2020/09/17 のログ
園刃 華霧 >  
「ソ。だカら、せメて……身近ナ、仲良くシておきタい連中トは。
 少しは話しテおかナいと、ダよ。アタシが例の騒ぎデよク理解シたこと。」

だから、最近はそれを大事にしているのだ。
だから、今此処にいる。

「だーかラさ。なラ、自分で調べてミなヨ。
 ンで。退院シたら行ってミたいトコ、とか決めテみな。
 そんデさ。サラと一緒に行ってミたりシたらドーよ?」

ほら、好きなものが二つ重なった。

「マ、正直ナとこ言えバ。サラの方は、それ用に行くトこ決めテみてほしーケどな。
 じっくリ、遊ぶ計画、シてみ……ァ」

そこまでいって思い出した。
そうだ。

「報告書、上げロって言ったケどまだダったナ。
 ……ま、冗談だケどサ。実際、ちゃンとやッタよナ?」

じっと静かにみた。
こんな押し方でもしないと実行しないのではないか、という危惧がある。
ほんと、変なトコで不器用なやつだし。


「ダっておまえ。『事件性があるとは判断しきれな』い、『ただ恩のあった相手』を
 『風紀のやることとはいえない』のに探す、ナんて……『鉄火の支配者』の仕事、じゃナいだロ?」

ちがう?と。こちらも首を傾げ

神代理央 >  
「…あの時は、色々と気を揉んだよ。
だがまあ、そうだな。お前がそう言うなら、きっとそうなのだろう。
説得力が段違いだからな」

最後の言葉は、少しだけ揶揄う様な声色で。
それでも、穏やかな笑みで"此処"にいる彼女を静かに見つめているのだろう。
――こういう所に、山本は惚れたのかなと。ちょっとだけ邪推してしまったのは…年頃の男子の思う事なので、許して欲しい。

「…沙羅と一緒に、か。そうだな。沙羅には、今回の件でも随分苦労をかけてしまった。
次、一緒に出掛ける予定も何だかんだ長引いてしまっているし…」

「………星を見に行こう、と誘われているんだ。
何処が一番、沙羅が喜ぶ程に、星が綺麗に見えるんだろう」

最後に投げかけた言葉は、まるで独り言の様な。
恋人の為に自分で探したい。けれど、そういう知識が全く無い。
ネットで調べるのも手ではあるが――と、悩んだ末に零れ落ちた様な、言葉。

「…あー…その、私から誘って、一緒に夏祭りに行った。
それでまあ、その…うん。楽しかった」

すっごい恥ずかしい。
『恋人と一緒にデートに行きました』という一言を告げる事が、これほど羞恥心を覚える事だったとは。
血色の悪い顔色が、その時だけは仄かに朱く染まるだろうか。


「……そう、言われればまあ、そう、なんだけど。
――………俺はちゃんと、『鉄火の支配者』としてではなく。
『神代理央』として、いられたのかな」

彼女から告げられた言葉に、小さく吐息を吐き出して天井を見上げる。
其の侭問い掛けられた言葉には、ちょっと自信無さげな。
普段の尊大さも傲慢さもない。年相応の少年の様な気弱さと共に、言葉が紡がれるのだろうか。

園刃 華霧 >  
「アー……デートいったノな。
 うン、それデいいンだヨ。」

満足げな笑い。
これで少しはサラも元気になってくれるかなあ。


「チェルもこの間ぶったおレてタじゃン。で、ちット仕事減らシてンの。
 りおちーもサ。仕事スんなとマで言わンけどサ。サラと遊ぶ時間もつくレよ?」

結局、そこに落ち着く。
お互いに大事なことだと思うし。

「なンか、どッカで聞いたケどさ。
 やッパ、仕事ってソればッカだと効率落ちルんだっテさ?
 だかラ、息抜き、してオけよ。困ったら、周りに聞いたり、頼めバいいシさ。」

