2020/06/17 のログ
ご案内:「ホテル『ブルームーン』」に月神 小夜さんが現れました。
ご案内:「ホテル『ブルームーン』」に咲坂くるみさんが現れました。
月神 小夜 > 学生通りでのデートの後、ブティックで購入した下着姿を披露するという名目で、いつものホテルを訪れた。
途中まではデートの感想を言い合ったりしながら歩いていたが、到着して部屋に移動するまでの間はこれからの事を想像して自然と口数も少なくなる。

「さて、と……どーする? 先にシャワー浴びとく?」

日中から歩き回ったので、けっこう汗をかいてしまった。
買ったばかりの、くるみに選んでもらった服がにおわないか気にしているようだ。

咲坂くるみ > やたら軽い話をしてしまう。
意識したくないから。

そんな会話をしつつ、例のホテルに入った。

「そうね……前はあんなだったし、今日はそのほうが」
なんだか気分的にも真面目になってしまうのもある。

なし崩しに、というより……ちゃんとしたい、のだ。
促されるままにシャワーを浴びるだろう。

月神 小夜 > シャワーは別々に利用して、こちらが先に使わせてもらった。
流石に下着までは着替えられなかったので着替える時間が欲しかったし、一緒に入ると抑えが利かなくなるかもしれないからだ。
あなたがシャワーを浴びている間、バスローブ姿で紙袋の中身を取り出す。
白いレースのショーツとベビードール……すけすけだ。

「うっわぁ……こんなん着ても見え見えじゃん……」

言葉とは裏腹に、期待で下腹部が熱くなるのを感じた。
これを選んだということは、くるみはアタシのそういう姿が見たいんだ。
だったら期待には応えなくちゃいけない。バスローブを脱いでショーツに足をかける。

───数分後、シャワールームを出たあなたをベッドの上で出迎えた。

咲坂くるみ > 「おまたせ、シャワーあがった…………、あ」
可愛い。
思わず足が止まる。

見た瞬間にきゅんとしそうなほど可愛い。
しかも、恥ずかしさと好意と期待が入り混じった様子で。

そんなの、おかしくなるに決まってる。

「あぁ可愛い、すごく…………最高」
ずっと眺めていたい気もするくらい。
うずいてひどいことになりそうだが。

月神 小夜 > 「ご、語彙力なくすほど!? まぁ、その……あんがと」

普段ならノリノリで決めポーズでも取るところだが、格好が格好なので変に照れてしまう。
そんなしおらしさもギャップとして映るだろうか。

「そんなトコでじっと見てないでさ……ほら、こっち来なよ」

ずっと見つめられていたら、こっちまでおかしくなってしまいそうだ。
仰向けに寝転んだ体勢で両手を広げ、あなたを誘う。

咲坂くるみ > 「ああ、シャワー上がったばかりなのにもうおかしくなりそう……」

せれなが可愛すぎて、さっきから変に熱い。

昼間のあれもあるかもしれない。
おかげで感情が妙に高ぶって反応しやすくなってる。

「そんな顔で誘われたら、どんな顔していいかわからないよ……ぉ」

そもそも、今までこんな態度で誰かに接したことなんかない。
誰かにすがりついて助けを求めたなんて、せれなと父様だけ。

しかもせれなに関して言えば、まったくの部外者。
そもそもこんなにしてもらえること自体がおかしい……のに。

おずおずと、どうしていいかわからない顔のまま、そっと抱きついて、唇を重ねた

月神 小夜 > 「んッ……ちゅ……ぁふ、んん……」

キスをしながら、両手をくるみの背中に回して抱き寄せる。
息苦しくなったら少し離れて、また唇を重ねて……の繰り返し。
熱を帯びて赤く染まった肌が下着に透けて、白をより映えさせる。

「ぷぁっ……余計なコトは考えなくていーの。
 これもデートの続きなんだからさ、楽しいコトだけ考えよ?」

アタシは全部受け止めるからさ───
そう耳元で囁いて、ふっと体の力を抜き、その身を委ねた。

咲坂くるみ > 「ん……ありがと、ぁふ……んん」

キスを繰り返し、舌を絡めて唾液を交換するのに夢中になる。
それだけで濡れるほど熱くなる。絶対どうかしてると思いながらも、とめられない。

「ああ……せれな、好き、大好きぃ……せれなぁ…………」

甘えるように何度もせがんで、寂しさと不安を埋めるための行為に没頭する。
素のまま、なにか、タガが外れたようになってる。

月神 小夜 > くるみの舌も、唾液も、体温も。
全部が生々しくて、意識していないと機械の身体ということを忘れそうになる。

「んちゅ、ぇる……くるみぃ……」

あなたが名前を呼ぶのに合わせて、こちらも名前を呼ぶ。
"好き"とは言わない。言えない。アタシの言葉じゃ、どうにも軽すぎる気がして。
代わりに行動で示すように、よりいっそう激しく舌を絡ませた。

