2020/08/11 のログ
ご案内:「違反部活・売淫部地下倉庫(過激描写注意)」に妃淵さんが現れました。
妃淵 >  
薄暗い地下倉庫
その中に入り乱れる男女と、嬌声と、饐えたにおい

そんな中に交じる少女はややぼんやりとした目線を、薄汚れた天井へと向ける
自分の上にはがっしりとした体格の男が覆いかぶさり、狂ったように腰を打ち付けていた

来んのやめときゃ良かったかな───

薄靄のかかった頭の中で、そんなことを考える
金はいい金額だったし、いい思いさせるとか言っていたし
美味しい話ではあったけど

──…視線を僅かに横に向けると、自分以外にも男に囲われている女が数名
所謂乱交パーティー、少し違うのは…空になった注射器や、錠剤・カプセル
あちこちにそれらが散らばる、退廃的な風景

…スラムの地下なんてこんなものだろうけど

妃淵 >  
あちこちで耳に煩いくらいの嬌声と獣声
地下でなければとっくに摘発されてるんじゃないか、と思う

そんな嬌声の中に自分の声も混じってることに気付くと
さっき打たれた薬、アレは大分キクやつだったんだな、なんてぼやっと考える
……にしても、重い
身体や気分が重いとかでなく
上の男が巨体を押し付けてくるものだからただただ重い

あとで思いっきりケツを蹴り飛ばしてやるからな

そんなことを考えるだけ、考える
全身気怠くて、動く気にもならないし

妃淵 >  
段々と、全部どうでもよくなってくる
薬の力ってのはなかなか凄い
こういうのにハマるバカ女の気持ちも、まぁわからなくもないかもしれない

もう何度中イキしたかもわからないくらい、全身がダルいくせに鋭敏だ
──そもそも金はもらったっけ。後払いだったっけ
記憶までぐちゃぐちゃに混ざり始める

なんか新しいヤツだとかなんとか、言ってたっけ
此処に転がってる錠剤他、多分どれもこれも見つかったら一発アウトの代物だろう

使わず売ったほうが金になるんじゃないか…?なんて思うと、上にのしかかる男が姿勢を変える
男が寝そべり、自分が上に

ああ、動けってことか…ダルいのに──
それも全身を支配する高揚感が、勝手に身体を動かしはじめる

妃淵 >  
「───、──♡」

律動に合わせ、嬌声と共に小柄な体躯が跳ねる
周りでは複数人のプレイなんかも始まっているし、いよいよ…といった様相

相手の男はどうにも満足していないらしく、再び寝倒され、覆い被さられる
──だったら面倒なことさせずずっとそうしてろ、と悪態をつきたくなるがそんな気力も湧かない
そもそも身体のサイズが違いすぎるんだからもう少し考えろと…

「──…ぁ……おィ…」

突然腕を捕まれる
その男の手には新しくケースから取り出された注射器があり……

「っ…まだやンのかよ……もうい、ぃ…──ぁ…」

ぷつ、と薄皮を破られる小さく鋭い痛みを感じる
追加料金でももらわないと割に合わねーな…なんて考えも、快楽に塗り潰されてゆく

妃淵 >  
──そのまま数刻

あれだけ馬鹿騒ぎしていた室内も、薬がダウナーに入ったあたりからやや静かになってゆく
汗と精液の混じる異臭の中、フェイエンもまた壁に背を預けて気怠げに両足を投げ出していた

