2021/01/05 のログ
ご案内:「ある研究施設」にアストロさんが現れました。
アストロ > 研究区にある、廃研究所に偽装された施設。
その地下深くにとらわれている少女がいる──。

アストロ >  
あれから何日経っただろうか。
魔術の行使を絶たれ、何も出来ないただの子供に成り下がっていた。
研究の一環か体を調べられたが、あまり興味なさそうだった。

それもそのはず。私の異能は"消滅"している。
厳密には、無いに等しいという状態ではあるのだが……
とにかく、検査の類は何も反応しないのだ。

そんなわけで、とりあえず研究材料として"飼われている"状態であったが……
何も、ただ無気力に囚われていた訳ではない。

アストロ >  
「……来た」

"給餌"の時間だ。ドアに隙間が出来る。

《スペル:マーキング》

首輪に触れる。この魔術抑制の首輪には穴があるようだった。
代償魔術といわれるカテゴリが、素通りするのだ。
"魔力"によらない魔術。魂を代償として事象を起こす特殊なもの。
使えるこものを調べるのに何十日もかかってしまった。

集中して、複数のスペルを重ねていく。

《スペル:リリース》

筋力を制限している枷を外す。
人間は無意識で体を壊さないようにリミッターを掛けているとされる。
この魔術で自分の体を壊すレベルの出力は可能だ。

《トランスファ》

そして、その"破損"を首輪に"押し付ける"。

アストロ >  
腕を潰すつもりで、力の限り、力の限り床を殴った。
四肢がちぎれた経験はある。何も恐れることはない。

そうして、腕の代わりに首輪が破損する。
まだ終わりではない。ここからだ。
刹那、魔術の感覚が戻ってくる。
ちゃんと行使できるかは、賭けだが…やるしかない。

体を水化させる。感覚は失っていない。いける。
ドアの隙間から体を滑らせ、部屋から脱出する。
給餌の機械は異常を検知することもなく次の部屋に向かっていった。

だが……きっと此処にも監視カメラがある。
ゆっくりしている暇はない。
白い部屋から出られれば、他の魔術も使えるはずだ。
例えば……水の生成。水溜まりを作る。

それをなしてしまえば、あとは簡単だ。

アストロ >  

──ぽちゃん。水の音と共に少女の姿は消えた。

 

ご案内:「ある研究施設」からアストロさんが去りました。