2022/08/06 のログ
ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)1」に黛 薫さんが現れました。
ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)1」にメロウさんが現れました。
黛 薫 >  
堅磐寮の部屋の一角、家具が置かれていない
開けたスペースに青白く光る陣が敷設される。

「前提。高度な魔術──『奇跡』に近しい事柄の
 実現は『不可能』を覆すことで行われる。
 必要な触媒の条件は色々あっけぉ、その一種が
『奇跡』の前例。『起き得た』という事実で以て
 不可能性を棄却する。

 メロウは遥か昔に滅びた文明の遺産。記憶にも
 記録にも残されず、再起動した恐らく最後の存在。
 その在り方が触媒足り得るかを調査する」

「具体的な調査項目は3つ、そのうちメロウの
 協力が必要で、今日やろうとしてんのが2つ」

「1つ目、メロウの触媒としての適正調査。
 調査には専用の術式があっから、それを行う。
 ざっくり説明すっと結果がゼロに戻ってくる
 儀式を試す、って言やイィのかな。

 普通なら1を足して、1を引いて0になる。
 触媒を使うと1が10にも100にもなるけぉ、
 やっぱり0に戻る。その振れ幅の大きさが
 そのまま触媒としての適正の高さってワケ」

「2つ目、メロウ自身がどういう存在かの調査。
 同じ触媒でも生贄の嬰児と宝石じゃ術式の
 組み方からして違ぅし、触媒によって目的の
 術式への向き不向きだって変わってくる。

 この調査結果を元に実際に術式が組めるかを
 検討する。場合によっちゃ、適正が高くても
 現実的な術式が組めなかったりするかんな。
 そこら辺はあーしの腕の見せ所」

「ひとまずその陣の上に乗ってもらぅ前に服は
 全部脱ぃで良ぃ。それを見越して普段のより
 楽なの着てきてくれてっからな」

メロウ > 「理解してるよ、理解したんだ...不思議な話だよね?
『何が起きるか』は全く分かっていないのに、
『何をするか』は私にも分かる言葉の並び

 つまり、方法自体は『魔術』じゃないんだってさ」

パーカーをたくし上げ、衣として脱ぐ。その一連の動作は完全に無防備として
選ばれた衣装は可愛らしく、それでは選ばれなかった衣装と言う物は

下に着ていた白いキャミソールは、薫の目から見ても直ぐに理解する程度に安物の量産品
茹だる暑さにパーカーの重さ、それを経ても尚汗1つかかないさらりとした肌。布の1枚、ただ隠すため
あっけなく剥がされる。幼さの残された肢体であれど、童よりは背の伸びた少女の形

「全部、脱いだ方がいいの?」

畳みながら尋ねる。ショートパンツ、黒のタイツ、手をかけられる場所は未だ残されたまま

黛 薫 >  
「軽く訂正すると、魔術じゃなぃっつーよりかは
 魔術『だけ』じゃない、かな。儀式的な営みは
 得てして意味を持つ。魔術的に、呪術的に、
 場合によっては風俗的に、科学的に」

「先にやんのはちゃんと魔術らしぃ方法だよ」

科学分析のない時代の民間療法が確かな効果を
持っていたり、オカルトで片付けられそうな
言い伝えが確かな力を有していたり。

洗練された手法の根底には感覚的に分かる何かが
眠っていたりもする。『分からなくても分かる』、
矛盾しているようでありふれた話。

「うん、全部。メロウだって調香器具の中に
 材料外のモノが残ってんのにそのまま使ぅ
 ってこたねーだろ」

メロウ > 「分かってるよ。ただ、聞いてみたかっただけ
 うーん、ちょっと勿体ないなぁ」

真面目な返答に、不満そうな声は隠さず
不機嫌ではない、ちょっとした楽しみが消えただけ
ショートパンツとタイツと、それだけ。身ぐるみ全てが剥がれて、神秘もあられもない姿
一旦ソファーに腰掛て両肩を落としため息もつけば、色気も損なおうと言う物

部屋の一角に構える魔法陣へと目線を向ける。そうだろう、彼女の言う通り『魔術』の証
別世界の調香を知る過程、目にしたことはあるけれど。相変わらず、その意味は知らないまま

