2022/03/25 のログ
ご案内:「Free5 落第街 爆心地」に神樹椎苗さんが現れました。
ご案内:「Free5 落第街 爆心地」から神樹椎苗さんが去りました。
ご案内:「Free5 落第街 爆心地」に紅龍さんが現れました。
紅龍 >  
 音も光も途絶えた中、最初に認識した刺激は、鼻腔を突く異臭だった。
 遠退いていた意識が戻って来はじめると、次に気づいたのは耳朶を打つ激しいアラートと、通信の呼び出し音だ。

『──紅特務准佐の覚醒を確認。
 周辺状況のリアルタイムモニター開始。
 録音された通信を再生します』

 装着されたヘッドギア。
 その内蔵AIが電子音声でナビゲートを始めた。

『こちらは【女王】を救出しました。
 繰り返します。
 【女王】を救出しました。
 すでに安全圏です。
 どうかご無事で』

 プツリと途切れる録音は、今回の取引先の物だった。
 どうやら作戦は──最低限の成功はしたらしい。

紅龍 >  
 次に何度も煩い呼び出しに答える。

『──っさん! 紅のおっさん、生きてるか!
 おいっ、おっさん!』

 若い男の声が頭に響く。
 別動隊を任せた、この島でオレと一番付き合いが長いやつだ。
 個人的に面倒を見てやっていたのが、いつの間にか作戦を任せられるようになっていた。

「あー、生きてるらしいな。
 周辺状況はどうだ、被害状況は」

 まだ体が動かない。
 さすがに爆心地での衝撃は、この防護スーツでも受け流しきれなかったらしい。
 そりゃあ大量の爆薬を抱えて自爆したわけだからな、無傷で済むはずもねえか
 まあ、死ぬ事は無いと計算しちゃいたんだが。

紅龍 >  
『おっさんが爆破して、その後はもう煙でなんも見えねえよ!
 ただ、外に逃げ出した奴らはいねえ。
 派手な爆発だから、入ってく奴らはいたけど、それくらいだ』

「――あいよ。
 そんじゃ、そのまま警戒を続けろ。
 『種』を持ち出すヤツだけは必ず潰せ。
 コレを外に出すわけにゃいかねえからな」

『了解!』

 いい返事だった。
 チンピラ共が、随分と心強くなったもんだ。
 

紅龍 >  
「こいつが終われば、お前らも晴れて正式な学生だ。
 かっこつけようとして、死ぬんじゃねえぞ」

『ソレはオレ達の台詞だろ!
 全員が正規の学籍を貰えるわけじゃねえ。
 こっちに残る奴らには、おっさんが居ねえと困るんだよ!』

 そんな声に、笑いそうになっちまう。
 なんだよ、なかなか嬉しい事言ってくれるじゃねえか。
 でもそうだよなぁ、オレの側に引っ張り込んだんだ、その責任くれえ、努めねえといけねえよなぁ。
 

紅龍 >  
「――そんじゃ、精々気張るとするか」

 通信を終えて、網膜に投影される周辺状況を確認した。
 人間と思われる生存反応は無し。
 『種』の反応はまだ多数――いや、無数。
 αとβがほとんどだが、こいつは――

「殺しきったつもりだったが――一匹漏らしたか」

 ⊿型の反応が一つ。
 それを守る様に、Λ型が複数と――

「冗談にしちゃ、洒落が効きすぎてんな。
 タイマンでもしんどいってのによ」

 身体の感覚が戻ってくる。
 目を開け、ゆっくり体を起こせば、情報通りそこら中が、火と黒煙に包まれてやがった。

紅龍 >  
 手元に愛用のライフルはない。
 爆発の衝撃で吹き飛んでいったんだろう。
 となれば、残るのは二丁のハンドキャノンに、『鎮静剤』か。

『駆除対象が接近してきます。
 ――Are you ready?」

「――出来てるよ」

 立ち上がり、片手に一つずつ、ハンドキャノンを握って引き抜いた。
 即座に、αの頭が二つ、はじけ飛ぶ。

『――了解(ヤー)
 オペレーションを開始します。
 交戦開始(オープンコンバット)』

 茶目っ気のある無機質な電子音声と共に。
 オレは生き残りをかけたデスマッチに身を躍らせた――
 

ご案内:「Free5 落第街 爆心地」から紅龍さんが去りました。