2020/08/22 のログ
羽月 柊 >  
突き放してくれたら。

放り出して帰ってくれたらという思い。
他人が欲しくて仕方が無いという思い。

それらがないまぜになって相手に囁いた言葉は、酷く曖昧で、稚拙だった。


 それへの答えは――触れ合う熱。


「っは………、……――ッ!」

密着してしまえば、相手に熱が、甘い香りが伝わる。
拭ったとて、それは相手をも僅かに巻き込む。

離せる訳が無い。やめろと言う自分に答えられない。
ただでさえどうにかなってしまいそうだというに、
熱を貯め込んでいる近くをなぞられれば、


ぷっつりと、理性が飛んだ。


後頭部へ手を回して、
噛みつくように唇へ唇を重ねようとする。

ヨキ > 息を。
大きく吸い込んで、不敵に。

「あはッ」

唇を塞がれる直前、そう短く笑ったのは聞き間違いではない。

首を軽く傾ぐようにして、柊の唇を受け止める。
後頭部を抑え付けられたとて、膂力の差は判り切ったこと。
それでも、ヨキは逃げなかった。

唇を食む。
牙の先が、唇の粘膜を柔く刺激する。

唇と唇の合間から零れる息継ぎ。

舌先が相手の口腔を侵し、水音を立てる。

指先が、手のひらが、内股にするりと入り込む。
衣服に手を掛けることも、足の付け根より奥へ立ち入ることもせず。

相手の熱を、引き出し、弄び、煽る。

羽月 柊 >  
後頭部を弱く撫でる。
手にはめられた様々な装飾が、撫でる度独特な感覚を生む。

かつての獣に縋るのは、なんの力も持たぬ人間で。
彼らは同じ性別を持っている。


最後にキスをしたのは、この右耳のピアスの対が居た時。

これは変化なのか、それとも。


急くように、相手の熱を感じるように口付けを交わす。
最早そうなってしまうと理性の枷はなんの意味も持つ事はなく、
舌が絡み、音に煽られて自分より大きな彼を抱く腕が、肩が跳ねる。
口付けで軽く意識が飛んですらいるのか、相手が煽るのにつられ腰がひくんと痙攣する。

「っは、……んン、ッァ……は………ッ。」

ヨキ > 唇を離すと、唾液が細い糸を引く。
長く息を吐き、己の唇をべろりと舐めた。

「全部吐き出してしまえば、楽になれるものを」

言うなり、再び唇を重ねる。

太腿を焦らしていた指先が、内股を滑り、その奥まで入り込む。
やがて――柊が隠そうとする熱の源を、布地越しに撫で上げ、擽って、ゆっくりと擦り上げる。
重ね合う唇の柔らかさと、柊の内から沸き上がる熱を結び付けるかのように。

唇を離し、耳元で囁く。

「――それで? 女だってもう少し貪欲だぞ」

笑い掛ける。

「君がやりたいこと、してみろよ」

羽月 柊 >  
同性を相手にしたことなんてもちろん無い。
熱に浮かされたまま、耳元で響く低い声が鼓膜を擽る。

理性が焼き切れているとはいえ、惑いは多くあった。

それを欲と熱が手と手を取るように、
黒のスーツ越しでも照明に照らされて張り詰めている箇所に触れられれば、
そこは口付けのせいもあってか、酷く熱かった。

力の無い身体が、相手ごとベッドに倒れ込む。
自分より大きな彼を下に敷いて、上着を脱いで。

普段の思慮深い羽月柊はそこには居ない。


「……っは、……っ」

煩わしそうに、熱で動かない手で己のネクタイを解く。
ボタンを外そうとして力加減が上手くいかず、最上段のそれが一つ糸を切って飛んで行った。
フローリングの床を転がる音なんて、もう耳には届かない。

