2020/07/17 のログ
■咲坂くるみ > 「……直接、【エインヘリヤルの件で、あまり何かあるようだとマズイ】って。
そう……言われたの。
しくじったら、もしくはこのままなにも成果を出せなかったら。
私達全員、消されかねないわ……」
くるみはファミリアの統率機だけあって、特にマスターとのつながりが強いのだけれども。
それにしたってここまで怯えるのは、ない。
最近では、せれなにはむしろ甘えた顔しか出さないことが多い。
くるみは自分で仕事などを選別したり全部背負ってしまって。
できるだけ、なにかファミリアの仕事をさせないようにしているようでもある。
……もっとも。
せれな自身も気づかないうちになにかしているかも知れないけれども。
「……どうにも出来なくて、どうしたら、いい?」
■月神 小夜 >
「あちゃあ……そんなコトがあったんだ。
マスターにそこまで言わせるとか、どんだけリトル暴君なんだか」
仕事らしい仕事が全く回ってこないので、小夜は今までと変わらない生活をしている。
学校に通って、寮に帰って、街へ遊びに繰り出して。男遊びは前に比べれば減ったほう。
わりと好き放題やっていた自覚はあったが、お咎めは一切ナシ。
それが苦言を呈したということは、相当まずい状況なのだろう。
「どうしたら、かぁ。要は成果を出さなきゃいけないんだよね。
アタシに手伝える事があったら何でもするけど……」
───気を遣われている、というのだろうか。
仕事が回ってこないのではなく、意図的に遠ざけられているのは薄々感じていた。
自分もファミリアである以上は他人事とも言えないし、何よりこんな状況で知らん顔はできない。
どうしたらいい? という問いかけに対し、何をしたらいい? という問いかけで返した。
■咲坂くるみ > 「うん……成果を作らないと、いけないの」
せれなの言葉に頷いて返す。
様子からすると、相当一人で悩んだあとなのが、せれなにはわかる。
どう見ても相談したくなかったと、そういう顔をしている。
なのに、涙混じりに続けた。
「エインヘリヤルを止めるか……別の成果を出すか。
なのに、エインヘリヤルは権限が向こうのが上でなにも出来ないし。
……あとは、なにか異能者を連れて来るなり、ファミリアにしないと」
エインヘリヤルを止めるうまい方法を考えるか、強力な異能者、もしくはレアな能力を拾ってくるか。
どちらにしろえげつない。
「わたしはその……異能者……できれば詠を、落としたい」
はっきりと言った
■月神 小夜 > 小夜がファミリアになると決めた時も、くるみはかなりの葛藤を抱えていた。
頼りきってしまいたい自分と、それを壊したくない自分が今も
彼女の中でせめぎ合っているのだろう。
くるみの前では流されるままでいられない。こちらから歩み寄っていかなくては。
「知り合いとか、コネとか……間接的に手を出せればいいんだけどね」
真っ向から歯向かえないなら、歯向かえる人材を確保する。
もっとも、手を回していたことがバレればタダでは済まないだろうが。
そんな風に考えていると、くるみの口から語られたもう一つの案。
「……詠ねぇを?」
それを聞いて、思わず素の調子でオウム返してしまった。
■咲坂くるみ > 「うん……彼女の力がどういうものか詳しくはしらないけれど。
あのクラスの能力者を確保できれば成果には出来ると思う。
……なにより」
複雑そうな、怒りと悲しみが入り混じったような顔で言った。
「ファミリアにしないと、許すことなんて出来ないし。
一切、信用なんか出来ない……個人的すぎるっていうのはわかってるんだけど」
ファミリアは本来、そんな個人的な話をしていい存在ではない。
そもそも、仕事に感情を混ぜていいわけもない。そのためのAIだ。
だから、許される範囲内。
それなら、問題ない。
