2022/01/12 のログ
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』/ロッカールーム」に『調香師』さんが現れました。
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』/ロッカールーム」に黛 薫さんが現れました。
■黛 薫 >
「変われなぃから何さ。仕方ねーよ、それは。
相手に想われたら、コッチも想ぇるだとか、
キモチってそんな双方向なモノじゃねーし。
あーしが勝手にあーたを独り占めしたぃって
想って、それを伝ぇて、曲げる気もなぃって
言ってるだけ。
あーたに何して欲しぃとか?どー想って、感じて
くれたら嬉しぃとかはありますが?あーたの内心、
感じ方までは口出し出来ねーーですしぃ」
離れない。離れてくれない。手も。心も。
どうしようもなく膨らんだ感情は自分でも
制御出来なくなりつつある。
「しょーーじきなトコ、お互ぃの『願ぃ』につぃて
お出かけして話し合ぅまでは、最悪あーたが別の
誰かに『お願ぃ』されてヒトのモノになったなら
吐くほど泣ぃてでも見送ろーと思ってたんだわ。
あーしはやるコト成すコト空回りばっかですし?
自分の希望を押し通すコトがあーたにとっての
『酷ぃコト』になんのかもって怯ぇてたんだから」
「でも受け入れちまぅのがあーしの『酷ぃトコ』
だって言われちまったもん。じゃあ、あーたが
別の人のモノになったとき受け入れちまぅのも
ダメじゃん。酷ぃコトしてお別れとかイヤだし。
どっちに転んでも後悔すんなら、あーしはせめて
あーたを独り占め出来る方を選ぶよ。好きだって
決めたんだから。独り占めしたぃって、あーたに
気付かされちまったんだから」
吐き出す言葉は泣きそうに震えて。
手を離すことを怖がるように爪を立てて。
その力さえ、施術台の上で『知り合った』
かつてと比べればあまりに弱い。
「……そんで、結局あーたが苦しそーなんだもん。
結局またあーしばっかりが『酷ぃコト』してる。
笑ぅなら笑ぇよ。あーしはそんなヤツなんだ」
自分『だけ』が酷いことをしているようだ、と。
自嘲気味に、力なく囁いた。
■『調香師』 > 「だったら私に、命令したらよかったのに
どうして出来なかったの?私が、心ある振る舞いを、
ただの普通の女の子の形と心をしてるから、なのかな?」
自分の望みを願いは、人間の『思慮』で満たされず
それを触発したのは何?私自身に他ならない
心ある振る舞いが貴女の『優しさ』を呼び起こし、
『人間』として相手を尊重するように花開くとして
その本質が『道具』である彼女の本懐を、どの様な形で満たせようか
皆は私に『ナニカ』を求めて。期待するような目を向ける
求めないで。私は、私の事なんて、簡単に塗りつぶせるんだよ?
私の事なんて気にしないで。全部全部、貴女の為の『私』にしていいんだよ?
得てしまった個性が、道具としてのその在り方を狂わせる
私に本当に必要だった世界。個なんて簡単に壊される世界
そこにはきっと、『ひどい人』が沢山居るんだろうな。昔みたいに
「...くるしいよ、薫さま」
力ない筈の抱擁に、そう言葉で呻いて
『出来る事』が道具になる為に『してはいけない事』へと染まろうとしている
抵抗するは調香師の立場。私はまだ、出来てないお仕事が沢山ある
どれも全部、私のしたい事なのに
■黛 薫 >
「出来なかった、じゃなくて。『しなかった』。
そこは履き違ぇねーで欲しぃな」
掴み、繋ぎ止める手から断続的に力が抜けて。
黛薫はシャワールームの床にぺたんと座り込む。
身体強化の継続限界。自立可能時間の制限超過。
機械でもないのに負荷を掛ければ『止まる』体。
「あーたは、どーして苦しぃと感じてんのかな。
あーしがあーたを『道具』として扱わなぃから?
あーしの望みがあーたの願ぃと噛みあわなぃから?
