瞳がじっと葵を見据えている。
軽い会釈、そして対面すればすぐさま彼女が距離を詰めてきた。

「(お、いいスピード……)」

伊達に風紀委員はやっていないらしい。
踏み込んだ矢先に、彼女の視線が交差する。
腹部のボディーブローに対して、足を滑らす様に後方へと退避。
更に追い込むように狙われた左フックだ。手慣れた動きに自然と口角がつり上がり
退避した先、踵をバネに敢えて前に出た。緩急をつけた動き。
迫りくる左フックの拳を受けず、腕だけを己の体に当てさせダメージ減少を狙い
同時に直進の動きに乗せた肘打ちをその胸部目掛けて放つ。

日下 葵 > 「フンッ!!」

ボディーブローは外した。でもフックは入る。
そう確信した瞬間、わずかにグローブが彼女の身体に触れようかというところで、
こちらの動きを使った肘うちが飛んでくる。
ブローを入れるために踏み込んだ左足を、
指の付け根が摩擦で音が鳴るほどに踏み返して身体を引く。

反応速度だけは人一倍のようで、
今度は身体を後ろに引いた勢いを使って右足を軸に左足の踵で回し蹴りを放つ>

>  
「(おお、今のを避けるか)」

左腕を絡めとりクロスカウンター気味に放った肘内は芯を捉えず、空を切る。
良い反応速度だ。素直な感心。そして、立て続けに放つ廻し蹴り。
随分と手慣れた動きだ。踵が届く寸前、即座に手が小さな円を描くように動き弾くように受け流す。
"纏(てん)"と呼ばれる防御技だ。タイミングを合わせて円を描き
相手の打撃技を弾く、打撃格闘技においては基本の動きだ。
円の動きに合わせて、更に地を鳴らす様に踏み込み、離れた距離を縮める。
目前、金色の瞳を見開けば、腹部目掛けて放つ掌底打ち。
風を切り垂直に放たれる一撃は、当たれば多少は内臓に響く程度の力加減にしてあるが、さて。

日下 葵 > 「(さすがに喧嘩じゃなくて格闘に慣れている人間だと勝手が違うな)」

回し蹴りを往なされると、
蹴りの為に足の上がった身体を支えていた軸足を地面から離し、
両手で身体を支えながら今度は右足で龍の腹に踵の突き出しを放つが――

「んぁッ!?」

こちらの蹴りが届くよりも先に、
彼女の掌底がこちらの腹をとらえた。
衝撃で両手の支えが消えると蹴りの勢いも衰え、
回し蹴りで振り回した左足に持っていかれるようにリングに伏す。
受け身を取ってすぐに体勢を立て直そうとするが、
それだけの余裕を与えてくれるだろうか>

>  
さて、"武"とも成ればそのまま一撃、震脚でも見舞ってやろうと考えた。
腰を落とし、間合いを更に詰めようとした最中で動きは止まる。
……手は抜かない、されど、"試し合い"ならば加減はしないと後が困る。
体勢を立て直すまでずっとそのまま、静止した状態で葵を見ていた。

「まずは一本、かな?それじゃぁ、次は私から行こうか────!」

立て直しが終われば即座に姿勢通り、リングを蹴り飛ばし真正面から風を切り間合いを詰める。
狙うはもう一度腹部、フェイント等必要無し。
"冲捶(ちゅうすい)"。腰に構えた拳から放たれる真っ直ぐな突きだ。
小細工なしの一本、空を薙ぎ払い一直線に放たれた!

日下 葵 > 「昼食抜いててよかったですよ……」

念の為に胃袋を空にしていて正解だった。
普段ならいっそ死ぬつもりで飛び込むので、
中途半端に拳を受けるのがどうしても苦手だった。

体勢を立て直して再び構えれば、
今度は彼女の方から腰だめに一撃。
普段ならハラワタをくれてやるくらいのつもりで受けるところだが、
今はそういうわけにはいかない。

何の躊躇いもない一撃に一瞬フェイントを疑ったが、やることは変わらない。
カウンターこそ私の華。
そう言わんばかりに右足を引いて拳を寸でのところで躱す、
そしてそのまま左足を軸に彼女と身体を入れ違えるようにして、
背後に回し蹴りを放った>

>  
外れた拳は空を切り、僅かに彼女の頬を掠めリングへとめり込んだ。
賭けね一切なしの威力を重視した一撃こそ、この突きの神髄。
めり込んだリングに大きな拳跡を作り出し……。