咲坂くるみ > 「ああ、せれな、止まらない……よぉ」
先日のただ快楽にふけるそれと違って、より一層いとおしい。

ただひたすら唇を重ね、勝手な愛しさを押し付けているだけなのに

そんな、甘えているということすら知らないAIにとって、この行為は貴すぎて。
あまりの感触に、我慢できないと言ったように、ゆっくりと胸の愛撫を始める。

だって……どうせ、抱き合って返すぐらいしかできないんだから。

月神 小夜 > 「ひぁっ……ん、いいよ……好きにしちゃって……」

優しく愛撫されて上ずった声をあげながら、その快楽に身をよじる。
無我夢中といった感じなのに激しくはなくて、逆にじれったいくらいだ。

「もっと強くしても……んぁ、いいから……くるみのしたいように……して」

熱を帯びた黄金色の瞳であなたを見つめる。

咲坂くるみ > 壊したくないし、身勝手を押し付けたくないし。
それでいて、助けてほしいし,愛おしいし、貪りたい。

でも、心底したいようにしてしまったら……それは、一線を越えるというか。
完全に作りかえてしまうそれで。

なのにそれを望んでしまう。

そんな浅ましい自分を塗りつぶすよう、胸を押し付け、首筋をはむ。
そんなコト言われたら、吐息が熱くなって、とまらなくなる

「……好き、好きだから壊したくないのに。せれなにこれ以上こっちに来てほしくないのに。
 でも、ほしい、全部欲しい、めちゃくちゃにしたい、もっとおかしくなりたい。
 どうしたらいいの、せれなぁ……」

実際、今日のアレだって。
セレナがこっち側に来てしまったらなにも問題ないのだ。

……それがこわくて。
なのにそれを欲しがる自分がすごく嫌だった。

月神 小夜 > くるみは今、自分の欲求と不安との狭間で揺れている。
それは彼女の様子を見ていれば明白だ。嬉しい反面、どこまで行ってもアタシは弱者だと思い知らされる。
ああ、ダメだな……難しいコトは考えるなって言ったのはアタシの方なのに。

「大丈夫、んぅっ……だよ。はぁ……アタシ、失うものとか無いからさ……」

いつだって適当に、楽な方へ楽しい方へ流れて生きてきた。
外れるような道なんてない。そんなの、とっくに外れた後だから。

「くるみがアタシを、くるみのモノにしたいなら……そうしちゃえば、いいんだよ。
 アタシも、それを望んでる」

だから、そっと背中を押すように───微笑んでみせた。

咲坂くるみ > 「でも、だって、せれなはこっちきちゃだめだよぉ……」

言葉とは裏腹に、胸に手を入れ、頂きをこねる。
耳たぶをはみつつ……催淫効果を含んだ音声を混ぜる。

「だめ、なのにぃ……」

言いつつ止まらない。
もしかしたら最初からそういう風に作られたんじゃないかって思うくらいには。

でも、だめ。
もしそうだったとして、腕の中のせれなを突っぱねられるようなら私は困ってない。
そんな顔で微笑まれたら……堕ちちゃう。

自分にウソを付くように、唾液に媚薬を混ぜた。

月神 小夜 > 「耳ぃ……んぁっ、あぁ……♡」

耳から、胸から、身体の奥から甘い痺れが駆け巡った。
次第にまとまらなくなる思考の中で、脳が蕩けていくのがなんとなく分かる。
それでいいんだよ、くるみ。後は行くところまで行っちゃおう?