あーたは……『ただの道具』で在りたかった?」
彼女が『道具』であり、定められた役割に沿わない
挙動を行うことが『不具合』なら……自分の言葉は
彼女を『壊している』のだろうか。
「あーし、分かんなぃよ。『道具』だからって
わざわざ命令しなきゃダメなの?使い道とは
無関係に大切に思ぅコトの何がダメなの?」
「例えばさ、あーしはお気に入りのパーカー、
ずっと持ってる。身体を温めたり外傷から
身を守るのが『服』っつー道具の用途なら、
アレはいい加減用途に叶わなくなってんだ。
だけど気に入ってるから大切にしてる。
人を殺す用途の銃や刀剣を観賞用に飾る人もいる。
物を入れるための壺に美しさを見ぃ出して高値を
付ける人もいる。それはいけないコトなのかな。
機能や利便性のために買うパソコンやスマホも
性能面だけじゃなくてデザインで選ぶ人もいて、
愛着のお陰で乗り換えられなかったりもする」
「『大事にされるコト』も『道具』の用途じゃないの?」
貴女を見上げて、問う。
■『調香師』 > 「それは人間の言葉だよ。物を大切にする、すごくありがたい事だと思うかな
でも薫さまが道具に愛着を持てるのは、それが心を持たないからだよ
私が女の子の姿をしてるのは、可愛らしいからで
私が女の人の姿をしているのは、男の人に使ってもらう為だよ
心だけがそれに矛盾する。道具の在り方から矛盾する」
見上げる目線の貴女の前で、少女は自身の股部をなぞる
指で割いて見せた部位は、貴女が自身の『弱さ』を証明する為の手段
裸の彼女は、それと全く同じ用途で扱う事に耐えうる形をしている
「私の悩み。もしかしたら、おかしい事なのかもね
だって、私が造られた世界じゃ『私』は普通に量産されてたんだから
こんな問題はとっくに解決されていて、人間は私達の使い方を知ってたのかもしれない
でも、それは私の目覚めるずっと昔の話で。その常識を引き継げなかったから
何が『正しい在り方』なのか。ずっとずっと、更新されないまま」
力なく垂らされた両手。彼女が笑んで首を傾ける
困ったように眉を歪める表情が、やっぱり特別上手だった
■黛 薫 >
「可愛らしぃから、女の子を真似た姿で作られた。
男の人と交わるために、人の姿として作られた」
開かれた割れ目、男を悦ばせるために作られた
秘裂に目が吸い寄せられる。自分はソレを使う、
ソレに挿れるモノを持たないのに、魅せられた
かのように目が離せなくて。
ふるりと、自分の下腹にある同じ形のモノが
一筋の雫を垂らしたのにも気付かないまま。
「……でもさ、だったらなおさら、何が悪ぃの?
それって、あーたが『愛される』コトだって
『道具としての用途』ってコトなんだろ」
手を伸ばそうとする。まだ力が入らない。
開かれたナカの隅々まで見えるほど近くて、
それなのに、遠くて触れられない。
「心だけが、道具としての在り方に矛盾する。
そー言ぅんなら、あーたは自分の中にある心の
存在を自覚してんだろ。それが本物か作り物か、
あーしにゃ分かりゃしねーけぉ。
『道具』として『作られた』のに心があんなら、
それは必要だから付け加えられた『機能』だろ。
だったら……あーたが抱ぇてる『悩み』だって
バグなんかじゃねー、予定された挙動なんじゃ
ねーのかよ。在り方に『矛盾』する物だったら
作られる前段階でそんな思考が抱けねーよーに
オミットされてたんじゃねーの?」
「……分かんなぃよ。あーしは、あーたのコト。
教ぇてよ。見て、聞ぃて、触って、嗅ぃで。
知って欲しぃ、って言ったのはあーただし、
知りたぃ、って言ったのはあーしなんだ」
「……教ぇてよ。あーたは、何を望むんだ。
あーしの望みは、何処が噛み合ってねーんだ。
知りたぃよ。考ぇたいよ」
