2020/08/13 のログ
雨夜 賢瀬 > こちらを見た。
記憶にある情報と照合する──おそらく確保対象だ。
応援の要請は来ているが……優先順位は、考えるまでもない。

1メートルほどの距離まで接近する。
拳銃嚢への手はそのまま。

「騒がしい中すまないが、聞きたいことがある」

落ち着いた声で問いかける。
慎重にならねばなるまい。何がどう作用するか分からない。
性格等のプロファイリングの資料は無かったのだから。

「君に似たような奴が暴れているのを知っているんだが、あれは君か?」

さて、どう反応するか。
賢瀬は、すこし緊張している。

軍服の少女 > 「......私の...ことか...?」

俯いて見えない口から掠れた声が出た。
1mの距離でも少し聞き取りにくいかもしれない掠れた声。
話しかけられるとは思っていなかったようで、何も用意しておらず、静かに驚いているとも言える声。

「私の事なら...ああ、そうだ。私だ
私が、戦争していた」

掠れた声のまま、肯定の言葉を返した。

雨夜 賢瀬 > 答えは肯定。
ならば、風紀委員の自分がやらなければならないことは決まる。
しかし──

「"戦争"?……ああ、確かに"まるで"戦争だな」

あたりを見回す。瓦礫だけではない、様々なものが散乱している。
血の匂いも漂っているというのに、少女も、賢瀬も、それを気に留めていない。

「とにかく……君がそうなのであれば。
 風紀委員である俺は、君を確保しなくてはならない。
 抵抗する気はあるかい?」

話を戻して、じっと見る。
まだ、いつでも銃は抜けるようにしている。

軍服の少女 > 「確保?......
なあ、一つ聞いても...いいか...?」

確保という言葉に耳がピクリと動いた。

何を言っているのかわからない。
ゆっくりと賢瀬へと向いたその顔には理解ができないという表情が浮かんでおりー

「ここは...この世界で戦争は...戦争は、できるか?」

一縷の希望に縋るような、希望が含まれた声がその口から漏れた。

雨夜 賢瀬 > 「戦争はできるか。……世界?……ああ、異邦の者か」

なるほど。悪い形でここに適応してしまったか。
縋るように言う言葉には悪いが、否定せねばなるまい。

「まぁ、無理だろう。
 過去に目論むやつもいたが、悉くが芽を摘まれてきた」

まぁこの辺りは風紀でなく公安の仕事だろうが……まぁその話は今はどうでもいい。

「──今のこの世界は、戦争を望む君の期待には、添えない」

淡々と言い放つ。

軍服の少女 > 「...............」

賢瀬の言葉へと返答は、無だった。
死んだ瞳は、ただ宙を眺めている。
その先にある賢瀬の顔を眺めるでも、宙のどこかを見つめるでもなく。
無を眺めて。

「はは...ははは...そうか、戦争は、できないか」

乾いた笑みが溢れる。
戦争は無理だという事実に悲観し、絶望し切った声とともに。
泣き出すのも暴れるのも越えた唯の絶望がその声には籠もっていた。


突然のことだった。

右手を突然掲げたかと思えば、その右手を握り締め、その決して小さくない拳を自分の口の中へと、勢いよくねじ込んだ。
拳を納めきれない口の端が避けて血が流れ、顔は絶望への歪みに拳による歪みが追加され、さらに歪に。


そしてー

そのまま、爆散した。

口の中へとねじ込まれた拳が突如として赤い光を放ったかと思えば、少女の頭部を内側から爆散させたのだ。
脳漿と肉片と軍帽の欠けらが周囲へと飛び散り、辺りに赤黒い花を咲かせる。
頭部を失った少女の体はぐらつき、そのまま横へと倒れ、動かなくなった。

雨夜 賢瀬 > 「なにを──」

止めるのは間に合わない。
何をしでかすかわからないから、距離を取っている。
だが、それは攻撃された時のための保険だ。
自害を試みるなど、想定していない──いや、やり取りや佇まいから想定すべきだった。
これは自分のミスだろう。

