2021/02/15 のログ
ご案内:「エアースイム常世島大会会場」に杉本久遠さんが現れました。
杉本久遠 >  
 エアースイム常世島大会。
 この日も試合が行われ、多くの運営スタッフが駆け回っている。
 久遠もまた試合を終えて、堤防の上に腰掛けていた。

「ふぅ。
 なかなかうまく行かんな」

 今日も久遠は1000m、1kmエアースイムの試合に出ていた。
 結果は、無事に一位を取ったモノの、試合内容に満足がいっていなかった。
 

杉本久遠 >  
「最後のアタックは、もっとうまく避けられた。
 あれをよけられていれば、追いつかれる事もなかったんだが。
 もっと視野を広げていれば、仕掛けてくるタイミングは読めたはずだ」

 個人的に想う反省点は少なくない。
 とはいえ、結果は結果である、無事勝てた事に安堵はしていた。

「――今年は、強い選手も多いな」

 去年よりも強くなった選手もいれば、秋の大会に触発されて復帰したり、始めた選手もいる。
 この島での競技人口は間違いなく増えているらしいことは、とても喜ばしい。
 

杉本久遠 >  
 今も、まさに行われている試合をしっかりと記憶に留める。
 この大会に出場している選手は、全てが仲間であり、ライバルなのだ。
 いざ、試合となったときに何も知らないでは、対策のしようもない。

「ふう、しかし、やはり観客は少ないな。
 もう少し興味を持ってもらえていると思ったんだがなあ」

 堤防の上から見えるテントの下には、まばらにしか観客はいない。
 満員を望むつもりはないが、もう少し集まってもらえる事を期待していた。
 落胆する事こそないが、やはり寂しさを感じるのは仕方のない事だ。

 島の外、エアースイムの人気が高い国であれば、こうした堤防の上にも人が並び、人だかりが出来るという。
 しかし、この堤防には、久遠が一人。
 冷たい風が吹き抜けると、体が震えた。
 

ご案内:「エアースイム常世島大会会場」に砂金雲英さんが現れました。
砂金雲英 > 異能や魔術や特殊能力等を使わないで空を駆け巡るスポーツがあるらしい。
最初『何を言っているの?』と思った竜角が生えた女の子は募る好奇心を抱えつつ遂にイベント期間に赴いてみた。

(うん、遠くから見た時は空飛んでた。なんか包まさって足から羽が。)
竜眼で見えていたらしく事前に理解の度合いを超える限界まで資料をできる限り見ていた竜の子は、
理解はしているが実際どうなのそのスポーツはという事で今に至る。

「うーん、摩訶不思議な光景でした」

普段空を自由に飛び回る側からしたら違う意味で摩訶不思議な光景でしたという事で独り言を零す。

杉本久遠 >  
 一人でいた堤防に、誰かの気配がやってくる。
 やってきたのは角の生えた少女。
 海上で繰り広げられる試合を見て、感想を呟いた、ようだが。

「ほう、なにがそんなに不思議なんだ?」

 摩訶不思議と言った少女は、試合を見て何を想ったのだろうか。
 

砂金雲英 > 猫で過ごす事が多くて人になる事をうっかり忘れる所であったが、
イベントが行われているらしいという事で折を見てチャンスではと思い
海上で時折繰り広げられる熱い試合を目を細めず見ていたが、呟きは拾われた模様。

「絡繰り物を身に着けて、摩訶不思議な技術で空を駆け巡る兵(つわもの)たち。
 私らから見れば自身の翼なりがあって空を飛ぶものであるが、
 それで飛ぶものは違いはあるのでしょうか。」

脚なり腕なり背なり、と違いはあれど脚はつけていないと飛べないのではというのは理解が追いついたらしい。

杉本久遠 >  
 ふむ、と少女の様子を見ながら首を傾げる。
 少女の言葉遣いは、少しばかり個性的なようだ。

「さて、違いがあるかはわからないが。
 最初から飛べるものと、本来飛ぶことができないものだったら。
 当然、色々と違ってくるんじゃないか?
 まあ、オレに飛べるヒト達の気持ちはわからんから、何とも言えないけどなあ」

 持つ者と持たざる者とでは、見ている世界も、感じる物も違ってくる。
 そうしたら当然、こうして飛んだときに見える世界も、違ったものになるだろう。
 

砂金雲英 > 常世島でのエアースイム愛好者は多くはないらしい。
エアースイム資料というのがあったのでその辺は目を通して事前に知識として頭の隅に置いたのだった。

「空を飛ぶ側から思うのは、
 空間把握能力は必須では。三次元立体把握や航空力学とか
 空を飛ぶ上で恐らく浅くは持っておいた方が有利に働くと思います。
 最初から飛ぶ側も空から落ちぬように飛ぶのですが、
 うーん運動神経がよくないとキャットファイトは不利なのでしょうかね」

