2022/01/15 のログ
ご案内:「完全個室制高級お寿司屋『寿司惨昧』」にシャンティさんが現れました。
ご案内:「完全個室制高級お寿司屋『寿司惨昧』」に杉本久遠さんが現れました。
シャンティ > 高級寿司屋『寿司惨昧』。
常世島という立地にあって、常に新鮮な魚を手に入れ寿司として提供する店だ。また、高級、という名に恥じぬ品揃えをしながらも、遊び心も忘れない。そんな柔軟さが様々な層に受けている。

さて

本日は少々趣を変える。それもそのはず。イレギュラーで手に入れた品を扱うのだから。

「ふふ……こん、なとこ、ろ……くる、の……はじ、めて、だ、わぁ……?」

面白そうに女は笑う。笑って、少し、立ち止まる。まるで辺りをうかがうように。

「さ、て……貴方、は……どう? ふふ。エスコート、して、くれ、た、り?」

ちらり、と傍らの男に声をかけた。

杉本久遠 >  
 高級寿司屋『寿司惨昧』。
 久遠にとっては馴染みのある、完全個室、完全防音の回らないタイプの寿司屋だ。
 なお、最近は寿司以外のメニューが充実していると話題だとか。

「はは、高級とは言うが、そんな改まる場所でもないぞ。
 エスコートは――まあ、がんばってみるが」

 受付に予約番号を伝えて、個室の鍵を受け取る。
 この鍵に付いている番号札の部屋に、客が自分で行く仕組みになっている。
 店員とすら顔を合わせなくていい上に、名前を伝える必要がないのも利点だそうだ。

「えーと、七番か。
 はは、なんだかいい番号だな!
 よし、行こうか」

 そう言いながら、当たり前のように彼女に左手を差し出す。
 そうしてゆっくりと手を引きながら、七番の個室に案内するだろう。
 

シャンティ > 「そう、ねぇ……とは、いって、もぉ……入り、なれ、ない……類、のお店、だ、もの」

答えを返しながら差し出された手を迷いなくとる。


「そう、いう……食、習慣……ない、し」

手を引かれるまま、誘われるまま。女は個室へと案内される。個室、といっても大きめの作りで閉塞感はない。嫌味にならない程度に花を備え付け、見るものの心を落ち着かせる。


「それ、に……して、も……回った、り……とか、は……ない、の、ねぇ……?」

個室にそんな物はあるわけもなく。少しだけ、残念そうにする。

杉本久遠 >  
「まあ、入り慣れないのはオレも同じだが――む、そうなのか?」

 食習慣が無いと聞けば、不思議そうに首を傾げる。
 和食になじみがないという事だろうか。

「――と、段差があるから気を付けてな」

 個室に入る時には何かあるたびに逐一声を掛ける。
 特に気を使っているというふうでもなく、ごく自然にそうしていた。

「ははは、回る方がよかったか?
 それなら、今度は回る店にも行ってみようか。
 回る店なら、うん、オレの財布でもなんとかなるからな」

 少し残念そうな様子に微笑ましくなりながら、そのまま敷いてある座布団に案内する。
 机の下は一段下がっており、掘りごたつ形式だ。
 熱すぎない暖房が、足元からじんわりと部屋を暖めている。

