2020/10/05 のログ
ご案内:「訓練施設」にジーン・L・Jさんが現れました。
ご案内:「訓練施設」に日下 葵さんが現れました。
ジーン・L・J > 「馴染みが深い、思い入れがある、そんな理由で不便を飲み込むのは良くないんじゃないかな?ネジの間違いで落ちた航空機だってある、異世界との門が開いて異能や魔術が世界に溢れてるのに、どうして単位系一つ統合できないのさ。失望したよ人類。」
尺貫法からメートル法へ法規制で転換した日本は英断だった。殺し合いの最中に脳の数%も使ってそんな思考をしているのは、これが遊びだからだろう。血と痛みに溢れながら遊んでいるのだ。
「"化け物"ねぇ、私には君はバトルジャンキーな綺麗な人にしか見えないよ。ああ、これでも見えてるんだよ。わかってると思うけどさ。」
相変わらずの歯の浮く台詞を言いながら手に感じるのは肉と骨を切断する感触、足を切り飛ばした。吹き出す血の匂いが鼻腔を満たし、それに酔いかける。
それでも彼女は止まらない。なんてこった、四肢を失うことすら慣れている。どんな人生を送ればそんなことに学生が慣れてしまうんだ?

「喜んでくれてなによりだよ!こんな手段で喜ばせるとは思わなかったけどね!」
こちらの左足は肉壁の役目を果たしてくれた。踵がバランスを崩し、警棒が骨を砕く。ごめんよ私の足、今日は酷使しているね。
だけど、楽しくてたまらない。こっちは一呼吸で、相手は常時再生出来る不死身同士の殺し合い。こんな泥仕合初めてだ。
さっき決めたルールじゃいつまで経っても終わらない。でもそれでいい、こんな楽しいデート、終わらせたくない。
「それじゃあこれは、どうかなぁ!」
穂先と逆側に付いた石突、というよりは小振りなハンマーとも呼べる紡錘型の金具を地面を転がる相手の背中めがけて突き刺すように振り下ろそうとする!まともに当たれば脊椎がやられる、だけど君なら平気だろう?

日下 葵 > 「さぁ、何ででしょうか?
 貴女がおもうほど、人類は賢くないのかもしれませんねえ?」

人間は決して合理的ではない。
悪い意味で不完全なことの方が多い。
まるで訓練とは言えないような殺戮の現場にふさわしくない思考は、
お互いが死なないとわかっているが故だろう。

「バトルジャンキーを綺麗な人なんて言い表すのは恐らくあなたくらいなものですよ。
 ええ、わかっていますとも。
 あなたが恐らく人では無いということも承知です」

およそ日常では送らないであろう会話と戦闘。
そのどちらとも最高に楽しい。本気で殴り合える相手は本当にひさしい。
落とされた足が地面に落ちるのと同じタイミングで地面に転がる。
右手の警棒の手応えは、違いなく彼女の左足を砕いたと確信させるものだった。

「何を言うんですか!最高に楽しいですよ!
 ここまで遠慮なく骨を砕いて、四肢を飛ばしあえる人が相手をしてくれるなんて!」

不死と呼ばれる存在は何人か知っている。
その誰もが、ここまでの手合わせをお願いできるような立場ではなかった。
しかし目の前にいる彼女はどうだろうか、
こんな存在を目の前に、興奮しないわけにはいかない。

「ッ!い、いいですねえ。最高ですねえ……!」

地面を転がった直後、まだ完全に右足が回復していないが為に、
そのまま寝技に持ち込もうとしたとき、背中に何かが刺さる。
正確に脊椎を貫くようにその紡錘型の金具が己の胸から抜ける様をみると、
首だけで振り向いて笑って見せた>

ジーン・L・J > 「全く、アダムとイヴが食べたのは知恵の実じゃなかったのかい?」
故に人は知恵をつけ楽園を追放されたのだが、効き目は十全ではなかったようだ。
口元に飛び散った血を舐めとりながら、呆れたように呟く。もう一つ二つぐらい食べてくれればよかったのに。