そもそも諸能力を封印して飛んだ場合 浮く事から戸惑うのではと思って今日は見学に留まったらしい。

「今日は大人しく見学に徹しますね。飛ぶのは次の機会に」

そもそも完全に見学者なので次は体験者に繰り上がるのかは謎だった。

杉本久遠 >  
「おお、目の付け所はさすがと言った所だな。
 確かにその手の理論は、知ってると知らないとで差が出るのは間違いない。
 落ちないように、という点ではそうだな、S-Wingには安全装置がある分、思い切ってやれるのはあるかもしれないな」

 なるほど、最初から飛べる者たちも、最初は相応に苦労するのかもしれない。
 むしろ安全装置なんてない分、危ない事もあるんじゃないだろうか。

「はは、キャットファイトは運動神経もそうだが、読み合いの世界だな。
 相手がこう動いたら、どうする、この時はどうする、それの連続だ。
 経験と勘の良さ、あとはそうだな、格闘技の経験があると随分と違うようだぞ」

 エアースイムは空中総合格闘技とも言える競技だ。
 過去に格闘技をやっていた選手が、強力なファイターとして活躍するのも珍しくない。

「ふむ、そうか。
 それなら折角だ、観客席に降りて見ると良いぞ。
 ここで見るよりも、良く見えるようになってるからな」

 そう言って、浜辺に設営されているテントを示す。
 堤防からは、見通しは良いが単純に距離が遠い。
 その点、観客席から見れば、フィールドもよく見える上に、撮影映像も投影される。
 じっくり見るには堤防の上よりはオススメだ。

「是非とも、その次の機会には楽しんでもらいたいな。
 きっと、普段飛んでいるのとは、違う世界が見えるんじゃないか?
 まだしばらく期間があるからな、いつでも来てくれ、歓迎するよ」

 興味を持ってくれる相手は、それが誰であっても嬉しいものだ。
 

砂金雲英 > 「あると便利と思われるのは他に航空ライセンス。
 実際に航空機を操作出来る免許の上に航空力学や空間把握力があればより一層空が近くなるかと。
 安全装置付き、過信は禁物かも知れませんがさてさて」

竜であるが身としてはよく墜落していた時もある。
安全装置はなくても頑丈すぎるので地面の方が大丈夫ではなかった。

「先読みも必須と来ましたか。ショーギ、チェスなどのイメージが朧げに。
 格闘技の経験はある様なない様な。スタイルが4つ…迷いますね。」

ぶつぶつと呟きながらもう少し見学を続行するようだ。
堤防からでも竜の目は視力が良くよく見えている方だった。
しかし観客席を勧められればこくりと頷きそちらへと歩き出す。

「暫く見学をしてから 今後の事は考えようと思う。
 今日の所はこれで。」

では、また、と観客席の方へと降りていった。

ご案内:「エアースイム常世島大会会場」から砂金雲英さんが去りました。
杉本久遠 >  
「航空ライセンスか、なるほどな。
 その観点はなかったなぁ」

 勉強は苦手なほうだが、確かに知識として理解して損はなさそうな分野だ。
 同じようなところ考えれば、物理学も重要だろう。
 解剖生理や、運動学は学んだが、そちらはからっきしだ。

「対人競技だからな、似通うところはあるさ。
 なに、スタイルは一度飛んでみなければわからん。
 そこはぜひ、体験してもらわないとな」

 そして、堤防を降りるように歩き出す少女に手を振って。

「ああ、ゆっくり見ていくといい。
 気が向いたら、また感想を聞かせてくれ」

 そうして、少女の背中を見送ると、久遠はまた一息ついた。
 

杉本久遠 >  
 横に置いておいたドリンクボトルに口をつけ、熱いほうじ茶で暖まる。
 久遠にとってこの場所は、試合がよく見えるいい場所なのだが。
 風よけも暖房もないのだけは、少々難点だ。

「はは、しかし、ああして興味を持ってもらえると嬉しいものだなぁ」

 先ほどの少女がこれからどうするかはわからないが、それでも嬉しいものは嬉しいのだ。
 先ほどよりは明るい表情で、まだしばらく。
 久遠は堤防の上で、試合を眺めているだろう。