人間とて、結局は獣だ。

ヨキ > ベッドの柔らかな感触。
普段は見下ろしている柊が、己を見下ろしている。

「………………、」

その呼吸は緩やかだった。
息を殺し、抑え込んで、柊を見つめる。

「……もっとだ」

手を伸ばし、柊の頬を包み込む。
煽り立てるように、笑う。

「君が楽になれるまで、好きにしろ」

それは詰まるところ――荒療治だ。

「ヨキは」

笑っている。
ずっと笑っている。
不敵に笑う、その唇が。

微かに震える。

「どうなってもいいから」

どこまでも、友人としての言葉。

大きく息を吸い込む。何度でも。
柊を苛む香りを、己の内にも取り入れるかのように。

羽月 柊 >  
止めたい。

シャツの前をはだけさせて。
筋肉もあまりついていない魔術師の身体が露わになる。

止めたい。

相手の服を脱がせようとして手が震えて出来ず、
それでも狂った熱に突き動かされるまま、相手の上に覆いかぶさって、熱を相手に擦りつける。
長い髪がヨキを撫でる。

やめろ。

「ァ……ッ、ぃや……だ………ッ」

友人にこんなことをするのは、嫌だ。

頬を涙が伝う。


けれど言葉と身体は完全に分離していて、
何度も口付けを繰り返しては、片手をヨキの真横について身体を支え、
ズボンの前を寛げようとする。

やめさせてくれ。

ヨキ > ヨキの脈はいつもより早かった。
口付けを重ねるたび吐息が零れて、組み敷かれた肢体がもぞりと身動ぎする。

けれど。

不敵で不遜な笑みが固まったのは、相手の口から、いやだ、という言葉が漏れたから。
その頬を伝った涙が、自分の頬へと零れ落ちたから。

「な……」

腕を持ち上げる。

「……んだよ、……」

下衣に手を掛けた柊をそのまま抱き寄せ、身体を密着させる。

「無理は、するな……」

長い髪の影から、耳打ちする。
柊の耳に掛かる吐息は、少なからず熱を帯びていた。

羽月 柊 >  
「……っおまえ、に……こん、な…っ…ッ」

今、一番近い友人に。

手の届く相手に。

何故自分はこんなことをしているんだ。


まるで乱暴を働くような行為を、
受け入れてくれたからと、甘えて。

身体が擦り合えば、ヨキの上で背筋が反る。
涙を零したまま、首筋に擦りつくように抱き締める。
ずるずると密着すれば、半端に頭を出した下肢の熱が相手を擦る。

「ァ、…う、んン………ッ」

それだけで、男の低い声が跳ねる。

ヨキ > 「泣くなよ」

柊を抱き締めたまま、ぼそぼそと呟く。
触れ合った体温が移ったかのように、ヨキの下半身もまた熱を孕んでいる。

「ヨキが苛めたみたいではないか……」

か細く笑う。

「不可抗力だ。寝て起きたら、きっと忘れる。
……そう祈れ」

微笑む。背中を片腕で抱き締めたまま、もう一度問う。

「……君は。どうしたい?」

もう片方の手が、再び二人の身体の間に潜り込む。
肌と肌の間を探る指先が、晒された熱の先端にちらりと触れた。

「これ以上は、嫌か?」

羽月 柊 >  
「………ン、ぅっ…~~~。」

散々に香りに冒されたそこは、
触れるだけでだらしなく涎を垂らしていた。
熱を出したいという欲に苛まれ続けているのは変わらない。

時折波のように戻る正気が、嫌だと訴える。

それでも、身体が相手を求めて止まず、掻き抱くようにすると、熱同士が僅かに擦れる。
決定打に足りる訳も無いが、びくびくと身体が痙攣する。


「あ……つぃ………。」

再び欲望が口をついて出て、首を横に振る。

「だし、た、……ぁッ……っく…。」

ヨキ > 「…………、ふふ」

欲望とその否定とが綯い交ぜになった様子に、小さく笑う。

「最初で最後だ。いつまでも苦しがる君を見るのは、ヨキも本意ではないから」

ごろり。
相手を力任せに引っ繰り返して、今度は自分が組み敷く側。