そんな惨状の中でまだ動く男がちらほら
どれだけ元気なんだよと疎ましげに見るも、『比較的状態が綺麗』な此方へと向かってくる

「──3人相手は聞いてねーし。金」

面倒そうに口を開いて、そうのたまう

──が。当然連中はキメすぎで頭がイってる、話なんて聞くわけがない

ご案内:「違反部活・売淫部地下倉庫(過激描写注意)」に柊真白さんが現れました。
妃淵 >  
男の一人が少女の細腕を掴み上げ、立たせようとする

「…っ、オイ…!」

苛立ちを顕にするが、全身を倦怠感が支配しまるで力が入らない
──錠剤のほうも、大分アレなやつだったか、と思う間もなく

男の手が顎へ、下腹へ、尻へと伸びる
待て、そっちを使う話はしてない

「ッッ、ざけんな。金払え!!───」

柊真白 >  
とす、と。
その三人のうちの一人の喉から刃が生える。
そのままその刃はスライドし、その男の首に大きな切れ込みを入れる。
それでも尚刃は止まらず、彼女に群がる三人の首に同じように。
汗と精の臭いが充満した倉庫に、鉄臭い香りと赤い色が広がる。

「――やっと隙を見せた」

殆ど裸のような、乱暴に服をはぎ取られてぼろきれしか纏っていないような状態で、更に身体中白濁液をまとわりつかせたまま倉庫の中央に気だるげに小型のナイフを手にする少女。
流石に薬漬けで長時間回され続けるのは結構きつかった。

妃淵 >  
「──…あ゛?」

自分を押さえつける男達から力が失せてゆく
と同時に、鉄錆と生臭さの混じったような臭い
いくらかその身に、男達が噴き上げる朱を浴びた

「………何だヨ、お前?」

ぺた、と床に座り込む
部屋には赤黒い染みが広がりつつあるが、この程度で動じることもない

むしろこの生白いガキは何だ?といった視線

柊真白 >  
「――あぁ、くらくらする……」

人間よりは多少耐性があるとはいえ、それでもさっきまではまともな思考にならなかった。
頭を抑えて、首を振る。

「暗殺者。――んん、ちょっとまって……」

まだなんだかぼんやりする。
とりあえずこんなことが起きてもまだ性行為に励んでいる男女――あらかじめ顔を覚えていた人物だけだが――の喉を次々とナイフで裂いていく。
違反部活生だけではなく、巻き込まれただけのものや違反部活生ではないが参加しているだけのものも居るだろう、対象以外の殺しは主義に反する。
とりあえず違反部活生だけをサクッと殺し、彼女の前に戻ってきた。

「――あなたは? この違反部活の所属?」

妃淵 >  
──なるほど、どっかの手の人間か
暗殺者、と平然と名乗る少女
ぼんやりとしていた頭も少しずつクリアになってくる
まぁこれだけの数の薬を確保していた違反部活だ
いろんなところからマークされているだろう
所詮、此処にいるのも氷山の一角だ