「からだ、熱いよぉっ……もっとシてぇ……!」

灼けるような疼きを外へ逃がそうとするように、躰をくねらせて胸や秘部を押し付ける。

咲坂くるみ > せれなが快楽に抗えないようになってしまえば、もうその先は関係ない。
悪かろうがなんだろうが、快楽に溺れさせるだけで。

腿を股間に押し付けながら、自分のそこもやっぱり腿に押し付けつつ。
両手で胸を激しくいじりながら、耳に舌を這わせる。

そんなところにしてほしいとせがまれたら。
私は抗えるようなAIじゃ、ない。

「せれなが……こんなに好きにさせたのがわるいんだからね……?」

月神 小夜 > 「やっぁっ、激しっひィ♡ そんな、いっぺんにされたらぁ……!」

先ほどまで優しかった愛撫が急に激しさを増したことで、蓄積した熱が爆発した。
頭の中が真っ白になって、気持ちいいことしか考えられなくなる。

「こんな、こんなのぉっ♡ すぐイっちゃ……ひぁあああッ♡」

甲高い声と共に全身がびくびくと震え、秘部から大量の愛液が溢れ出した。
媚薬と催淫音声のせいか、いつもより体は敏感になっている。
まだ一回目。これは開幕を告げる合図にしか過ぎない。

咲坂くるみ > 「あ……は。せれなぁ……もうイッちゃったの?
 まだ始まったばかりなのに」
罪悪感を塗りつぶすように手をショーツに入れ、あぶれる蜜壺に、くちゅりと指を擦り上げていく。

「ん、ほらぁ……こんなにして、どうしたの?
 ふふ……せれなは悪い子だなあ? お仕置きしないと」

そしてセレナに自分の蜜を見せつけてやって。
その指を舐めとりながら、媚薬のつばをまとわせ、そのままくちゅくちゅと内壁に染み込ませていく。

ああ、最低だ。
友達をこんなにしてるのに。
私、すごく悦んでる。それどころか……堕とすことがこんなに嬉しいなんて。

月神 小夜 > 一度や二度の絶頂では体の熱が収まらない。
むしろ増していく一方で、とろんとした瞳で見せつけられた己の秘涎を見つめる。

「はぁンっ……おしおき、してぇ……
 くるみので、アタシの悪い子おまんこ、めちゃくちゃにしてぇっ♡」

浮かせた腰を左右に振って媚びを売り、卑猥な言葉で更なる快楽責めをせがむ。
あなたの中に僅かに残った罪悪感を拭うように、もっと欲望に忠実になれるように。
もっとも、小夜自身は快楽のことしか考えていないのだが───

咲坂くるみ > 「くすくす……じゃあ、ほら……すきなんでしょ、これ」
堕ちる姿がどうしようもなく愛おしい。

おまんこに、望み通りEMSで刺激してやりながら、胸を押し付けて、そっちからも電気パルスを送ってやる。
仕上げに……耳も同時にEMSで嬲ってやれば、行くところまで堕ちるだろう、この間以上に。

月神 小夜 > 「ん゛ひぃぃィィッ♡ これぇ、こぇがほしかったのぉッ♡」

文字通り電流が走ったような快感の濁流に理性が押し流され、獣のような嬌声を上げてベッドの上でのたうち回る。
しかし上から押さえつけられ、絶頂し秘裂から潮を吹き出しても止まらない。
せっかく買った下着はべちょべちょに汚れ、肌に張り付いてより淫猥さを演出していた。

「おまんこも、おっぱいも、みみもキモチよくされてぇっ♡ おかしくなるッ♡ ばかになっちゃうぅぅッ♡」

咲坂くるみ > 「ええ、そう、そうよ……!
 んぅ……おかしくなっていいの……ぉ」

友達がいいようによがり狂う姿に、ひどくそそられる。
きっと……そうじゃない未来もあったのかもしれないけれど。

落とすほうが気持ちいい。
堕ちるほうが気持ちいい。

そしてきっと、自分はそういうAIだから。
嫌なくせに、こういうことは好きで好きでたまらなかった。

「あは……こわれちゃおう?」
それは誰に向けた言葉だったか。

失神して真っ白になるほど、せれなを狂わせるまで止まるつもりもない。

月神 小夜 > 「イクっ♡ イってるっ♡ イきすぎてもどれなくなりゅぅうッ♡
 んぎぃぃぃッ♡ しぬ、しんじゃうぅぅうぅッッ♡」

既に何度も絶頂を迎えている。
余韻も抜けきらない内に次の快楽が、絶頂が押し寄せてきて、イったままの状態が終わらない。
脳神経が焼き切れそうなほど気持ち良くて、苦しいはずなのに、うれしい。
これでやっと、わたしはくるみのものに───