「席は――む、オレは向かいの方がいいか?
 それとも、隣にいた方がいいか?」

 何か不測の事態があったりすれば、隣の方がいいだろうかと思ったのだが。
 女性の隣に図々しく座るのもどうなのだろうと、馬鹿正直に当人へ聞いてみるのだ。
 

シャンティ > 「お寿司、って……確か。生、の、お魚……よ、ねぇ? 生まれ、て、このかた……食べた、こと、なん、て、ない、わぁ」

案内された座布団に座り込み、のんびりと口にする。

「文化、よ、ねぇ……本当、に……かわ、って、る、わぁ……? そう。だか、ら……回って、る、のも……面白、そう、なの、よ、ねぇ。」

ビュッフェのように置いてあるものを取りに行くでもなく、ただ座して回ってくるものを手に取る。想像するのは簡単に思えるが、意外とイメージが掴めない。

「あ、ら……案内、して、くれる、だけで、いい、の、よぉ……? 奢り、だ、なん、て、ふふ。あぁ――男の、甲斐性、とか、いう……や、つ?」

くすくすと笑い


「それ、で……ああ、席? そう、ねぇ……久遠、は……どっち、が、いい……? そこ? ……ここ?」

優美な手で、対面と……そして、隣の座布団を指し示す。

「あ、な、た、の……お好き、な、ほ、う」

杉本久遠 >  
「ああ、なるほどな。
 そうか文化圏が違うとなぁ。
 それならきっと、今日は驚くと思うぞー」

 ちゃんと彼女が座ったのを見届けながら、食べて見たらどんな反応をするんだろうかと、ちょっと楽しみに感じる。

「ああいや、誘うならそれくらいはと思ってな――むむ?」

 どっちがいい、と聞き返されてしまっては、腕を組んで悩んでしまう。
 対面の方が気を使わせないだろうか。
 隣の方がなにかとサポートできるだろうか。
 などなど、考えて結局――。

「むう――なら、隣に座ろうか。
 注文の仕方とかも教えられるしな」

 そう言って隣に腰を下ろす。
 近すぎないように少しだけ距離は取ったが。
 そして、注文用の端末を手に取って、画面に大きく表示されていた『食べ放題開始』の専用ボタンをタップする。
 これで、これから24時間は注文し放題だ。
 まあ、まさかほんとに一日中過ごすような事は無いと思うが。

「すぐにお通しとお茶が出てくるが、君は日本茶は飲めるか?」

 そう聞いている間にも、扉にある小窓から盆が差し込まれる。

「――お、今日のお通しはエビの酒蒸しか。
 随分とでかいな!」

 盆から湯飲みと皿を受け取って、机に並べる。
 皿に盛られたエビは、ぷりぷりとした身を晒しており、しかもお通しとは思えない大きさだった。
 

シャンティ > 「ふふ。期待――して、る、わぁ……?」

状況自体は自分で選んだわけではないが。別に楽しみがないわけでもない。本心からの言葉であった。

「あら、そっち――選ぶ、の、ね? ふふ。いい、わぁ……?」

しばし悩んでから、自分の隣に座る男にくすくすと笑いかける。

「そう、ねぇ……注文、とか…… 他、に、も……色々……?」

くすくす、と笑いながら気づくか気づかないかのわずか、間の距離を狭める

「お茶……ええ。日本茶。確か……甘く、ない、の、よ……ね? それ、くらい、は……平気、よ」

少し考えて、甘いほうが普通であるかのように応える。


「えび……シュリンプ……だった、かしら……へ、え?」

興味深そうに、ぷりぷりとした身をつつく

杉本久遠 >  
「ん、色々?」

 他に教えられる事があるだろうかと思いつつ、距離が狭まった事には気づけない。
 なんだか一人で、ああ、食べ方とかも色々あるもんな、と納得していた。

「甘くない――むしろ渋い、苦い、か?
 苦手に思ったら無理しなくていいからな」

 そう言いつつ、湯気の立つ湯飲みを彼女の前に差し出す。
 珍しく、茶柱が立っている。

「シュリンプ、そうだな、似たようなものだ、と思う。
 いやオレも詳しくはないが――ほら、こうして食べるんだ」

 しっかりと備えられたおしぼりで手を拭ってから。
 いただきます、と律義に言葉にしてから、殻の向かれたエビを手づかみで食べる。
 エビの身はしっかりとしており、かむとしみ込んだ出汁が弾けるようだ。
 酒蒸しなので風味に好みは出るだろうが、お通しで出るには勿体ないような逸品だ。
 