「や、ぜんぜん?金払うから混ざれっつーだけの… あ」

まだ金もらってねーんだけど、金の持ち主が今しがた全員喉を掻っ切られたぞ

「……まぁいいか。いやよくねぇけど、面倒クセーのは嫌いだ… う」

血生臭さには慣れているが、薬の影響による前後不覚と大量に飲まされたアレのせいで気持ち悪い
部屋の隅へ行くと、びたびたと腹の中に残っていた精液を嘔吐する

柊真白 >  
「そう」

ならば関係ないか。
ナイフはその辺に落ちていたのを拾ったので、元あったようにその辺に放っておこう。

「どうしたの――大丈夫?」

何かに気付いた様子だが、流石にお金のことだとは思わず。
吐き出した彼女に近付き、背中を擦ろうと。

妃淵 >  
「別に、ヤられ損だったなってだけ。あ゛ー…きもちわり…」

背中を擦る手からは逃れつつ、そうぼやく
使った薬あダウナー周期に入ったのはわかる、なかなかの威力だ
そのまま、床に再び座り込む
動くのすら億劫だ

「──で、雇い主誰だヨ。
 風紀とか公安とかがこねーなら、ここでこのまま寝てーぐらいダルいんだけどさ」

心底気怠げに、ナイフを捨てた。汚れたままの少女にそう問いかける

柊真白 >  
「――あぁ、お金。私に責任あるし、その分渡そうか」

そう言えばさっきそう言っていた気がする。
自分が彼女の雇い主を殺したことでそれを得られなくなってしまったのか。
背中を擦る手は拒否されたので見守ることにして。

「それは言えない。でも、体制側じゃない」

つまるところ裏の人間と言うことだ。
元よりそちらの方がお得意様なのだから。

妃淵 >  
「ふーん…」

だとしたら競合するどっかの違反部活からのヒットマンの可能性もある
まぁ、どちらにしてもそういう話ならそれはそれで問題ないか

「いーよ。お前みたいなガキから金もらえるか。
 さっさと服着てさっさと消えたほうがいいんじゃねえ?」

こいつらの母体が勘づくと面倒だぜ、と言ったところで
それは自分も同じということに気付く
このままこんなところでのんびり寝ていたら面倒なことになるじゃないか

「あーくそ、なんでこんなめんどくせーことになるんだよ…」

気だるい身体を無理やり起こして、そこらに脱ぎ捨てられている服をタオル側に身体を拭う
自分の服は…汚れてなかった。安心だ
裸の上にサイズオーバーのパーカーだけを被って、とりあえず見えなければいいよなスタイル

「そいえばなんで俺の言葉なんか信じた?
 死にたくねーから嘘言ってるだけでこの部活の人間かもしれねーぞ」

さてとっとと帰るか…といった前に、なんとなく浮かんだ疑問を口にする

柊真白 >  
「――似た様なものだと思うけど」

身長は同じぐらいだし、体格も――一部を除いて似た様なものだ。
どうしてこう自分の周りには胸部装甲の立派な女性が多いのか。
とにかく、書類上の年齢なら同じような年齢だと思う。

「別に信じたわけじゃない。あとからリスト見ればわかるし、そうだったらまた改めて殺すだけ」

今殺したのは確実に覚えていると判断出来る人間だけだ。
ぼんやりした頭で判断できない人間を保留にしただけである。
こちらは服も何もかも破かれた――とは言え潜入用に揃えた適当な服だ――ので、無事そうな服を適当に見繕って着る。
べたべたして気持ち悪い。

妃淵 >  
「…?別に俺がガキでもお前がガキなら今の言葉に矛盾はなくねえ?」

何言ってんだヨ、とパーカーの裾の捲れていた部分を直している

「ついでに殺しちまえば二度手間にならねーのに物好きなヤツだな」

二級学生がついでに何人か死んだところで、同じことだろうに
そういうプロ意識?みたいなものは邪魔にしかならないものだと少女は思っている

「まー、殺せたらなって話だけど」

目の前のロ…少女が手練れなのはなんとなく直感でわかる
それでいて簡単に殺せると思われているのはあまり面白くはない
そんな感情から出た言葉
…いや今やるか…って言われたら断るけど。ふらふらするし

柊真白 >  
「そうだけど。でも、私の方が年上だから」

文字通り桁が違う。
見た目ではガキもいいところだけれど。

「無関係な人の命は奪えない。人の命奪ってお金貰うんだから」

確かに邪魔と言えば邪魔だけれど。
でも、これは先代から受け継いだ大事な考えなのだ。
それをないがしろにしては、自分の中の先代が死んでしまうから。

「でも、多分あなた嘘ついてないと思うから」

何となく、彼女は素直な方だと思う。
だって、嘘を吐いているならそんなこと言わないだろう。
そんな顔。

妃淵 >  
「年上~?。そういう強がりはもう少し乳膨らませてから言ってくれよ」

鼻で笑われた

「はーん、人殺しにも矜持があるみたいな?くだらねー。
 そういうことはもっと人様に自慢できることで言えヨ」

所詮ゴミ溜めのような裏社会の金を稼いでいる卑しい稼業だ
仕事に誇りを持つこと自体ははいはいご立派、といった感じだが
まぁこんな界隈で生きている以上は、コイツもどっかおかしいやつなんだろうと納得する