「私はあの上に乗ればいいんだよね。ほかに特別な事はしなくていいって事?」

黛 薫 >  
「動揺して欲しかった?」

普段なら笑みも交えて冗談っぽく口にしたであろう
言葉も、今はただ問うだけ。専門分野を前に平静を
崩さないのは誰ぞに似たのか、元々の性分か。

裸体にも、脱いで重ねられた衣服にもさしたる
動揺はない様子で、メロウと魔法陣、半透明の
魔導タブレットを順繰りに確認している。

「メロウは何もしなくてイィけぉ、触媒としての
 適正調査が済んでから……メロウ自身の調査に
 移ってからはあーしが色々手ぇ出すコトになる。
 そんとき嫌なら嫌って言ってくれてイィから」

メロウ > 「そりゃ、ね。これも一種の、私にとっての研究であるから」

探求に真摯である、というのも容易に察せられた所
目的の為に我が自ずと後回し、そうしてしまう
聞いて居た限りでは彼女の性質はそうらしい

昔は『魔』そのものに注意を向いていたらしいが、詳細は知らず
ただ、その一環である現在の態度も似た方針なのかな?

「その時はその時。私にも、守りたいものがあるかもね?
 だからそれまでは遠慮なくやってくれていいよ。私はただ、そこに居ればいいって事

 わかったよ。じゃあ、始めよっか」

魔法陣までの歩数は最適化されたものと寸分たがわず
これからしばらくは、調査される『物』としての本文を果たすとしよう

勿論、『どんなことが起こるか』の興味は、邪魔にならない程度に抱きながら、だが

黛 薫 >  
「ん、そしたら陣の上で座って……いぁ、横に
 なって寝そべってもらった方がイィかな。
 足先が陣の外に出ないようにだけ気ぃ付けて。

 異常、不安、何でも懸念事項が浮かんだら
 手ぇ上げて知らせてくれな」

仮契約の際、メロウが人の真似を出来なくなった
状況を思い出す。姿勢制御に問題が無ければ良いが、
万が一に備えて倒れそうな姿勢はやめておく。

一通りの確認を終えてから、術式が起動される。

メロウの視点からは淡く発光する魔法陣が周囲を
仄かに照らす程度の変化しか見て取れないだろう。

しかし、五感とは異なる奇妙な感覚が存在する。

背中は硬い床に触れているのに、地面が溶けて
落下していくような浮遊感。視界は寮の天井を
見ているのに、暗闇と遠い星々のような煌めきが
周囲に満ちている。血管とは別に身体の隅々まで
何かが通っていて、液体でも気体でもない力が
巡り、内側から触れて、確かめていく。

「終わったよ」

まるで長い夢を見た後の目覚めのような感覚。
体感時間は瞬きほどの間なのに、酷く密度が
濃い時間を過ごしたようで……しかし時計を
見ると時間の経過はせいぜい10分ほど

『たった10分しか/もう10分も』が同居している。

メロウ > 「もちろん、従うよ。変な事を言って、縁起でもないなぁ」

語調は明るく伝えるも、従う。貴方の言葉は意味があってこそ
開始とともに、その懸念は完全なものとして形となろう
伏せられたメロウの体は、神秘を帯び始める直前に首を傾け貴方を見た。尋ね来る未知、湧き上がるのは、僅かながらの不安の秘匿


この10分、それらは全て剥離される
彼女に何の価値も齎さない。瞳の形は貴方を映す時間
時に正しさとは、光として陰に潜む虚構の領域を奪い去った

現実より広がりゆく世界の感覚を、世界の1つとして構成する『遺物』の姿
反応をこそ、数値で測るなら貴方の目算を外れはしない。人形の価値の通り
測定、という目的は十分に達成されたものとされる。どう見做すのかは、薫次第ではあるが


10分後。終了の合図とともに、おもむろに手を挙げる
意思を伝える目的ではないのだろう。ゆっくりと、遠くに追い出されえてしまったモノを探すため、
ただただ手を伸ばしたという、無意識しかそこには宿っていない

