2021/07/30 のログ
ご案内:「落第街:深雪の家」に東雲 七生さんが現れました。
ご案内:「落第街:深雪の家」に深雪さんが現れました。
深雪 > 夏。厳しい日差しが照り付ける屋外は焼けつくような暑さだ。
けれど、部屋に一歩足を踏み入れればそこは、冷房を効かせすぎているくらいに涼しい。それどころか、肌寒ささえ感じる空気が漂っているだろう。

「…………。」

その元凶は、ソファーで静かに寝息を立てている少女。常世学園の制服に身を包んでいるのに、学校にも行かず静かに寝息を立てている。その吐息はまるで氷のように冷たい。
そろそろ七生が学校を終えて帰ってくる時間だが、深雪が起きる気配は無い。
この様子なら、きっと七生が部屋に入って来ても気が付かないだろう。

東雲 七生 > 「ただいまー」

果たして夏の茹だる様な暑さから逃れる様に七生が帰ってきた。
ぱたぱたと足音を立てながら部屋に現れた姿は汗だくで息も絶え絶えである。

「いやー、あちーあちー……水水ー」

ぽい、と担いでいた鞄を床に放り、ソファで寝息を立てる深雪に気づかずその脇を抜けて冷蔵庫へと向かう。
しかしすぐにキンキンに冷えた炭酸飲料で喉を潤しながら戻って来れば、流石にソファで寝息を立てている姿に気が付いた。

「あれ、深雪お昼寝中?
 もー、学校に殆ど居ないのに制服着てるのは律儀というか何と言うか……」

深雪 > 七生の声に、深雪はぴくりと反応したが目を覚ますことは無かった。
実を言うと、他の服をあまり持っていない。という都合もある。
人並みなお洒落や服飾などに興味を示さない深雪にとって、一律で配布された制服は便利なアイテムなのだろう。

「ん……ぅ?」

声を掛けられて、眠たそうに目を擦る。
半ば眠ったまま、七生が座れるようにソファの隅に寄って場所をあけた。

東雲 七生 > ──可愛い
声を掛けてからの深雪の挙動の始終を見届けて思わず七生は口走りかけた言葉を飲み込んだ。
普段はどちらかと言えばキレイ系、美少女というよりは美人という方が適している深雪を見慣れているだけに、不意打ち気味な衝撃に見舞われる七生であった。

「んんっ……ありがとうっ。」

深雪が場所をあけてくれたソファに腰を下ろし、手の平で額の汗を拭ってから炭酸を口へ運ぶ。
少しばかり早まった鼓動を落ち着かせながら、横目で深雪の様子をうかがって。

「あんまり昼寝し過ぎると夜寝らんなくなるよ。」

静かに窘めてはみるものの、深雪は気にしないであろうことは容易に想像できた。
もうすっかり馴染み切った日常のやりとりである。

深雪 > 七生の声を聞いたことで徐々に意識がはっきりとしてくる。
まだぼんやりとした表情のまま周囲を見回して、それから隣に座った七生を見る。
七生が何を考えているのか読み取る力はないが、もし気付いていたら少しくらいは恥ずかしがったかもしれない。
もう一度目を擦ってから、ゆっくりと身体を起こした。

「おかえりなさい、早かったのね。」

深雪は七生にそう告げるが、実際には普段通りの時間だ。「早かった。」というのはぐっすりと眠っていた深雪の体感なのだろう。
一体どのくらい寝ていたのだろうか。

「そうかしら?私は別にそんなことないわよ?それに、一人でいると退屈なの。」

東雲 七生 > 「ん、ただいま。
 まー今日はバイトもないし、明日も休みだし……ちょっと早く帰って来たくて」

外暑いし、と汗でべたつくシャツをパタパタ揺らしながら深雪へと笑いかける。
言外に一緒に居たいから、と告げているのだが流石に口に出すのは気恥ずかしかったらしい。

「退屈かあ……
 正直な話、深雪が退屈そうにしてる姿を見たことないからなあ……」

本当だろうか、と首を傾げる。
引き切ってない汗が一筋、七生の頬を流れていった。

深雪 > 「ふふふ、早く帰ってきてくれるのは嬉しいわね。それに、七生が居ると退屈しないもの。」

さらりとそう言って、深雪はくすくすと楽しそうに笑う。
七生が暑そうにシャツを揺らせば、何か思いついたように微笑んで、ふー、と七生に息を吹きかけた。
凍てつくような冷たさではなく、ひんやりと心地良い温度の吐息。

「…そういえばそろそろ夏休み?」

東雲 七生 > 「ん、そりゃどーも。
 まあそれなら俺が深雪が退屈してる姿を見てないのも納得だなあ。」

七生が居ることで深雪が退屈しないのであれば、深雪が退屈している姿を見たことが無いのは道理である。
なるほどなー、と感心しながら炭酸飲料を飲み干し、吹きかけられた吐息に小さく身を竦めて。

「ふふ、何度かこそばゆいや。
 ああ、うん。そろそろ夏休み。特にバイト以外の予定はほとんど無いけどね。何する?」

今年も海行く?と笑いながら首を傾げる。

深雪 > 「あら…もう少し喜んでもいいんじゃない?」

くすくすと笑いながらそう告げる。
退屈しない。という表現をつかったが、実際には七生と過ごす時間が好きだった。
どこかへ遊びに行くのでも、こうして穏やかに会話をしているだけでも。

「…七生がどうしても行きたいっていうなら、いいわよ?
でもそれなら、新しい水着買ってもらおうかしら。」

海という七生の提案を聞けば、去年の出来事を思い出したのか、すこしだけ恥ずかしそうに視線を逸らして、答える。

東雲 七生 > 「喜ぶ……喜ぶほどの事かなあ……」

深雪の退屈しのぎに様々な目に遭っている七生としては手放しで喜べる事でもない。
決してそれが嫌だという事ではないが、喜べるかというとかなり怪しいラインだ。

「うーん、やっぱり夏だし海とかプールとか行きたいよなー……
 水着?別に良いけど……まあ、そうだね。新しいの、買おっか。サイズ、変わってないよね?」

同じく去年の事を思い出し、顔を赤らめながら頷く。
あれからもう一年経ったんだなあ、と感慨深く思うと同時にやっぱりかなり恥ずかしい。

深雪 > 「…あら、残念。」

少しだけ落ち込んだような声を出して見せるが、口元が笑っていた。
それなりにひどい目に遭わせているという自覚はあるのかもしれない。

「私は…そうね、きっと変わってないと思うわ。」

自分の身体を見て、そう答える。それから何か思いついたように視線を七生に向けた。

「…七生はどうかしら?すこしは大きくなった?」

少しだけ背筋を伸ばして、七生をじっと覗き込む。