2021/10/27 のログ
ご案内:「違反組織拠点」に『虚無』さんが現れました。
『虚無』 >  
 とある違反組織の拠点。廃病院のようなそこはそれなりに荒れており、戦闘の跡がうかがえる。
 彼が暴れた後? ではない、といより事態だけで言えばもっと面倒な事態である。
 そこに散らばるのは違反組織の遺体……だけではない。むしろ多いのは風紀委員の遺体だ。

「何らかの情報をつかんで踏み込んで返り討ち、もしくは罠を張られた。でもここのメンバーはダメージがデカいから1時撤退……か」

 状況を見ればそんな感じだろう。風紀が踏み込むという情報は聞いていたが、こうなるとは少し予想外だった。しかしこれは色々と不味い。
 まずありがちなのが第3者が見た場合だ。自分が犯人だと思われたらたまったものではない。
 次に面倒なのがここの拠点の元のメンバーが戻ってきた場合。この場合は自分も攻撃を受けるかもしれない。やはり面倒だ。
 しかし1番困るのは……これが援軍に来た風紀委員にバレる場合。間違いなく風紀委員とモメごとになる。今それはできるだけ避けたいというのにだ。
 増援が来る前にさっさと情報だけ回収してしまおうと歩き始める。

『虚無』 >  
 廃病院というだけあり、元はここの設備であったであろう医療器具が残っている。だがそれは今は見るも無残な状態だ……そのまま違法薬物の保存容器にされたり生産に転用されているのだから。

「薬物の城か。踏み込むわけだ」

 ここを抑える事が出来れば一気に違法薬物を抑える事ができる。はずだったのだろう。
 だが、攻撃は失敗している。おそらく最大の戦績でもあるはずの販売リストなどはすでに持ち出された後だろう。
 他にもいくつか自分達ならば活用できる物資もあるだろう。それらを探す為に遺体だらけの廃病院を歩き続ける。
 しかし、これだけいるのだ。どちらかの組織に生存者の1人でもいそうな物だが……もしいた場合どうするかは何も考えられていないが。少なくとも放置はできない。
 
「面倒な事態だな」

 考えれば考えるほど面倒な状態になっている。

ご案内:「違反組織拠点」にセレネさんが現れました。
セレネ > 生きている者は誰も居ないであろう廃病院。
その中に何故か、粘着質な音が響く。

廃病院内を歩き続けている彼の耳にも届くかもしれないその音は。
どこぞから集めた手術器具を用いて遺体の中身を切り開き、
それをしげしげと眺める人影が原因だった。

『……やはりどこの世界でも人間の中身は同じなのね。』

開いたその遺体は風紀か違反組織の者かは既に分からず、遺体の人物が纏っていたであろう衣服は赤黒い血に塗れている。

呟く言語は誰も居ないと踏んでか異国の言葉。
生々しく鎮座する内臓は季節もあってか痛みも少なく比較的腐臭も少ない。
ただ、夥しい血の匂いはするかもしれない。
尤も、あちらこちらに遺体があるから嗅覚が麻痺しているかもしれないが。

此方へと歩いてきている人物の気配には未だ気付かず、
言葉少なに人体を切り開いて観察している不審な人影がポツンと一人。

『虚無』 >  
 探索をしていると聞こえる音。
 水音? 違う、そんな生易しい音ではない。ネチャネチャというこの音は……?
 そちらの方へと歩いてく。怪異という言葉が頭をよぎるが、声を聞き足を止める。ここまでくれば流石に何をしているかは臭いでわかった。しかし……言語がわからない。
 仕方がないと扉から身を乗り出す事はせず。

「ずいぶんと悪趣味な事をしているな……解剖趣味かなにかわからないが。早くした方が良いぞ。あんまりゆっくりしていると風紀委員かここの組織の連中が帰ってくる」

 と警告を投げかける。どちらにせよ、仲間をバラされていい気分はしないだろう。間違いなく報復攻撃を受けるはずである。

セレネ > 声を掛けられピタリと音が止む。
フードの奥の蒼を瞬かせては、小さく咳払いをして

「おや、これはご丁寧にどうも。
夢中になると周りが見えなくなる性質でね…君が親切な人で助かった。」

言語をこの国の言葉にし、声色は普段より低めにせよ、声だけでも女というのが分かるもの。
己のような”悪趣味”な人物に対してわざわざ声を掛け、
警告までしてくれる相手は随分とお人好しな部類なのであろう。

「…君は、風紀でも此処の拠点の組織員でもないのかな?
こんな所を散歩だなんて変わっているね。」

今先程まで使っていた、刃の欠けたメス。
いつでも投擲出来るようにしながら、立ち上がり己の背後にある扉に向き直った。

警戒は怠らない。常に気は張り巡らせたまま。
彼が仮に善意からでの言葉にせよ、それを鵜呑みしては此処では命取りになりかねないのを知っているから。

『虚無』 >  
「親切な奴がこのような場所にいるはずがないだろう。ただお前を襲う理由がない。それだけだ」

 実際死体を見ても何とも思えないような自分を親切などとは口が裂けても言えない。
 扉の隣の壁にもたれかかる。必然外を見張る形だ。
 声は壊れたラジオのようにノイズが入り、更に壁を挟んでいる形。少し聞き取りにくいかもしれない。
 
