2021/11/15 のログ
ご案内:「浜辺(過激描写注意)」にルリエルさんが現れました。
ご案内:「浜辺(過激描写注意)」に毒嶋 楽さんが現れました。
■ルリエル > 【これまでのあらすじ】
いま若者の間で大流行中だという《海釣り》にチャレンジするルリエル。
しかし相次いでタコ(らしき謎の冒涜的クリーチャー)を釣り上げてしまい、
SANチェックを落としたルリエルはタコを一切認識できなくなる精神状態に陥ってしまった。
特殊Freeに(多分)踏み込まないレベルで体中を陵辱され、粘液まみれになってしまうルリエル。
後からやって来た毒嶋の勇気ある行動によってタコ2匹は取り除かれたが、
残る1匹(※毒嶋が釣り上げた)がまだ胸の谷間に隠れ潜んでいた。
ベトベトの身体を洗うため、ルリエル達はシャワー室へと向かうのであった。さすがにここから先は特殊Freeだ…。
――――――
…というわけで、毒嶋の案内で辿り着いたのは、海の家に併設されたシャワー施設。
オフシーズンのため食堂や売店は閉まっているが、サーファー等のために温水シャワーが開放されている。
作りはとても簡素なもので、パイプの骨組みに撥水性の布を張った間仕切りで個室が作られている程度。
扉の代わりに防水カーテン。更衣室にあたる空間もなく、着替えるなら間仕切りの中で、という想定のようだ。
空間は一応男女用で分けられており、外から丸見えなんてことはないが、出入りは自由だし声も通る。
「ごめんなさいね、ラク先輩。こんなトコにまで付き合わせちゃって。
すぐ洗ってきますから、荷物の見張りをお願いしますね。
……そうそう。私のバッグの中におにぎりありますから、食べていいですよ? 付き合ってくれたお礼ってことで♪」
女性用シャワー室の入口まで来ると、ルリエルは手提げバッグを開き、中をまさぐる。
替えのTシャツとタオルを取り出すと、開いたままのバッグを毒嶋に渡した。
さすがにズボンの替えまでは持ってきてないので、タコに汚されたジーパンは帰宅まで我慢して着続けなくてはならない。
「……あ、もちろん覗きはダメですよ? 天使の素肌は本来、人間が見るには勿体なさすぎる眼福なんですから。
さっきまでのは……仕方なくだったんですからね?」
猫背の青年に、いたずらな笑みを向けて念を押すルリエル。この好青年はまずそんな真似はしないだろう、と弁えつつも。
――ぺったり張り付くシャツの襟元から覗く胸の谷間、その中には相変わらず暗褐色の球体が挟まっている。
毒嶋が釣り上げたタコ(っぽいクリーチャー)の3匹目だ。だが、その存在に気付いているのは毒嶋だけ。
軟体動物への根源的恐怖を持つルリエルは、身体に触れているタコを認識できない状態に陥っているのだ。
先刻からタコの存在に気が気でない毒嶋の狼狽をよそに、ルリエルは早足でシャワー室へと入っていった。
すぐに、奥からサーッという水音が響いてくるだろう。
もし毒嶋がルリエルの手提げバッグの中身を見るなら。
中にはがま口の簡素な財布、そしてコンビニのおにぎりが2つ(梅と昆布)。食べていいってさ。
■毒嶋 楽 > 「いやぁ、乗り掛かった舟ってやつ?
