2021/11/11 のログ
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」に『調香師』さんが現れました。
『調香師』 > 昨日の注文、調整し終えた香りを前に一息をつく
小瓶を一旦横に。予約済みの付箋

ローズマリーの褐色瓶はまだ目の前に残されていた
他の香りは棚にしまって、それは思い出に引っかかる理由

『愛と思い出』、語った通り
丁度重なる影があった。瓶と向き合い、考える

ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」にメアさんが現れました。
メア > コンコン、とノック。
そして扉を開け、するりと身体を滑り込ませる。

「こんにちは」

上機嫌で、笑顔を向ける。
ふわりと、薔薇とはちみつ、そしてほんの少しのスパイシーな香りが舞う。

『調香師』 > 「えぇ、こんにちは」

鈴の音。空想から滑り出したような姿
思っていた時に現れる。記憶した香りを漂わせて

瓶から目線を上げ、彼女は普段通りの笑みで迎えよう

「約束のこと、考えていたのよ」

メア > 「ふむ、約束……調香のこと、だったかしら」
少し日を開けておぼろげになっている記憶を頼りに。
実を言えば調香師さんの名前を考えることで頭がいっぱいになっていて、約束のことをすっかり忘れていた。

「私は、お願いのこと。考えてきたよ」

『調香師』 > 「随分とお熱なのね
 私がいつも望んでいるのは香りの名前
 私は『調香師』で良いっていうのも聞かないで」

名前、自分で考えて馴染みがある訳でもない
ましてや、それが主以外となると

受け入れよう、ただそれがどの様なものを齎してくれるのか
見えない彼女は曖昧に笑う。感謝は、しているのだけれど

「でも、ありがとう
 それだけ私のことを気にしてくれる

 その気持ちはなんだか、こそばゆいな」

メア > 「前も言ったけど、『長く付き合っていきたい』からねー。それにもう、考えついてはいるんだ」

「香りに名前を付けるのだって、それに『意味』をもたせたいからだし。
私は、貴方に唯の『調香師』さんで居て欲しくないだけだよ」
そう、唯の有象無象としてではなく。
『個人』として、接したい。
だから、名前で呼んであげたい。

「名前、もう思いついてはいるけど…聞く?」

『調香師』 > 「私は拒まない。ただ受け入れるだけ」

回りくどい言葉遣い
彼女にとって、名前とは祝福
私秘的で密な愛着の証

それを『個』と表すならば、そうなのだろう
しかし彼女は『調香師』を望む。それが自分にとって、最大の個性だから

これから戴くその名は、『調香師』を彩る一側面
自覚するに、そこから動かす事は。現段階ではどの程度のできるものか
……自分でも、断言し難い話

「だから、聞かせて欲しいな
 私を飾り付けたいなら」

メア > 「…palm。パルム、っていう名前は、どうかな。」

この名前には、様々な意味を込めた。この世界での意味でも、自分の居た世界の意味でも。

「この世界でpalm、っていうと手のひらのことと、ヤシの木のこと。ヤシの木だとパーム、なんて言うよね。そのヤシの木の花言葉で…色々あるんだけど、『思いがけない贈り物』『贅沢』『成功』っていう意味があるの。
貴方の香水は幾つもの素材を凝縮した贅沢品で、その贅沢品は思いがけない贈り物を齎すかもしれない。そこから、成功を収められれば…その人は、きっと幸せになれる。貴方にはそれが出来る『手』がある。」

ここまでが、この世界での、Palmの意味。そして。

「…で、私の世界だと…Palm、っていうのは幸せを運ぶ妖精さんの意味なの。貴方の齎す香りが、幸せを運ぶという意味を込めて。」

「…どう、かな?」

『調香師』 > 「パルム」

瞬きにしては長く
目を閉ざした彼女は受け入れる

記憶に留める時、彼女は呼吸を深くする癖がある
周りの香りが、その瞬間を切り取ってくれるから

数多の意味が込められる。しかしそれはあなたの想い
彼女が自分に贈ったのなら、私は『それ』を確かめる必要がある

「あなたはそれを、『祝福』してくれる?」

身を乗り出して手を伸ばす。唇を前に、小指を差し出して
その仕草は、彼女が生み出した香りの前に祈る前触れ

今までに、数多の誕生に立ち会った指先だ

メア > 「勿論。貴方の齎す香りが幸せを贈り、それが、巡り巡って…貴方の幸せに繋がりますように」
片膝をついて、左手に拳を作る。
それを右手で覆って、自らの額の前に。