あくまでも、ファミリアの範囲内であるべき。
「……もっとも。
せれながいないと最初から話にならないから、せれな次第。
私じゃ残骸を増やすだけだもの……」
許可があるかどうか、というのは大きい。
自分でも無茶を言ってるのはわかっているのだけど。
どうしたらいいかがわからない
■月神 小夜 >
「んん……アタシも間近で見たわけじゃないんだけど、どうかなぁ。
あれ一応、うちの家系に代々伝わる力らしいし……」
小夜にはその資格が無かった。姉が全て持っていってしまったから。
仮に自分も同じ力が使えたとして、ファミリアの体に受け継げたかは分からない。
もっともらしい理由ではあるが、歯切れが悪いのはそれだけでないようにも見える。
「それに関してはちょっと……アタシで役に立てるかは微妙かも」
頬を掻きながら、申し訳なさそうに笑う。
好きか嫌いかで言えば間違いなく嫌いな相手だが、それゆえに顔を合わせれば話がこじれるのは目に見えていた。
■咲坂くるみ > 「……無茶言ってるから、どっちにしても」
エインヘリヤルになにか言うことを聞かせるのも、異能を集めるのも。
どっちだって、カンタンなことではない。
「だから、別に嫌なら構わないし、一つのアイディアでしかないわ」
もともと固執するつもりはないのだけれど。
それでも、許せないものはある。
「……ごめん、無理言った」
■月神 小夜 >
「嫌っていうか、苦手っていうか……アタシの方こそ、ごめん」
言ってしまえば、これは単なる小夜のわがままだ。
姉の優秀さは間近で見ていた自分が一番よく知っている。
そんな彼女がファミリアに、こちら側に来てしまったらどうなる?
「……アタシがもっとスゴい異能使いだったら良かったのにね」
小夜の無力さは自分が一番よく知っている。
お目こぼしをされているのも、歯牙にかけるほどの存在ではないからだということくらい。
───ああ、駄目だ。アタシがこんなでどうする。
今はくるみの相談に乗っているんだから、しっかりしなくちゃ。
「くるみが詠ねぇと決着付けたいって言うんだったら、手伝うよ」
■咲坂くるみ > ……ああ。
ホント、ダメなAIだ、わたし。
せれなのことを私がどうにかしたいんじゃない。
私が、せれなのことで、詠をどうにかしたい。
……そういうことだ。
それに巻き込んでしまった。
自分の身勝手に、利用しようとしてしまった。
せれなはなにも悪くない。
「……せれなは、すごい異能使いだよ」
知ってる。
せれなはもっと色々出来るのを、知ってる。
ただ、勘違いしているだけ。
「そうね……決着つけたいわ」
ファミリアに落とすにせよ、なんにせよ、何らかの決着はつけておきたいと言われれば。
それはひどく腑に落ちた。
■月神 小夜 >
「ん……ありがと。そう言ってくれるの、くるみだけだよ」
成果物たりえない少女は、ぎこちなく微笑む。
「モノにはできなくてもさ。詠ねぇほどの相手を負かして……
あと、データ収集? できれば実績にはなると思うんだよね」
もちろん、正面からではファミリアが束になったところで敵わないのは百も承知。
だからこそ小夜というウィークポイントが活きてくるのではないか。
■咲坂くるみ > 「せれなは、自分で思ってるよりずっと、すごいよ」
気づいてないだけで、支配者の能力なのだから。
ただ、自分でそれを限定しているだけの話。
「……なにより。
あんなのが【いい人ぶっているつもり】なのが、ゆるせない」
人をこわしておいて。
やさしくて思いやりがあるふりをしている
というのが、何よりくるみは許せなかった。
■月神 小夜 >
「そうかな……」
ここまで言われても素直には喜べない。
可能性なんて、片っ端から摘み取られていってしまったから。
壊された、というのはきっとこの辺りのことを指しているんだろう。