それにほら、ルリエルさん頭が重いとかも言ってたし、一応何かあった時にすぐ助けになれればなーって。
ほら、俺ちゃん仮にも風紀委員だし。」
より正確に言うなら公安委員でもあるのだけれど、それはまあいつも通りに省略。
二人分の釣り竿やら空のバケツやクーラーボックスを肩から提げて歩いてくる姿は完全に荷物持ち。
というか実際荷物持ちを申し出たのだから当然と言えば当然だ。
「もちろん、覗きなんておっかねえこと俺ちゃんしませんて。
じゃ、行ってらっしゃーい。何かあったらすぐ声掛けて頂戴、人呼びに走るから。」
へら~っと平時通りの締まり無い笑みを浮かべながらも、その裏側ではどうしたものかと思案を重ねている。
ルリエルが気付くのを待つ?タコが勝手に離れてどっか行くのを期待する?それくらいしか思い浮かばない。
まさかシャワー中に押し入って引きはがす、なんて暴挙に出るわけにもいかない。相手は一応、教員だ。
ひらひらっと手を振ってルリエルを見送り、地面に置いたクーラーボックスを椅子代わりに腰掛ける。
シャワーの水音を間仕切りの向こうに聞きながら、
食べて良い、と言われたおにぎりを有難く頂戴し、もごもご咀嚼しながら改めて考える。
(そもそもなーんであのタコども、ルリエルさんにまとわりついたんだ……?)
しかもまとわりつくだけで何か危害を加えた様子もなかった。
認識阻害はタコの仕業、というよりもルリエル側の防衛本能化なにかだろう、と推測できるが。であれば尚の事、タコたちがルリエルに群がった理由が不明。
(単純に、ホントにタコに好かれる様な気質とかだったりしてな……)
食べながら、自分の考えに失笑するが、ふと表情が強張る。
もし、本当にルリエルが“タコに好意を向けられていたとしたら”?
毒嶋楽の背を冷たい汗が流れ落ちる。
■ルリエル > 「フフッ、なぜか数分だけ妙に頭が重かったんですよねー。ラク先輩が来てからスッと治ったんですけど。
海鳥でも乗ってたんでしょうか? 私が気づかなかっただけで。あはは……」
……てな具合に、ルリエルはタコに纏わり付かれていた事実を一片たりとも認識していない。
服の中を這い回られたことも、頭の上まで登られて髪をめちゃくちゃに乱されたことすらも。
基本的にルリエルは能天気なのだが、そこに数千年来に味わった『本物の恐怖』が混ざり込めば。
ここまでの認識齟齬も十分起こりうる……のかも。
なぜタコ達がルリエルの身体に纏わり付いていたのかは、さすがに現時点ではわからない。
外見も一般のタコとは明らかに異なり、ツノのような部位があるなどファンタジーに1歩2歩入った不思議な造形。
そして、魚の種別を人語で発したり、危険を察知すれば逃げるなど、知性をもつ一面も見せていた。
……そう、案外毒嶋の予想は当たっているのかもしれない。
「~~~~♪」
遠い水音に紛れて、鼻歌が聞こえてくる。きっと毒嶋は聞いたことのない、異国のメロディだ。
それが数小節流れたところで、突然音色が豹変する。
「……きゃあああああああああああっ!!!!」
耳をつんざくような女の悲鳴。がた、がた、とシャワー施設の骨組みを震わす衝突音。
明らかにルリエルの悲鳴である。
――そう。シャワーを浴びたのが契機になったか、ルリエルの『一時的狂気』が薄まったのだ。
つまり『胸にくっついてるタコを認識できるようになってしまった』。
他のタコよりも明らかに多い本数の脚が胸の谷間から柔肉のあちこちに伸び、むにむにと揉みしだいている。
そんな冒涜的光景を視界に収め、やや遅れて皮膚からの神経情報として受け取り……天使は悲鳴を上げるほかなかった。
「助けてっ! 助けてラク先輩っ!! だ、誰かっ……!!」
個室内で暴れているのか、シャワー施設の外壁全体が断続的にガタガタと揺れている。
息も絶え絶えになりながらも、ルリエルはすぐそこに居るはずの風紀委員の名を叫ぶ。
■毒嶋 楽 > 「まさかそんな、さすがに発禁本現象が過ぎる……。
風紀取り締まりで生徒から没収した雑誌の検分なんてするもんじゃねえなぁ……。
…………。」
しかし、そう考えると納得がいくことも多々ある。
ルリエルに固執したタコの存在も、小タコが服の中に入り込んだ時に急ぎ後を追った大タコの行動も。
その後、冬の海辺にも関わらず暑さを感じるほどに高揚していたルリエルの症状も。
もしあのタコの様な異形が、ルリエルを同種とはいかずとも“一体の雌として”認識していたのなら。
固執するのは当然だろう、続けて服の中に侵入したのは奪い合いでは?