甘えろ、というのはなかなか難しいだろうなあ、とは思うけれど。
ついでに、自分に甘えろ、はキャラではないかもしれないな、とか思ったり。


「アー……星かー……サラ、星好きだもンなァ……
 いいジャん。わカんないならいっそ、サラから色々聞いチャえよ。
 絶対、喜んデ色々教えテくれルぞ?」


自分も色々熱心に教えてもらった。
彼女の考えなんかも聞けた。それは大事なことだから、あえて教える気はないけれど。


「『鉄火の支配者』らしカらぬ行動ったラ、それはモウ『神代理央』の行動、ダろ?
 誇れヨ、自分のヤったことをサ。まァ、大怪我はちトいただケないケど。」

そこは、悩ましいところではある。
けれど、神代理央、として行動した結果なら同情の余地、というのか。
そういうのはある気もする。

「うン。そんナ『神代理央』になラ、こいつを見せる価値も、アルな。
 ま、報告トかで見てるカもダけどサ」

そういってデータ素子を渡す。
中には、最近正規学生になった人物のリスト。
かつて、彼自身が自分に頼んだ仕事の成果。

神代理央 >  
「…そうか。それで正解――いや、正解とか間違いとか、そういう事じゃ無いのかも知れないが。
お前に及第点を貰えたのなら、大いに満足すべき結果だったと思っておこうか」

女心は、未だ勉強中。
先ずは、教えを請う相手から『それでいい』と言われたのだから、それで良いのだろう。

「……むう。それを考えるとな。レイチェル先輩の負担も減らしたいし、新しく入った後輩たちも気になるし…。
そういう所が、悪い意味で公私の区別がついていないという事は分かってはいるんだが…」

むむむ、と悩まし気な表情。
恋人との逢瀬を楽しみにしている反面、仕事に打ち込んでしまうのもまた己の性。
だからこそ、その狭間で悩んでいるのではあるのだが。

「…沙羅に、か。そうだな…。今度、直接聞いてみるよ。
デートのお誘いも兼ねて、な」

成程な、と言わんばかりの表情で頷く。
わからない事は聞く。頼ってみる。
それは、己が学ばなければならない事でもあるのだし。


「――誇れ、か。鉄火の支配者ではなく、神代理央の行動を、誇れと言うのか。
――…そうか、誇って良いのか。与えられた仕事ではなく、己の意志で動いたことを、誇っても、良いのか。
………ありがとう、園刃。何だか少し、気が楽になった。
正直、色々悩んでたんだ。此れで良いのかって、考えてたんだ。ずっと。
まだその答えは見つからないけど…少しだけ、楽になれた。
ありがと、な」

『鉄火の支配者』としてシステムに忠実であるのではなく。
『神代理央』個人の感情で動いたことを、彼女は誇れと言った。
未だに悩みは尽きないが――彼女に向ける笑みは、良い意味で力の抜けたもの。ふんわりと、穏やかな笑みを彼女に向けるのだろうか。

そして、彼女から見せられたデータ。
彼女から託され、そして託した『生徒達』のデータ。

「――………今迄だったら、こんなリストなんて意味が無いって、笑っていたかもしれない。
でも今は――今は。このリストの数だけ、救われた者達がいるのだと思うと。
…何だか、ほっとする。それに、とっても、嬉しい。何でだか、分かんないけど、嬉しい」

園刃 華霧 >  
「まーナー……そノ真面目サ、みたいナのがナー。
 りおちーの『呪い』みタいなモんだナ……」

呪い
自分でいっておいて……誰かの顔がチラついて。
ずきり、と何処かが痛んだ。

「そこモ含めて、『人に頼る』だロ?
 チェルもナんかうまク仕事を他にフってるミたいだシな。
 そンな感じデうまクやれヨ。」

チェルもやったんだし、りおちーがやって悪い理由はない。
むしろ、アレだ。
持ちつ持たれつってやつで、うまいことやれよって感じ。

「ナ? だかラ、今は色々計画トかしてオけよ。
 息抜きついデに、恋人ト楽しむ準備できンだ。良いことづくめじゃン」

けらけらと笑う。


「正直、ナ……あの時の、この仕事を受けた時のこと、ナ。
 ちと後悔、シてたンだ。『鉄火の支配者』を選ぶしか無いって吐いてタりおちーに、サ。
 なンかもっと、上手いこと、言ってヤれなかッタのかナって。
 だから、『神代理央』がちゃンと居たノは……すごく嬉しいシ。
 アタシが働いタことにも、ちゃンと価値ができタ。ほんと、良かったヨ。」