「まぁ、本人も悪気はないんだろうけど。ありがた迷惑ってヤツ?」
アタシはそんなもの、望んでない───
ついぞ本人に向かって言えなかった言葉も、今なら言える気がした。
■咲坂くるみ > 「そうよ、せれなは支配者の能力なの。
気づいてないだけ。
なりたいなら、なれるわ……望むなら」
実際、せれなは能力がなんだか知らなかっただけで。
すでに、そう使っているのだ。
教えてもいいのだけど、それは本人の必要に任せたかった。
「あれは、善意でもなければありがたくもない。
……ただの、身勝手な要求の押しつけだもの」
自分が助かりたいだけのために、人をこわして、悪いことにすら気づこうとしない。
むしろいいことでいいひとであろうとする。
それが、ゆるせない。
■月神 小夜 >
「望むなら、かぁ」
なりたいのだろうか。
支配者として、姉すら下に置けるような異能使いに。
決着を付けるなんて言っておいて、自分がどうなりたいのかは決められずにいた。
「いっそ悪意だったら良かったんだけどね。
許せないのはアタシも同じ。だから、アタシはくるみの側につくよ」
これまでも、そしてこれからも。
くるみに寄り添うと決めた小夜(じぶん)でなら、立ち向かっていける。
■咲坂くるみ > 「うん、望むなら。
だから、それほどでもなさそうな今は、特になにも」
せれなは単に、勘違いをしているだけ。
そのことで自分にリミッターをかけている。
望んでそうなったかどうかはしらないけれど。
そこに関してだけは、くるみは妙に確信を持った話し方を繰り返す。
「せれな……あれはね、悪気のない悪意よ?
あの手合は、ああやって誰かをこわして狂わせても、どうとも思わないし。
次の獲物をいつも探してるから」
獲物をいたぶっているうちはいい人でいられる。
獲物が壊れてしまったら、悲劇の自分でいられる。
そしていなくなればいつだって、次の依存先を探すのだもの。
そうやって、壊れるまでしゃぶり尽くす……罪悪感さえ、持たないまま。
■月神 小夜 > まるで小夜自身より小夜の異能に詳しいような口ぶり。
もしそうなら、もしも望むことがあれば彼女が導いてくれるのかもしれない。
人であることを止めた、あの時のように。
「……それに関してはアタシの方がよく知ってるよ。
誰も今まで教えてくれなかったんだから、当然っちゃ当然だけど」
月神の家は"しきたり"が厳格なくせに、いやに放任主義なところがある。
自立を促すなんて体のいい事を言うばかりで、どこにも味方はいなかった。
おかげで今は気ままに過ごせているのだから皮肉なものだが。
「だから、アタシ達で教えてあげなくちゃ。
自分がどんだけ余計なコトしでかしてきたのか、ね」
■咲坂くるみ > 「ああ……だからいつもそうやって笑う」
せれなの笑顔を見るだけだけで元気が出る。
だからさらに元気をもらおうと、抱きついて。
「せめて、自重で潰れてくれないと割が合わないものね」
他人に荷物を投げつけておいて、幸せに浸るなど。
呪われた上で、縛られて欲しい。
話はそれからだもの。
「せれな、好きだよ」
そしていつものような要求。
普段、部下に対してはクールに振る舞うくせに、くるみにだけはこれだ。
甘えてくる
■月神 小夜 >
「あははっ、くるみの相談を受けに来たのに途中からアヤフヤだったわ」
けれど、それは支えられているのがお互い様ということ。
身を寄せてくるのに合わせて、こちらからも腕を回して体重をかける。
「アタシも好きだよ、くるみ。
アタシを縛っていいのはくるみだけなんだから」
子供のように笑って、どちらともなく唇を重ねた。
そのままベッドに倒れ込むようにして愛を囁き合うのだろう。
ご案内:「メンテナンス施設」から咲坂くるみさんが去りました。
ご案内:「メンテナンス施設」から月神 小夜さんが去りました。