「......終わった?」

黛 薫 >  
「うん、終わり。あくまで前半戦は、だけぉ。
 つまり、触媒としての適正調査が終わった」

魔導タブレットを通して取得した成果と向き合う
時間は一旦切り上げ、メロウへと視線を戻した。

微睡みに溶けたような調査の時間。もしメロウが
異常を感じたとして、手を挙げるだけの意識を
繋ぎ止めた頃には調査が既に終わっていたのかも。

淡々と画面に向き合っていたように見える黛薫の
額には汗が浮かび、傍には砕けた宝石が幾つかと
空になった水晶の瓶が数本置かれていた。

魔力補給のための品だと、想像に難くない。

「次はメロウ自身の調査に移るワケだけぉ……
 メロウの組成が『水』に近しぃって話だから
 コレを使ぅ」

ソファの上に置かれていた水筒を手元に引き寄せ、
蓋を開く。ふよと浮かび上がるは透明度の高い水球。
メロウの目の前にまで浮遊して移動すると、軽く
お辞儀をするような仕草を見せた。

「文字通り隈無く、隅々まで走査する予定だけぉ、
 もし触られたくなぃトコとかあったら教ぇて」

メロウ > 動揺もない。自分の様子相手の様子、その両方が何かしら問題があったとして
それは貴方の手を止める理由にはならない。予測された範疇、一度始めた事はやり通す

『希釈』された意識の中で、笑みの感情を見つけては、それを形にする
普段の表情よりも寧ろ上手といえるものだったのかもしれない

「水に近い部分もある、っていうのが正解かな
 骨格や主要機関はきちんと組まれて、それを包み込むものがある
 そして腹部は、保存槽として液状が大半を占める領域」

水球に指を伸ばす。『かわいいね』と

「触って欲しくない部位はないけど、気を付けた方が良い箇所はある
 私の根本は、蒸気機関だから。うっかり潜り込むと、これも動力にしちゃうかもだし

 どう取り込めばいいのかな。飲む?」

黛 薫 >  
「んん、なるほど? ってコトはメロウは動力も
 水ってコトになんのかな。普段どーやって
 動力源を摂取してる? 同じ方法を避ければ
 大丈夫だと思ぅけぉ……」

指先で水球に触れると、1度目はジェルのように
凹み、2度目は水面に触れたように指が沈む。
粘性、弾性はある程度自在に操作できるようだ。

「例えば、水を飲んで動力源に変えてんなら
 口ん中に入れなきゃイィワケで。例えばだけぉ、
 下から入れたらどうなる? あ、いぁ、それこそ
 用途外だよな……。

 不明な原理で一瞬で吸収されるとかじゃなきゃ
 動力に変換されるギリギリまでは調べられるか?
 最悪動力にされても培養しなおせばなんとか……」

「と、考ぇんのも大事だけぉ、今回はメロウへの
 説明も必要か。その水はあーしの研究成果だと
 思ってくれてイィ。魔術的にも、科学的にも
 色々使ぇる。もちろん今回みたぃな調査にも。

 触れたところからデータが取れるから、メロウは
 その水の中に入ってくれればイィ……ワケだけぉ、
 文字通り『隅々まで』だから、メロウが察した
『何をするか』も含まれるだろーな」

メロウ > 「つまり、この子はあくまで一例で、薫様はもっと大きな物を操って、
 私はその中に沈めばいいってことだね?例えばそれこそ、お風呂みたいな

 接触して、それが調査になるのなら。成程ね、確かに私の事は分かるけどぉ」

幾度か指を当て、楽しんだ後に彼女は上体を起こす
女の子らしく座って、考え事をする時間

「...幾つか、私なり意見を提示させてもらうね
 これを取り込むのなら下から。つまり、一般的は粘膜部位から
 薫様はそれを想定している様子だけど、私はこれを取り込むだけなら、お腹からでも可能だよ

 何か処理をしなきゃいけないなら話は別だけど、格納だけなら、表面擬装を解除して液体部位から取り込めばいい
 自ずと、想像通りな行いだって『用途外』ではないって事になるね。だって、腹部に格納なら想定内だから」

股部に指を宛がう。曰く、『出来なくはない』らしい

「もう1つ。その行動に、私の意識は必要かな?
 薫様の提案は、薫様が出来る事を提案してるんだと思うけど
 私自身の調査をしたいなら、オーバーホールをしたって同様の効果...ううん、それ以上かも?
 結果が期待されると思うよ。勿論、技術的不安がある事を前提にしても

 私がこれを提示した時、どんな返事がやってくるのか。気になるからね」

黛 薫 >  
「ん、そゆコトになる」

蓋を開けた水筒から同じ大きさの水球が現れる。
それは明らかに水筒の容量を超えた大きさにまで
膨らみ、メロウ1人どころか2人3人をすっぽり
包み込める水球に変わった。