この時ばかりは……声は消して。。
ただ満足げで子どものような笑みを浮かべた。

神代理央 >  
「……『呪い』などと大袈裟なものではないさ。
それしか知らない…ともまた違うが……そうあれかし、と私は望まれていた。それだけのことだ。
それに悩みこそすれ、苦しむ事は無い。本当の呪いというものは、もっとおっかないもの、だろう?」

己は、先日共に戦った山本の症状を知らない。
報告書には『心身共に重傷を負った』としか記載されていないのだから。
だから、彼女の痛みに気付かぬ儘。小さく笑みを浮かべてしまう。

「ふーむ……そう、だな。人に仕事を振るというのも、また仕事の内か。そうさな。個人で完遂出来る業務量等たかが知れている。
皆で支え合ってこそ、だろうしな」

持ちつ持たれつ。
己にとっては少々難しい事ではあるが――それでも昔よりは、色々と変われている、と思う。そうだと良いな、と思う。

「……あ、あまりそういう話題になるのは、少々気恥ずかしいのだが…。だけど、うん。がんばって、みる」

けらけらと笑う彼女に、ぐっと決意を固めた様な言葉と共に。
こくりと頷いてみせるのだろう。


「――…そんな事、別に気にしなくても良いのに。
あの時、お前が俺に告げた言葉は間違いなく正しい言葉だった。
胸倉を掴まれたのは、ちょっとびっくりしたけどな」

クスクス、と笑って。

「でもあの時。素の感情をぶつけてくれたことは今でも感謝してるんだ。
お前は何だかんだ、俺の話をきちんと聞いてくれただろう?
それだけでも十分――十分、救われていたよ」

「そんなお前に、そう言って貰えるなら…俺も嬉しい。
改めて、ありがとな。華霧」

『風紀委員の同僚』ではなく『友人』として。
普段見ない様な笑顔を見せる彼女を、少し驚いた様に見返した後。
同じ様に。満足した様に笑い返すのだろう。


「――……安心したら、ちょっと、ねむくなって、きた。
またこんど。退院したらいろいろ話をきかせて…ほしいな。
でーとすぽっととか、いろいろ、おしえてほしい――し――」

それは体力の消耗と、投与されている薬の副作用。
急激な睡魔に襲われた少年は、呂律の回らぬ口調の儘ベッドにぱたりと倒れ込み、ぼんやりとした視線の儘、彼女に言葉を紡いだ。

その言葉への返事が聞こえたかどうか。
彼女が気付いた時には、急速な睡魔に囚われた少年は、静かな寝息を立ててしまっているのだろうか――

ご案内:「常世学園付属常世総合病院 VIP個室」から神代理央さんが去りました。
園刃 華霧 >  
「……」

話をすべて聞いてから、色々話そうかと思ったけれど。
眠りに落ちてしまった。

それだけまだ、色々とまだ本調子ではないということだ。

「そんなんなってまで、仕事……なんてやるのは……
 やっぱ『呪い』なんだよ。
 見たくもない幻を見る、なんていうのと似たりよったりだ。」

寝顔を見下ろしてポツリと呟き……
土産に持ってきた「常世の月」を適当なところに置いて、部屋を後にした。

「おやすみ りお いいゆめを」

ご案内:「常世学園付属常世総合病院 VIP個室」から園刃 華霧さんが去りました。
ご案内:「常世学園付属常世総合病院 VIP個室」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 今日から委員会へ復帰する為の手続きと準備を開始する。
持ち込んだ端末で事務処理を再開しつつ、警邏へ復帰できる日程を調整していく。
警邏任務は基本的に警邏部の任務である為、実は委員会内部の下部組織に所属していない己には最低限の参加義務しかない。
そんな己が当たり前の様な顔をして、警邏シフトの作成会議等々に参加しているのは、もうさもありなんと言うべきだろうか。

「………違反部活の動きがやや活発に思えるな。
とはいえ、抑えきれぬ訳では無いので問題と捉えるに値せぬかもしれないが…」

端末をスクロールし、光学キーボードに指を滑らせる。
今のところ、問題となる様な事案は無い様子。
安心した様に、吐息を一つ吐き出すだろうか。