ベッドに倒れ込む折に放り出した鞄を引き寄せ、中を探る。
取り出したのは、避妊具がひとつ。

「直接出すよりは、こちらの方がましだろう」

開封して、柊の熱に覆い被せる。
ヨキが己のために買い求めたそれは、少しだけサイズが余ってしまう。

それでも、構わずに。

ヨキの大きな手が、柊の熱を上下に責め立てる。
緩急を付けて、心地よい速度を探るように。

羽月 柊 >  
体調を崩した状態でさえ、ここまで思考が落ちてはいなかった。

崩れると脆いのは確かなのだが、柊のこんな姿は、
後にも先にももう見れはしないだろう。


そのままなら、またどうにかしようと動いていたかもしれなかったが、
ただでさえ撫でられるだけで跳ねる身体は容易に視界が周る。

「ヨ、き……ッぁ、ぐ……んン…っ!」

一般的な日本人男性のそれ。
避妊具を被せる為に露出すれば、確かに誰かを抱いたことのあるもので、
はち切れそうな熱を抱え、腹の方を向いて反っていた。

ゴム越しとはいえ、漸く欲していた刺激が直接与えられれば、唇を思い切り噛んで仰け反った。
同性にこんなことをされるなど、経験があるものか。

一度目はすぐに訪れる。それでも、熱は治まらない。
すぐに高められて、そのうち探り当てられた反復行動に口が開く。噛んで血の滲む唇が。

「っぁ、は……ッぁ、ぃ、……ッ!!」

熱のまま、相手の腕を引く。
相手と密着する箇所が増える程、啼く。

ヨキ > 相手の顔を見下ろしながら、手元は淫猥な音を立てて優しく搾り取るように上下している。

「……ヨキだって」

その語調は、さながら世間話のように。

「男と口付ける機会が、“また”来るとは思わなかったよ」

ぽつり、ぽつりと。相手が聞いていようといまいと、構わない風に。

「他人の一物を扱くなど、以ての外だった」

規則的な上下動。

やがて己の手のうちで柊が脈打ち、果てる。
避妊具の口から白濁を溢れさせながらも、手を止めることはない。

腕を引かれ、再び距離を縮める。

「……もしも、忘れられないとしたら。
ヨキの手を見るたびに、唇を目にするたびに、思い出すのかな。
まったく君は、苦労が絶えんな」

他人事のように、小さく笑って。
下半身への刺激を続けながらに、今一度唇を重ねる。

蹂躙めいた口付けと、相手を突き上げる快感とを結び付けるために。

羽月 柊 >  
先程まで時折戻って来ていた正気は完全に消え去り、
熱に呻くように啼き、口付けで零れる唾液が、
涙が頬を伝ってベッドシーツに落ちる。

交わした唇は、僅かに血の味がした。

何も思考出来ない。何も言葉らしい言葉が紡げない。

ただ、その瞳の色と同じ、甘い色の香りに任せるまま、
相手を掻き抱いて悦いと訴えた。


熱が尽きるまで、その意識が疲弊に奪われるまで。

「ぁ、んん、ンッ……ふ、ンんッ!」


だらしなく、情けなく、蕩けた表情で。

数度、熱が避妊具を満たした。

しばらく続けていれば、そのうち勢いが衰え、
ヨキを掴んでいる手にも、縋ることすら力が無くなって来る。

ヨキ > 竿を絞るように。先端を弄ぶように。
繰り返し繰り返し、果てても果てのない刺激を与える。

そこにもはや言葉はなく、熱っぽい吐息が交わされるだけ。
静かな空間に、体液の音と柊の声だけが響いて――



――それから後。

やがて力尽きる柊の傍らで。
避妊具の口を縛って処分し、汚れの後始末をして手を洗うヨキの姿がある。

「…………、」

柊の横に、ごろりと転がる。

「……………………」

長い長い、長い息を吐いて目を閉じる。

「……落ち着いたか、羽月?」

目を閉じたまま、寝言のような小声で尋ねて。
眼鏡を外し、その顔を拭った。

羽月 柊 >  
「……、………。」

漸く熱が治まった。
余韻から、静かながらも震える呼吸を繰り返す。

自分は何をした?

友人に縋って何をしていた?