「ちっ……」

見ていて気持ちの良いものじゃないが、見たからと行って正気を失うようなものでもなかった。
俺は仕事に来ている。顛末を見届けた以上、確認して、報告しなければ。

そうして、満開の骸と化した少女へと近寄る。

軍服の少女 > 少女は死んだ、と思われた。

いや、死んだのだ。確かに死んだ少女。

しかし、少女の影は死んでいなかった。

影ある限り、本体も死なない。

朧げに在る少女の影は爆散した頭部の形を留めていた。

影が少女の首のない体を包み込んだ。
黒く、干渉できない闇が少女の体を完全に包み、覆い隠し、全てから遮断した。

そして10秒程度だろうか。
影の繭が少女を包み込んでしばらく経つと、影の繭が消滅しー

「...だろうな、死ねないだろうな」

無くなった頭部どころか、吹き飛んだ軍帽も確かに有り、耳を濡らしていた赤も消え、全身何事もなかったかのように綺麗な状態になった少女が体をおこす。
ハハハ、と乾いた笑みを浮かべながら賢瀬の顔を見つめた。

「確保だったな。自由にすればいい。私は抵抗する気はない」

僅かにやつれた表情で、賢瀬を見つめた。

雨夜 賢瀬 > 骸が陰に呑まれる。
思わず警戒する。異能か、それとも違うものか。第三者の可能性もある。
ただ──黒く包まれ変容する様が、自分の変身の異能のようだな、と思った。

周りに目を向けていると、少女が起き上がる。

「……蘇生したのか?」

普通に驚く。賢瀬はベテランでもなんでもない。
どう見ても死んだものが蘇るのは、流石に想定していない。

しかし、確保対象は目の前にいるのだ。であれば再開するしか無い。
調子を乱されている、頭を掻いて気を取り直す。
拳銃嚢へ添えていた手を離す。

「わかった。現時刻を持って確保……えーと」

手錠をその腕に通す。完全に形式だ。
こんな物は拘束としては無意味だが、周りを納得させるシンボルとして機能する。

それから通信で車両を手配する。
それが到着するまでは、少し時間がある。

「少し時間があるな……よし。司法取引って、わかるか」

軍服の少女 > 「蘇生、というよりかはそうだな
健全な状態に戻った、というところだ」

大人しく拘束されながら、先程までとは違いしっかりした調子で言葉を返していく。
少女の言葉の通り自爆で受けた被害どころか全ての損傷、汚れが無くなり精神もマシな状態へと戻っていた。

「司法取引?知っているが、それがどうかしたのか?」

知ってはいるが、と言った様子。
手錠を嵌められるのは初めてである少女はそれをかちゃかちゃと鳴らしながら答えた。

雨夜 賢瀬 > 「なるほど……?
 まぁ何でも良い。収容したら、調べることになるだろうし」

確かに全てを諦めたような雰囲気さえなくなっている。
かわらず抵抗の意思は無いようだから、とりあえず置いておく。

「知っているなら話は早い」

ふぅ、と息を吐く。

「この島は様々なものを研究している。
 治安維持に必要な情報も求めている。

 君が有用だと示せば、待遇がよくなったり、研究成果の恩恵を得られたりする。 
 価値観を変えたり、欲求を抑えたり。
 あるいは君が死ぬ方法を見つけてくれるかもしれん」

軍服の少女 > 「ん?なんだ?ここでは司法取引は当たり前なのか。
ふむ...そうか...困ったな、司法取引についてなぞ今まで何も学んでこなかったぞ」

いつもの癖で腕を組もうとするも拘束されている事を思い出し諦め、その姿勢のままで悩みこむ少女。
今まで殺して殺して、解決する事案が発生する前に殺していた少女にとって司法取引は程遠い存在で。
こちらの世界で戦争ができないとなれば、これからはそう言ったことにも触れなければならないのだろうな、なんて考えており。

「私の有用性、か。
ああ、別に私は死のうとは思っていないさ。さっきのは少し絶望しすぎただけだ。
少しずつこちらに慣れていけば先ほどのようなこともなくなるさ。
それに寿命がこれば死ねる。それ以外では死に方は知らん
ふむ...にしても有用性...軍事力として運用されることなら慣れている。兵士をやっていたのでな」

