2020/12/25 のログ
ご案内:「常世寮/女子寮 XXX号室(御白)」に御白 夕花さんが現れました。
御白 夕花 >  
───12月25日。
何日か前から街はクリスマスムード一色で、テレビをつければクリスマス特集とか特番ばっかり。
別に嫌ってわけじゃないけど、世の中みたいに浮かれる気にはなれなかった。
私からしたら、なんでもない一日と変わりないから。

御白 夕花 >  
「……あれ? 何か入ってる」

いつも空っぽな寮のポストに中身があることに気付いたのは、その日の夜。
真っ赤なラッピングの小さな箱にメッセージカードが添えられている。
入れ間違いかと思って見てみたら、宛先には確かに私の名前が書いてあった。
これってひょっとして……クリスマスプレゼントってやつ?

「でも、誰が私なんかに……?」

クラスメイトがクリスマス会を開くみたいな話はしてた。
けど、なんとなく居心地が悪そうだったから適当な言い訳をして断っちゃって。
今頃みんなで楽しんでるだろうし、いくらなんでも準備が良すぎる。
とりあえず、こんなところで開けるのも何だし……いったん部屋に持って帰ろう。

御白 夕花 >  
重くはないけど軽すぎもしないその箱を、何が入ってるんだろう……と思いながら持って自分の部屋へ。
手洗いうがい、着替えまでしっかり済ませてから、まずはメッセージカードを開く。
そこには、メリークリスマスの挨拶から始まる私に宛てた文章が綴られていた。

送り主の名前は『黒のサンタクロース』。
意外と綺麗な字と、荒っぽいけど気遣いを感じる内容で……なんとなく誰が書いたか分かった。
というか、私の知り合いにこんな喋り方する人ひとりしかいないし。

箱の中身は手の中に収まるサイズの望遠鏡だった。
黒サンタさん曰くマジックアイテムで、小さくても星空はばっちり見えるらしい。

「……えっ、わざわざ手作りしてくれたんですか?」

市販品でも勿体無いくらいなのに、わざわざ私なんかのために作ってくれたと書いてあった。
しばらく放心したあと───目尻がじわ、と熱くなる。

御白 夕花 >  
「あ、あれ……? おかしいな……嬉しいはずなのに……っ」

拭っても拭っても、ぽろぽろと涙がこぼれてメッセージカードに染みていく。
私が"御白 夕花"になってから、こんな風に誰かから贈り物を貰ったのは初めてで。
クラスの皆みたいに家族から何かを貰う、なんて感覚も分からなかったけれど。
気持ちのこもった贈り物を貰うのって……こんなにあったかい気持ちになれるんだ。
小さな望遠鏡の入った箱を抱きしめるようにして、涙が止まるまでそうしていた。

御白 夕花 >  
───それから数分後。
ようやく落ち着いたから顔を洗ってきた。
このクリスマスプレゼントは一生の宝物にしよう。

「…………お礼って言った方がいいのかな」

それとも、サンタさんから貰ったことにしておくべき……?
うん、そうしよう。《裏切りの黒》も素性に関してはノータッチだし、それがいいはず。
この喜びは……ここにも書いてある通り、お友達と共有しよう。
望遠鏡をいったん置いて、連絡のためにスマホを取り出した。

ご案内:「常世寮/女子寮 XXX号室(御白)」から御白 夕花さんが去りました。