2020/08/12 のログ
ご案内:「とある夢の中で」に227番さんが現れました。
227番 > 白い大地。グレーの空。
遠くには、巨大な振り子時計。動く気配も、物音もしない。
しんとした世界に、他に目立つものは、特に無い。

ここはどこだ……立ち尽くしていても、仕方ない。
なにかわかるだろうか、と時計を目指して歩く。

227番 > 歩むにつれて、振り子時計に近づいていく。
思っていた以上に距離があり、思っていた以上に時計は大きい。

結構な距離を歩いた。
後ろを見ても白い世界で、何もない。

改めて前に進もうとした時。

『君はまだ、忘れていたほうが良い』

声がする。
もう一度振り返っても、何見えない。
大地が、空が、目の前が、陰に覆われて真っ暗になる。

227番 > 「嫌」

私はそれに反発する。
歩くと決めたから。
誰にも邪魔なんてさせない。

── 空が茜色に変わる。陰が払われる。

227番 > 『嫌、か』

声は、笑いを帯びた返事をする。
茜に照らされた薄暗い世界。払われた陰は、もう一度覆おうとはしない。

黒い影が、私の前に顕れ、人の形を象る。。

『君は強くなったね』

227番 > 「……あなたは、誰」

──黒い影。
いつかの私を睨んで落第街に止めようとして。
公園のビー玉ではうっかり目があってしまった。
あの黒い影だ。

この人は、ずっと、ここで私を見ていたのだろう。
なんでそんなコトをするのか。
前までは、分からなかった。

227番 > 『魔術的なプログラム。君を逃した者の残り滓さ』

影は嘲笑う。
少しずつ霧散しては集まるのを繰り返す影は、
とても不安定に見えた。

227番 > 「わたしを、逃した?」

──ああ。
あの、私に暗示をかけていた、魔術師か。

私が機械的に戦えるようにするために、暗示をかけていた魔術師。
その、3人目だ。前任2人のことは、よく覚えていない。

227番 > 『そう。今の君は僕のわがままで生まれている。
 でも、君の強い意思が、僕(プログラム)に影響を及ぼしてはじめている。
 だから、もう、君の邪魔はしないことにした』

そう。彼は私を守っていてくれた。
私は、忘れていた。というより、彼に忘れさせられていた。

コン、コン。時計の振り子が動き出す音がする。
茜色の空の向こうに、満天の星空が広がり始める。

227番 > 『この夢を最後に、君は思い出したことを、忘れない。
 もう会うこともないかも知れない。それでも、僕は見守っているから』

影が霧散して、光が広がり始める。

待って。貴方のことも忘れたくない。
しかし、声が出ない。抵抗できない。

227番 >  



世界が白い光に包まれていく。



 

227番 >  



『──どうか、元気でいて。"XXX"』




 

227番 > 「待って!」

がばっと飛び起きる。いつものベッドの上だ。

カーテンまで行って窓の外を見る。まだ暗い夜中のようだ。
切り取られた空には、星が輝いている。

自分は、何を待ってほしかったのだろう。
思い出せないけど、大切なことのような気がする。
いつか思い出してみせると、ぎゅっと手を握り。

今日は寝直すことにした。

ご案内:「とある夢の中で」から227番さんが去りました。