2023/07/10 のログ
■メロウ > そしてその『お揃い』とは、必ずしも見目に伝わるばかりの意味ではない
目の前の少女にとっては、なんてことはない。普段通りの仕事の延長
「見せたいか、どうかはまだ考えたくはないかな
私はいつも一番の表現、『あなたの為』と考えてる
だから心配しないで欲しいな。想定しているお客様は、
その瞬間は私だけ、だからさ」
『なんでも』との言葉に対する答えは自然と言葉になる
そもそも考えてみれば。最初に『そのまま』だと言ったのは彼女の方
見るのは最初から、メロウ自身以外は考えられてはいなかった
他の視線が介在しない、素直なあなたを知れる時が来るのなら
願いの方向だけは今回、違えないように選び取るつもりで居る
「...うん。見つかるかどうかは、別だけど」
思い出そう、この人ごみに飛び込んだ最初の様子
目が回る、きっとこれからとても目が回る
■黛 薫 >
「……まぁ、そりゃそーなんだけぉ」
何も大勢に見せる予定がある訳でもなし。
互いが選んで互いだけが知るというのはそう。
躊躇いは自身の心持ちの問題でしかない。
ただ、その心持ちというものが存外不可解で。
見る/見せる/見られるよりも余程深く触れ合った
経験があっても、黛薫はメロウの一挙手一投足に
心を乱される。
同じ布1枚でも水着は下着ほどセンシティブでは
なくて、しかし例えば一人きりの自室で着るなら
水着の方が恥ずかしいと思う。
何なら平気で、何なら二の足を踏むのか。
境界を引いて決められる単純な区別ではなくて。
共感はともかく、理解を求めるのは違う気がする。
だから、まあ。結局は自分が勇気を出すのが
分かりやすい解決法で。メロウに背を押して
貰っているのが嬉しくもあり、情けなくもある。
「それな……何着ても似合ぅから選択肢が絞れねー
って、前もあーしは言ったけぉ。それって要はさ、
分かんないなりに選んでも外れねーってコトで。
選ぶコトに関しちゃ多少楽させてもらってんのな」
黛薫の場合、選べばメロウが補正してくれる。
しかしメロウが選ぶ場合、黛薫にそんな技量が
あるはずもなく。"見つける" のに苦労するのは
目に見えているのだった。
ご案内:「◆扶桑百貨店」から黛 薫さんが去りました。
ご案内:「◆扶桑百貨店」からメロウさんが去りました。
ご案内:「◆扶桑百貨店」に黛 薫さんが現れました。
ご案内:「◆扶桑百貨店」にメロウさんが現れました。
■メロウ > 「それは、『着て欲しいもの』を選ぶからじゃないかな?
選択肢そのものは幾らでもある。これは何処でも変わらない
『あなた』に着せるか、『あなた』が着せるか
その時点でもう、選択の意味は大きく違うよね」
『難しさ』の含む微妙な祖語を、捉えて見せるのは流石本業のなせる技
そして彼女が薫に委ねられた選択は後者。互いの先入観である器量の程を除けば、同じ迷いを生むハズであると
メロウが口の前で重ねた指先、思考の深さが物語ろう
「...それで、薫さま。私は次に、それらを着ればいいのかな?」
その欲の対価を、無垢な声色で問うてみる
■黛 薫 >
「ん……ぁ、うん。じゃあ、次はコレお願ぃ。
もー片方のは……ちょっと、迷って、る? から」
手渡したのは薄桃色の水着。生地を統一した
花型のコサージュと、コサージュの形に寄せた
淡彩の花柄刺繍が差してある。
装飾を統一している分、他の意匠はシンプル。
キュロットとハーフパンツの中間めいた下衣を
除けば、ひらひらした部位はほとんど無い。
「着せる、着せてもらぅの違ぃもあるけぉ。
"見る" もその2つとまた別なのよな……。
展示されてるのを見るだけならカワイィのも、
着たり着せたりは勇気要るヤツとかさ」
■メロウ > 「そういうもの?」
とはいえもう少し考えが及ぶのなら、このメロウ自身がその『飾られていればふと目を向けるが、手元に置くには躊躇する品』の1つでありそうなのだが
見た目小さく愛おしく。そして機能も端的に言えば多彩
