2021/07/27 のログ
ご案内:「落第街の廃屋」に『虚無』さんが現れました。
『虚無』 >  
 夜間。娼館……だった場所の跡地。先日ここで風紀委員と何者かの激突があったらしい。
 何が原因でぶつかって誰がやったかなどは一切不明だが風紀委員側もかなり手痛いダメージを受けたらしいというのは話に聞いている……がそれだけだ。

「流石に無理だろうが」

 その廃屋を調査する。直近の案件で最も気になるのはここの事だった。
 別にこの事件がどうのということではない。違法な娼館などこの街にはいくらでもあるし、それが風紀委員によって取り締まられるなどそれこそ無い方が珍しいだろう。
 問題はその後。その風紀委員相手に手痛い反撃をした何者かに関してだ。
 そして、ここの様子を見る限り風紀委員は目的を果たした後に攻撃を受けたらしいという事も理解できる。

「鉄火の支配者だろうということはわかるが……襲撃者は誰だ?」

 あちこちに残る銃創の跡にしゃがみこみそんなことをつぶやく。
 風紀側はある程度は特定できた。だが、だとすると余計に問題だ。仮にこの予想があっているとすれば襲撃者は相当の実力者となる。
 それが所属不明で潜んでいる。それが何よりも恐ろしい。

「まぁ、俺たちと同類という可能性もあるが」

 立ち上がり廃屋を歩き始める。
 足跡はできるだけ殺す。事後調査として風紀委員が来るかもしれないし、他の犯罪者が潜んでいるかもしれない。それに例の襲撃者が戻ってきている可能性もある。

『虚無』 >  
 やはりというべきか、情報らしい情報など見つからない。だが強いていうのなら。

「雨……?」

 部屋の中はまるで大雨でも降った後かというほど湿っていたり濡れている。
 
「……いや、違うな。氷か?」

 だが雨、というより水系統であるなら水たまりなどがあるはず。だがそんなものは見つからない。となると水で濡らしたというより空間そのものを凍り付かせたといった方が正解に近いだろう。それが夏の熱気で溶けたか魔術の効果が切れたのかといった所か。
 だが空間そのものを凍てつかせる。そうなるとかなりの高等魔術のはずだ。
 少し考えていたたが。息を吐き出す。

「やはりというか、わかるわけもないか」

 色々と調べてわかったのはその程度。それ以外は全く分からずじまいである。
 当然と言えば当然なのだが。軽く溜息を吐き出す。
 本来なら死臭や腐臭がしていても良いはずの空間なのに嫌にそういう臭いがしないのはまだ肉片の類は凍てついているからなのか、それとも綺麗さっぱり掃除されたからなのか。
 とりあえず目に入った机を漁る。せめてこの娼館の資料をと思ったが大抵はグショグショで見れたものではない。だからなんとか読めそうな物を探す。

『虚無』 >  使えそうな資料は見つからず。読めそうな資料はこの店で働いていた女性の記録位だ。
 3サイズや好み等。知ったところでどうなるというデータばかり。
 どうせ違う店に売られたか、もしくは風紀委員が回収して更生中といった所だ。知り合いがいれば話は別だが、知り合いでもないのなら自身が首を突っ込める事など何もない。
 その資料を適当にしまうと棚を閉じた。

「今後に注意としか対策が取れないか」

 こういった攻撃を加える人物はあまり良いとは言えない。
 攻撃理由すら不明となると、それが不要な騒動を呼び起こす可能性もある。
 正当な理由ならば何の問題もないが……

「まぁ俺たちが言えた立場じゃないが」

 結局は同じ穴の狢。それはそのまま自分にも跳ね返るのだ。
 とりあえずはこの人物の情報を探る事。そして場合によっては協力、もしくは敵対する事になるのだろう。
 窓を開くとそこから空へと飛び立つ。強烈な金属音が鳴り響くと彼の姿はこの場から消え去っていくだろう。

ご案内:「落第街の廃屋」から『虚無』さんが去りました。