そしてタコたちの表皮から異性に対し興奮を促す物質が出されていたとしたら?
「………。」
言い知れぬ不安を覚え始めた楽の近くで、ルリエルは呑気に鼻歌を口ずさんでいる。
聞き馴染みのない異国のメロディを聴きながら、楽はついさっきルリエルが口にした言葉を思い出していた。
『天使の素肌は本来、人間が見るには勿体なさすぎる眼福なんですから。』
(……それが人間という種に限らないとしたら?)
――ぞわり、と楽の肌が悪寒で粟立つのとほぼ同時だった。
「ルリエルさんっ!?」
鼻歌が一転、絹を裂く様な悲鳴へと変わる。
タコが何かしたのか、それともルリエルの認識の齟齬が外れたのか、あるいは両方か。
楽は跳ねる様に立ち上がると、ガタガタと揺れる障壁の向こうへと声を掛ける。
「待ってて、今人を――――」
どこから?
休業中の海の家には店員など居るはずも無いだろう。
サーファーたちは?いや、今日の穏やかな海なら乗れる波も大したものは無い。
釣り人は?波止場で大騒ぎしていても人一人見かけなかったのに?
今から人を探して、事情を説明し、連れてくるまでにどれくらいの時間が掛かるか。
その間、ルリエルの身に何が起こるか。
最初にタコが頭に登るまでの間、はたしてルリエルは抵抗していたのだろうか。
あくまで推測でしかないが、ルリエルはタコに対し何ら抵抗する術を持たないのでは―――
「くそッ!どうした、大丈夫かルリエルさん!」
考える時間も惜しい、何か取り返しのつかない事が起きてからでは合わせる顔が無い。
それならまだ、覗き魔として軽蔑される方が安いものだ。
楽は身を翻し、カーテンを開けてシャワー施設の中へと踏み込んだ。
■ルリエル > 「ら、ラクせんぱぁいっ………!」
意を決してシャワー施設の女性用区画に踏み入る毒嶋。
島の住民としても風紀委員としても、そして男としても頼れる『先輩』の気配を感じ、天使はカーテンを開け飛び出してきた。
――当然のごとく全裸で。いや、その身にタコを纏ってはいるが。
やや暗い施設内だが、ルリエルの白い肌は入口から差し込む光でも十分過ぎるほど詳らかになる。
先ほどまで背やお腹をタコに這い回られていた跡はほとんど残っていない。
乳房は大きく丸く、乳輪は薄い桜色を帯びてぷっくり膨れ、さらにその真芯にはぴんと立った乳首。
普段は天使の翼をブラ代わりに胸に添えているが、今は背中で力なくしおれている。
腰はきゅっとくびれ、その下にはムチッと流線を描く大きなヒップ。いわゆるモデル体型。
おへその下には一切のムダ毛も剃り跡もなく、果物ナイフを入れた桃のような深い溝が見て取れる。
そんな輝くような天使の裸身に、冒涜的なまでに無造作に絡みつくのは、タコの触腕。
みかん程度のサイズの本体を谷間に貼り付けたまま、胸肉を上下から挟み込むように触腕を回している。