「素直な感想さ。君は人間だろう?血の味でわかる。再生力が高くて痛いのも痛がらせるのも大好きで、殺し合いの大好きな綺麗な人。どうかな、これが終わったら食事でも、君の戦い方以外のことも知りたいんだ。
ああもちろん、また戦りあいたい、ってのも結構だよ。私も結構、楽しくてね…っ!」

軽口を叩きながら殺し合える相手なんてそうそう望めるものじゃない、それが美人ともなれば尚更だ。
血の味からは本気で狂喜しているのが伝わってきた、痛めつけるほど、痛めつけられるほど喜び昂ぶる相手に、こちらも背筋にぞくりと走るものを感じる。

直後、石突は骨を砕くどころかそのまま突き抜けてグラウンドを叩いた。今度は冷たいものが背筋を走る。忙しいな。
「やばっ!」
このまま再生されたら中に取り込まれる。素早く"刈り取り"の柄を右足で蹴って内蔵を抉りながら石突の紡錘を取り出そうとする。間に合うだろうか。

日下 葵 > 「ふふ、血を分けすぎて、知性が薄れてしまったのかもしれませんねえ?」

元は二人の人間。
それだって相方の肋骨から生まれたコピー。
それが数十億に分かれてしまえば、禁じられた果実だって、
その原罪だって、薄くなってしまうことだろう。

「おや、それはそれで嬉しいですねえ?
 私のこんな姿を見たうえでまだ人間だといってくれるなんて」

おまけに綺麗だなんて。
本当に人を楽しませるのが得意な存在だ。
人じゃないことしかわからない手前、
彼女が怪異なのか、あるいは異邦人なのか、男なのか、女なのかもわからないが。
それでも、この昂った感情だけは本物だと確信できる。

「おや?慌てるとはらしくないですねえ?」

脊椎を貫かれてしまった手前、下半身はもうほとんど動かない。
しかし上半身はまだ動く。
振り向く格好で”捕まえた”と彼女を見て、
急いで逃げようと柄を蹴るのとほとんど同時、
胸を貫いて地面に刺さる石突を両手で握る。

蹴られた衝撃で身体を横向きに引き裂くように柄は抜けてしまうものの、
両手はしぶとくそれをつかんだまま離さない>

ジーン・L・J > 「人間ってのはね、私は在り方だと思ってる。獣と人とを分けるのは在り方だよ。生態でも能力でも知恵でもない。
逆に言えば人が獣に堕ちることも、獣が人の振りをすることも出来るわけだ。私は後者だよ、頑張って人の振りをしてる禁書さ。
ああ、でもさっきから嘘は言ってないよ?ミズ・日下、終わらない殺し合いを楽しめる愛しい人。」
息つく暇もない戦闘軌道に砕けた左足からは激痛が絶えることなく伝わってくる、それでいい、ダメージを受けている証だ。それを把握出来ない奴は死ぬ。だから、認識した上で乗り越える。
痛い、楽しい、痛い、楽しい、アドレナリンに似た作用で脳が興奮し、喜びとともに笑みを深め、牙を剥き出す。

「ははっ!」力強く蹴られた柄は再生で取り込まれる前に抜けた。砕けた左足で着地。脳が痺れるような激痛に笑い声が零れた。
「そりゃあ、驚くさ。」血と臓物を撒き散らしながら半ば裂けた彼女の体が石突ごと宙を舞う。なんと血腥く、悍ましく、美しい光景。シャツの白に無数の赤い斑点が出来る。空飛ぶ体の着地点は丁度自分の少し後ろ。躊躇なく足の力を抜いて仰向けに倒れると。
「君が胸に飛び込んできてくれるんだから。」抱擁するように両腕を広げて落下を待ち侘びた。

日下 葵 > 「在り方ですか。
 こんな風に四肢を落とし、腸をさらけ出すわたしを”人間だ”と?」

およそ人間の戦い方と呼ぶには既にかけ離れ過ぎた攻防に、
私は自分を人間だとはとても思えませんねえ?
なんて言って見せると、お互いにお互いの笑顔を見る。

「おっと?」

落とされた右足は既に生え変わった。
しかしその足を動かすための命令を伝える脊椎がまだだ。
意味を持たない反射による痙攣を繰り返す脚をぶらりとくっつけたまま、
蹴り挙げられればその身体が宙を舞った。

脇腹を裂く形で臓物と鮮血が弧を描いて飛ぶと、
最高点で一度身体が動きを止めて再び動き出した。
重力による自然な運動は、存外早いはずであるが、
お互いに興奮しているからかその動きはひどくゆっくりに見える。

そして彼女が両手を広げて待つ地面に――


――ドシャッ!!