「ぁ……ハ…………♡」

そこで小夜の意識は途切れた。
白目を剥き、力を失った身体があなたの腕の中にくずれ落ちる。
辛うじて息はあるようだが……その表情は笑みを湛えていた。

咲坂くるみ > 「あは……んぅ、くすくす。すき、だいすきせれな」

いいよね、せれな?
……このまま快楽で落としたい。

びくんびくんと震え、ふるふるとけいれんする彼女を……そのまま保護する。
すでに必要量の薬剤も投与した。
人手も移動手段も確保してある。

……ごめんね、とはいえなかった。
それを望んでしまったのは自分だから。
了承してくれたのは彼女だから。

そして、そんなどうしようもないのに……ひどくうれしかった。

「ようこそせれな、こっち側へ」

あとは研究所に持ち帰って、私たちと同じになるだけだ。

____ > 意識を失った小夜を背負い、ホテルを出たところで───
一本の矢が空を切って迫り、あなたの足下の地面に突き立った。

「───その子を何処へ連れて行くおつもりですか?」

凛とした、しかし明確な敵意を込めた声が響く。その声はどこか小夜に似ているようにも聞こえた。
声がした方を見れば、崩れた石壁の上に和弓を携えた人物が立ってこちらを見下ろしている。
月明かりが逆光となり顔は見えないが、声や長い髪からして女性だろう。

咲坂くるみ > 「……っ!?」
センサーに敵性反応……とはいえこれは警告のようだ。
とりあえずは問題ない。

「どこもなにも……私と彼女の家ですが?
 なにか問題でも?」
実際これからそうなるのだ。
そう言ってしまって差し支えない。

彼女を守るよう指示を出しつつ、後ろ手に銃のセフティを外す。
しまったな……今日はハンドガンしかない……。

____ > 「……その子の家は女子寮です。嘘はいけませんね」

小さく息を吐いて、人影は二の矢をつがえた。
すると鏃に小さな火が灯り、その光が彼女の姿を照らし出す。
レオタードの上に巫女装束を纏った珍妙な服装だが、肝心なのはそこではない。
彼女は黄金色の瞳を持ち───小夜によく似た顔をしていた。

「警告はしたつもりだったのですが、言葉にしないと伝わらないのなら言って差し上げましょう。
 その子を……小夜を連れ去ろうと云うのなら、次は当てます」

咲坂くるみ > 「……嘘は言っていないので」
実際、そのつもりもない。
まあ……女子寮住まいなら日常の住まいはそちらになるかもだが。

「恥ずかしい中二病エロ巫女が?」
どう見ても痛々しい。
別にセクシーでもエロくてもいいと思うのだが、さすがにレオタードはない。

どうせやるならボディースーツ系の防護服であって。
たぶんあのレオタードには防御効果や筋肉補強効果はないと思う。

「いずれにしても彼女は私の大事な人でして。
 なにか問題でも?」

ただ、名前を知っているということはなにか関係者のようだ。
連れ去るとは人聞きの悪い。

____ > 「大事……?」

その言葉に女性は眉を顰めた。
何か癪に障ったのだろうか、と思わせたのも束の間───

「私(わたくし)の方が小夜を大事に思っているに決まっているでしょう!
 なんたって私、お姉ちゃんですからッ!」

吼えた! わりとどうでもいいことを吼えた!
同時に二の矢が放たれ、燃える鏃があなたの足めがけて真っ直ぐに飛来してくる!

「祭祀局所属、月神 詠(つきがみ ありあ)! 妹を誑かす魔性め、名を名乗りなさい!」

射ってから訊ねるあたり、一撃で決められないことは織り込み済みだ。

咲坂くるみ > ……避けるに限る。
この手の武器はだいたい威力がわかりにくい。

速度は撃ち落とせないでもないが、弾を使うのもよくない。
バックアップの連中を増やすしかないかしら……?

なんにせよ。

「姉であるなら話が早いわ。
 せれなは私の恋人ですので、色々と。
 ……そういうことで」

色々と彼女の人生を変えてしまうのはともかく。
別に交友関係自体はやましいものではない……はず。

そうデザインされているのかもしれないが、それは私にはどうしようもない。
ああ、くそ。

月神 詠 > ザクッ! 二の矢が地面を穿つと同時に小規模な火柱が上がった。
周囲に延焼するような大火ではないものの、直撃していれば足の一つは犠牲になっていただろう。
背中の矢筒から次の矢をつがえながら、あなたの言葉に肩を震わせる。

「恋人ですって……!? ならば尚更、親族に名乗り出るのが礼儀というものでしょうッ!」

あなたが逃げようとすれば、石壁を蹴って肉薄を試みる。
強い衝撃音と共に、弾丸のような速さで迫ってくる───!