「………、あぁ……。
 あぁ……すまなかった………ヨキ…。」


一度ゆっくりと頷いて。
最早謝るしかない、薬のせいとはいえ。

「ヒトとして……、最低な………あぁ、
 …自己嫌悪で…死にたいやら消えたいやらはこういう……。」

疲弊して重い隻手の掌で顔を覆う。
全く今まで死にたいと思ったことは無かったのだが、
羞恥やら情けなさやら覚えているやらで消えてしまいたくなった。

ヨキ > 顔を拭ったのち、目元に腕を押し当てたまま話す。

「気にするな。仕方のないことだ。
……ああする他に、仕方がなかった」

そう繰り返す。

「全く、ヨキも中てられたものだ。
下手をすればあのままヨキまでおかしくなっていたかと思うと、ぞっとしないな」

ヨキは今、裸足になってベッドの上で両膝を立てている。
下肢に残ったわずかな熱のやり場を失くして、ただそのようにじっとしていた。

「ここでもう少し、休ませてくれ。
君も疲れたろう? ……とりあえず、休んでおくといい。
どうやら君の自己嫌悪は、しばらく消えなさそうだがね」

顔から腕を下ろす。
隣の羽月を見遣って、可笑しげに小さく笑う。

羽月 柊 >  
「……本当に、すまなかった…。
 放って、置いて帰っても……良かったというのに。
 君には……その力が、あったろうに…。

 …男の……相手をさせる、羽目になってしまって…。」

言葉にすると余計に自分が罪深いことをした気分になってしまった。
ベッドに身体を投げ出して、隣のヨキを重い頭で見やる。


「……服やらは弁償する……。
 この部屋は、こっちでの拠点みたいな、モノで………。

 好きに、休んでくれて、構わんから………。」 

一通りの家具も、ユニットバスだが風呂もある。

「……動けるように、なったら、君の着替えを…買ってくる……。」

ヨキ > 「友人が苦しそうにしているところを、放っておけなかっただけだ。
気にするほどのことではない。次にヨキが困るときがあれば、助けてくれればいい」

服の弁償と言われると、頭だけを起こし、自分の服を見る。

「君はともかく、ヨキの方は平気だろう。
ゴムを被せておったし……、ああ、手を濡らしたのが少しだけ着いたか。
ふ……、ふふ。よりによって、黒い服を着た日にな」

くすくすと笑う。

「…………。

あとのことは、眠ってから考えよう。
安心したら、何だか眠くなってきた。……」

気が付けば、時刻は深夜。
声が少しずつ、眠たげに弱まってくる。

それからそのまま、ひどく無防備な体勢で眠りに落ちてゆく。

甘い香と、噎せ返るような精の匂いと。
それらに包まれて尚、眠気に抗うことは出来なかった。

ご案内:「常世渋谷 夜街近く」からヨキさんが去りました。
羽月 柊 >  
「………あぁ、……必ず…。」

世話になりっぱなしだというのに、
どれほどのことをすれば、恩が返せるというのだろう。
隣から聞こえる言葉を聞いて、寝息を聞いて、
拒絶されていないことに安心感を覚える自分が愚かしくてならない。

ヨキの黒い服についている自分の飛沫に眉を顰め、
本当に起きたらせめて上着なりを買ってこなければ、と思う。
思うのだが、普段ろくに処理もしていない男にとっては、疲弊が大きかった。


「…………ねむ、ぃ…。」

考えがあやふやになっていく。

もう疲れが限界だ。
友人とはいえ、息子や小竜以外の、こんなに近くで……。



そうして、いつの間にかヨキの隣で、柊も寝息を立てていた。

目が覚めた後の彼らの会話は、彼らだけの話。

ご案内:「常世渋谷 夜街近く」から羽月 柊さんが去りました。
ご案内:「スラム廃ビル(過激描写注意)1」に殺音さんが現れました。
殺音 > スラムの便利屋コロネちゃん。
今日はお仕事。

今日の頼まれごとは何だったのか。
なぁに、大したものではない。
あいつがムカつくから痛い目に遭わせてくれ。
死んでもいいからとにかく痛い目に。

こういう暴力沙汰はちょっとお高め設定なんだけど払ってくれたんだからやりましょう?
ヒューッと風がふく廃ビル屋上。
そこにはコロネちゃん以外はダーレもいません。

ポッケから取り出したガムボールをピンと弾くと口でキャッチ。

「んっむんっむ…」

もっちゃもっちゃとガムを噛みつつビルから下を見下ろします。

殺音 > お高め設定にはしているものの
この仕事はとても簡単で、お手軽に稼げると、コロネ的には気に入っている。
しかし、この、待ってる時間が退屈だ。
お金もらったら音楽聞けるやつでも買おうかな?

とりあえず状況の確認。
規定地点にマーキングはしてある。
標的はここを通るはず。
このビルの四階地点にも魔術でバミってある。
準備はこれだけ。

「ん、お?きーたきた」

確認を終える頃に、少しだけ通りに自分だけにしか見えない魔力の光。
ターゲットがきたってことだ。

殺音 > 真下に来ると面倒だから少し余裕を持って始めよう。

「はい、よーいどん」

ビルの屋上。
20メートル。
6階建て。
ぴゅーっと風が吹いてる。
コロネちゃん以外ダーレもいない

だから

ぴょんっと飛び降りた。

殺音 > 空中に投げ出された身体は…
普通に落下する。
空を飛ぶとかはない。
風を切って、ふわりと浮遊感。
体の芯が持ち上がるような感触。
男で言ったらタマヒュンってやつかも。

四階のマークを通り過ぎた。
標的は真下に来てないから…もうすこし…もうすこし…
3階半…
ターゲットは気づいてない。
いまだ。

「廻々《ワンダー・アスポーツ》」

殺音 > 地面に到達。
いや、はじめから地面に立っていたかのように。
コロネはそこにいた。

少し遅れて
水っぽいなにか肩柔らかい塊が高所から地面に叩きつけられる音がした。

コロネの少し手前
ターゲットの男が地面に倒れ伏していた。
骨のどこが折れてるのかもはやわからない。
じわりと広がる血は尋常な量じゃない。
口からも鼻からも血を流している。

「びっくりしたー。なに?飛び降り自殺?おにーさんいきてるー?
あーし便利屋のコロネっつーんだけどー。今なら格安で闇医者紹介するよー?
あ、自殺ならいらないか。なぁに?きこえなぁい」

お高め設定にはしているものの
この仕事はとても簡単で、お手軽に稼げると、コロネ的には気に入っている。
ターゲットが虫の息で生きていればお小遣いまでもらえるのだから。

ご案内:「スラム廃ビル(過激描写注意)1」から殺音さんが去りました。