そして、そのまま祈りを捧げる。
この世界ではなく、自分の居た世界での、祈り方。

祝福を齎すのは、私ではない。神様が、それを齎すのだ。

だから、私は神様に祈る。願う。彼女と、彼女の周囲が、幸福に満ち溢れる事を。

『調香師』 > きょとん、と

そういう仕草もあるのだろう
私は祈られている。身を乗り出したまま、見下ろす貴女は偶像の形
ソレを通して、故郷の神と対話をする形

清らかである物であると察しながらも
彼女は、不機嫌そうに頬を膨らませていくのだ

「意思疎通って、難しいね」

気持ちは受け取り、多分受け取りきれないくらいの望みが含まれていようが
自身の唇に、伸ばしていた小指を当てる

触れて欲しかったなと、胸中にぽつり

メア > 「……えー、と」
祈りを終えて、彼女の言葉と、仕草を見て。

「……あっ」
そうして、漸く気付く。
祈りの形は、それこそ宗教によって違う。
この世界だと女神のキスによって祝福が齎される、なんていう話もある。
それが、欲しかったのだろうか。

メアはそれに気付けなかった。だって調香師さんだけじゃなく、それに接する皆に幸福があってほしかったから。

そして、自分は。『神』などから最も程遠い、『作り物』であったから。
「ご、ごめんなさい、ちょっと解らなくて」

『調香師』 > 「簡単には許さないからね」

不機嫌なのは既に『ふり』だ
それでも効果はある、と思う

自身も『作り物』であるとして、その在り方は思いの外、打算的
きっと、貴女よりも自由な生まれだったのだろう

祈りの形を勝手に生み出すまでに至る事を知っていれば、どのような顔を相手からされたものか

「あなたの名前。これにも意味があるのか
 教えてくれないと、許したくないな」

メア > 「私の名前、私の名前かぁ」
反復し、確認する。
「メア、っていうのは夢、夢魔のこと。ソレイシャス、っていうのは…淫らな、とか。好色な、っていう意味。

まぁ、つまり淫魔とか、淫夢とか。そういう感じ」
相手に送った名前と違って、メアの名前は、その在り方を固定するような名前であった。

目的を持って作られたモノ。目的に沿うために与えられた名前。

それが、メア・ソレイシャスであった。

『調香師』 > 「淫夢、淫魔。そういうもの……どだろね、なるほどね?」

それを相手に尋ね返す。首を傾げて

「それがあなたの受けた『祝福』なんだ
 だったら私も、届けようかな」

純なる瞳、偏見から問わず
思い出から知っている。貴女は『愛されて生まれた』
名が縛る、それだけの意味で設計者が名を贈る筈がなかろう

彼女は、そう軽率にも信じ小指を差し出した
自分が先程、口付けたそれを

「メア・ソレイシャス
 パルムからのお返し」

メア > 「……え、っと」
メアは調香師の行う祝福の動作を知らない。

彼女は、自らの小指に口付けをしていた。

同じように、口付けをすれば良いのだろうか。

迷うような素振りを見せ…恐る恐る、自らの髪が掛からないよう手で抑えつつ、小指に口付けようと、近付く。

『調香師』 > 「んひひ」

ほのかな温かみを含む感触に、声が漏れる
それは相手がその意図を今度は読んでくれたのだという高揚混じり

先程と同じように、それで自身の唇をなぞる

「あなたの息吹、あなたの香
 それを私が記録して、『祝福』の証とするね

 うん。私もさせてもらっちゃった」

今まで見せる事のなかった自然な笑み
名前を共有出来た事を素直に喜ぶ、そんな笑み

メア > 「…じゃあ、『パルム』さん。これからも、よろしくね?」
返すように、微笑んで。

「で、今日なんだけど…いつものマッサージと調香、お願いしていい?」
お願いは先の命名で終わり。次は、客としての、要望。

ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」に『調香師』さんが現れました。
『調香師』 > 「うん。ご注文とあればもちろん」

彼女は頷く
役目として仕方ない部分ではあるのだが、命名時よりも馴染んだ様子で

「先にマッサージでいいかな?」

そう告げて、手を差し伸べる
いつも通り手を取れば、話はあっという間に進んでいくのでしょう

メア > 「よろしく、パルムさん」
差し出された手を、取る。

そうして、彼女についていくだろう。

ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」から『調香師』さんが去りました。
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」からメアさんが去りました。