流暢に言葉を紡ぐ。
自身の有用性という部分を探している様子で。

「ところで、ここはなんという場所なのだ?
先ほどから"島"と言っているが。そもそもここは私のいたところではないように感じるが、どういうことだ?」

雨夜 賢瀬 > 「ああ、当たり前だと思う。
 特に"死ねない"とかは研究者も興味を持つだろうし」

"殺せない"から、始末に負えないので爪を切ってもらう、と言う意味もあるが。
手錠については不便そうにしているので、車に乗ったら外していい、と伝える。

「ああ、あくまで一例だ。
 要するに牢屋に繋がれる見世物になるよりはいいだろう、ということだ。
 俺ができるのは口添えまでだから、決めるのは上だろうが……」

戦争"もどき"を起こせる程度には、人心をもまとめたりもできる存在なのだろう。
少なくとも、目の前の犯罪者は、意思疎通もままならない獣ではないようだ。

「ここか。ここは"地球"という星にある"常世島"という場所だ。
 異世界からやってくるものも多い。恐らく君もそうだろう」

軍服の少女 > 「ふむ...そうか...
この世界でもやはり不老不死というのは夢なのか?
ならば確かに交渉材料としては十分に働きそうだ」

自分がこれからどうなるかはわからないが。
死ぬことはないし、"実質的な死"を迎えることもないだろう。
ならば、比較的余裕のある態度で居て。

手錠は後で外せると伝えられれば、思ったより不便なのだな、と返して。

「ふむ...私をどう扱うか...楽しみだな、ここの"上"は」

かつての"上"は自分を持て余し、恐怖していた。
さあ、ここの"上"はどうだろうか?

「なるほど...つまりここは異世界ということか...そうか...私は異世界へ飛ばされたのか
"上"も意外とやるな。

にしても...そうか...戦争は出来ないか...」

戦争とは。
大量虐殺の隠語であるのだが、常人では理解できないだろう...
悲観に暮れた雰囲気で少女は眉を潜めて。

「ああ、名乗るのが遅れたな。私はラヴェータ。ラヴェータ・ワーフェンダー・クリークラーク。
貴様らのいう異世界で兵士をやっていた...狐だ」

雨夜 賢瀬 > 「それはやっぱり、永遠のテーマなんじゃないかな。
 俺はあんまり気にならないけど」

永遠の生など生が充実してるモノが求めるものだ。
やれやれと肩を竦める。

「まぁ、そのへんは自分が有利になるように交渉してくれ。
 俺は下っ端だからな。できることもあまりない。」

そろそろ車が到着する頃だろう。
別件の犯人連行だと伝え、代わりの応援を頼むついでに普通の車を手配したのだ。

「そう、異世界。困ったもんだよ、
 こっちがわは門はロクに制御出来ないらしいのに、送られてくるばかり」

はぁ、とため息。

「ああ、ええと。雨夜賢瀬。
 風紀委員……他所で言うところの警察組織だ」

軍服の少女 > 「私のとっては当たり前だからな。
あまり魅力は理解出来ん
 抜け殻に近い同族だっているというのにな」

こちらも同じくやれやれ、と言った様子で肩を竦めて。
ただ、その理由はあくまでも種族的な価値観の違いであり賢瀬とは異なるが。

「ああ、問題ないさ。これでも私は上と直接話してきたからな。
どんな輩かは知らんがまあ問題はないだろうさ」

ハハハ、と余裕綽々な態度を見せて。

賢瀬のため息にはそれは気の毒だったな、と同情の言葉を送ろう。

「警察?よくわからんが貴様の名前は覚えたぞ、ケンセ
私がこの世界で初めて覚えた名だ
よろしくだ」

戦争が出来ないことへの悲観から打って変わり、ニッと笑って見せる少女。
片手でも自由なら握手を差し出していただろう。

そんなタイミングで、風紀の車両が到着した。
武装した数人の風紀が周囲や少女を警戒し、数人が少女を車内へと連れて行こうとする。
少女も特に抵抗することなく、せいぜい「優しく扱ってくれ」などとちょっとした不満をこぼしながら、車両へと乗せられた。