「…まぁ、嘘吐く意味はねェな……」

殺される気がしないのに、命惜しさに嘘を吐くわけがない
煽るのもちょっとわざとらしかったか、と頬を掻いて

「まーいいや……帰るわ。じゃーなロリっこ」

去り際、テーブルの上にあった錠剤などをいくつかポケットへと捻り込む
売りさばけば多少の金にはなるだろう

柊真白 >  
「別に胸の大きさで年齢が決まるわけじゃない」

ちょうはつされてもおこってないし。
べつにきにしてないし。
じとっ。

「人様に自慢できない事だから、そこは大事にしたい」

とは言えそれは人の勝手だろう。
わかってもらおうとは思っていないし、彼女には彼女の矜持があるのだから。

「もし何か頼みたいことあるなら言って。迷惑かけたし、初回は無料にしておく。……人を殺すこと以外でも」

情報とか。
立ち去る彼女の背中に声をかけて。

妃淵 >  
「煽られてるってわかってんなら無理に言い返さなくていーんだけどナ」

ククッ、と意地悪そうに笑う
と、階段でややフラついた。まだまだ薬が効いてる

「──…何だヨそれ。
 アサシンじゃなくて便利な何でも屋サンだったか?
 何でもイーんならそーだな」

なんとなくこういうタイプには意地悪なことを言ってやりたくなる…のだが
背中に声を受ければ足を止めて、振り返る

「コレ」

ポケットからスマホを取り出す
盗品で、傷だらけ、いつまで使えるかもわからない

「一つ調達してくれヨ。なんかイイやつ」

柊真白 >  
くやしくなんかない。

「本職は暗殺、でも色々やる。それしか出来ないわけじゃないし」

そう言って、差し出されたものを見る。
スマホ。
傷だらけで変えたい、と言うことだろうか。
ならば自分で、

「――ん。わかった。どこに届ければいい」

なるほど、そう言うことか。
察し、頷く。

妃淵 >  
「なんだっけ、なんとかカードあれば使えるんだろこれ。
 けっこースラムのマーケットに出回ってるからな」

非正規品だらけだが

「スラムの広場。一番広いトコにだいたい暇な時はいるヨ。
 近くの廃ビルの空き部屋勝手に使ってっけド割れたら困るから教えてやんねー」

どうやら快く受けてくれるらしい
こいつはラッキー、ヤられ損しただけのことはある

柊真白 >  
「スラムのマーケットじゃいつ使えなくっても不思議じゃないでしょ」

まぁ、だから自分に頼むのだろうが。

「いいよ、正規品持ってく。通信料は、サービスってことで」

幸いお金は山ほどある。
一人分の通信費が毎月の支出に上乗せされたってどうってことはない。
悪用は出来ないようにするけれど。

「わかった」

いつもいる、と言うことではないだろうが、まぁ何度か足を運べば会えるだろう。

妃淵 >  
「ふーん。まぁいいや。それじゃ宜しく頼むわ」

言いながら踵を返し、階段をあがってゆく

随分と変なヤツだ
迷惑をかけたからってそこまで何もかもやるか?
それとも使いすぎると文句でも行ってくるのか
正直よくわからん、名前も効くの忘れたけどまぁ今度でもいいな

そんなことを考えながら、まだ気だるい身体を引きずって、スラムへと足取り重く帰っていった

ご案内:「違反部活・売淫部地下倉庫(過激描写注意)」から妃淵さんが去りました。
柊真白 >  
帰る彼女を見送る。

さて。
頼まれた仕事はここの一掃ではない。
その母体へのダメージも、だ。
だから母体が勘付くなら、むしろ都合がいい。
彼女が去った後、倉庫内の使えそうなものを使ってトラップを仕掛けられるだけ仕掛けて。
決して対象外の命を奪わないように慎重に、しかし対象の命を奪うには充分な殺意を持って。
闇に潜み、根気強く、じっくりと。

やがて、地下倉庫は地獄と化す。

ご案内:「違反部活・売淫部地下倉庫(過激描写注意)」から柊真白さんが去りました。
ご案内:「保健室」にビシュクさんが現れました。
ご案内:「保健室」に神代理央さんが現れました。
ビシュク > 「風紀のお仕事も忙しいのに、呼び止めてごめんなさいねぇ。
ちょっと取り急ぎ伝えておきたいことがあったの。

