2021/11/03 のログ
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」に『調香師』さんが現れました。
『調香師』 > (最近は色んなオイルを使ったから...補充が必要な物は)

戸棚を前に、目視でリストアップ
最近の消耗を確認します

使うのは微量とはいえ、確実に減っていくもの
そして、いつでも確保できるとは限らないもの
香りという物は、案外希少な存在なのです

(このペースで消費した時、年内に不足が予測されそうなものは、これとこれ)

記録を続けます。大事な業務の一環として

ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」にさんが現れました。
> ネオンが煌めき、あらゆる欲望が犇めき合う歓楽街。
この寒い秋夜の中でも、その喧騒は衰えることはなく。
あちこちで風俗店の客引きや酩酊した学生の声が響き渡っている。

転移荒野で大狼を屠殺した後、自分の寝床に帰る途上でこの街に迷い込んだ男がいた。

「.....さて、ここは何処かな」
少々曇った表情を浮かべた彼は大通りを歩いていた。
同じ道を通る人々は、例え悪酔いした者でさえその男の纏う異様な雰囲気に慄き近寄ろうともしない。

「.......おっ」
路地裏の向こうから優しい光が漏れている。
夜蛾がその習性から光に群がるようにふらふらと光源の元に導かれる。

光の源はとある雑居ビル。
扉には看板が掛けてある。
看板に書かれた文字の意味は分からないが、彼は無意識に扉を開けた。
蝶が花の匂いに誘われるように。

『調香師』 > 手に持っていた瓶のかすれたラベルを読んでいると聞こえてきたベルの音
彼女は扉へ顔を向け...その目線を、貴方の顔へと合わせる様に上げる

今までの相手の中では、随分と背の高い分類

「いらっしゃい。今日お望みの香りと出会いに来たのかな?」

瓶は棚に、彼女はパタパタと靴を鳴らして駆け寄ってきました
首が痛くなりそうな角度、その臭いも知りながら

「お話だけでも、中に入って、座って
 そこから聞くよ。どうぞどうぞ」

促す。作業机に向かい合うように、と

> ベルの音を鳴らしながら扉を開けると、様々な香りが身を包む。

「お望みの香り?(なるほど...ここはそういう店なんだな)」
周りを見ると小瓶や蝋燭から芳しい匂いが漂っている。

男は店主?と思われる10代になったばかりにしか見えない少女に素直に従い、作業机に向かい合うように、乱暴にドカっと座る。

「(帰路の途上で偶然見つけた店だが....利用してみるのも一興か)
_____体に染み付いた臭いを誤魔化したいんだが、出来るか?」
あえてそれがどんな臭いなのかは伝えずに、少し微笑んで貴女に尋ねる。

『調香師』 > 「それは、中々難しい事を言うね?」

その笑みは造られたように安定したものでありながら、眉を傾けて苦笑の形に見せかける
少女はそう告げて、しかし恐れる様子もない。ただ、難しいと

一見して、その言葉の意図を取りかねた風にも見えるのかもしれない
どの程度の真意と測るかは、貴方次第

少なくとも彼女は、鼻を鳴らしてから口にしたのだ

「ただ洗い流してどうにかなる、とは思えないね
 そこに香りを足してみれば変わるかもだけど
 私がすればいいお手伝いは、そういう感じでいいのかな」

> 「やっぱ難しいか」
少しからかおうかと思ったら手痛いカウンターを喰らった形。
自分よりも随分と小さなガキにこんな表情をされるのも久しぶりだな、と思いつつ。

まあもとよりこの臭いは簡単にとれるとは思ってない。
数えきれないほどの命を弄んできたためか、その臭いはまるで呪いのように彼の身体ではなく、『存在そのもの』に染み付いているから。
.....と彼は推測している。

「あァ 、それで構わねェ。完全に消し去らなくとも誤魔化すだけでいいからな」
と貴女からの質問に答える。

『調香師』 > 「分かった。そういった形でのお手伝い
 今日は石鹸づくりだね」

首を傾けた後、立て直す
石鹸を作る工程はきちんと記録にある
しかしながら、それにプラスをするのが彼女の仕事

「それじゃあ、あなたの好きな香りはあるかな」

『どうしてその臭いが付いたのか』
尋ねたい気持ちも確かにあるが
それはお客様との関係ではない
漂わせているだけなら、今まで何人も相対した事がある
そして今までも強くは尋ねなかった。その延長

...言い訳。彼女はそちら側に『踏み込みたくない』と思っている
不穏に目を瞑り、平穏の側に沈み、『人の為』と働く事を望む彼女の心中

今日も、その心のままに好みの色添えを尋ねたのだった

> 「好きな香り...ねェ...」
今ではそんなものに微塵も興味を感じなくなったため、少々思案してしまう。
塵_____ゴミ屑や悪の源を意味する名を名乗り始める前、つまり自分がおかしくなってしまう前のことを思い出し、その頃に好んでいた香りは何だったか。
それを思い出そうとする。

「昔は花が好きだった....、特に梅がな」
今では特に気にも留めなくなってしまったが、昔は庭先に美しく咲く梅の花とその香りに魅了されていたものだ。
数人の学友と1人の先生。
皆と一緒に花弁の美しさを愛でることもあった。
今となっては遠い昔。
全て自分が打ち壊してしまったが。

久しぶりに自分の過去を懐古したためか、ほんの少しだけ柔らかな表情を浮かべ、答える。
心の中で、『こちら側』を拒絶する貴女を目の端で捉えながら。

『調香師』 > 「花の香り、梅の香り」

彼の口から零れ出たもの
まず思い浮かべた感想は、間違いなく『意外だ』という事だろう

それでも彼女は夢想する。この血塗られた臭いの中に、ほんの漂う梅の木を
すん、と。再び嗅ぎ取る格好。僅かに漂った色香を逃さないように

「思い出。あなたの顔は、それを想っても
 なんだか、遠い所を見るような言葉遣いだね

 最近も同じような人が居たから
 ...なんとなくだけど」

彼女は考える。それは『血の臭い』を覆い隠すに相応しい物なのだろうか、と
至れない場所を思い出させるのが香りという物。望まれればそういう使い方も出来ようが

「梅の香り、伝説は多いよね。香りの事だから、私も知ってるものがある
 遠くより匂いを届けて欲しいと詠う。罪の為に離れてしまった故郷を想う、導として

 流される潮風に微かな梅、あなたの思い出の中の樹までは飛ばせないけどね」