雨夜 賢瀬 > 「ああ、そういうケースもあるのか」

死んだように生きている、というやつだ。
目の前の少女も、そうなる可能性が目前にあるが……。

「そうか。月並みな言葉だが、頑張ってくれ」

それは彼女次第というもの。

「憲兵とかそういうヤツのほうが通じるのか?まぁなんでも良いか。そのうち分かる。
 まぁ、よろしくな」

犯罪者によろしくっていうのもどうなんだ、と思ったが、まぁ一期一会というもの。
また何度か会うことになりそうな気もするし。
ふ、と口元で笑ってみせた。

降りてきた風紀らによる少女の扱いはさもありなん。
起こしたことがことだから仕方ない。
状況の報告が必要故に、到着した車には賢瀬も同乗する。

軍服の少女 > こうして常世島において小規模な戦争を引き起こした首謀者は雨夜賢瀬によって捕縛され風紀委員会に連行された。

そして様々な過程の末に準一級監視対象となった。

"上"とどのような取引があったかは本人と"上"のみが知ることである。

そして、また色々とあって第一級監視対象《血濡れの戦犯》となるのはこれより一年先の話だ。

ご案内:「三年前、落第街」から軍服の少女さんが去りました。
ご案内:「三年前、落第街」から雨夜 賢瀬さんが去りました。
ご案内:「保健室」にビシュクさんが現れました。
ビシュク > 「ん、ん、んー…♪」
鼻歌を歌いながら上機嫌に、自身の受け持ちたる保健室への廊下を歩む保険医妖狐。

ふっかふかふさふさの銀尾を右にふわふわ、左にぽわぽわ。
その左手にはお菓子の化粧箱、右腕には中身の詰まったクラフト紙紙。
「良いお菓子に当たったわー♪これでお茶の時間も安心ねぇ…♪」

どうやらお菓子の買い出しに向かっていたようで。常世島での暮らしを満喫している異世界狐である。

ご案内:「保健室」にイヴさんが現れました。
イヴ > スッ…
そんな銀狐を追いかける小さな影

スッスッ…
器用に校舎の物陰に隠れながらすばしっこく移動
ちら、とたまにその姿を確認するように物陰からちょっとだけ顔を出す

なかなか手慣れた尾行
でも残念ながら隠れているつもりでおっきな三角耳と尻尾が物陰からゆらゆらと見えている

ビシュク > 「ん、ん………んんー??」

ぴこんっと立った、三角の銀狐耳がほんの僅かな物音と気配を察知して…

「ん、ん、ん、んー………♪」
鼻歌を歌い続けながら…次の角を曲がったところで待機して。
尾行を続ける少年の耳と、自身の気配を誤魔化す式神を自身の先へ展開。足音を立てさせながら


「――――こぉーらっ、誰かしらーっ?」
曲がり角で近づいてきた気配へ、がばーっとサプライズハグ!

イヴ >  
ススッ…

気配は先に進んでいるものだから、
待ち構えられているなんて全く思わず

ひょい、と曲がり角から顔を出して……

「わぅー!?」

突然がばっとだきしめられて驚きの声をあげたのは
小学校中学年程度?の小さな狐
黄金色の長い髪と、今しがた抱きついてきた銀狐と同じ色の瞳

びっくりしたことを表現するように、ふわもこ狐尻尾がぶわーっと総毛立っていた

ビシュク > 「ふっふっふー、センセーを尾行しようなんてどこの誰かしr………あらぁー…?」

そして、今しがたハグ捕獲した美少年おきちゅねと同じ色の朱瞳をぱちくり……数度瞬かせてから、覆い被さるように抱きしめてるか細いもやしっこボディをすりすりして。

「…イヴくん?どうして常世島に居るのかしらー?」
もふもふ、すりすり。確認しながら愛息子をハグ継続。うん、このハグ心地は間違いなくイヴくんである。

イヴ >  
「えへへ…バレちゃったー♪」

すりすりされながら、心地よさげにその目を細める
びっくりしてもこもこになっていた狐尻尾もふんわり下に戻って、嬉しげに揺れている

「んー…最近ママが楽しそうにお出かけしてるから、
 ドコに遊びにいってるのかなー、って気になって」

「ついてきちゃった」

にぱ、と悪びれない笑顔を見せる

ビシュク > 「バレちゃったー♪じゃないでしょ、もう…」

苦笑しながら、ひっそり学舎に忍び込んじゃった愛息子のしっぽをもふもふ。今日も素敵なキューティクルなのを確認、24時間モフっていられる。

「もー……寂しがり屋さんなんだからっ♪」

そんな無邪気な笑顔を向けてくるイヴくんを、ぎゅーっっ♪っと一際強くハグって、すりすりすりすり…息子が可愛くて可愛くてたまらないのを、全身で表現して。

「来ちゃったものはしょうがないものねぇ…ん、ん、それじゃあ報告はあとにして、ママが担当してる保健室に行きましょっか?」
いずれ来そうだとは予想していたものの、思いのほか来るのが早かった息子のか細い指を引いて、女の子みたいにさらさらの髪をわしゅわしゅ…

