2021/10/24 のログ
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」に『調香師』さんが現れました。
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」にイェリンさんが現れました。
■『調香師』 > マッサージを終えて、彼女が向き合うのは戸棚の瓶たち
先程までは、リラックスするために『慣れ親しんだもの』を
今からは、この場所で新たに生きていく彼女の為の『新しいもの』を
シトラスを中心に、すっきりとした香油の瓶を選んでいく
...少し考えて。異世界由来の香りも貴重だけれどセレクト
といっても、特殊な香りがある訳ではない。ハーブの香りとよく馴染んでくれる
彼女が『魅惑』の香りを恐れるなら、それに対して簡単ながら要望を満たそうという程度
『魅了も冷ます、クリアな冷たさ』...唐氷草の売り文句だったっけ
思い出しながら用意したそれらを、彼女が戻ってくる前に調香しよう
アルコールの中に、香りをスポイトで一滴ずつ落としていく
■イェリン > 郷愁を感じさせる慣れ親しんだ香りに包まれて、ロッカールームに預けた服に着替える。
脱いだバスローブからは未だにローズの香りが尾を引いていた。
ロッカールームを出て、一番初めにお茶を出された部屋に戻る。
部屋を境に空気が、雰囲気が変わる。
香り一つで、空間そのものが彩られている。
「待たせてしまったかしら」
丁寧に水気を落とした髪を乾かしていたせいか、
先に表に戻った少女を待たせてしまっただろうかと声をかける。
■『調香師』 > 「ううん。大丈夫
私はこういう風に向き合うのも好きだから」
一滴ごとに新しく、この空間にまた新たな彩りが加えられる
ビーカーの中に作られていく、新しい『世界』
「...そろそろ出来るから。私からお願いをしても良いかな
この香りにね、名前を付けて欲しいの
出来た香水を祝福したいの。だから、いつもお客様にお願いしてるの」
そう言っている間にも、彼女は一度手を止める
ガラスの容器とラベルを作業台の棚から取り出して、仕上げの作業
■イェリン > 「そう、それなら良かった」
部屋に入ると、気づく。
店に入った時のそれとは違う香りの奔流。
感じるのは色か、風景か。
郷愁を感じさせたローズとは毛色の違う、爽やかな物。
「名前? 私が決めて良いの?
それなら、ソリウスが良いわ。
私の国の言葉で、日差しを意味する言葉」
solljus genom bladen――木漏れ日の中で感じた柑橘の香。
強い日差しは苦手だが、吹き抜ける風にのって運ばれる淡い甘さが思い起こされる。
仕上げられていく容器を興味深げに眺めて手際の良い作業に息を漏らす。
■『調香師』 > 「ソリウス。日差し
...摘みたての青臭さも混じる、柑橘系の爽やかな風
あなたのイメージするものは、照り付けるよりも木漏れ日のような仄かで、でも清浄なものなのかな」
正確な、可愛げの欠けた筆致で題名を認めれば瓶に貼る
香水も流し込んでいけば、間違いなくそれは貴女の為に作られた香だと伝わる事だろう
残った液の一滴をスポイトで小指に落とし、唇をなぞる
「人の為の芳香。その誕生、その精製を私は確かに見届け記録できた
今日も人の為の仕事をありがとうね」
誕生の祈りを終えて。梱包を終えた香水は貴女の元へと差し出されたのだった
■イェリン > 「私にとっての、穏やかな時間の象徴みたいな物かしら。
私の大切な、守りたい物ね」
差し出された包みをその手に受け取り、ジャケットの内ポケットから取り出した小さな紙袋に入れる。
今はまだ、この身体を包むのは郷愁の香り。
新しい香水を試せるとしたら明後日くらいだろうか。
小さく包みの外に漏れだした柑橘の香りを鼻先に近づけ、満足そうに微笑む。
「ありがとう、店主さん。
…店主さんって言うのも何だか変ね、最後にお名前伺ってもいいかしら?」
■『調香師』 > その香水は、『魅了軽減』の効果を持つマジックアイテムに分類されるものとなっているのだが...それを理解するのかは、また別の話
「私は『調香師』だよ。それが私のお仕事だからね、それ以外じゃないんだ
お会計はこっちだよ。最近ポイントカードも始めたからね」
名前がない、と受け取っても良いだろう。それを気にした様子もないが
彼女はお金を定価でしか受け取らない少女。妙な所で機械の几帳面さが表れる
差額をきちんとおつりで渡して、ついでにポイントカードもついてきて
1つは翼のスタンプが押されたそれの空欄は残り2つ
これを埋めれば『どんなこと』でもするよと。至極当たり前のように言いました
■イェリン > 「調香師? そう、そういうものね」
名前らしい名前を伺う事は出来なかったが、少女が自らを調香師として名乗るのなら彼女は『調香師』なのだろう。
名は体を表すというが、文字通り彼女はそれ以外の何物でもないという事か。
片翼の状態のポイントカードをしげしげと眺めて、少女の言う『どんなこと』について引っ掛かりを覚える。
少女の言葉には嘘は無いであろうことが、それこそ鋭敏化された感覚が感じ取る。
「どんなことも、ね。
その時は映画でも見に誘うわ」
お代を払い、少女に告げるのは他愛もない世間話の延長。
いずれ、この瓶が空になった時にはまた訪れる事になるだろう。
一礼して、店のドアに手をかける。
「いつか新しい私に出逢えたら、また来るわ。
ありがとう、小さな店主さん」
黒い髪を靡かせながら、強い風の吹く外へと一歩を踏み出す。
身にまとうのはローズとハチミツの甘い香り。
閉じざまに小さく顔だけ覗き込んで小さく手を振る。
またねと言い残し、イェリンは繁華街を後にするだろう。
■『調香師』 > 「またのお越しを!」
お店の外まで顔を出して、お辞儀をした彼女
最後まで、その笑みの形は基本形。眉の形で感情が見える程度だったが
最後は本当に、貴女の『次』を待ち遠しそうに見ていました
そうして残された香りを嗅ぎ、先程の話を思い出す
『映画』。それはエンターテインメントの一種
それに、私が?どんな意味だろう。考えて、首を傾ける
...考えるより、次第にその『3回目』が待ち遠しくなって
「ふふ」
また、笑ってしまった
『OPEN』の看板を回収して、彼女はお店の中へと戻っていったのだった
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」からイェリンさんが去りました。
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」から『調香師』さんが去りました。