2021/10/09 のログ
ご案内:「常世学園附属総合病院」に黛 薫さんが現れました。
■黛 薫 >
10月8日、学生街にて傷害事件が発生した。
翌日、犯人が電話口にて自首、及び自供。
犯人は顔を見られていたし、過去の事例から
数日以内に自首してくるのも予想されていた。
ただし今回は刃物を使って人を傷付けており、
寛大な処置で済ませるにはやや大きい案件。
長期の経過観察から自力での復学、社会復帰は
難しいと判断。今回の事件を理由に自由行動が
制限される予定だった。
……が、今回はまた厄介な事情を持ち込んで来た。
■黛 薫 >
本来取り調べが行われるはずだった風紀委員管轄の
建物ではなく、病院の一室にて。黛薫は借りてきた
猫の如く大人しく座っている。事情聴取には風紀と
公安だけでなく、医師及び限定的な異能封印措置を
行える人員が同席。
そして──黛薫本人の強い希望により、自傷防止の
口枷と手錠が付けられている。先端の尖っていない
マジックペンを用いての筆談で事情聴取が行われた。
当人曰く『異能がおかしくなった』とのこと。
黛薫は錯乱に近い動揺をしていたため、判断は
検査後に持ち込まれる予定だったが、その前に
騒動がひとつ。
事情聴取に立ち会う予定だった生活委員の1名が
心神喪失状態となり、黛薫を襲いかけた。
これによって、一介の障害事件としてはあまりに
大がかりな取り調べになってしまったという流れ。
渦中にいる黛薫はものすごく居心地が悪い。
■黛 薫 >
検査と事情聴取の結果、いくつかのことが判明。
まず、黛薫の異能は本人の申告通り変質していた。
他者の『視線』を触覚として受け取り、込められた
感情を断片的に感じ取る異能『視線過敏』。
その範囲が大きく拡大され、直接視線に触れずとも
視界範囲内にいれば同様の反応を示すと証明された。
更に視線が直接触れた場合の反応は更に過敏になり、
1人分の視線でも身悶えして行動に支障を来す、と
確認された。
以上の事柄から、非公式的に流布されている説、
『異能ステージ説』に於けるステージが1stから
2ndに進化していると認定された。
(公式の書面で非公式の学説の引用は推奨されない
ため、書類上では単なる異能の変質とされている)
よって黛薫の異能は『視界過敏』と改められた。
変質前ですら異能疾患と称されるほどデメリットの
強い異能であり、それが強化されれば日常生活すら
満足に送れない、と医師及び研究員の意見が一致。
違反学生であり、多くの権利を剥奪されている
立場としてはやや異例だが、定期的な通院による
限定的な異能封印、制限措置が承認された。
■黛 薫 >
次に、異能とは別の彼女の体質の変化について。
異世界出身、非人間種族の生活委員が心神喪失に
陥るレベルで強力な誘引力の発現が確認された。
元々彼女は霊的存在を惹き付ける体質だったらしい。
しかしその対象は大きく拡大され、魔力を糧とする
種族全般、人肉食に抵抗のない種族全般に抗い難い
捕食衝動、ないし性衝動を引き起こす体質となった。
此方もまた日常生活に大きな支障を来すレベルの
デメリットがあると認定されることに。
最終的に、異能及び特異体質の二重三重の封印措置、
風紀及び公安委員会による管理、監視の常態化など
どんどん話が大きくなってしまった。
不幸中の幸いだったのは『他者に見られる』ことが
苦痛となる異能故に厳しすぎる監視は耐えられない
という主張が通って電話やSNSなど一部のツールを
用いた連絡内容までは管理されずに済んだ点だろう。
同居人との共同研究が出来なくなるリスクは回避に
成功したといえる。
■黛 薫 >
そして体質の変質の影響か、何らかの霊的怪異の
襲撃を受け、魂のレベルで深い傷を負っていると
いうことも判明した。
……実際には霊的怪異に襲われる→別の怪異と遭遇、
救出される→その怪異との交渉により魂が傷付き、
異能及び体質が変化する、という順番だったので
微妙に間違っているのだが……訂正すると余計に
ややこしくなる上に同居人や助けてくれた怪異も
巻き込みかねないので下手なことは言えない。
障害事件も明らかな原因がある心神喪失による物と
判断され、情状酌量の余地有りと判断されることに。
結果として書類の上では黛薫に都合良く有利な形で
決着がついた……と、表現すべきなのだが。
「いっそあーしが悪ぃってコトにしてくれよぉ……」
他者を傷付けた負い目があり、かつその後の顛末も
概ね自業自得だと感じている黛薫は、余りに寛大な
処置が居た堪れず、完全に参ってしまっていた。
まあ、ある意味これが一番『効く』罰でもある。
そこまで織り込み済みで風紀が動いていたかは
……不明、ということにしておこう。
ご案内:「常世学園附属総合病院」から黛 薫さんが去りました。