2022/01/30 のログ
ご案内:「常世総合病院 談話室」に追影切人さんが現れました。
■追影切人 > 斬奪怪盗ダスクスレイが死亡――その一報を聞いたのは、事が終わってから随分時間が経過しての事だ。
その報告書の纏めを、右手に持ちつつ、やや半目になった隻眼でジッと流し読みをする。
「――チッ、あの野郎…俺が斬る前にくたばりやがって。」
と、舌打ちを零して露骨に不機嫌そうになりつつも、大きく息を吐き出して。
死んだ奴にあれこれ文句を垂れてもしょうがない。死者は死者、どんな善人だろうが悪人だろうが死んだらそれまで。
(――んで、あの虚空ってやべー刀は…あー、やっぱ封鎖武器庫行きか。等級はS…妥当だわな。)
今はもうまた回収されてしまったが、己が使った『雷切』と同じ等級。
あの封鎖武器庫特有のランク付けではあるが、S級の武器は最高ランクと言っていい。
強力だが取り扱いに細心の注意が必要だったり、適合者が限定されたり、とまぁ色々あるが。
「――アレを使う奴はまぁ、少なくとも暫くは出てこねーだろ…。」
一息。仮にあの虚空に適合出来そうなヤツが他に居るとすれば――…
(『リスト』の二級監視対象に1人居たな…《化外殺し》だっけか。)
まぁ、名前も顔も性別すら知らんのだが。あまり興味は無いし関わる気も無い。
■追影切人 > 「そういやぁ、凛霞のやつからメール届いてたな…。」
ふと思い出したように。内容はまぁ、無茶をしないように的な軽いお説教メイン。
そうは言うが、無茶をしないと斬れないのだから無茶をするしかないだろう。
――極端な話。自分の生死如何は二の次だ。斬ると決めたモノを必ず斬るのが男の最優先。
それが男の『本質』だ。例えどんなに仲良くなろうが心を通わせようが…。
――斬ると一度決めたら誰であろうが必ず斬る。そこに迷いも情も何も無い。
…それを、他の誰でもない己が一番自覚している。
「――ま、改めるつもりなんざ欠片もねぇけど。」
それ以外の己らしい生き方は知らないし興味も無い。
やり直せる?無数の選択肢?知るかそんなモン。
俺はただ――斬ると決めたモノを斬るだけだ。自分がくたばろうがそこだけは変わらない。
■追影切人 > まぁ、それはそれとして。そういやぁ、他の一級の3人は個別の監視役とか居るんだろうか。
(…ラヴェータの奴は、まぁあの『鉄火の支配者』がそれっぽいけど…月夜見と廬山の奴は想像つかねーな…。)
まぁ、全員に個別の監視役が居るという訳でもないだろうし。
確か、二級の方は殆どそんな個別の監視役は居なかった…筈である。うろ覚えだ。
「特級の『目隠し女』は――…まぁ、そもそもアレは厳重に隔離されてっしな。」
監視役も何も無い。アレは監視どころか隔離・封印対象というのが正しいだろう。
と、いうか……。
「…あの女、人の異能を『半分』取りやがったしな…いい加減に返せよマジで。」
とはいえ、面会なんてそれこそ無謀に等しい。ちなみにもう『半分』は風紀/公安の手で封殺中だ。
つまり、現状はどう足掻いてもこの男に己の異能は使う事が出来ない。
(…ま、俺や廬山辺りは異能が一番危険視されてるだろうしな。)
とはいえ、二つに分かれてしまっている上にどっちも取り返す目処が立たないのだが。
■追影切人 > ちなみに、凛霞のやつが個別監視役だと知った二級監視対象の…確か《デッドライン》だったか。
何か軽い印象の男だったが、そいつから――
『ちょっと!何で凶刃さんだけあんなナイスバディの美人さんが個別の監視役!?不公平じゃないすか!?』
「うるせぇ、知るか馬鹿野郎。つーか、そもそも個別監視役は立候補制で俺の意思で指名した訳じゃねぇ!」
『それはそれ!これはこれ!どうせ隠れてあのおっぱいに埋もれて良い思いしてんじゃねぇの!?』
「ぶ っ た 斬 る ぞ こ の 野 郎 !」
と、いうやり取りがあったが、それはそれ、まぁ二級でそいつだけは唯一面識を持ったが。
ちなみに、その後に「ダチをそういう対象で見ねーわ!と、返したら「え?ホモ?」と返された。今度マジで斬り殺したい。
「…クソが、余計な事まで思い出しちまった…。」
と、イライラした様子で溜息を零し、報告書は無造作にポケットに折り畳んで仕舞い込みながら、代わりに缶コーヒーを一口。
■追影切人 > 取り敢えず、退院したら義眼と義手をどうにかしないとならない問題がある。
義眼は――正直別に必要は無い。隻眼なんて4年前からそうだから慣れている。
ただ、流石に義手の方は不便だから欲しいのが本音だ。欲を言えば生身の腕だが。
「…再生医療とか魔術はなぁ、一級監視対象相手だと色々厳しそうだし面倒だわな。
やっぱ義手が妥当…なんだが、そもそもどっから調達するかって話だ。」
わざわざ風紀の上層部が手配なんてしてくれる筈も無い。
強力な駒、飼い犬、そして――いざとなれば使い捨てる。
男の扱いは特にそんなもので、第一級ではある意味で一番酷い。
(…そういうコネとか全然ねぇしなぁ。高性能な義手とかとなりゃ金も要るだろうし)
缶コーヒーを飲みつつ、さてどうしたもんかと。怪我の方はまぁ、何時もの事だから気にしない。
■追影切人 > 「あと、警備部の仕事も――まぁ、そっちはあんま変わらねぇか。」
ちょっと片腕を自分からぶった切ったくらいだから、それ以外は何時も通りだ。
単に、斬ると決めた獲物が勝手に死んでたくらいでそう、何も――
「――チッ…。」
もう一度舌打ちを零して、乱暴にコーヒーの残りを一気に飲み干して。
どうやら、自分で思っていた以上にあの斬奪怪盗が手の届かない所で死んだ事に悔しさがあるらしい。
「――また――斬り甲斐があるヤツが俺の前に現れてくれりゃいいんだがな。」
ぽつり、と呟く声は願いにも似て。勿論祈りや願いとは無縁の男だけれど。
それでも、そんなヤツが現れたらなら――今度こそ、自分の手で”必ず斬る”。
静かにそう己に決断を下し、ゆっくりとソファーから立ち上がる。缶コーヒーは無造作にゴミ箱に放り込んで。
■追影切人 > 「悪ぃな凛霞。――無茶どころか自分の生き死にすら俺にゃどうでもいいんだよ。」
メールの返事は返していない。ただ、今こうして口に出すに留めて。
「――俺は何かを斬るだけのモンだ。誰かの命令でも衝動でもない。俺自身の意志だ。」
だから、あのダチには悪いが――自分は多分これからもそこは変わらないだろう。
それに、少しだけ申し訳なさを感じたのは…彼が表面上とはいえ得た人間性というものだったか。
そのまま、談話室を後にしてさっさと己に割り当てられた個室へと戻る男であった。
ご案内:「常世総合病院 談話室」から追影切人さんが去りました。