ま、ま、ま、座って座って。
お茶は紅茶でいいかしら、それとも緑茶?ほうじ茶とかもあるわよー?」

最近赴任してきたばかりという、異世界の保険医に廊下に捕まり連れられてきた神代くん。
『至急伝えたいことがあるから、時間取れる?』と、呼ばれた上で保健室まで連れてこられた次第である。

どうにも飄々として、掴みどころの無い狐教師ではあるのだが…伝えたいこと、と口にする時の朱の瞳は、とても真剣なのだった。

神代理央 >  
「いえ、取り立てて急ぎの用事もありませんので、御気になさらず。
それじゃあ、御言葉に甘えて紅茶を頂いても宜しいでしょうか?」

呼び止められ、そのまま保健室へと連れ込まれて。
何が何だか、と疑問符を浮かべながらも、取り敢えず彼女の言葉には穏やかな声色で返すだろうか。

さて、ちょこんと保健室の椅子に座りながら呼び止められた経緯を思い出す。
『至急伝えたい事』ともなれば、仕事がらみだろうか。
風紀委員会において、保険医の世話になる者も多い。
そういった何某だろうか、と思考を巡らせながら、自分より大分背の高い彼女にぼんやりと視線を向けているだろうか。

ビシュク > 「はいはい、じゃあちょっと待っていてねー?」
ティーポットとティーカップに、たっぷり沸騰したお湯を注いで少し待ち…ティーポットの湯を捨ててから煎れ始めるゴールデンルール。大富豪の息子たる理央くんからしても、非常に良い茶葉が扱われているのか、芳しい香りが保健室を満たす…

「―――お待たせ。ダージリンで良かったかしら。」
目の前へ静かに置かれる、シンプルな蒼のラインが通った品の良いカップ&ソーサ―。
そこに揺蕩う琥珀茶は、保険医の前にも置かれる。

…改めて見れば、身長180以上はあるだろうか。
女性にしては非常に高身長の保険医は、体つきもメリハリが聞いていて、とてもグラマラスである。

神代理央 >  
「ええ、御丁寧にどうも。……良い茶葉を使っていますね。先生の拘り、ですか?」

置かれたティーセットを一瞥し『品行方正な優等生』の様に笑みを浮かべて首を傾げる。
実際、茶葉の香りも茶器のセンスも良い。ラ・ソレイユさながら、と唸りたくなる様な一品だ。
今度、こっそり茶葉の予算上げとこう、と決意を固めつつ、カップを手に取る。

「…それで、至急の用件とは一体何でしょう?委員会の所属員に、何か問題でも?」

先ず香りを楽しみ、一口紅茶を口に含み。ほう、と吐息を吐き出してから、彼女に質問を投げかける。
――しかしまあ、青少年には中々刺激の強いスタイルだと、眼前の女性を見て内心苦笑い。
特に用事もないのに保健室を訪れる男子生徒が増えそうだ。気持ちは分からぬでも無いのだが。

ビシュク > 「ふふ、わかるー?
ココだと、特別な時以外は少し時間を持て余すことも多いの。だから、お茶くらいは特別に…ね?」

そう言い、茶目っ気たっぷりに微笑む狐教諭。
裏でラ・ソレイユの質がグレードアップしたことには気づくはずもなく、芳しいそれに口をつけて…尚、お茶菓子はとても見覚えがある。ラ・ソレイユのクッキーアソートだ。

「問題…うん、問題といえば非常に問題ねぇ。

…ああ、そうそう。
水無月沙羅ちゃんと、とっても仲が良いようね?神代理央くん。」
にっこり、優美で優雅に微笑んで…なぜか、保健室の入り口の扉をかちゃり。『保険医外出中』の札を下げた上で、真夏の日差しが燦燦と入り込む窓すら、しゃーっと手早くカーテンを閉める。
……これは……不純異性交遊的な詰問だろうか!?!

