2021/11/21 のログ
藤白 真夜 >  
「ふふふ♡
 異能も私のになっちゃったね。
 真夜って結構エグいのやるよねぇ?私にはダメダメダメってすぐ怒るクセにさ」

 血塗れになった真夜を“見下ろす”
 真夜は頑丈だ。
 心も、体も。
 ズタズタにしたところでどうせ元通りになる、不死身の女だ。
 なんなら、私より頑丈だ。
 私はネガティブな感情は好きじゃないけど、真夜は好きでそれを以って立ち直ってくるんだから手に負えない。

「……だいじょうぶだって。
 約束通り、殺しはしない。
 殺すのは、アナタだけ」
 
 言葉とともに、真夜の体を何本も刀が突き破る。
 ぱたぱたと返り血が跳ねて、私の心も跳ねた。
 ぽたぽたと私の雫が真夜に堕ちる。

 なにかがおちる音が聞こえた気がする。

 それは、とても喜ばしいなにかだ。

藤白 真夜 >  
「言っとくけど―……真夜のせいだからね?
 あなた、厭でヤらなかったでしょ?
 その代わりを私がやってあげるんだから、感謝してほしいな~?」

 馬乗りになった真夜の頬を手に取る。
 言葉も出せないのか、私を見る瞳だけが、怒りに燃えていた。

「……あなたのせい。わかる?
 あなたが、自分を嫌がって、あんな助けを求めたから。自らが苦しめばいいだけのことを放棄して、逃げ出して。
 あなたは、わたしは、私たちで完結してる。そうでしょう?」

 少し言葉を選んで詰ると、真夜の瞳はすぐ昏く落ち窪んだ。
 ……ああ、やっぱりこっちのほうが可愛い。
 真夜の弄り方は、肉体的にも精神的にも、私が一番知っているのだから。

 沈み行く真夜の顔を、見つめた。

「私がやってくるから、あなたは眠っていて」

 顔中血に塗れ、絶望に沈み。
 言葉を失った血まみれのくちびるに、小さく口付けする。

 儀式のように、同じ姿の女が、重なり合った。

 

藤白 真夜 >  
 くちびるが重なる。

 ぬくもりは何処にもなかった。
 私の心に、さざ波一つ起こさない、つながり。

 女の体温は、感じられない。
 でも、ずっと……温かった。
 安らいで、ほっとしていた。

 辺りは暗く、何も見えない。

 ただ、優しく覆い隠すような闇と。
 煌めくように美しい星々だけが、私を見つめていた。

 交代の時だ。

 沈んでいく。
 沈んでいく。
 深く、深く。

 水は温かく、吐息は甘く。
 紅茶に注がれた砂糖のように、私は溶けていった。

 ――おやすみなさい。
 最後に、そう言い残して。

藤白 真夜 >   
 ぱちり。
 自室で、目を覚ます。

「あ~……よく寝た~……」

 何も無い部屋。
 部屋の外を覗きみれば、夜だ。
 いつぶりだろう、自然に起き上がることが出来たのは。
 私は、真夜がどうしようも無い時にだけ出てくるだけだった。
 今もある意味そうかもしれなかったけれど。

 胸に手を当てる。
 唇がまだ、あの柔らかさを覚えている。
 我慢できず口元に手を当てれば、朱を引くように血がついた。

「……おはよう、“真夜”」

 夜の只中で。
 朝を告げる。
 真っ暗な部屋の中で、赤く光る瞳が瞬いた。
 

ご案内:「◆あかいうみのゆめ(過激描写注意)」から藤白 真夜さんが去りました。