イヴ >  
むぎゅむぎゅ抱きしめられて尻尾をふわふわ撫でられて
心地よさげな甘ったるい笑顔を見せるちび狐

母の言葉通り、寂しかったのもあったのだろう
周りにたくさん人がいたとしても、家族の温もりは特別だから

指を絡めて手を引かれて、廊下を歩く

「此処って学校、だよね?ほけんしつ…ママ先生なの?」

まんまるの大きな瞳が見上げながら、問いかけて

ビシュク > 「………もう、ほんと仕方ないわねぇ………」

そんな嬉しそうにほにゃほにゃ喜ばれては怒ることも出来ず――そも、最初から怒る気は皆無なのだが――友達が多いとはいえ、まだまだ甘えたい盛りの息子を置いて異世界に渡ってしまった自分にちょっと反省する母狐であった。

「ええ、そうよ。常世学園っていうの…で、ママはそこのママ先生。ふふ、白衣似合ってるかしらー♪」

眼鏡をくいくいっと上げて、指で摘まんだ白衣をひらひら、しっぽふわふわ。茶目っ気たっぷりのモーションをキメて微笑むママンである。

イヴ >  
「ふーん…不思議なところだね。色んな気配が、いっぱいする」

大きな耳をぴこぴこさせながら、そんな感想を漏らす
式神使いとしての才能は親譲りの折り紙つき
多くの異邦人がこの世界にいることを敏感に感じ取っている

それからなんだか得意げにメガネをくいくいして白衣をどやーんとする母

「うん!いつもの格好と違う感じだけどすっごく素敵で綺麗でカワイイよぉ、ママ!」

お世辞の『お』の字も感じさせない素直で快い、即答でした

ビシュク > 「イヴくんや私みたいな異世界びともたくさんいるし、何よりこの島は異能…簡単に言えば超能力者さんね。そんな子たちがたくさんいるから、その気配を感じるかもしれないわねぇ…」

天賦の才に恵まれた式神使いの愛息子をなでなでしながら、廊下を行き、保健室前へ。

「ふっふっふー♪そうでしょそうでしょー♪お仕事してる姿見たらもーっとイヴくんに素敵って言ってもらえるかもしれないわねーっ♪」
\ドヤーンッ!/
……そんな書き文字が見えそうなほどのドヤ顔で、息子の褒め言葉をストレート受け止める妖狐。チョロ…チョロ…!!

「さ、てっと。…とりあえずココでのーんびりしましょっか。常世島に来て、へんなところには行かなかった?へんなヒトにもついていってないわよね?」
見たところ、ビシュクの妖気を辿って追ってきたように見えるから、大丈夫だとは思うが念のための確認。息子への心配はひとしおなのである。

イヴ >  
異世界人が沢山、そして普通という括りでない人が沢山いる、と聞けば腑に落ちたような表情
まだまだ、感じ取るだけでそれらの分析までとはいかないのだった

保健室へと到着すれば、そう広くはないだろう室内をわー、とぱたぱた足早に見回り
学校自体が初めて。やや心躍るものがあるのかもしれない

「わーわー、ここでお仕事してるんだね。
 お仕事してる時のママかっこいいから、きっと素敵だよ!」

にこー!
親の教育の賜物なのだろうけれど、含むものも何もない良い笑顔
だからこそ、過度な褒め言葉になっていてもイヤミを感じさせない…

そしてやや真剣なトーンになった言葉に、やんちゃ成分はおとなしくなり、その場にあった丸椅子にちょこんと掛ける

「ウン。ママの匂いについてきただけ」

ヘンなところにもいってないし、ヘンな人にもあってないよー、と首をぶんぶん振っている

ビシュク > 「イヴくんはまだ学校にも通ってなかったものねぇ…んー、確か入学の際は、他の世界と違って年齢や種族は問われないらしいから…」

入学できそう、かしら?と口内で呟きながら、人差し指を顎にあてて思考。

「んん~~~~~~~♪♪もぉーっ、イヴくんはママを喜ばせるのがお上手なんだからーっっっ♪♪」

オーバーキル褒め言葉をするおきちゅね美少年に、丸椅子の後ろからがばーっと縦セタっぱいを押し付けるようなハグしてほっぺにちゅっちゅっちゅ。この母狐…親バカである…!!!