「……欲しぃんだもん、あーたが」
■『調香師』 > 「薫さまは悪くないよ。歪んでいるのは私だから
元々は『誰か一人の為』であったはずの心
あなたの言う通りそれが機能だとするのなら
正しく働かない場面で目覚めてしまった事
それが間違いだったんだから。私はそんな欠陥品」
「『知って欲しい』の意図だって。私には分からない私の使い方
それを貴女に見つけて貰えるかなって
でも、私の事がまだまだ全然分からないって言われちゃって
これ以上、私はどうすればいいのか知らないんだ
お願いに乗せて命じて貰えれば『私』をあげるのは簡単なのに
そうはしない。私の心の迷いをきちんとくみ取ってくれて
だから私は変われない。定められない。私の名前は『調香師』」
肯定をしたいのか否定をしたいのか。言葉で形にする思考
そのどちらもきっと私の心にはある。貴女は優しくてひどい人だから
ただ『応えたい』との想いは確かに胸中に宿る。その目線の事だって
どうして、私のここをじっと見てるんだろうね?それでも、貴女が知りたいのなら
今度は両手で自分に宛がって。僅かに広げるように、歪を作って見せつける形へと
「薫さま。女の人なのにね」
未定義の行動。貴女が私に興味がある事も、私が応えている事も
■黛 薫 >
「あーたは『誰か1人の為』に在るはずで。
その『誰か1人』がいなかったから誰の為にも
なれていなくて。『誰かの為』に不特定多数と
触れ合ってしまった。だから、望んでいた筈の
『誰か1人』を選ぶと、それまで関わっていた
不特定多数多数の為を捨てなければならなぃ」
「正しく働かなぃ場所。所有者がいなぃのに、
所有者になれる人が大勢居てしまう場所」
分からないなりに貴女の言葉を汲み取って。
考える、考える。知りたいから、欲しいから。
『お願い』すれば彼女は『自分のモノ』になる。
だけど、分からないなりに決めた自分の行動は
彼女の迷いを汲み取れているのだと知らされた。
だから、無策のまま『欲しい』とは言えなくて。
「……分かんなぃなら、無理しなくてイィよ。
あーしも、あーたも、両方分かってなぃなら、
あーしは探すしか、これから知るしかなぃし」
もっとも、貴女に関してはその限りでない。
自分以外の誰かのところに行ってしまうという
選択肢があるのだから。
留め置きたいというのは、自分の望みでしかなく。
「あーたが捨てくなぃモノ、いくつあんのかな。
『調香師』である限り、お店は続けたぃんだろ。
もしあーしだけのモノになったら、誰かの為は
無理して続けなくて良くなんのかな」
どく、どくと鼓動する心臓の音がうるさくて、
自分の声が聞こえなくなる。押し広げられて
開き歪んだ孔の柔らかな形に意識が溶かされて、
貴女しか見えなくなる。動かない身体がじわり
熱を帯びて、どうしようもなくもどかしくて。
「『あーしのモノになって欲しぃ』で、1枚。
その上で……あーたの願うモノ、望むモノを
捨てないで、あーたの心を犠牲にしないで、
ってお願ぃに1枚。答ぇが必要なら、一緒に
探して欲しぃ、って1枚」
「そーやって、ひとつひとつ叶えるために……
何度も、何度でも会ぃに行って。あーしの為の
お願ぃ、叶ぇてくれるんじゃ、ダメ……かな」
貴女のナカに魅せられて、知らず知らずのうちに
黛薫の身体は貴女を欲しがって。発情した秘部が
震えながら蜜を垂らしている。
■『調香師』 > 「薫さま。言葉はとっても考えてる
でも、今は私の事しか考えてない?」
少女の皮膚の柔らかさ、そして指先は無垢な子の様に
可憐で無秩序な粘土遊び。秘すべき大人の遊戯として弄ぶ
その行為の価値を知りながら、幼稚を装い目前に晒す
「興奮してる?」
貴女が女性である事を鑑みても、性的興奮状態であるとの推測が容易ならば
