2020/08/24 のログ
ご案内:「二年前・学生街」に須野原 実乃里さんが現れました。
須野原 実乃里 >  
「まじ、あっつい」

棒アイスを咥えながら、ギラギラ照り付ける夏の日差しを恨めしそうに睨む。
大歓迎だった夏休みも残りわずか。
もうすぐ二学期が始まる。
宿題をギリギリ終わらせ、よーし、少ない休みを満喫しよう!
そう思ったんだけど、宿題が終わってない友達の方が多かった。
ちょっと頑張り過ぎた。大誤算。
 
「一人で遊んでもな~」

誰か暇してないかなぁと、スマートフォンをいじる。

須野原 実乃里 >  
額の汗を拭いながら、もう微かなソーダ味しかしないアイスの棒を齧る。
適当に連絡をとった友達三人は揃って全滅。
もうちょっと手を広げてみるも、収穫無し。
まだ宿題が残ってるか、そうでもなければ予定が入ってる。
彼氏と遊ぶとか、彼氏と遊ぶとか、彼氏と遊ぶとか。

「自慢か!!」

投げそうになったスマホをギリギリのところで握り締める。
ええ、彼氏なんていませんとも!
何が悪い!

ご案内:「二年前・学生街」に小南 美奈子さんが現れました。
小南 美奈子 > ――なんか、スマホを投げそうになっている人がいた。
この夏の暑さで頭がやられてしまったのかと思ったが、すんでのところで止まったところを見るに相手は正常な思考回路を持っていたらしい。
この夏に彼氏を作れなかった哀れな人か、それとも流行のガチャでレアが出なかったのか。

「……むぐ」

少女は赤々としたフライドチキンをもさもさと食べていた。チキンの入ったバレルパックを片手に、少女はふと、学生街の向こう側から怪訝な顔をして歩み寄った。

「……あの、だいじょうぶ?」

その奇行に掛けるべき声は、憐憫と『お前正気か』という眼差しだった。

須野原 実乃里 >  
「え? あ、うん! 大丈夫!!」

見られてたらしい。普通に恥ずかしい。
いや、街中なんだから見られるのも当然なんだけど!

「うわ、フライドチキン……この暑いのに凄いね。
 外で食べる元気はないや」

バレルでフライドチキンをもさもさと食べている美人さん。
あ、見た事ある。

「って、美奈子ちゃんじゃーん!
 今ひまー?」

確か、生活委員会の子だ。一年生だった気がする。
掃除とかやってたような、してなかったような。

小南 美奈子 > 「あぁ、須野原……先輩でしたか」

相手は……そう、2年の先輩だ。茶髪のポニーテールが目印で、笑顔が特徴的な人。
だいたいいつもドヤ顔かましていて底なしの笑顔を向けて来る気のいい先輩である。
一年の生活委員の中でも、ごみ清掃というカーストの低い自分にも笑顔を向けてくれる。
いつもの清掃活動を終えて、間食代わりのスパイシーなフライドチキンを食べ歩きしていた。

「美味しいのに。
 これを食べ終えたら暇になります」

骨身に残った肉をもごもごと食べ終えた。自前の袋に骨を突っ込み、手を拭う。

須野原 実乃里 >  
「じゃ、食べたら遊びいこ!」

ちゃんと骨をそのへんのゴミ箱に直接捨てず、自分で回収して偉いなぁ。
さすが生活委員。
生ごみの処理もしっかりしている!

「夏休みの宿題ヤバくってさー、急いで終わらせたんだ。
 だから残り超遊ぶぞ、遊ぶぜ! ってなってたんだけど……他のみんなは今修羅場ってるみたいでさー。
 暇だったんだよね、どこ行く?
 とりあえず大通りでもぶらつく?」

小南 美奈子 > 「お付き合いします」

――まあこの骨のゴミにおいては、リサイクル的な意味合いも強いのだけど。
とはいえ生ごみには変わらず。公共の場所で捨てたら臭いとか色々不味いことになるのは明白だから、自分で持ち帰って自分で処理をするのだ。

「そうですか。わたしも終わらせているから少し持て余していたところです。行きたいところは……特に思いつきませんから、ぶらつきましょう。
 わたしはまだここに来たばかりで、何があるとかよく分かりませんし」

須野原 実乃里 >  
「あ、そうなんだー、じゃあ案内ついでにタピオカミルクティーのも!
 最近流行ってるらしいよー!
 なんか、大粒の奴なんだって」

夏の大通りを二人で歩きながら、人並みを掻き分けてカフェに入る。
そこのカウンターで新発売のタピオカミルクティーを受け取る。
ミルクティーの中に大粒のタピオカを一杯沈めた代物らしい。

「うわー、ストロー太いね。
 吸えるのかなこれ……あ、案外吸えるし美味しい!
 美奈子ちゃんもどうぞ。後輩なので奢ります」

そういって、タピオカミルクティーを差し出す。

小南 美奈子 > 「タピオカってあのカエルの卵みたいなやつですよね」

身も蓋も無いし空気も読めない。島の外にいた頃、聞いたことはあるが飲んだことはなかった代物だ。
そんな事を言いながらも興味はあったのでカフェへと入り、タピオカミルクティーなるものを見つめる。
フラペチーノよりカロリーがヤバそう、というのが第一印象。