神代理央 >  
「保険医が時間を持て余すのは良い事ですよ。それだけ皆、健康ということでしょう」

クスリ、と笑みを零しながらカップを少しだけ揺らして香りを楽しむ。
もう一度喉を潤してカップを置き、茶菓子に手を伸ばして――ちょっとだけ、優等生では無い、素の笑みが零れる。
何度、パティシエの彼に強請った事だろうか。見覚えのある、クッキーアソート。とはいえ、此れを食べるのも久し振りな気がするな、と思いながら一枚手に取って、上品に齧り始める。

「……ええ、まあ。隠す事でもありませんが、男女交際というくくりで彼女とお付き合いさせて頂いています」

何で急に恋人の名前が出るのだろうか、と首を傾げつつ。
清い交際――というには、既に一線を越えてしまっているので素直に明かしても良い事実だけ述べる事にする。

鍵をかけられ、札を下げられ、カーテンまで閉められる。
至急の用件を話すには随分な念の入れよう。まさか、不純異性交遊を咎める流れなのだろうか。
……何も言い訳する材料が無い。どうしよう。

ビシュク > 「でも、この暑さだから…かしらねぇ。
保健室に来る子達は多いのよ。ベッドを使って休むほどではないから簡単な処置くらいで終わらせるんだけど。熱中症でもないし。…お茶菓子がお気に召したかしら?今、とても良い顔をしていたわ。」

嘆息した後、理央くんの表情が綻ぶのを見てちょっぴり驚いた様。礼儀作法の折り目正しい少年がふと覗かせる表情へ、楽しそうに微笑む。


「うん、それじゃあ…単刀直入に聞こうかしら。
あなたは、沙羅ちゃんと将来婚姻…明け透けに言えば、子を為す気はあるかしら?
ああ、不純異性交遊に関しては、私としてはなーんにも言及する気は無いわよー?そういうお年頃だもの、たくさん『青春』しちゃうといいわ。避妊だけはしっかりしてね?…ま、お話っていうのは今回其れの事なのだけどね。」

特に問い詰めるような気配は無いけれども…理央の感覚からして『覚悟』を問われているような圧は感じる。
…質問は婉曲だが…目の前の保険医が真剣なことが、漂う空気から察せられる。佇まいは穏やかで物言いは飄々としているのだが、茶化されているような空気は無い。不思議な語り口。

神代理央 >  
「……あー…まあ、そうですね。暑いですからね。体調を崩す生徒も多いんでしょう」

やっぱり多いのか。そしてその理由は本当に体調不良なんだろうか。
まあ、真実は何時も一つとどこぞの少年探偵も言っていたので、邪推するのは避ける……避ける。

「…ええ、まあ。これ、私が所属する部活の物なんです。先生にもお気に召して頂いてたなら、嬉しいなって思って」

優等生の仮面が綻んだことにちょっと苦笑いを浮かべながらも、彼女の問い掛けには素直に頷くだろう。
最近、部活にも顔を出せていないなと思案しつつ――


「……また、何というか。先生に聞かれるには心臓に悪い話題ですね。同級生辺りに聞かれるならまだしも。
…そうですね。そうなれれば、と思っています。私自身、色々と至らぬ点がありますので、直ぐに、という訳にはいかないでしょうが。彼女の意志は分かりませんが、私はそういう将来であれば良い、と思っていますよ」

「…避妊については、ええ、その、心掛けます。私も年相応の男子ですが、そういった欲望に負けて暴走しないように心掛けようとは、思っています」

一度、欲望に完全敗北しているのだが。
兎も角、彼女からの穏やかな。しかして、覚悟を問う様な言葉には、僅かな逡巡の後、静かに。しかしはっきりと意志の籠った言葉で応えるだろうか。

しかし、彼女からこの話題が出るという事は、恋人である少女は何らかの相談を彼女にしたのだろう。
色々と察する事の出来ない彼氏だな、とちょっと自嘲気味に溜息を吐き出して、カップに口を付ける。