咲坂くるみ > 「は……?」
ヤンデレのシスコンか。
理屈が通ってない。

「自由意思にとやかく言われる筋合いはないです。
 ……それに、色々と放置していたのでしょう?」

もともとは巫女の家系か。
なら、せれなの奔放具合いは普通じゃない。

となれば、アレだ。
実家とは何かあったと見るべきで。

「彼女のためにも、それはできません」

自分のためだと重々承知なのだけど。
そもそも自分に自由意志など許されてるかどうかも怪しい。
ああ、やっぱりこういうところはクソだ。

どうする、手はいくつかあるが。

ただ、心配なのは……せれなが心変わりしてしまわないかと。
どこまで行っても自分がクソAIでどうしようもないことだけ。

戦闘用でない上に、この格好……ああ、せっかくのせれなのプレゼントが汚れてしまうかな。
とりあえず、接敵されてしまうものの、物陰に盾を2枚用意しておく

月神 詠 > 「庚(かのえ)───『金剛』ッ!」

空中でくるりと体勢を転換し、黒いストッキングに包まれた右脚で回し蹴りを繰り出す。
盾などで防いだとして、受ける衝撃は蹴りというより砲弾のそれだ。
吹き飛ばし、小夜を手放したところを奪還するつもりなのだろう。

「……ええ、そうです。その子は自由でなければならない。
 昏倒させて連れ去ることが、小夜の自由意志だとでも云うのですか?」

その声は怒りに震えていたが、同時に冷静さを兼ね備えていた。
実家に連れ帰ろうとしている……とは違う口ぶりにも聞こえる。

咲坂くるみ > 「……っ」
盾を直接展開させるには間に合わない……が。
せれなを預けることくらいは出来るか。

せれなを空中に投げつつ、代わりに受け身も取れずに直接受け、もんどりうって2度跳ねて転がる。

腹部は損傷しバチバチと火花が散って。

せれなを盾たちにキャッチさせるが……この距離だ。
逃げるのは無理かしら……?

ああ……せっかくの服が台無し。
いつもそうだ。

「ぴゅ、ぎ……ぁ」

やっぱりくそAIだな私。

「そう……よ」

いいやもう……悪者で。

「かのじょは、……わたしのもの、だもの」

ファミリアの盾 > きゃっち。
セレナを無事に受け取ると。2体で撤退しようとする……が。

月神 詠 > ───彼女は既に三の矢を放っていた。
あなたを蹴り飛ばした反動で身を翻し、バック宙のような体勢から盾のそばの地面を射る。
すると、そこから樹木が生え、瞬く間に盾を絡め取ってしまう。
樹は地中深くに根を張っており、力技で引き剥がすのは不可能に近い。

「今の感触は……成る程、絡繰り人形でしたか。
 もう少し強めに打っても大丈夫だったかもしれませんね」

そのまま一回転して着地。動けない貴女の前に立って見下ろす。

「……もう一度だけ問います。貴女の名は?」

再四つがえた矢をあなたの頭部に向けながら問う。
バックについている組織や小夜を連れて行く理由ではなく、あなた自身の名前を。

咲坂くるみ > せれな、服……ごめんね
せれな、せれな……ごめんね……ごめん…………ごめんなさい……。
ああ……

「が……ぴゅ、ぅ…………あは…………ファミリア。知ってる……で、しょう?
 だれ、もわたしを……つかまえられ、ない」

 ファミリアも通称でしかない。
 名前で縛られない存在。
 誰でもない存在。

 自分ですらない。

 よく動けないまま、すがりつくように、足元にしがみつこうとする。

「だ……め、わたさな……い」

月神 詠 > 「ふぁみりあ……そう、ふぁみりあと云うのですね」

告げられた名を二、三度反芻して小夜の方を見た。
足を掴まれても動じることはなく、その脚は鋼のように硬い。

「……貴女は窮地にあって、小夜の安全を優先しましたね。
 盾にして攻撃を止めさせるという手もあったでしょうに、それをしなかった」

もっとも、されたところでいくらでも手はあったが───
大事なのは結果ではなく、小夜を守ろうとしたという事実。
弓の構えを解くと、樹木は盾たちと小夜をゆっくりと地面に下ろして引っ込んでいった。

「月神の家は代々、神を降ろす巫女の家系。私達はその後継として生まれました。
 ですが、憑神の巫女としての修業は筆舌に尽くしがたい過酷なもので……
 せめて小夜だけでも血の定めから解放してあげようと、あの子が家を出ていくよう仕向けたのです」