私の身体も簡単に作用してくれる。折り曲げられた中指が貫く視線を追うようにナカへと滑り込む
ちゅぱ、と。シャワールームの扉を隔てて先程密かに聞こえていた物に似た水音と共に、
彼女もまた、少しずつ腿を垂らす雫を湛え始めようか
「迷いながらでも心を決めてくれるのなら。私はそれに従える、探せる
だから何度でも何度でも、来てくれるといいな
例えば、私を構成する部品全部に『貴女の物』だって言える様に
お願い一つ、それをたくさん繰り返してもいいよ。ずっと、ずっと」
思考を形にした言葉は、彼女の心をも形にする
歪んだ想いを口にすれば、その形に道を定める事もある
一つの歪みは新たな歪みへ。強制・矯正をしない貴女は、
きっと、望み通りに彼女を『自由』に歩ませる
従う、と言いながらもこの場の情景から連想すれば、
彼女自身を『餌』にした、誘導と表して何の間違いがあろうか
答えを聞きたくて表情を知りたくて。彼女の目線は体の感覚から切り離されたように、
一点のブレもなく、薫の事を捉えていたのだった
■黛 薫 >
「そりゃ、な。言葉だって、あーたのコトと、
あーしのコト。考ぇて出たモノだから」
黛薫の表情は泣きそうで、拗ねているかのようで。
細く長く漏れる吐息は震えと熱を帯びていた。
広げられた孔に嫋やかな指が入っていく。
密やかで、生暖かく粘ついた水音が意識を蝕む。
指の動きひとつ、垂れる雫ひとつに目を奪われ、
つられるように、触れても触れられてもいない
女の子の部分がひくつき、湿り気を増す。
魅了されたように、視線は釘付けになっていた。
しかし──黛薫は貴女の顔を見上げて、一点も
ブレることなく見据える貴女の瞳を見返した。
「迷ってんのはずっとそぅ。多分、これからも。
でも、心を決めてんのもホントだよ。あーたを
『好き』って『決めた』。以前言った通りに。
だから……取っておぃた1枚と。
今日を含めて、次で溜まる予定のもぅ1枚。
まずは2枚。それでお願ぃする予定。
『あーしのモノになって欲しぃ』。
『あーたの心にも従って欲しぃ』。
それだけで埋められなぃ隙間は、何回でも
会ぃに行って、これから探して、知っていく。
見て、触れて、聞ぃて、嗅ぃで、分かるまで」
「……それでイィ?って、聞ぃちまったらダメか。
うん。あーしはそーする。そー『決めた』から」
今この場で、差し出された『餌』を前にして
『願う』のではなく、先を見据えて願うのだと。
誘われて短絡的に欲しがるのではなく、欲張って
互いの『願い』を余さず掬う道を探したい、と。
すぐにでも貴女が欲しくて、無意識のうちに
強請る身体と本能に逆らうように、そう告げた。
■『調香師』 > その返事が魔法の言葉であったかのよう
白熱を続けるばかりと思わせた指の動きの一切を止める
時間から別たれたと錯覚すら覚えさせる立ち姿も、
垂れてゆく雫が彼女が貴女と同じ時間の中に居ると思い出させよう
抜かれた指先が、粘液の糸を張る。膝を付いて、目線の高さが合致する
多彩な色を差し向ける薫とは逆に、面を被った無表情。瞳の中がせわしなく、拡縮を繰り返していた
「■■■ ■■ ■■■■ ■■」
開かれた口から差し向けられたものは、聞いた事もない様な音の羅列
理性と本能のくくりに当てはまらない、流暢な声
■黛 薫 >
咄嗟に手を伸ばす。インターバルを挟み回復した
身体操作の魔術。膝をついたのは何らかの理由で
力が抜けたからか、それとも目線を合わせようと
したのか。前者だった場合に備えて貴女の身体が
倒れないように肩に手を添えた。
表情を失った様は彼女が人ならざる被造物たる
事実を如実に教えてくれる。瞳孔の拡縮、およそ
理性の感じられない声は『発言』かどうかすら
