2022/03/08 のログ
ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)1」に皋嶺 冰さんが現れました。
ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)1」から皋嶺 冰さんが去りました。
ご案内:「落第街」に皋嶺 冰さんが現れました。
皋嶺 冰 > ――――どうして、こんな日に、こんな場所に、自分なんかが足を踏み入れてしまったのかには、理由がどうしてもあった。

クラスメイトの男子から、ある相談をされたことが切っ掛けだった。


この場所に、自分のクラスの女学生が一人で向かっていくのを見てしまい、止めようにも自分自身では呼び止めかねたもので。
顔の広い自分なら、止められるんじゃないかと、気弱に伝えられたから。


だから、こんなにも薄暗く、昼過ぎだのに、夜かとさえ錯覚するほどの、底冷えた暗い道を進んでいた。

クラスメイトの名前は……そう、確か、アサダ、と言っていた。
確かにそんな子がいた気もするが、それは名前だったろうか。
名字だったろうか。兎も角、その名を呼べば反応が返ってくるだろうかと。

「……アサダー、アサダー!私だ、皋嶺だっ!……ええと、ここにいると、危ないぞ!アサダ!!」

と、やみくもに声を四方に向けながら歩みを進める。
片手には鞄。最低限、スマホ、学生証、財布の類くらいは手持ちに、自分の追う女学生の影を探る。

「……それにしても、此処は、なんだか……寒い……私が、寒いというのも、不思議だが……、うん」

腕を、肩を自身で抱いては、目を細めて、不安に震える。
……見られている、ような気がした。

皋嶺 冰 > 「――――っ」

ひゅぅ、と風が吹く。肩を抱いていた両腕が、一層震え、足を止める。
……冬服だったら、もう少しこれに対しても身体は震えなかっただろうかと思う。
自分は、寒さにはとても強いはずだったのに、ここの寒さは、そういうのとは種類が違った。

風にあおられたスカートが、その下の薄布一枚も、見ように見ては見えてしまう位、心もとない恰好ですらある。

こういうところには、そういう人間たちがいるかもしれない。それは最近、ある友人から教わったことだったけど、
――自分以上に、先に此処に迷い込んだという学生のほうが、その毒牙に掛かってしまうほうが、重大。

止まった足を再び動かし、歩き、進み、声を。

「ア、アサダ……アサダぁ……!此処は危ない、危ないから、私と早く、逃げよう……何処にいるんだ……?」

……弱めてはいけないのに、震えて、声が萎む。
早く見つけてあげないといけない、こんなところにいては、凍えてしまう。

凍える?自分が?