「1つ目の解答。あーしが調査すんのは体表面に
 始まって体内まで全部。勿論人間で言う血管や
 消化器系と繋がってなぃ臓器は切り開いたり
 浸透させなきゃ無理だから、それらは直接接触
 じゃなぃ間接的な調査になる。

 逆に言や、そーじゃない接触可能面は全部直接
 精査する予定。だから腹部からの格納でも全く
 問題ナシ。ただ、構造が人間とおんなじなら
 腹部からスタートして咽喉や肛門まで調べる。

 何処から入るかが変わるだけで調べる範囲は
 変わんなぃってコトになるな。当然メロウが
 イヤじゃなければ、だけぉ」

「2つ目の解答。必要性で言ぇばメロウの意識は
 無くても問題なぃ。あってくれた方があーしは
 不安にならずに済むかなってくらぃ?

 あーしが提案してる理由の1つはメロウが言った
 通りでコレがあーしが自力で出来る最大限だから。
 オーバーホールで同等以上の情報が得られるなら
 あーしはこの方法に拘らなぃけぉ、懸念もある。

 具体的には、オーバーホールで出力された情報が
 あーしの読み解けるフォーマットで出力されるか、
 読み取れたとしてその情報を魔術的に扱ぇるか。
 自力調査なら、そもそも読み取り段階で躓かない
 限り、理解できる、扱ぇる情報が手に入るかんな。

 以上から、先にオーバーホールを試して不足分を
 自力調査で埋める形でも全然問題なぃコトになる。
 もしオーバーホールだけで全部分かったんなら
 あーしの自力調査はスキップしてもイィ」

「どーかな。上手く伝ぇられてなぃトコ、ある?」

メロウ > 「そうだね。聞きたい事は聞けたかな
 今回問いかけしてみたのは、出来る事じゃなくて、
『そういう事が出来るとしたら』という意味が強いからね

 今の時代に私を扱える技術はなくって、だから『神秘』としてみなされそうとしてるんだし」

容量を超えた水球の拡大に、おぉと感嘆の声が零れる
そうやって、見た目を騙した格納も魔術の賜物なのだろうか

「私の構造は、人間とは全く違う。必要であれば内部で構成するという側面が強い
 だから、えっとぉ...これ、もしかして見てもらった方が早いのかな
 いいや、いっそディスプレイに?うぅん、こういう場面を想定してたら作ってたかもなのにぃ」

今更ながらの苦悩。自身の構造を共有しておかないと、正しい調査の手順が組めない
もしかすれば、相手の通達不足を責めておくべき局面かもしれない所、彼女は明らかに戸惑っていた

「ちょっと時間をくれたら、設計図?みたいなもの、出せるといいな
 薫様、疲れてるみたいだし...ちょっと、休む?」

黛 薫 >  
「メロウを扱ぅ技術が残ってねーってコトは、
 契約を抜きにしても調べる意義はありそーか。

 ロストテクノロジーの全部を理解出来るとか、
 んな思ぃ上がりは出来ねーけぉ、知らねーのと
 知ろーとすらしてねーのは違ってくるし」

実のところ、黛薫はメロウ自身すらメロウの構造を
理解していないのではと懸念していた。使われる側、
道具として作られた彼女、果たして自己の構造の
理解は必要としていたのだろうかと。