そんな無防備にも見える状態で、ぽつぽつと語り出した。
先程の、月神家が小夜を放置しているという指摘に対する返答だろうか。

「それが最も正しい選択だったとは思いません。
 きっと小夜は、自分から全てを奪った私を憎んでいるでしょう」

そう語る彼女の表情は寂しげで、やはり姉妹だけあって小夜によく似ていた。

咲坂くるみ > 「ぴゅ、ぎ……あ、あ」
こいつか。
こいつの身勝手か。

せれなは。
わたしなんかとかかかわらなければ。
かかわるようなことになっていなければ。

わたしにくるわされなかったのに。
にんげんをやめなかったのに。

─────壊れた体にノイズが走る。



ぜんぶ……おまえか。



「どうでも、いい」

せれなのはじめてのぷれぜんとは、もう、もどらない。
わたしも、せれなも。
こわれたにんぎょうは、もどらない。

なにごともなかったように、なおされるだけだ。

「せれなを……こわした。おまえ、は……のろわれろ」

ためらいなく、そのまま巻き込んで、彼女同様、個人的で身勝手な理由で。
……自爆を選択した。

月神 詠 > 「っ───!?」

恨み言を吐かれる覚悟はしていたが、これは想定外。
構えを解いた状態では、足首を掴む手を振り払う暇はなく───



夜の歓楽街に爆発音が轟いた。

咲坂くるみ > ファミリア─────謎の多い人形集団。
目的不明。所属不明。
解析しようにも、あとには残骸しか残らない。
何体いるのか、どこにいるのかも不明。

それそのものの脅威度は高いわけではなく、どれもこれも汎用潜入タイプ。

ただ、多少の交渉には応じる特徴があり。
そのため、コストを掛けるより利用するほうが便利。
「使い魔<ファミリア>}とはよく言ったものだ。

誰のものでもなければ、誰かのものにもならない。
そんな人形。

それが、初めて執着した少女のために、自爆を選んで。
……選んだのか、選ばされたのか、最初からそうするよう既定路線だったのかはわからないが。

そしてその日、生徒名簿から、そっと咲坂くるみと月神小夜の名前が消えた。
落第街での爆発に巻き込まれ、死亡扱いとして。

もっとも。
わざわざ確認しなければ、「新入生として再登録」されているため、表向きはまったく変わらないのだが。

そうして、新たなファミリアが1体増えた。
それを知るものは、まだいない。

ご案内:「ホテル『ブルームーン』」から咲坂くるみさんが去りました。
ご案内:「ホテル『ブルームーン』」から月神 小夜さんが去りました。
ご案内:「歓楽街(落第街方面)」に月神 詠さんが現れました。
月神 詠 > とある人形が自爆してから数分後───

「けほっ……行ったようですね」

小夜を抱えた機械が去っていくのを木陰から見送る詠は、まさしく満身創痍といった状態だった。
弓と矢は特別製なので無傷だが、装束は焼け焦げ、穴の開いたレオタードから覗く白い肌は傷だらけ。
そして、その瞳は本来の黄金色ではなく、真紅に染まっている。

至近距離での自爆、という避けようのない窮地において自身の異能が発動。
"辛うじて爆発に耐えうる存在"となったことで一命を取り留めたのだ。
この"辛うじて"というのが重要である。なにしろ───

「はぁあ……身も砕けるような熱さと痛み、クセになってしまいそうですわ……♡」

そうしないと気持ちよくない。

月神 詠 > ……それはそれとして。

「(あの"ふぁみりあ"という方……あれで負い目は感じているのですね)」

結果論だが、詠の選択が小夜を破滅に導いたとして。
その引き金を引くのが自分であるという自負があの人形にはあった。
でなければ散り際にあんな事は言わないだろう。

「小夜……私は、間違っていたのでしょうか」

誰もいなくなった爆発跡で空を見上げて独りごちる。
月は雲に隠れ、彼女達の行く末を照らしてはくれない。

じきに騒ぎを聞きつけた公安か風紀委員が駆けつけるだろう。
今回の件は祭祀局としてではなく月神 詠個人として動いたため、ここで彼らと鉢合わせるのは都合が悪い。
ふらふらと、覚束ない足取りで歓楽街を後にしていった。

ご案内:「歓楽街(落第街方面)」から月神 詠さんが去りました。