「あ、ありがとうございます。いただきます」

先輩からタピオカミルクティーを受け取りながら、やはりしげしげと見つめる。
けどそればっかりなのも失礼だろうと、一つ啜ってみることに。

「あま……でも美味しいですね。面白い感触です」

先のスパイシーチキンを食べた後というのもあって、冷たい飲み物が染み渡る。そこまで力を入れて飲む必要もないくらいするすると吸えるのは意外だった。

「これ、タピるとか、バエるとかで、SNSに上げるのが主流のようですね」

須野原 実乃里 >  
「か、カエルって……言葉選ぼうね美奈子ちゃん!?
 あー、でも、もうそんな通称も出来るくらいなんだ。
 まだお店少ないけど、もっと増えるかもねー。
 専門店とかできちゃうかも?」

ずこずことタピオカを啜りながら、また街を歩く。
日差しを避けるように軒先を日除けに使いながら、横断歩道の信号を待つ。

「そういえば、美奈子ちゃんはこの夏何かした?
 私は遊び倒してたけど」

遊び過ぎて若干の地獄を見たりもした。
でも、地獄からはもう抜け出したので大丈夫。

小南 美奈子 > 「失敬」

こほん、と咳払い。

「ミルクティー以外にも色々な派生が増えたりして。タピオカ紅茶ラテとか。
 専門店が出来たら一緒に行ってみたいですね」
 
 買い食いを重ね、歩みを進める。日陰に籠り、信号機を待つ。
 セミはまだまだ鳴いていて、暑さは変わらず怒髪の勢いで燦燦と輝いている。
 盆は開けたというのに、さも夏は続くという面構えで憎たらし太陽は大地を照らすのだ。

「私は……委員会の活動として芝刈りや川掃除、海掃除に農業活動のボランティアを」

真面目な学生の一幕を滔々と語りながら肩を竦める。

「農業は五月に植えた野菜を収穫して、スープを作りました。掃除は……本当に掃除だけで、浮ついたことは何も」

常世学園で貼り出されるボランティア活動の募集に、毎回必ず来る農業体験、清掃活動。学生として体験すべきだと思いそれらに応募してボランティア三昧の夏と相成ったのである。

須野原 実乃里 >  
「ひたすら掃除とボランティアはしんどそうだけど……スープは羨ましいなー!
 私も飲みたい! まぁ、クーラーの効いた部屋でがいいけど」

セミの鳴き声を背景に、夏の日差しの下でけらけらと笑う。
この調子だと、九月もきつい残暑になりそうだ。
今から憂鬱である。

「専門店とか出来たら友達もみんな誘っていこうよー
 これ絶対もっと流行るしね! おいしいし!
 紅茶ラテとか超よさそう!」

ようやく開いた横断歩道を渡りながら、色々な味のタピオカを想像する。

「こう暑いときはフルーツティーとかもあるとうれしいなー。
 来年が今から楽しみだね。
 私、来年は受験シーズンだからそんなに遊べないかもだけど」

小南 美奈子 > 「炎天下の木造の御屋敷でいただきました。クーラーどころか扇風機もありませんでしたよ。
 でも井戸水を浴びるのは心地よかったです。来年もまた参加したいなと」

この島は日差しから逃げる術は少ない。都会に比べればビルも少ないから然程熱はたまりにくいが、カンカン照りの暑さはどうにかならないものか。

「そうですね。友人みんな誘って、一緒に飲みましょう。いずれ更なる大ブームでタピオカ展みたいなものが作られるくらいには社会現象になると良いですね。
 それくらいは美味しいですから。プールに持ち込みながら波間に揺られつつタピオカを堪能する、とか」

 次第に信号機は青へと変わる。どこへ向かうでもなく、ゆっくりと歩きだす。

「来年になったら先輩も三年生ですからね。先輩は受験をされるんですか? 大学とか」

須野原 実乃里 >  
「今のところはそのつもりだけど……進学先はまだ決めてないんだ。
 なんとなくみんな大学とか専門いくみたいだから、私もそうするつもりってだけ」

タピオカを啜りながら、すこしバツが悪そうに頭を掻く。
腕を組んで歩くカップルや、忙しなく小走りで横断歩道を渡るスーツの男性などを避けながら、街を歩く。
街頭モニターでは、流行の映画のトレーラーが流れていた。
また大昔の何かのリメイクだか続編だかをやるらしい。

「まー、だから遊ぶ暇は多分あると思うんだよね来年も!
 適当に進学決めるつもりだからさ!
 だから、プールとかもきっといけるかも!
 美奈子ちゃんも来年はそういうところで一緒にあそぼうよー。
 ボランティアもいいけどさ!」

小南 美奈子 > 「――そう、ですね。
 大学は出た方が良いって親もよく言ってますけど、わたしも流されるままそんな感じになりそうで。
 
 だったらたぶん、遊ぶこともしてみた方が、良いのかもしれませんね」
 
 ちゅぞぞぞ。喉が渇いていたからすぐに空っぽになってしまった。
 街を蛇行するように人を掻い潜って歩み、モニターで宣伝される映画のトレーラーを流し見る。
 リメイク映画に続けて、昔流行っていたロックバンドの再現映画をやるという宣伝内容に切り替わるなどしていた。

「私、実は学校の授業以外で泳いだことがないから……水着とか選ばないといけないですけど。
 一緒に選んでくれますか? そういうの相談できる人もあまりいなくて」