だから構造を知らずとも壊さず調べるために
水球の使い魔に色々手を加えたりもしていた。
ある意味では杞憂に終わったと言えるだろう。

「ん、ん……疲れてるってか、魔力の消耗は
 それなり、かな。都度回復はしてっけぉ」

当然ながら、消耗の回復に睡眠を取るのと
薬を使って急速回復するのでは質が違う。
休むに越したことはない。

「んじゃ、メロウが設計図? 作ってる間は
 あーしも休憩する。メロウも座ってイィよ」

水球が空中で2つに分かれ、黛薫はその片方に
腰を下ろした。身体が沈み込み、椅子のような
形に変形する。

クッション、ハンモック、ウォーターベッド、
どれにも近しく、またどれとも異なる水の椅子。

メロウ > 「えっと、まずはお店のコフィンにアクセスして...」

許可は得た。彼女も気だるげに、水球の片割れに沈み込んだ
うーん、表面はきちんと受け止めてくれながらもスプリングとは違う弾力

「ここから図を引っ張り出して。んー時間かかるなぁ
 えっと、干渉?そういうものがこの時代には多いよね
 ちょっとじゃないかも。思ったより、かも?」

ぶつくさと、天井を見上げる。座り姿勢で色々な事を行うのは慣れっこ
これが終わったら、概略図を構成する時間も必要だとはいえ、働けない時間は仕方ないか

「処理中の体に染み入る冷たさだね...」

早速ご満悦。服を着ていないのが、癖になってしまいそうになる

黛 薫 >  
「今の時代、専用の回線が敷かれてるネットが
 最大手だかんな……魔術の通信とか無線とか、
 あとアングラ系の秘匿通信は繋がり悪ぃかも」

黛薫も独自の回線を買い取るなどという真似は
出来なかったので、魔導タブレットはごく普通の
ネットワーク回線に繋いでいる。魔力を用いて
それが出来るのは実はかなり画期的なのだが。

「あ、暑かった? 今は夏だから冷たくしてっけぉ、
 コレ魔術の媒体として使ぇっからな。温度調節も
 出来るよ、冬場はあったかくしたりとか」

分離した水球の一部が冷蔵庫のドアを開け、
冷やしてあった麦茶を2人分コップに注ぐ。
しかも平面状に固体化してお盆の代わりになり、
手元にまで運んできた。ご丁寧にストロー付き。

「コレとか水玉とか呼ぶのもイィ加減面倒に
 なってきたから、そろそろ名前考ぇるか……」

水玉の上でうつ伏せに寝そべりながらストローに
口を付ける黛薫。待ち時間はやることがないので
リラックスモード。

メロウ > 「いや、暑くはないよ。ただ、私の処理の関係がぁ~~~」

ずぶ。寝返りと共に、より一層の深みへと
完全に便利な召使として水玉を扱う姿と相まって、
2人の様子は随分と、だらけ切ったものになってしまったような...

否。この脱力空間の中でもかろうじて、目線を鋭くしようとしているメロウの姿

「薫様ぁ、頼り過ぎじゃなぁい?」

非難、じと目。明確に嫉妬の色!
私もそんなに、頼られたことなかったのにと
勿論、説得力は伴わないものとする。彼女だって、水玉に敗北中

黛 薫 >  
「んやー、そーとも言ぃきれねーのよな。
 っつーのもこの水玉、使い魔で分体で……って
 んな定義の話したって伝わんねーよな、んん。

 結論から言ぅとコレを動かすには操作も命令も
 必要だし、魔力も消費するんだわ。今みたく
 その場に留まるとか、そーゆー命令出しとけば
 自動制御が効くけぉ、その他はあくまで手足の
 延長。消耗の仕方が違ぅだけで、あーし自身が
 取ってきたのと本質的には変わんなぃ」

「要は自分の身体の追加パーツ? みたいなもん。
 だから、頼るってか自分でやってんだ、結局」

つまり、見た目こそ全く違うがこれも身体の一部、
義手や義足のようなものらしい。といっても用途は
それらと比べ物にならないほど多岐に渡るが。

「つっても寝そべったまま取ってこれるだけで
 何故か気分的には楽なのよな……消耗の総量は
 変わんねーはずなのに……」

例えば、自分の手が伸びてベッドに寝転んだまま
テーブルのお菓子を引き寄せられたら。ある意味
人類の夢、堕落の極みと言えなくもない。

メロウ > 「実際どうかは本質じゃないの。使役というのは、『見た目どうか』って部分なの!!」

曰く、それは彼女の拘りに近しい何かである
そして、自分は自堕落に物を呼び寄せるその姿こそ、理想の『ご主人』のポーズである...らしい

が、突然の無言の時間。処理落ちしたか?いいえ、考え事の姿です

「...これって、実質薫様?私が薫様で寝転んでるという事になりそうだけど
 ううん、魔力と言う物がイメージ出来ない以上、適切な表現も難しいけれど

 触覚とか、繋がってるのかな。調べられるって言うから、そう思ったけど」

両手のこぶしで、ぐぐっと押し込んでみる。何の意味がなかったとして、
まるで子猫のように、交互にぐっぐっと試してみる。成程、この感触...