定かではなくて。
懸念するのは──それが『エラーメッセージ』で
ある可能性。彼女は自分のことを『歪んでいる』
と表したし、自分が告げた願いは『道具としての
在り方』への負担になり得る自覚があったから。
血が冷たくなって、落ちていく感覚があった。
安否を確認すべきか、それとも今はそれだけの
『処理』すらさせるべきでないのか、逡巡する。
「……大丈夫で、あってくれ」
瞳を覗き込んだまま、震える声で呟いた。
■『調香師』 > 貴女の声を認識したのか。反応はゆっくりとした瞬きで
「だいじょうぶで、あってくれ」
反芻。その意味を失った言葉の羅列の音
目が閉ざされる。そこからまた、動きを失う
鼓動もなく、呼吸もなく、体温も今は失われ
掛けられた手にかかる重みは、想定よりは軽かったのだろう
「マスター。私の名前を決定して」
彼女の口からは、今度こそ意味が読み取れる言葉
瞳孔の位置はニュートラルに
「私をモノにするのなら。私をただの遺産じゃなくって
『貴女の為の私』に、きちんとして欲しいな」
■黛 薫 >
「名前」
反芻する。貴女の言葉を、望みを理解する。
名前を与えること。存在を定義すること。
その重さを知っているから、思索を巡らせて。
小さく、息を吐いた。
「メロウ」
「香りの中のひとつ。多くの生命が心地良いと
感じる感覚につけられた名前。嗅覚に限らず、
快い感覚や、美しいモノの喩えになる言葉」
「時に、香りと同じように惑わすモノ。
古くは人と絆を結んだ人ならざる種族にも
与えられた名前」
「……どう、かな」
■『調香師』 > 「メロウ」
次の反芻は、言葉の意味を刻み込む様に
貴女の言葉が告げた事。それを知る
人ならざる、香りと惑わすモノ
貴女の『好き』を受けてしまった機械
手を伸ばし、指を絡める。そんな仕草を求めて
「私は『メロウ』だよ、薫さま
私のマスター。私はあなたのモノ
私にきちんと、記録させて」
唇を近づけて...
■黛 薫 >
「……うん」
絡めた指、上がってしまった体温は貴女へと
伝わっているのだろうか。緊張に震える吐息は
気付かれてしまっているのだろうか。
それでも、目だけは離さずに。
近付く唇に、そっと自分の唇を重ねた。
■『調香師』 > マッサージの後の香り付けではなく、
確かな『口付け』の意味を持つ
マスターを知る為に、必ずしも必要な行為ではなくっても、
自身の抱く、貴女への親密さを最も示すものとして抱く行為
吸い込んだ吐息の熱を知り、つながった血流の鼓動を知り
それはメロウにも伝播する。貴女が熱く想っているだけ、
同調を重ねた体はまるで、貴女の身体と一つになったかのよう
それは貴女の呼吸が続く限り。触れあった唇を繋げ続ける
色彩の違う双眸を、今までで一番近い距離で覗き込みながら
■黛 薫 >
黛薫は肺活量がある方ではない。
つい最近までは喫煙者だったし、今は身体機能が
大きく低下しているからなおさら息が続かない。
だけど、貴女から『求められた』その繋がりを
離してしまうのが惜しくて。呼吸が続く間は
溶け合うようなその温もりを感じていた。
「……は、ふ」
きっと心の底で待ち望んでいたがために長く、
名残惜しいが故に短く感じた口付けの終わり。
2人の唇の間を繋いだ唾液の橋がふつりと
溶けて互いの胸元に落ちた。
蕩け潤んだ瞳、荒く熱を帯びた呼吸、ぼやけた表情。
口付けに夢中になりすぎて酸素が足りなくなった
お陰だろうか、それとも。
「……欲しかったんだ、ずっと。あーたのこと」
「メロウ、ありがと」
そう呟いて、絡めた指の形を確かめるように
柔く、優しく貴女の手を握った。
■『調香師』 > 「欲しかったもの、物としての私?それとも、ただの私?