「おっとォ…、…!?」

良い入れ違いだ。そのまま避ける事は叶わず
背中に強い衝撃が走れば蹴りの軌道に合わせて体が横薙ぎに飛んだ。
タン、と地面にぶつかる前に地を弾き
宙返りかさ即座に体勢を立て直し向き直る。

「流石に早いなぁ。いてて……」

背中がずっとびりびりする。
痛みに顔を歪めて、背中を擦った。

日下 葵 > 「運動ですよね?」

仕事をしていても見たことないぞ、今の掌底。
若干引き気味で構え直せば、

今のは一本、ですかね。

と、したり顔である。
未だに腹の中がぐるぐるして気持ち悪いが、
こればっかりは外傷じゃないので治ってくれない。

「次に一本取ったほうが今日の勝ちでいいですかねえ…?」

そう言って三度構え直す。
次にどんな技を繰り出すか、はたまた繰り出されるか。
お互いの手の内を探るように、いつでも動けるよう小刻みにステップを踏む>

>  
「君なら"これ位"は大丈夫かなと思って?」

嫌な信頼の仕方だ。事実、避けてくれたし此方としては満足だ。
すぐに表情は何時ものように融和な笑みへと戻り
両手の袖を合わせて凛然と佇む。

「んー、全然いいよ。それじゃぁ、少しだけ勝ちに行こうかなぁ……」

結局、力を持つ者として些細な事でも負けず嫌い。
折角だし此処は勝ちに行くとしよう。
相手とは実の対照的な"静"の姿勢のまま、相手が動くのも待ち構えた。

日下 葵 > 「”どういう意味”ですかねえ」

格闘能力に対してだろうか。
異能に対してだろうか。
何にせよあんな技を繰り出してくれるのは嬉しい。

「ええ、どうぞどうぞ。
 遠慮はいりませんよ」

多少乱暴にしても壊れないのだから。

しばらくの静寂。
先に動いたのはこちらだった。

先ほどまでの蹴り技の様に高い位置でのやり取りとは一転、
今度は転んでしまいそうなほど低い姿勢で彼女にタックルを仕掛ける。
純粋に体重と速度にモノを言わせた乱暴な技を繰り出して、
このまま転ばせてマウントを取ろうとしていた>

>  
爛々と輝く金色は未だ瞬きをしていない。
ずっと見ていた、彼女の事をずっと。
その一挙一動を見逃さない。
故に、"静"の動作。一切動く事は無く、激流に身を任せるかの如く
相手という"流れ"をくみ取っていく。

「─────……。」

葵の姿勢が低くなる。低姿勢のタックル。
人間存外、小さな獣相手の対象が難しく、自分より姿勢の低い相手は対処がしづらい。
理に適った攻撃方法だ。随分と暴力的な技だが、暴力程効果的なダメージを言わせるものはない。
直進してきたその体を直に体で受け、のけぞる龍の体。

>  
 
       ─────だが、未だ金色は見開かれたままだ。
 
 

>  
倒れる直前、刹那の出来事。
タックルで受けた勢いを利用するかのように
瞬時に龍の右腕が葵の胸倉を掴みかかる為に伸びる。
捕まれば最後、タックルの勢いを利用し
龍の頭部を支えに地面へと叩きつけられることになる。
"金鶏抖翔(きんけいとうしょう)"。
大幅にアレンジを加えたカウンター技。
敢えて、相手の本領と見るカウンターで勝負をかける。
さぁ、凌げば其方の勝ちだがどう出る────?

日下 葵 > きた。
タックルはカウンターを受けやすい技。
カウンターはこちらの得意分野だが、それ以上に得意なものがある。

    ――――道連れである

「オルルァァァッ」

龍の頭部を支えにして足が浮くと、
脚を開いて胸、腰、股関節と、ひねることができる間接全てをひねり切って回転する。
人間の両足を振り回したときの慣性モーメントは、
支えている人間のバランスを崩すのに十分だろう。
この女、葵にとっての勝ち負けは普通の人間とは少し違う。
引き分ければそれでいいのだ。

「――二人一緒に落ちるるんだよッ!」

そう言って、胸倉を掴まれるどころか
こちらから彼女の腕やら服やらを乱暴につかんで離そうとしない>

>  
「…おぉ…!?」

思わず驚愕が顔と口に漏れた。
死にづらい、と本人の弁で聞いたことはあるが
成る程、そこまで"滅茶苦茶"だったとは。
畢竟、何方も負けず嫌いなのは間違いないと思っていた。
下手をすれば自分の関節を痛めるどころか、このまま叩きつけられても可笑しくはない。
人間一人の重さ、慣性の動きにバランスを崩し
しがみつかれたまま龍の体は投げ出されるようにリングへと倒れてしまった。

「わぁ……ちょっとそこまでやるのは予想外だったなー……」

あ、何か若干引いてる。自分の事を棚に上げてるぞ!