シャンティ > 「ん……」

渡された日本茶の入った湯呑を大事に包み込むように手にとって、口にする。

「ええ、これ、くらい、なら……全然? も、っと……とて、も……苦い、もの、か、と。グリーンティー、だった、か、しら……?」

おそらく、抹茶のことを指しているのだろうか。そんな感想を漏らす。

「あら、手づかみ……? ふふ。」

右手を伸ばし、エビを取る。

「こ、ぅ?」

口元に持っていき、小さくかぶりつく。

「ん……ずいぶん、しっかり、して……おいし、い、の、ねえ」

杉本久遠 >  
 お茶を飲み、エビを食べる。
 そんな所作になぜか目が惹かれてしまう。

「――あ、おう。
 そうか、もっと苦いのは抹茶ってやつだな。
 エビも美味しかったなら良かったよ」

 美味しそうに食べてくれる様子に微笑んで、端末を手に取る。
 画面を操作しながら、隣の美女に見せてみる。

「この画面を操作して、食べたい物をタップすれば届けてくれるんだ。
 なにか食べてみたい物とかあるか?
 寿司以外にも色々あるぞ」

 画面に表示されるのは寿司のメニューだったが、タブを変えれば他にも多種多様なメニューが揃えられている。
 ドリンクにスイーツも充実していれば、寿司以外の軽食や丼に加え、麺類やパン類もいくらでもあった。
 食べたいと思ったものは恐らく大抵が見つかる事だろう。
 

シャンティ > 「ふふ……ん」

ぺろり、と指についた汚れを小さく舐める。

「いい、わ、ね、ぇ……ん……?」

男が手にもっている端末を覗き込むようにする。そこに写っているのは無数の品。

「マグロ……きいた、こと、ある、わ。ん……グンカン? あら、ラーメン?寿司、に、のせる、の?」

本当に色々なメニューが取り揃えられていて、最早寿司屋ではないようなものまである。此処まで来て頼む意味はあるのだろうか。

「とこ、ろで……久遠、の……おすす、め、は?」

端末に寄せていた顔をあげ、男の方に視線を向ける。

「知って、いる……もの、は、ともか、く……しら、ない、ものが、多い、もの。先達、に、きき、たい、わ?」

杉本久遠 >  
「――ふっ」

 指に付いた出汁を舐めとる仕草に、艶っぽさよりも可愛らしさを感じてしまうのが久遠という男だった。
 大人っぽく見える彼女だったが、子供っぽい仕草もするんだなあと微笑ましくなってしまう。

「さすがにラーメンは乗らないさ。
 これは寿司以外のメニューだな。
 ――ん、ふむ、そうか?」

 おすすめはと聞かれると、さて、なにがいいだろうかと考える。
 好みが強く出そうなものは避けるべきだろうか。
 それとも、色々と試してもらうか――しばし悩み。

「――そうだな、それじゃあ折角だし、色々と頼んでみるか」

 まず普通の握りから、うなぎ、えんがわ、サーモン、タマゴ、はまち、アナゴ、ブリ。
 次は軍艦から、ネギトロ、いくら、ウニ。
 巻きずしに、カニ、納豆、昆布。

 目についたのをとりあえず頼んでみる。
 種類は多いが、全部一人前だ。

「よし、こんなところか。
 実物を見て気になるのから食べてみるといいさ。
 食べて見て、苦手だと思ったらオレが食べるからさ」

 なんて話しているうちにも、あっという間に握りが一通り届く。
 長方形の船のような大皿に乗ってやってきた。
 机の上に置くと、なかなか壮観だ。

「――と、醤油って使った事あるか?
 これをちょっとだけ着けて食べるといいぞ」

 小皿に醤油を少量だけ入れて、彼女の前に差し出す。
 言ってみればこれは異文化交流だろう。
 彼女はこの日本独特の食文化を気に入ってくれるだろうか。
 

シャンティ > 「そう……さすが、に……ない、かし、ら?」

確か、ラーメンライス、なるものがあると聞いたことが在るが。そういうのとは違うらしい。異文化、特に食文化はよくわからないことが多い。


「結構……頼ん、だ、わ、ねぇ……ふふ。やっぱ、り……オトコノコ、の、お腹、って、すごい、わ、ねぇ……」

ずらりと並んだ寿司の群れに、感心の声を上げる。

「そう、ねぇ……ショウユ……ソイ、ソース、だった、かし、らぁ……うん。多分、平気……か、しら。」


そして、改めてネタに目をやる


「……え、と……この、紅い、の……?」

そうして手を伸ばしたのは、いくらだった。

「しょうゆ……こう……?」

醤油皿にたらされた液体に浸し……


「あ。ほ、ら……久遠、も……たべ、ない、と? あ、む……ん」

そのまま、自分の口に運んだ