「………うん、それは良かったわ。
イヴくんだったらすぐに感知できると思うけど、直感で『絶対近寄っちゃいけない』と思った気配があったら、何があっても避けなさい。仮病でも、妖術の行使でもなんでもいいわ。…絶対よ?」

いつになく真剣な瞳。…この学園に侵略してきた気配の一つを思えば、この警告であってもまだ足りないのだが。

イヴ >  
「んぅ?がっこーに通えるの?」

小さく首をかしげる小狐
ただでかけた親についてきただけのちびっこ狐はそんなこと全然考えていなかったようで

「わふー♪」

むぎゅりむぎゅりとハグされれば実に嬉しそうな声をあげる
きっと、多分、この二人はいつもこんな感じなのだろう

そしてうってかわったような真剣の瞳
妖術の使用許可まで降りることなんて、めったにない
だから小さいなりに、重大なことなんだと理解する

「う、うん…。わかった、言うとおりにする…」

ちょっとした圧すら感じられる
それだけ本気で、危ないものがあるのだと教える母に素直に頷く

ビシュク > 「ええ、いろいろと守らなきゃいけないルール自体は勿論あるけど…それさえいいこにして守れるなら、イヴくんも通えるんじゃないかしら?」

まさかイヴくんがこんなに早く来るとは思ってなかったため考えてなかったが、それが普通に叶うことに言及して。

「………うん、いいこ。じゃあ、指切りげんまん、ね?」
イヴくんの、さらさらふわふわのプラチナブロンドヘアを撫でながら、無意識に放つほどに切迫した圧を緩め、微笑む。
……息子が知りえるだろう、母狐の力を以てしても最大限の警戒をしなければいけないようなモノとは、一体何なのだろう、とイヴくんの心に疑問を残して。

イヴ >  
「学校、行ってみたいかも!
 カワイイ女の子、たくさんいるー?」

にこー!
再び会心の笑み
後半はやや素直すぎる言葉も出ているが

「えへへゆびきりー。
 えーっと、嘘ついたら納豆チャーハン飲ます…のじゃ?」

違う、それは姉達がしていたやつ

ビシュク > 「もぉ、イヴくんたらほんとに女の子好きさんなんだから。
泣かせちゃダメよ?鳴かせるのはいいけどね?」

愛息子をにこにこモフモフしながら、なにげにとんでもないことを言い出す母狐。
…過去に一度息子が『やんちゃ』しすぎたときの、今まで見せなかった母の顔は、未だにイヴくんのトラウマとして焼き付いており…

「イヴくん??ソレの正解は『はりせんぼん』だからね?納豆チャーハンはお姉ちゃんたちだけよ??」

間違って教えたイヴの姉狐には、あとでたっぷり料理特訓を施そう。そんなことを考えながら

「ゆーびきったっ。…うん、これで安心ね?」
くすくす微笑みながら、穏やかに為された約束の指を撫でて。たとえ、その契りの内実が穏やかでなくとも、息子と交わすなにげない時間は、家族への愛情深い狐にはかけがえのないもので。

イヴ >  
「うふふー大丈夫ー。
 可愛い女の子、一杯いるといいナー♪」

クス、と浮かべた笑みはその小さな身体にはちょっとだけ似つかわしくない、色香の混じったもの…
もちろん、過去母親と交わした言葉も約束も忘れない
今思い出したって、尻尾の先がちりちりする

「はりせんぼんだったー、のーますーゆびきったー♪」

新たな約束を結び終わると、もふーっと正面から抱きついてふこふこ
たっぷりと母親の体温なんかを感じ取りながら、視線の先にあるカーテンなんかを見つめて

「保健室って寝るところもあるんだぁ」

そっか、具合が悪い人も来るんだもんね、と
いくつか用意されているであろう、カーテンの向こうから見えるベッドの足を見て、そう漏らす

尻尾をぱたぱたさせながら、初めて見る保健室のあちこちに視線を巡らせていた