2022/04/07 のログ
ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)1『蟠桃会』拠点 収容区画」に神樹椎苗さんが現れました。
神樹椎苗 >  
 蟠桃会──寄生植物『闘争の種』を研究開発した違反部活。
 その拠点が爆破され、壊滅状態となった。
 しかし、その結果、地下施設に収容されていた多くの実験体が解放され、施設内にいた人間を無差別に襲い、惨憺たる有様となっている。

「──随分と景気よく暴れたやつが居たもんですね」

 そして、その実験体もまた盛大に惨殺されている。
 ここまで来る中で目立ったのは、銃創と燃えカス、命の残滓──そこから割り出せる主な侵入者だが。
 

神樹椎苗 >  
 
(銃は『へっぽこ探偵』、異能の痕は『陰気巫女』の黒い方ですね。
 燃やしてるのは──『ロリコンやろー』ですか、また珍しいやつがいますね)

 意外と知人が多いことに、些か呆れ気味になる。
 わざわざこんなところに入り込まなくてもいいだろうにと思ってしまうが、それぞれ理由があるのだろう。
 そして残った痕跡から他にも一人の知人。

(『ピンぼけ女神』ですか──無事だといいんですが)

 彼女がまた、特異な存在であることは認識しているが。
 かと言って不死性の存在ではない。
 隠れ潜むような痕跡を見れば、余力があるようにも測れなかった。
 
 

神樹椎苗 >  
 そしてまた、そうした実験体の死骸だけでなく、蟠桃会の構成員の死体も多い。
 これはその殆どが頭部を吹き飛ばされている。
 用いられたのは銃、それもかなりの大口径だ。
 残っていた弾痕から、.70口径のライフル弾だとわかる。

 そんな馬鹿げた装備で構成員をほぼ皆殺しにしている事から、構成員を殺したのは『鎮静剤』だろう。
 しかし、『鎮静剤』は人殺しは避ける性格だと聞いていた。
 それでも殺しているとなれば、情報が間違っていたか、心変わりがあったか、それとも──

(ここの連中は『人間』の規定から外れたのかもしれませんね。
 『トランキライザー』からすれば、家族を利用されてもいるわけですし)
 
 

神樹椎苗 >  
 家族の技術を研究を、殺戮のための兵器に利用されているとなれば。
 とても気分のいい話ではないだろう。
 おそらくは、個人的な復讐も混ざっているはずだ。

(そんな『トランキライザー』も、今頃地上でどうなってますかね。
 死んでいてもおかしく無い戦力差でしたが)

 それならそれで、椎苗の仕事に後始末が増えるだけだから構わないのだが。
 椎苗の所有者たちからすると、死なせたくない人材らしい。
 椎苗をここに配置したのも、間接的な支援を行いたいがためだろう。
 

神樹椎苗 >  
(いくら優秀な人材でも、殺人歴犯罪歴のある不法入島者を表立って支援はできねーですしね。
 しいを使えば少なくとも、地下の掃除は出来ますし。
 効率が良いとは言えませんが)

 時間さえ掛ければなんとでもなる。
 そしてこれ以上の支援は、付け入られる隙になる、そういうことなのだろう。
 

神樹椎苗 >  
 さて、椎苗がこうして悠長に物思いをしつつも、この場所に居られるのには当然理由がある。
 周囲に存在する寄生体たちは、椎苗を囲むように集まり、まるで跪くように静かに佇んでいた。
 その様子には、あの狂暴さが影もない。

「――ふむ、こんなところですかね」

 集まってきた数はそれなり。
 他にこの区画周辺にいる人物が居れば、多少はこれで動きやすくなることだろう。
 まだ無事でいれば、の話だが。
 

神樹椎苗 >  
 
「予定より大幅に遅れたのが口惜しいですね。
 日付が変わる前には動き出したかったもんですが」

 隠れながらここに近づくのに、想像以上に手間取ってしまった。
 とはいえ、早くこれたからと言って、やる事が変わるわけでもないのだが。
 
 左手に柄を握る。
 血のように紅い剣が霧に包まれながら、顕現した。
 そして、その場で緩やかに回る。

 赤い剣は、その刀身を瞬く間に巨大化させ、長大な剣となる。
 その刀身は屋内にも関わらず、壁や柱に干渉されることなくその身を滑らせ、椎苗を取り囲む寄生体たちを両断していく。
 赤い刀身に触れられた寄生体は、例外なく、全て枯れ果て、宿主の亡骸だけが転がった。
 

神樹椎苗 >  
 
「さて――次ですね」

 多数の寄生体を瞬時に葬った赤い剣は、黒い霧と共にその姿を消す。
 椎苗は足元に転がる『種』をいくつか拾いあげると、その手の平に握り込んだ。

 ――『祝福貸与』(エンチャントブレッシング)

 神木の神性を与えられた『種』は、小さな根を足のように生やし、椎苗の手から飛び降りる。
 そして、カサカサと微かな物音を立てながら、周囲へ虫のような動きで散っていく。
 これらの『種』は椎苗の目となり耳となって、この区画の情報を集めてくるのだ。

「後は、どこで『起爆』させるか、ですね」

 友人の形見でもある古びたカンテラをぶら下げながら、椎苗はのんびりとやはりどこか悠長に。
 収容区画の中を歩き始める。