日下 葵 > ビタァンと叩きつけられる音が響くと、
2人そろって投げ出されてしまった。

自分が下敷きになるように倒れて数瞬。

「――――どの口が言いますか。また始末書ものかと思いましたよ、あの掌底」

下敷きのまま悪態をつくと、
なんでお前が引いてるんだといわんばかりに龍を見やる。

「どうにもお互い負けず嫌いなようですし?
 今回は運動ですから」>

>  
のそのそと横に転がって上から退いた。
よっこいしょ、と立ち上がり土ぼこりを払えば軽く伸びだ。

「うーん、良い運動にはなったかな」

体のコリがほぐれたような、そんな爽快感だ。
軽く腕を挟んでストレッチ。

「まぁまぁ、あれ位なら異能訓練の最中に出てくるでしょ?
 度合いにもよるけどさぁ、皆結構派手にやるものじゃないの?」

それこそ結構ド派手に、爆発する位に。
異能者同士の戦いなんて、そんなものだと思っている。

「呵々、そりゃぁねぇ?少しでもこういうのやるとさ。
 "意地"があるからさ。そう言うのがあるから、人は強くなれるんだよ?」

向上心と言い換えても良い。
負けず嫌いは人を成長させる重要なファクターだ。
にこやかな笑みを浮かべながら、葵を見やった。

「さぁて、とりあえず今回は引き分けでいいかな?
 この後どーする?渋谷か歓楽街でもいこっか?」

日下 葵 > 「まぁ、いますけど。
 さすがに私一人で相手にして勝てるかといわれると正直……」

のそのそと転がられるとわざとらしく”ぐぇ”なんて言ってみる。
めちゃくちゃ強い異能持ちに遭遇したとして、
死ぬことはないがその場を収めるのは正直難しい。
それこそ結構ド派手に”私が”爆発するしかない。

「意地が出て来ちゃうのはわかりますね。
 じゃあ私もまだまだ強くなれるわけだ」

彼女の言葉は逆に、”意地を失ったらもう終わり”とも聞こえた。
グローブを外して汗を拭くと、彼女の誘いに乗りそうになる。

「いいですねえ。お腹がすきましたし、どこかでご飯でも……って、
 私今謹慎中の身ですが……」

スポーツドリンク片手に絶望する。

「……遊びには行けないので、学食とかじゃだめですかね」>

>  
「でしょぉ?まぁでもさ、"それ位やっても大丈夫"な相手だと私思ってるから
 あ、でも、ちょっと血の気は引かせちゃった?だったら、次からもうちょっと加減しようかなぁ」

そう言う話ではないのは百も承知だが、これが手合わせにおける龍なりの信頼感だ。
ある程度の力加減をせずとも、相応の力をぶつけられる。
武芸者にとってはありがたい話だ。誤って殺す事もない。

「そう言う事。でも、意地の貼りすぎは注意ね?
 人間のらりくらり、案外適当にやるのが一番だよ?」

当然、"これは譲れない"ものは必要だ。
その為の"意地"だが、肩筋張った所で良い所が在るかと言われると微妙な所。
人間、案外適当に生きてた方が一番楽だ。
別に今は社会人でもなんでもない、"学生なんて"それ位で十分。
パチン、とそれっぽくウィンクしてみせれば、苦い笑みを浮かべる。

「え、そんなに厳しいの風紀の謹慎?わぉ……。
 いいよ、学食でも。今日は龍姐さんが付き合ってあげよう」

くすくすと笑いながら一足先に、と訓練施設から歩き出すだろう。

日下 葵 > 「次に手合わせするときは手加減要らないルールにしますか?」

手加減されたのでは面白みがないだろう。
そう思っての打診だが、手加減が必要な縛りのある今回のような手合わせも面白かった。

「意地は張りますけど、頑固にはならないようにきをつけないとですねえ」

考え方は柔らかく、である。
考え方の基準に軸があればいい。

「いや……監視役がいる訳でもないんで別にバレなきゃいいんですけど、
 また始末書を書くのはちょっと……」

何よりもこれでも真面目に風紀委員をやっているつもりなのだ。
あまり評価が下がることはしたくない。
そんなやり取りをして、龍のあとを追いかけるように学食へ向かうのであった>

ご案内:「演習施設」からさんが去りました。
ご案内:「演習施設」から日下 葵さんが去りました。