まるでバケツに入れた土砂をぶちまけたかのような音が訓練場に響く。
自由の利かない脚と、みっともなくその内をさらけ出す腹部、
そして掴むものを失って途方に暮れる両手。
それらが大地の引力に引かれるがまま、彼女の上に落ちた>

ジーン・L・J > 「ああ、君は人間だ。私にとってはね。どれほど人間離れした能力や思考を持っていても、この島の警察機構に属して治安を守ろうとしている。
"化け物"はそんなことをしない。好き放題暴れて回るさ、そして狩りの獲物になるんだ。
私は"狩人"だからね、獲物かそうでないかぐらい、見分けがつく。」
落とした足は生え変わり、切断しかけた脊椎の修復が始まって動かなかった下半身に反射が伝達されている。普通の人間からすれば"化け物"と形容したくもなるだろう。
だがジーンにとっては違う、どのような動機であろうとも、治安を、人々を守る側に立つ彼女を"化け物"や"獣"とは思えなかった。

「9.8m/s^2の愛をありがとう、ハニー。」
丁度揃ったばかりの五体全てと血と内臓、その全てを全身で受け止めて、異形の狩人は紅に染まりながら笑った。

「君の愛で死にそうだよ、最初に決めたよね、死にそうになったら終わりって、私の負けでいいかな?」
血の臭いよりも鼻につくようなクサい台詞とともに、抱きしめようと受け止めた体の背中に手を伸ばそうとする。

日下 葵 > 「それはそれは。
 私の異能もまだまだ捨てたものではないようですねえ?」

「わかりませんよ?
 もしかしたら夜な夜な人を探し回って、捕まえて、
 酷いことをしているかもしれないですよ?」

たとえそうだとしても、殺しはしませんけどねえ。
なんて言って見せれば、これはお手上げだと言わんばかりの表情。

「9.8m/s^2の愛って、私じゃなくてもいいってことです?」

重力加速度は地上の何物にも平等だ。
  ――常識的な重さであれば。

「よくもまぁそんなにクサいセリフがポンポン出てくるもんですねえ?
 本当の意味で死にそうになっているのは私の方ですよ」

それが彼女の言葉からくる羞恥心のことを指すのか、
このボロボロになった身体を指してのことなのか。
身体の方は既にあらかた傷が治って、元通りになっているが。

「まぁ、そういう歯が浮くような言葉も、悪い気はしませんねえ?
 禁書なんでしたっけ?そうやって人間をたぶらかすんですか?」

ヘラヘラと笑って見せれば、心地よい疲労感にしばらく身体を預け、
背中に伸ばされる手を受け入れよう>

ジーン・L・J > 「ああ、君の能力、異能か。それは素晴らしいよ、私にも分けて欲しいぐらいだ。そうすればもっとずっと長く君と戦り合っていられる。こっちは魔力を消費して回復してるからね、理論上いつか尽きる。
ハハハ、もし君の行いが人の理を外れたものなら、素直に見立てが間違っていたと認めて君を狩る。でも君は多分そうじゃない。
そうじゃないと嬉しいってのもあるけど、君の血から獣の味がしない。」
相手の頬に付いた血の雫を指ですくって舐め取る。感じるのは闘争への喜びと満足感、嗜虐の味、だがそこにジーンが狩るべき獣の味は感じられない。

「き・み・の、重力加速度だから受け止めたんだよ、ハニー。知らない人だったら腕を使って勢いを殺す、獲物だったら刃を突き出す。でも君の重みはそのまま受け止めたかった。
おやおや、体が治ってるのに死にそうとは不思議な話だね。それなら私の勝ちかい?」
牙を剥き出す笑みではなく、人をからかう意地の悪い笑顔に切り替わる。包帯の奥からでも楽しそうに顔を見つめているのがわかるかもしれない。

