2022/03/25 のログ
ご案内:「Free5 落第街 爆心地」に神樹椎苗さんが現れました。
ご案内:「Free5 落第街 爆心地」から神樹椎苗さんが去りました。
ご案内:「Free5 落第街 爆心地」に紅龍さんが現れました。
■紅龍 >
音も光も途絶えた中、最初に認識した刺激は、鼻腔を突く異臭だった。
遠退いていた意識が戻って来はじめると、次に気づいたのは耳朶を打つ激しいアラートと、通信の呼び出し音だ。
『──紅特務准佐の覚醒を確認。
周辺状況のリアルタイムモニター開始。
録音された通信を再生します』
装着されたヘッドギア。
その内蔵AIが電子音声でナビゲートを始めた。
『こちらは【女王】を救出しました。
繰り返します。
【女王】を救出しました。
すでに安全圏です。
どうかご無事で』
プツリと途切れる録音は、今回の取引先の物だった。
どうやら作戦は──最低限の成功はしたらしい。
■紅龍 >
次に何度も煩い呼び出しに答える。
『──っさん! 紅のおっさん、生きてるか!
おいっ、おっさん!』
若い男の声が頭に響く。
別動隊を任せた、この島でオレと一番付き合いが長いやつだ。
個人的に面倒を見てやっていたのが、いつの間にか作戦を任せられるようになっていた。
「あー、生きてるらしいな。
周辺状況はどうだ、被害状況は」
まだ体が動かない。
さすがに爆心地での衝撃は、この防護スーツでも受け流しきれなかったらしい。
そりゃあ大量の爆薬を抱えて自爆したわけだからな、無傷で済むはずもねえか
まあ、死ぬ事は無いと計算しちゃいたんだが。
■紅龍 >
『おっさんが爆破して、その後はもう煙でなんも見えねえよ!
ただ、外に逃げ出した奴らはいねえ。
派手な爆発だから、入ってく奴らはいたけど、それくらいだ』
「――あいよ。
そんじゃ、そのまま警戒を続けろ。
『種』を持ち出すヤツだけは必ず潰せ。
コレを外に出すわけにゃいかねえからな」
『了解!』
いい返事だった。
チンピラ共が、随分と心強くなったもんだ。
■紅龍 >
「こいつが終われば、お前らも晴れて正式な学生だ。
かっこつけようとして、死ぬんじゃねえぞ」
『ソレはオレ達の台詞だろ!
全員が正規の学籍を貰えるわけじゃねえ。
こっちに残る奴らには、おっさんが居ねえと困るんだよ!』
そんな声に、笑いそうになっちまう。
なんだよ、なかなか嬉しい事言ってくれるじゃねえか。
でもそうだよなぁ、オレの側に引っ張り込んだんだ、その責任くれえ、努めねえといけねえよなぁ。
■紅龍 >
「――そんじゃ、精々気張るとするか」
通信を終えて、網膜に投影される周辺状況を確認した。
人間と思われる生存反応は無し。
『種』の反応はまだ多数――いや、無数。
αとβがほとんどだが、こいつは――
「殺しきったつもりだったが――一匹漏らしたか」
⊿型の反応が一つ。
それを守る様に、Λ型が複数と――
「冗談にしちゃ、洒落が効きすぎてんな。
タイマンでもしんどいってのによ」
身体の感覚が戻ってくる。
目を開け、ゆっくり体を起こせば、情報通りそこら中が、火と黒煙に包まれてやがった。
■紅龍 >
手元に愛用のライフルはない。
爆発の衝撃で吹き飛んでいったんだろう。
となれば、残るのは二丁のハンドキャノンに、『鎮静剤』か。
『駆除対象が接近してきます。
――Are you ready?」
「――出来てるよ」
立ち上がり、片手に一つずつ、ハンドキャノンを握って引き抜いた。
即座に、αの頭が二つ、はじけ飛ぶ。
『――了解(ヤー)
オペレーションを開始します。
交戦開始(オープンコンバット)』
茶目っ気のある無機質な電子音声と共に。
オレは生き残りをかけたデスマッチに身を躍らせた――
ご案内:「Free5 落第街 爆心地」から紅龍さんが去りました。