ビシュク > 「そうね、これだけ暑いとクラクラきちゃうわよねぇ…
…でも、ある意味元気ではあるよねぇ…」

ふぅ、と独り言めいてアンニュイな溜息。…元気…どういう元気なのか、それはアレな意味なのか。

「あら?ということは…理央くんはスイーツ部に在籍しているのかしら?店長のパティシエさんにお勧め聞いたら『オーナー一押しっスよー』って、このクッキーを勧めてもらったのだけど、意外な縁ね。」

くす、っと小さく笑い。最近部活に行けていない理央への、奇妙な縁である…まるで『たまには顔出せ』とスイーツバカに言われているかのように。



「ええ、そのあたりは自覚しているのだけどねぇ…単刀直入にならざるを得ない理由があって、ね?」

前につんのめるが如き前進をして、気づけば顧みることなく…顧みた時には失敗に気づく事もあっただろう少年を、切れ長の瞳で見守るように見据えて、カップを置き。

「学生が答えるには重い話を出してごめんなさいね。
そうあなたが考えているならば大部分話せるわね。


理央くん。沙羅ちゃんは現状子供を妊娠できる身体じゃあないわ。
……言い方が婉曲になるのは悪い癖ね。直に言えば、沙羅ちゃんは『今も死に続けてる』。…あの子の異能を知る理央くんなら、この意味は分かるわね?」

紅茶を楽しんでいる最中の、側頭部をぶん殴られるような言の葉。その語調が穏やかであればこそ…いつまでも、風紀委員の少年の心にずっしりと沈みこむ。

神代理央 >  
「…まあ、先生に会いに来ている様な理由の連中もいるのでしょう。そういう意味では、元気が有り余っているのかもしれませんね」

断じて。断じてこの保健室で過ちが起こっていると思いたくは無いが。まあ、彼女目当ての男子はいるんだろう。
そんな諸々の感情は苦笑いとなって、妙に色っぽい溜息を吐き出した彼女に向けられるだろうか。

「……そうですか。店長が、そんな事を。………私の一押しですから、きっと先生にも気に入って貰えるかと。彼の作るスイーツはどれも絶品なので、甲乙つけがたいですけどね」

料理馬鹿、と言わんばかりのパティシエの少年の顔を思い出す。
彼は今も、ホールとキッチンを行き来する女子達と共に、店で料理に励んでいるのだろうか。
――先日訪れたエンピレオのデザートは、妙に味気なかった。今度、糖分を取りに行こう。


「単刀直入にならざるを得ない理由……?」

はて、と首を傾げる。避妊云々の話ではなさそうだが――

「…『妊娠出来ない』『今も死に続けている』…?それがどう、アイツの異能に関係してい――」

神代理央は、さして医学の知識がある訳でも無い。
よって、彼女程直ぐに、恋人の致命的な一面に気が付ける訳では無い。
しかし、その異能が発動する様を傍で見続けてはいる。『時間が巻き戻るかの様に』再生していく彼女を、見ている。

「……再生していない、とは違うな。再生はしているのか。
不具合を抱えた儘の再生…とも違う。死に続けている、という事は、内臓の問題か。外面的には、問題無さそうではある」

ぶつぶつ、と。
彼女の言葉に殴られた思考が独り言となって彷徨う。

「……いや、そうなる可能性があるのか。将来疾患を抱えたとしても、死ねばその疾患を『そのまま』再生する。
……そのまま再生する?他の部分を無視して?心臓が病魔に侵されたとして、それが死因で死ねば心臓だけが再生される…?」

「………他の臓器は。皮膚や外見は再生されず、心臓だけが疾患を抱えて再生される…。いや、疾患に限らない。アイツは今迄、何回死んだ?何が死因で死んだ…?」

己の砲撃の様に、全身が再生するならば兎も角。
時を巻き戻すかの様に再生する彼女の異能は。

「『再生した箇所と、再生しなかった箇所に、時差が生じる』………?」

そうであって欲しくない、と。
己の推測が間違っていて欲しい、と。
思索の果てに至った結論を、茫然とした表情のまま。
彼女に、尋ねる。