2022/08/08 のログ
■黛 薫 >
近くにいて、触れ合って、なお独りだった手慰み。
自分がそうだった、今日はメロウがそうなのだと。
確かめてくれると嬉しいなら、自分はここにいて
良いはず。しかし自分が触れたら結局1人遊びから
外れてしまうのだろうか?
甘い香りに思考が痺れていくかのよう。
だけどメロウは動きを見せない。
やり方を知っているのは彼女を自分の物にした
あの日の経験から知っている。
(……だから『抜け道』?)
弛緩するメロウの身体を水球が受け止める。
僅かに蠢くような、ただ触れるだけではない
撫でるような動きがあった。
言葉ではなく行為で問う。反応を確かめる。
■メロウ > 「ん......っくぁ」
声は震えた。その行為は確かに届く
彼女の内にどのような変化があったのか
初めからそうだったのを、貴方が知らなかったのか
口を開いて、ぽうっと。『証明』に酔った表情
端に垂れた、唾液をぬぐう意識も割けないまま、水球に浮かぶ
「感度を合わせて、気持ちを乗せる
たったそれだけでいいんだよね
簡単だなぁ。ほんのちょっと、自分を騙せばいい
あなたが許してくれたのは、心だけだったから
ふひ。あと欲しいのは、定義だけ
でもそれは、『本番』までのとっておき、かな?」
感覚の繋がる水球へ、頬擦り。見えない薫の姿を求めて
隣に居るはずながらずるをする為に婉曲にて...まわりくどすぎる?
■黛 薫 >
声が届く。ぞくりと高揚が背筋を震わせた。
変わったのか、知ったのか、演じたのか。
調節して、自分を騙して、それが果たして
我儘で残した心に在るのかは分からない。
けれど、騙されるならそれでも良いと思えた。
メロウは本質ではなく外見に奉仕を見出した。
今も同様で、彼女は自分と交わってはいない。
目の前にいようと1人遊びには変わらない。
しかし、迂遠であれど確かめてくれると嬉しいと
言ったのはメロウで、黛薫はそれを確かめた。
確かな矯正が響いた瞬間、見開かれた両の瞳も、
生唾を飲むように固く結ばれた唇も、薄い夏用の
部屋着の弛んだ足の間にじわっと広がった染みも、
知られていないはずはなくて。
細く、長く、熱を帯びた息を吐いた。
黛薫の主観では水球も己の身体の延長線にある。
欲に任せて貪ることも出来たのだろうけれど、
メロウの言葉を借りるなら『本番』ではない。
「……ずるぃ」
小さくそれだけ呟いてそっと目蓋を閉じた。
水球は未だメロウを抱くように揺らめいている。
単に黛薫の動揺が伝わっているだけか、証明に
留まらず試行を重ねても構わないとするものか。
それはメロウに委ねられる。
■メロウ > 「でしょ?私、今までで一番ずるいかも
...うん。そうだねそうかもね
人を殺してた時よりも、ずっと」
比較成しえない筈の尊いものを、容易く貶め愉悦に笑んだ
相変わらず、口角が凝り固まって歪んだ表情は、
正しく道徳の欠けた『無垢』と表現するに足りえたのかもしれない
しかし、内側ではそうではない。彼女は今、何かしらの手段を以て『染まる事』を望んでいる
例えば、今に漂う愛の蜜。機械であれば誘われるハズもなく
それでは、敏感に嗅ぎ取って、寝転んだまま距離を詰めた彼女は『何』か
...ベッドの愛撫に、燻ぶらせ。それでも今は耐えていた
私が最もその香りを『美味しく』感じられるその時までの熟成が必要
誰に対して?それはもちろん私にも、あなたにも
■黛 薫 >
「それは比較対象として出すモノじゃなぃ」
曲げた指で軽く額を小突いてため息。
場違いとも取れる言葉は黛薫に表面上の平静を
取り戻させたが、内面まで萎えてはいないと
容易く香りが伝えている。濃厚に煮詰まった
香りをメロウが嗅ぎ取れないはずも無かろう。
言葉を呟き、返された。1人遊びはこれで終わり?
問うより早く、甘い香りが眼前にまで迫った。
「どーしたぃ? って、もぅ聞ぃてイィのかな。
とっておきってくらぃだから、おあずけも
覚悟してるけぉ」
■メロウ > 「みぇ」
額への衝撃で目が真ん丸に。そうして彼女は、ごく普通の女の子に戻ってくる
「あともうちょっとだけ、私の我儘に付き合って欲しいな
薫様、今は体が随分と弱ってるみたいだからね
ちゃんとマッサージしないとだから
お店に来る『理由』はちゃんとある
今度は『待って』じゃなくて、『待ってる』って言えるから
私にとってもおあずけの時間...ね?」
首を傾げる、可愛らしさを装う。すべてを知ってる貴方にとっては、やっぱり小悪魔の尻尾が見えているのかも
■黛 薫 >
「次に行くときは消耗してねーとき、な。
はぁ、香水の減りすら次に会ぇる理由だって
嬉しくなんのに。『待ってる』がこんなに
切なくなんの、メロウの所為だかんな」
じっとりと恨めし気な視線を向け、ため息を装った
我慢の吐息を漏らす。その憎らしく愛らしい顔を
もう数回小突いてやりたいくらいの気持ちはあるが、
下心のない接触すら我慢の水域を溢れさせかねない。
捻くれた刺々しさ自体は珍しくない黛薫なれど、
ここまで明らかに本音と分かる不満声は珍しい。
今にも噛み付きそうな剣幕だ。
もっとも焦らされに焦らされて水球の助けなしでは
立つこともままならないレベルで震えている足と、
臍に届くほど広がったシャツの染み、そこから足を
伝う幾筋もの水滴を見れば、強がりとすら呼べない
いじけでしかないのだが。
「そ、れ、と。確かに香水もマッサージもあーしは
必要としてて、それを理由に店に通ってますが?
そーゆーの無くても会いたぃって理由はずっっと
持ってんだかんな。そこんとこ分かってる?」
むしろ通い詰めない方に行けない理由がある。
学業、研究、家事にバイト、何より来店するなら
何かを買って売上に貢献したいからお金が要る。
言うだけ言って満足……は、出来ていなさそうだが。
ひとまず言いたいことは言って鼻を鳴らすのだった。
ご案内:「堅磐寮 部屋」から黛 薫さんが去りました。
ご案内:「堅磐寮 部屋」からメロウさんが去りました。