黛 薫 >  
「そ、ぅ……なの?」

一方使う側たる黛薫、身体の一部という感覚も
理解の邪魔になっているのか、いまいちメロウの
拘りを飲み込みきれない様子。

「繋ごうと思ぇば繋げられるよ。触覚以外にも
 味覚とか嗅覚とか色々。んでも普段は全部
 切ってる。魔力効率が悪ぃのもあんだけぉ、
 自分の身体だけで感じ取れる以上の感覚って
 めっっちゃ気疲れすんだわ」

他者の視線を触覚で受け取る異能を持つためか、
その言葉には強い実感がこもっていた。

ぐにぐに、むにむに、クッションをこねる猫の如く
押し付けられる握り拳。ほんの一瞬だけ『契約』の
糸を通して何かが繋がった感覚。質感も何もかも
違うのに、黛薫と『触れ合っている』感覚があった。

「どう? わざと分かりやすく繋ぃでみた……って、
 もしかして脱線してる? 設計図、出せそぅ?」

メロウ > 「ぬぅお。マスターがそこに居る?」

大して離れても居ないのだ、感じる必要も無いはずの感動の言葉がそこにある
それがクッションの姿をしているものだから、一度思い切って抱きしめてみようかと...思っていた時だった

『ちゃんとしてる?』との催促の意味も秘めていそうなその言葉に、今度は喉奥からこぼれたような、気まずい雰囲気の声


「......これ、通信できてないかも?」

それをクッションに向かって、囁くように呟いても、
聴覚は繋がっていないのだから、何の意味もないだろうに

この瞬間、相手の感覚の繋がったクッションに裸で乗っかるだけの少女に成り果てた

黛 薫 >  
なお、黛薫に催促の意図は微塵もなく。
メロウといるだけで気が緩んで本題を忘れがちな
自分への戒めに近かったのだが……それ以上に
抜けているメロウの呟きには沈黙が返った。

「……」

数秒の沈黙の後、水クッションの弾性が唐突に
消え失せた。つまり水球の中へドボンである。
水底を突き抜けて床にまで落ちないのは温情か。
でも水にほっぺをつんつんされてる感覚がある。

「もっかぃ通信繋ぐのと、2人でお店に向かって
 直接データ浚ぅのと、設計図をアテにせずに
 このまんまあーしが調査すんの、どれがイィ?」

つんつんつんつん、ほっぺたがつつかれている。

メロウ > 「こぽっ」

当然、抵抗なんて出来るはずもない。そうして彼女は水球に取り込まれる
じたばたと、水中で藻掻いた後。諦めたのか、脱力した様子がある

つんつんと、触られ続けている感覚にも、そちらを睨むように...威圧感も何もないのだが、向ける程度の抵抗にて
彼女はそれで観念をしたらしい。結局は、ここに行きつくしかなかったのだと
例え文句があったとして、水中でお話出来る機能なんて自分には備わっていないもの


彼女の胴の皮膚の色は失われていく。それは水の色、瞳と同じ透明度を持っている
簡単に表現するのなら、それは人の骨の形に倣う物
胸部に収まる程度の機構が集えば、背骨があり、骨盤がある。それ以外は透明に

今の所、閉ざされているのは胸の内部だけだろう。それ以外は、接触可能の部位に触れてと脱力して浮かぶ

黛 薫 >  
ひとしきりつんつんした後、透けていくメロウを
じぃと観察する。さっき彼女が口にした表面偽装の
解除がこれに当たるのだろう。つまりは調査協力の
意思表示と受け取って良さそうか。

さておき、水球の中身は意外なことに快適。

目を開けても染みないし、透明度が高いから
外の様子も問題なく見える。それどころか
必要であれば呼吸すら支障なく行えるだろう。
殆どさっきの水の椅子に全身浸っているだけ。

((流石に一方的すぎるのは気ぃ引けるから、
 念話だけ繋ぃどく。触られたくなぃトコに
 触れそーだったらストップかけてイィよ。
 念じるでも手ぇ上げるでも伝わるから))

頭に響くような声が聞こえたのを皮切りに、
体表面に触れていた水の印象が変化する。

温度にも感触にも動きにも変化はなく、先のような
触れ合う感覚が追加されたでもない。だが接触面に
じんわりとむず痒いようなもどかしいような感覚が
染み込んでくる。