...存在当時であったのなら、表に出せる胆力の持ち主もそう多くはなかったのだろう
片手を伸ばして受け取って、改めてカーテンを閉ざそうとして
外に向けた目線の先に飛び込んできたもの。水着と似た薄桃色のシュシュだった
「アレも取ってきて欲しいかな」
伸ばした手が指さして、受け取ったなら今度こそ、カーテンでその間は仕切られよう
■黛 薫 >
「アレ? ってどれ……あ、コレか」
見つけるまでの僅かなラグ。
観察に慣れていてもやはり服飾には詳しくなく。
タグが付いていなければシュシュという名称も
思い出せなかったかもしれない。
「手ぇ空いたタイミングで受け取って」
カーテンの隙間から手を滑り込ませて受け渡し。
腕1本分通した程度で中を覗かれる危険は無い。
しかしたった今着替えが行われているというだけで
薄布1枚が不可侵の壁のように、また覆い隠すには
あまりに頼りなくも思えてしまう矛盾。
生地の性質によるものか、水着が奏でる衣擦れの
音は一般的な服より小さくて。それでもすぐ側に
いるから余さず聞こえてしまう。
一度ならず裸体を目にしたことはあるのに。
この状況に背徳的なものを感じるのは何故だろう。
■メロウ > 「薫さま、居る?」
数分と経って、布擦れの音を止めれば確認の声がする
最初の着替えより幾分か遅かったような気がしたのは、
慣れないものを脱いで、慣れないものを着たという状況に加え、
売り物ならば猶更丁寧にとの態度の表れ
所在を確かめ、カーテンをまた控えめに開いた際の彼女の姿
普段は束ねない髪を頭上で丸めてシルエットを1つ増やす
服飾に慣れていない貴方が知らない事で、メロウが知ったのもただの偶然
あどけなさを示すような、花の意匠に飾られた彼女の笑みは
初めての大きな舞台を待つような、緊張と期待に固められた『童心』の形を持つ
「どうかな。私の求めた1つも含めて」
工夫を見せるため、今回は一転して見せれば風の流れに沿ってフリルが踊
■黛 薫 >
「こっちはこっちで、全然印象違ぅのな」
黛薫は小物を用いた着飾り方に明るくない。
精々ピアスやチョーカー、シルエットを変えない
ワンポイントのアクセサリを足すのが関の山。
だから髪を纏めて丸める、髪型を変えるという
発想がなかった。長髪と言うには短く、短髪と
言うには長い髪が可愛らしく一纏めにされて、
普段隠れ気味な頸や耳もが晒されている。
着衣に合わせた表情、香りの調整に留まらない
もう一工夫の相乗効果とでも言うべきだろうか。
先の水着が普段の印象に近かった分の落差も
相まって、全く違う可愛らしさが現出していた。
「すごぃな、カワイィし……こんなに変わんのか」
受け渡した際に感じたシュシュの軽さを思い出す。
たったあれだけの重みが、見目をがらっと変えて
しまうとは。
■メロウ > 「またまた、大変そうなことを言ってるね」
自身の今後は棚に上げて、感想は1つ簡潔に
「私にまだ着せたいか、それとも私が探してみるか
それらの選択に素直に従っても良いんだけど
ちょっと、着替えてる途中に思った事があったんだよね
薫さまって試すだけ、いつも試してばかりだから
私もそうやって試してみるのも、良いことって思ったの」
問いかけと、悪戯を企む細めた目線と
次に伸ばされた腕は貴方を掴む
力は殆ど入っていないが、引き寄せるだけのベクトル的な意図はある
あとは貴方が、抗えるかどうか
■黛 薫 >
「い、そっ、な、えっ、何、えっ」
言うほど大変そうな感情が口に出ていたか、とか。
そりゃ考えて試しての繰り返しが癖になってるし、
とか。幾つか浮かんだ返答が言葉に乗るより早く
腕が掴まれていた。
メロウが何を意図したのかを察した訳ではない。
しかしメロウの表情、悪戯っぽく笑んだ瞳には
見覚えがある。大人びた感性と見識の基盤の上に
子供染みた無邪気さ純粋さに起因する強かさを
乗せた、小悪魔の表情だ。
こういうとき、黛薫はメロウに敵わない。