それにより、ルリエルの乳房はことさらに丸みが強調され、身体の動きも増幅されて扇情的に震える。
タコ自身も谷間で上下に身体を揺すっているようで、ぬち、ぬち、と低い水音が響いている。
黒く細い着衣を胸に巻く様は、遠目にはボンデージ衣装を着ているようにも見えようか。
個室から飛び出してきたルリエルは、脚をもつれさせながら毒嶋に駆け寄ってくる。
その表情は恐怖に歪み、碧色の目は潤み、大粒の涙が目尻からつたい落ちている。
歯も舌も震え、紅の唇から漏れ出す悲鳴もなかなか言葉にならない。
当然、成人済みの男性に裸を見られることを咎める言葉はおろか、羞恥すら感じる暇もなく……。
「と、とととと、と、取って、くらさいっ……これっ……ラクせんぱいっ、おねがい、しますっ……!」
腕を開き、胸を開き、2つの大きい球体と1つの小さい球体を半ば押し付けるように見せつけてくる。
ルリエルが自らタコの身体や触腕に手を伸ばす様子も見られるが、触れることができない。
それほどに恐怖の対象となっているようだ。
その間もタコは愉しげに、乳房の間で身体を上下に揺さぶっている。
まるで体全体でパイズリを楽しむかのように。
■毒嶋 楽 > 「大丈夫かルリエルさんっ、怪我とかは無い!?」
女性用のシャワー室に入ることに気が咎めなかった訳ではない。
もしこの場を目撃され、自身が糾弾される事になったとしても楽はそれを甘んじて受け入れようと覚悟していた。
だから、多少の事には動じない……そう思っていたのだが。
「ル、ルリエル……さんっ」
やはり面前に全裸の女性が現れれば、動揺する。
薄暗い中での僅かな光によって照らされた女体はタコならずとも心を奪われそうなほど均整が取れており蠱惑的だった。
くらりと眩暈に似た感覚を覚え、思わず目を逸らしそうになるが助けを求める相手から目を逸らすなど出来る筈もない。
「大丈夫、落ち着いて。俺が必ず取るから。」
恐怖によって前後不覚に陥っているルリエルの碧い瞳を真っ直ぐに見据え、これまで見せた事ない様な真剣な面持ちで告げる。
その実態は真剣というか、緊張とか、困惑とか、そういう感情が綯交ぜになって強張っているだけなのだが。
ともかく、不安を煽る様な事だけはすまい――そう決意した楽は、内心の狼狽などおくびにも出さず、ルリエルが晒す胸元へと視線を落とす。
「ッの野郎……、マジで発禁レベルの事を……」
風紀を乱す不逞の輩、仮初とはいえ風紀委員の立場上見逃すわけもない。多少妬ましさとかも混じってるが。
大きな球体に挟まる小さな球体、タコへと早速手を伸ばす。
場所が場所だけに、なるべくルリエルの肌には触れないように注意しつつ。
■ルリエル > 「いやっ、いや……これっ……むり……っ!! ニョロニョロで、ネトネトで、グニュグニュなの……っ!!