「こんな場所で解体している奴に言われたくはないな……俺はただの情報集めだ。風紀委員と違反組織の激突跡地。情報を集めるのにこれ以上良い現場はないだろう」

 情報を集めるという意味ではこれ以上はない現場ではあるだろう。それに自分の場合薬の原材料を調べるだけでも意味はある。
 そうすれば原材料のルートからこの組織を探せるのだから。

「さて、それで……お前こそ何をしていたんだ? 本当に解体趣味でバラすことに快感を覚える……とかそういうタイプか。ここにはそういうのも珍しくはないが」

 遺体処理業者などその手のタイプばかりだろう。
 とはいえ、扉向こうの少女はそうは聞こえない。その手のタイプなら声に恍惚感などが出ているはずだが。そうとは聞こえなかったから。

セレネ > 「理由が無くとも襲う輩は此処にはごまんといる筈だ。
理由ありきで動いているならそれは親切に値するものだと思うよ。少なくとも私はね。」

それこそ視界に入ったから、何となく感に障ったから、ただただ憂さ晴らしをしたかったから。
そんな低俗な理由で人に害を成す人物等此処には掃いて捨てる程居る筈だ。
相手の声は何らかの魔術か機械を用いているのか、少々聞き取りづらい。
……日本語はそこまで得意ではないのだけれど。

「……情報屋かな?それとも何処かの組織の雇われか。」

フードの下の眉を顰める。確かに。此処は相手が言うのなら良い情報源なのだろう。
裏組織にも、情報にも詳しくはないが。

「…どうせ解体するのなら生きたまま解体してみたいものだ。
――死体処理の仕事に就いているんだが、仕事中にバラすと先輩から怒られてねー。
だからこう、こっそりと先に…ね?」

後学の為だというのに、と愚痴を洩らしつつ、嘘を平然と述べる。
相手を騙せるのなら何でも良い。
どうせ一度限りの出会いなのだから、と高を括っているのもあるだろう。

『虚無』 >  
「たしかに、だがその手のタイプ決まって実力も読経も無い奴らばかりだ……少なくともこんな場所に足を踏み入れたりはしないだろうよ」

 こんな見るからに厄しかないエリアにそんな連中は踏み込むとは思えない。
 相手からの言葉を聞けばフッと笑う声が聞こえる。

「そうだな、そういう事にしておいてくれ。流石に詳細を離せるほどの身分ではないだろう」

 ここでは情報は命と等価。いや、むしろ命の方が安い世界なのだ。
 逆に相手の素性を聞けばより深くもたれかかる。

「そっちもそういう事にしておく……少なくともここでバラしてる以上組織的な作戦というわけではなさそうだからな」

 組織的に何らかの目的でバラしていたならこんな場所を選んだりはしない。ということは、彼女の言う事は本当かもしくは別の個人的な目的の為だろう。それならば突っ込む必要は薄い。

「……それで、バラしてみてどうだった。目的は果たせたか? それとも生きた人間じゃないと満足できない……というのなら俺か外で調達するしかないが」

セレネ > 「ハハ、多少なり頭が回る奴なら見るからに危険な場所には踏み入れないと。
それはその通りだね。」

子どもでも危ないと分かっている場所には自ら行かないものだ。
”危険”だという事を知っている子なら、の話だが。

「下っ端かい?お互い使われるだけの身分は辛いねぇ。」

情報は良い金になる。自らの身分を伝えればそれは立派な情報になる。
肉弾戦よりこういった情報戦の方が得意な己だ。
下手な事は言わないよう気をつけている。
相手が上手であれば、その限りではないが…口を滑らせてはない、筈だ。

「ボスが居るならこんな所は選ばないよぉ。
こんな所でバラしている事がバレたら今度は私がバラされちゃうからねぇ。」

アハハ、と軽やかに笑う。
必要以上に突っ込んでこないのは、己の言葉に齟齬がないからか、
彼も突っ込まれたくない事情があるからか。
ともあれ、浅い会話で終わるのならそれが良い。

「――いやー。どの人間も同じ中身でつまらないねぇ。
…何?君、生きた人間調達してくれるの?」

初めて声色が跳ねた。
元の世界でも叶わなかった事だ。

『虚無』 >  
「たしかにつらいな……間違っているかもしれないと思っても逆らう事はできないのだから」

 それが正しいかどうか。それよりも組織としての動きが求められてしまう。そういう意味ではトップの方が向いているのかもしれない。
 さて、そうして相手の声色が跳ねれば。

「……ひとつアドバイスだ。ここでは喜びを声に出すならあえてわざとらしくか。もしくは出さない事をお勧めする。身分がバレるぞ」

 とそういうと躊躇なく扉から姿を見せる。顔の半分を狼の仮面で隠し、フードを付けた風貌は言ってしまえばコスプレ野郎。
 だが、その目の警戒はまさに裏の人間といった風貌だろう。

「死体処理をしているような人間がこの街のルートを知らないはずがないだろう……生きた人間なんて。ある意味で武器より簡単に手に入る場所だぞここは」

 スラムに行けばいくらでも手に入る。条件を付けたところで簡単に手に入る。
 物資は偽装しないといけない分人の方が手に入りやすい。本当にすさまじい世界だろう。
 しかしそういってから目を細める。

「まぁそんなことをすれば色々と目をつけられるだろうが。表も歩きにくくなる。そっちの住人ならオススメはしない……」