上手に発露させられないが為に鬱屈した期待、
大切にしているが故の甘さをくすぐられては
弱い心を守る捻くれ者の壁が容易に瓦解する。
言いそびれた返答、意図の問い正し、抵抗すべきか
否かの判断。優先順位が衝突して、打つべき手の
全てが手遅れになって。思考、感情が乱されれば
身体制御の精度も甘くなる。
結果、抗えずに手を引かれていくのだった。
■メロウ > 手を拝借、貴方を倒すわけにもいかず、しかし片手で貴方を支えきる訳にもいかず
則ち、彼女の手は自然と『何か』に使われているという事になる
背中に壁の感触を与え、貴方の体に合わせてみたのは
先程まで自分が試着していた、黒のセパレートの水着
「やっぱり良いとは思うんだけど。薫さま、試してみる?」
『良い』と思ったのは彼女が見通した衣装の合致そのものよりも
『選ばれたなら、着せても良い』...欲求のリフレクトのような
初めから、瞳を通して互いに見つめる『鏡』のとしての側面を共有していたのだから
半ば思考停止とも捉えられてしまいそうなこの行動も、彼女なりには訳がある、と
そんな細かい都合や考察を走らせる前に、目を輝かせるメロウがあらゆる順位を破壊し期待し続けているのだろう
先程も挙げた通り、この水着は特に、精神年齢的な意味で歯止めが利かなくなっている!!
■黛 薫 >
その瞳は鏡のように、自分の似た側面を映し出す。
そう感じたのは確か、お店に通い始めた頃だったか。
具に互いのことを知り始めてからは、似た部分を
確かめると同時に、異なる部分の発見もあった。
だから『似合う』と感じたそれが鏡に反射して
返ってきたのだと気付くのに時間は掛からない。
が、反射した像が自分を試着室の壁に押し付け、
無邪気に迫ってきたのは全くの想定外であった。
だがメロウを "そのように" 飾ったのは他ならぬ
自分である。純真で染め模った瞳は断るという
選択肢を絶つと同時、着替えるために試着室から
追い出す行為に罪悪感を覚えさせるに至った。
「ぅ……じゃ、あ。着てみ、る……」
無意識ながら、声は密やかに。
1人用の空間に2人。禁止されている訳でもないのに
何故だか酷くいけないことをしているような気持ち。
長く使い続けている動物モチーフのパーカー。
真新しいのに既に首元が伸びかけた白いシャツ。
シャツで隠さなければ腹が晒されてしまいそうな
丈の浅いショートパンツ。生足を視線から守る
夏にしてはやや厚い黒のタイツ。
するり、それらが試着室の床に落ちていく。
■メロウ > 「うん。待ってるね」
見る事で触れる事で感じる事で、理解を求める環境とはいえ
ここが公共の場であるという前提はきちんと、彼女の道徳に作用する
合わせて秘かな囁きを残して、彼女の目線は貴方から外れて、
背後を向いて両手を後ろに回してごきげんな待ち時間になるのである
時々、裸足の指先を擦り合わせて、流れる時を待つ落ち着きのない仕草
重ねた手指を絡め合わせて、慰みとして振舞う仕草
「まぁだ?」
少々首を傾けて、早すぎるかもしれないタイミングに一度問う
■黛 薫 >
「も、もーちょっと待って」
水着を身に付ける前に、床に落ちた簡素な下着を
先に脱いでいた服の下へ押し込む。試着室の中に
設置された姿見へと向き直れば、2人分には狭い
空間で、自然と互いは背中合わせ。
下着より僅かに布面積は多く、しかしさらりと
軽い手触りの水着には、微かな残り香と体温が
残留している。見ずとも音で分かる、不慣れで
丁寧な所作が裸体を飾り付けて。
「……コレで、へーき……か、な?」
おずおずと引け目がちな声がお披露目の機を告げる。
メロウが身に付けたときの黒は、対比と調和で
白を引き立て、際立たせるものだった。
黛薫の場合、白はメインの色では無くなっている。
メロウのように透き通った肌の白さではなく、
日光を避けたインドアの色。朝露を濡らす霞の
白ではなく、日陰に咲く花の白。水着の黒は
ささやかにそれを包み込む影の帳だ。