さわれない、触りたくない、お願いですっ、早く、早くとって……!!」
先ほどまでの聡明で飄々とした雰囲気はどこへやら。落ち着いてと言われても落ち着きようがない。
完全にパニックに陥ったルリエルは、怪我などの心配をする毒嶋にもマトモに受け答えができない。
胸全体を苛む外宇宙的ヌルヌル感触から一刻も早く解放されようと、荒い呼吸と共に毒嶋に哀願の目線を向ける。
そして、毒嶋が意を決して手を伸ばし、乳房の間で踊り狂う小タコを掴み取ろうとすれば。
掴むこと自体は容易にできる。しかしその瞬間、びくっと驚いたように小タコの胴体は震えて。
「――ひゃあああっ!!?」
ぎゅうっ、とタコの触腕に力が籠もり、収縮する。
小タコとは思えない力で柔肉が引き寄せられ、タコの身体ごと毒嶋の手がすっぽり谷間に包み込まれた。
ぼちゅん、という鈍く重たい水音が響く。それは確かに、ルリエルの巨乳から放たれた音だった。
マシュマロよりも柔らかく、ゼリーよりもぷるぷるで、温泉のように暖かい雌肉の感触が毒嶋の手を覆う。
「やだ、やだやだやだやだやだっ!!!絞め殺されりゅ……助けてっ……はやくっ……!」
ルリエルは乳を無造作に弄ばれたことよりも、タコの触腕に力がこもった事により恐怖を感じているようで。
毒嶋の手をおっぱいに咥え込んだまま、すがるようにぎゅっと抱きついてくる。
乳房だけでなく、お腹までも男の制服にぐりぐりとこすり付けながら。
抱き合うような体勢ではタコを引き剥がすのは困難になるだろうけれど、そんなことを判断する理性すら残ってない。
……とはいえ、毒嶋が男の膂力で精一杯引き剥がすならば、タコをルリエルから離れさせることはできる。
この状況で冷静に判断と行動を行えるならば、だけれど。
■毒嶋 楽 > (――ダメだ、完全にパニック起こしてる。
これがこの場で起こって良かったと言うべきか……)
「取るっ!必ず取るからっ!
落ち着いてくれないと俺としてもやり辛……!」
グラマラスな全裸の女性に縋られるのは初めての事。
状況が状況でなければ、刺激の強さに楽は卒倒していたかもしれない。
しかし、今は状況が状況だ。縋られているのは誘惑ではなく救助を求める為。であれば、不埒なことなど考える事すらおこがましい。
ギリ、と下唇を噛み締め、冷静をどうにか保ちながら楽はタコを掴む。
しかし、
(ん゛っっっっっ!!!!)
身の危険を感じたタコが、あろうことかルリエルの胸を盾とした。
さながらシェルターに籠るかのように楽の手ごと谷間の奥へと引き籠り、柔肉によって戸を閉ざす。
これまで感じた事のない感触が手首から先を覆い、思わず手の力を緩め掛ける。
「な、んの、これしき……
ルリエルさんッ!?ちょっと、大丈夫ですって、殺されませんよ!!」
気を持ち直してタコを無理やり引きずり出そうと試みるが、そんな楽の身体にルリエルが抱き着く。
手だけに感じていた感触が、布を隔てて楽の胴にも押し付けられる。
体勢上タコを引き出すのが困難になり、苦悶の表情を浮かべながら楽はルリエルを見た。
「殺させませんっ、死なせませんっ!!
貴女は、俺が必ず助けますから!!だから落ち着いて、は、離れてください!?」
■ルリエル > 別の意味で苦悶の表情を浮かべる毒嶋。
だが男の眼前にいる天使の女は、まさしく狂気の瀬戸際にてその美貌を歪めていた。
目を伏せて潤ませてるだけならまだいいが、眉間には皺が寄り、鼻水も垂れ、毒嶋同様に下唇を噛み締めて。
およそ天使が作っていい顔ではなくなっている。まぁ……大抵の女子は同様の状況でこうなるとは思うけれど。
「だって、だって、だってっ……このバケモノ、すごい力で、ぎゅーって……。
……ほんとですか、ほんとですかっ!? ほんとーに、助けてくれましゅか……っ!!」
ぐちゃぐちゃに顔を歪ませたまま、紅潮しきった頬と唇を精一杯動かして、毒嶋の励ましに答える。
――そうだ。