「全て私の本心だよ、そしてこれは禁書としての性質でもなんでもなく、ただの性格。誑かすというより、魅了するといって欲しいね。そのつもりだから。」
優しく、つい数十秒前まで損傷も後遺症も気にかけることなく攻撃してきたのが嘘のような手付きで、破れた服から覗く背中に手を置く。
「お互いの事をまだほとんど知らないのに、君のことで胸がいっぱいだよ。」
耳元で囁く言葉はあいも変わらず軽薄だが、まるで本心のようにも聞こえるだろう。

日下 葵 > 「へえ?私の能力が欲しいですか?」

それは少し難しい話です。
そういって笑って見せようか。
しかし、まだまだ戦っていたいという気持ちはお互いに本心の様だった。

「それはどうでしょう?
 今はそういう味がしないだけかもしれませんよ?
 まぁ、もし狩られるようなことがあれば、
 目一杯遊んでもらってから狩られたいものではありますが」

いつかは、もしくは今じゃなければ、
この身体が変質して獣になるかもしれない。
その可能性は決して否定できない。

「ほう?私だから?
 私には私以外との違いは判りませんが、
 そういうのであればそういうことにしておきましょうか。

 身体は治っても疲れはしますしお腹も空きますからねえ?
 死にそうな者同士、ここはひとつ引き分けということでどうでしょうか?」

包帯越しに見えるその楽し気な目。
人を揶揄うようなその目は、まるで鏡を見ているかのような気分だった。

「魅了?それは”物は言いよう”ってやつではなくてですか?」

それでも、彼がそのつもりならそういうことなのだろう。
詳しい違いは分からないが。

「もし魅了のつもりなら、
 ぜひ私が貴女を追いかけたくなるようにもっと努力してください?
 それこそ、私が貴女を求めてしまうくらいにはしてもらわないと」

私も戦闘は好きですし、貴女との手合わせはとても素敵でしたが、
私は決して”安くない”ですからねえ?

唇の前に人差し指を添えて、笑う表情は、まるで悪女のそれの様だった>

ジーン・L・J > 「何せ君の力だからね。もっと欲しいのは君の愛の言葉とか、君の熱いベーゼとかだけど。」
そっちも難しいかい?と冗談めかしてクスクスと笑い声を漏らす。

「まぁ未来のことはわからない、私は昨日の君すら知らないんだ。明日の君がどうなるかなんて答えようがない。
けれど狩ることになるなら、君が心の底から満足するまで殺し合ってから狩ることにするよ。でもそんな明日は来てほしくないね。
君を狩るなんて世界の損失だ。ただでさえ世界に美しいものは少ないのに。これ以上減らしたくはない。」
もしそうなれば、ジーンが獣と呼ぶ人類の敵と彼女がなるならば、風紀や公安が動こうとも自分の手で狩るために全力を尽くすだろう。そんな可能性は望みたくないが。

「君は特別なんだよ、ミズ・日下。まだここで過ごして日が浅いってのもあるけど、これだけ楽しく遊べる相手は初めてだ。それに君がこれほど楽しんだってことは、君にとっても私は得難い存在なんだろう?だから君と君以外は大きく差がついてる。
さて、では死にかけ同士引き分けで合意しよう。お腹が空いてるなら食事でもどうだい?いい店をまだ知らないから君任せになってしまうけど。」
抱きしめたまま横に転がって、似た者同士がしばらく見つめ合う。そのまま上体を起こして相手も起こさせる。

「誑かすのは騙して欺くこと、魅了するのは君を私に夢中にさせること。私は君を騙すつもりも欺くつもりもない、ああ、コインの閃光爆破は戦法ってことで納得よろしく。」
戦闘開始早々にジーンは卑怯な手段を取って欺いた。だがそれとこれとは別。

「おっと、これはこれは。やっぱり君は強敵だなぁ、けど手強い相手ほど燃える質でね。」
安くない、とこちらの言葉をさらりと躱す姿は戦闘能力だけの存在ではないと雄弁に語っていて、それを口説き落とす苦労とやり甲斐に更に笑みを深くする。

「さぁ、ハニー。美貌が血まみれだよ、シャワーでも浴びてきたらどうかな?私は待ってるから。」
寂しくなったらすぐ呼んでよ、などと軽口を叩きながらようやく抱擁を解く。