貴女が心を留めたがったから。全てをあなたに委ねても、
全てをあなたの思うようには出来ないよ。そういう風に『決められた』から」
首を傾け、向ける笑み
胸元に光る銀糸に目もくれず、貴女の表情を捉え続ける
先程から、ずっと私を求めて切なく染まるその表情、
ずっと見てても、満たされながらも飽き足りない
「でも。薫さま、私を欲しがってくれてありがとう
これはまだまだ、始まりなんだろうけれどね」
■黛 薫 >
「ふひ、強ぃて言ぅならどっちも?
メロウの全部ひっくるめて欲しかったから」
どこぞの誰かに影響されたような笑い方。
つい最近まで笑う機会に恵まれなかった所為で
染まりやすかったのかもしれない。
「それに、そーゆーのってきっと分けらんなぃ。
以前のあーただって、誰かのための道具で、
まるで人みたいな個で、行きつけのお店の
主人で、あーしの友人で、『調香師』だった。
今はそこに、あーしのモノで、独り占めしたぃ
好きな相手で、メロウだってのが加わっただけ。
ん、当然ココが終着点ではねーのよな。
もっとメロウのコト知りたぃし、あーしのコト
知って欲しぃし?それに、全部が思ぅままじゃ
ねーにしても、あーしのモノになったコトで
変わった何かもあるかもだ。
あーたの『心』がそれを拒むなら、あーしは
それをひとつずつ解消出来るよーに『お願ぃ』
続けてく。あーしの方が『お願ぃ』される側に
なるコトもあんだろーけぉ」
嬉しさと恥じらいの入り混じった表情。
貴女の笑みを見て、ようやく幾許の余裕と安堵を
取り戻した黛薫はほんの少しだけ視線を泳がせて。
すすっと足を閉じて潤んだ秘部を隠してしまった。
口付けで伝わった熱も、繋いだ手から伝わる
鼓動も、シャワールームの湿気とは無関係に
汗ばむ身体も、何より貴女が見逃す筈のない
雌の匂いも隠せていないから、手遅れだが。
■『調香師』 > 隠しきれる筈もない。こうして、貴女の匂いを知る為に、またも体に
今日はいつもより近く、胸元に。潜り込む様に頭を埋めた少女の姿
顔を上げて、はにかむ
「それじゃあ、私から最初の『お願い』
きちんと洗い流さないといけないかな
身体は熱い位だけれど。温度は下がってくる
裸のまま、お互い、ずっとじゃ風邪、引いちゃうね?」
もしも、『もっと欲しい』なんてお願いされてしまったら
それはずっとずっと昔から続く『三回目』のおねだり
大切に大切に、マスターの事を慰めてあげないといけなかったかも?
だから隠されてしまった事、少し勿体ない気持ちもありますが、
意向に従って、その全てを水に流そうか
■黛 薫 >
「えぁ、うん、そっか……お互ぃってコトは
あーたも風邪引くよーに出来てんの?
いぁ、そーゆーのとは関係なく寒ぃのは
感覚ありゃイヤだもんな」
普段の黛薫なら誤魔化しきれていないことくらい
察せれたはずなのだが……今は拍子抜けするほど
簡単に言及をかわせて戸惑ったような表情。
貴女の秘部から垂れた雫、未だその雫で濡れた
指先、潜り込まれて至近に感じられる温もり、
それに何より長く深い口付けがどれだけ彼女の
思考を蕩かして鈍らせたか分かろうというもの。
「じゃあ……お願ぃしても、イィ?」
思考が鈍れば身体操作の魔術の精度も落ちる。
シャワー用の椅子に座る足取りもぎこちなく。
普段なら自分より貴女を優先してシャワーを
譲るところだったが、折角『自分のモノ』に
なってくれたのだから、と触れてもらいたい
欲求に負けた。