なぜか状況を正確に認識できていなかったけれど、すでにこの人は自分の身体からタコを2匹も取り除いてくれてるのだ。
この頼もしい風紀委員の『先輩』が助けると言っているんだから、絶対助けてくれるはず。
信じなくては……。
「……ふ、ふうううぅう、うううぅっ……んっ……あんっ……!!」
タコの抵抗に逆らって動くと、それだけおぞましい感触が胸に絡みついてくる。
だがこうして毒嶋にくっついてばかりでは、彼がタコを引き剥がせない。
ルリエルは意を決して、毒嶋にすがるのをやめ、1歩2歩と震える足を下げた。
豊満な乳房にタコと毒嶋の手をぎゅっと挟み込んだまま、腰から先に距離を取っていく。
その試みだけでもタコの触腕は柔肉にむにゅっと食い込み、天使はたまらず色っぽい声をあげてしまうけれど。
「……っ! あ、あわわっ、ひゃわわわわっ!? っあ♥」
そしてさらに1歩後ろに下がると、いよいよタコはルリエルの抵抗を咎める動きを見せてくる。
乳に絡めた触腕にありったけの力を込め、ぶるぶると激しく揺さぶったのだ。
毒嶋の目の前で、98cmの巨乳がありえない速度と振幅で上下に震える。左右交互に。
シャワーの水滴と汗が混じって飛び散り、毒嶋にもかかるだろう。
そしてルリエルは乳房を襲うおぞましくも厭らしい感覚に、あられもない嬌声をあげてしまう。
……だが、これはタコに取っても最後の抵抗。
5秒ほど全力で揺さぶった後は、ルリエルの胸に絡み続ける力をほとんど失ってしまう。
互いの身体が離れたことで、いよいよ引き剥がすことは容易になる。毒嶋がうっかり手を離したりしていなければ、だが。
■毒嶋 楽 > ギリ、と下唇を噛み締め過ぎたのか、口の中に仄かに塩っぽさと鉄の味が広がる。
渋面で、内心で舌打ちをしながらも、楽以上に貌を歪めるルリエルの為に声を掛け続ける。
一見、懸命にルリエルを正気に戻そうとしているようだが、むしろ楽の方が正気を保とうと必死。
それほどまでに今与えられている感触全てが脳髄を蕩かしてくるほどに甘美だった。
「大丈夫!大丈夫だから!俺の方がもっと強くぎゅーって出来ますよ!出来ませんけど!!
……本当です、本当の本当に、必ず、貴女を助けるから……ッ!!」
だから、貴女も負けないで。そう続けようとするが、さすがに恐怖に打克つなど容易ではないことを楽は知っている。
なのでルリエルに何かを求めるような事は離れること以外口にしなかった。
ただ離れるだけでも、彼女は恐怖と戦わなければならない事を理解していたから。
「! ルリエルさんっ……そ、そう。そのまま、そのまま後ろに!
大丈夫、貴女なら出来る!天使様なんでしょう!?」
決意をし、ゆっくりとだがルリエルが楽から身体を離し始めた。
それでも恐怖に顔は歪み、体は震えているが、楽を信じて恐怖に向き合っている。
その姿を見て、楽は今一度『この人を助ける』という意思を固めた。
信頼には行動で返さないといけない。たとえ自分のエゴだとしても、裏切るような真似だけは出来ない。
タコを掴んでいない手をルリエルの肩に添え、同時に、後退するルリエルに合わせる様に手に力を籠め、タコを引く。
力が抜けそうになる声が耳を擽る事もあるが、それくらいではもう楽の精神は揺さぶられない。
「よし、よし!
よく頑張ったルリエルさん、後は一気に――――」
渾身の力で引きはがす、それで終わり。
勝利を確信した楽は、油断していた。この期に及んで可能な抵抗などたかが知れていると。
しかしそんな楽の手首を、突如圧力が襲う。
ルリエルの大きな胸が、文字通り暴れ始めたのだ。
大きくはあれど中はスカスカ、というわけでは勿論なく脂肪が詰まり質量も重量もある塊が遠心力も伴って。
「痛ぁっ!?……え、嘘だろ。」
手首にかかる負荷に耐え切れず、楽はその手を離してしまう。
暴れまわる乳肉の間から投げ出されるように弾かれる手はどうやら手首をやってしまったらしい。
決してうっかりではない。油断はしてたのは否定しないが。