印象が異なるのは、肌の白さの質の差もあるが、
髪色の影響も大きいだろう。インナーカラーや
メッシュと合わせた黒髪は寒色系、紺の差し色に
近い役割を果たして、明度の低い色にまとまりを
作っている。
あとは態度や姿勢の差だろうか。
不慣れなシチュエーションのお陰で頬に差した
朱は、黒に対比された白に照らされてよく目立つ。
普段の装いに近しく、微調整を必要としなかった
メロウとは対照的、普段と異なるために平静から
程遠い、緊張と恥じらいが表出した態度。
緊張の理由は身体に残る数多の痕にもあろう。
色の戻らなくなった昏い打撲痕、黒子のように
点々と残る火傷、薄くなった分深い痕ばかりが
目立つようになった自傷痕。
自分を綺麗だと思えない理由は、其処かしこに。
■メロウ > 「もーいーね?」
ちょっと待ってと言われたら、正直な態度にほんのちょっと
待機を望んだその声で、簡単な作業で済んだのでこれ以上ハプニングのドミノが倒れる事もなかったのだが
「どれどれっと。ふむ?...くひっ」
自分のように初めから、美白の色であらかじめ塗られたような鑑賞物とは違う姿
白く成った肌に新旧様々な痕。そこに朱を交え、被写体としては不出来な形に自らの身を屈め歪めようとするのを耐えた震え
全てが『生』の故に形成された薫という少女というもの
笑う声が自ずと漏れる。部屋で見せるようなカジュアルとは全く意味が違う、特殊な羞恥と背徳の意味
薫の持つ思慮程正しく捉える事が出来ずとも、萌芽の兆しが見えたのかもしれません
「そうだね。一度、抱きしめても良い?
もう私はその薫さまを忘れられないけれど
これを選ぶ事が無かった時に、後悔するって分かっちゃうから」
両腕を開き胸を空ける。飛び込むと、あまり静かに出来ない気がするから
■黛 薫 >
「……ん」
返答は言葉少なに。言葉を飾る余裕はない。
自分から飛び込むのではなく受容する構え、
きっと音を立てないようにする以上の意図は
無かったのだろうけれど。それは黛薫の側に
アクションを任せる行為でもある。
頰を染め、閾値から溢れんばかりの羞恥を湛えた
彼女にとって、更に深い繋がりを求められるのは
なかなかの試練である。しかも断るという選択が
有り得ないのだからなおのこと。
もじもじと貴女の腕の中に身体を収める少女は
さして背丈も変わらないはずなのに随分小さく
感じられた。
マッサージのために黛薫の側が服を脱いだり、
触れ合うためにメロウの側が服を脱いだりは
しばしばあったが、双方薄着で触れ合ったのは
未だ数えるほど。
それも相まってか、黛薫の肌は夏の暑さを言い訳に
出来ないほど熱を帯びて、心臓の鼓動も近く、早く。
羞恥の熱と震えを貴女に余すことなく伝える羽目に
なったのであった。
■メロウ > 両手を回して、穏やかに背中を撫でる
一見あやすようなその仕草の中で、薫の震えと熱を受け取れるようにより距離を縮めようとする少女が居た
「本当は、分かってた事だけど
物を交えて思い出を重ねる度、それが手放せなくなるんだよね
『選ぶ事が出来ない』っていう事象は起きない事
ありえないもしもって言うのは...うん。使うって今まで思わなかったな」
しかし、甘い拘束はすぐに緩む。貴方に決めた『なんでも』を既に果たしてしまう目途が立ってしまったから
彼女にとって、約束は約束。そしてここは人の集まる夏を控えた一大イベントの真っ最中
主人をそのままにしてしまった時の収集は、流石に付けるのが大変そうである
■黛 薫 >
触れ合う熱、羞恥と緊張、相反する安堵。
特殊なシチュエーションのお陰で緊張は強く、
しかし隔絶された空間──視線が無い場ゆえの
安らぎもまた、香りを伴って齎される。
鼓動は早くも、呼吸は落ち着いて。
回された腕が離れると同時、黛薫は深いため息を
漏らしながら、姿見を背に座り込むのだった。
「……服着直すから、もっかぃあっち向ぃてて」
疲労でもなく不機嫌でもなく、緩んだ声を
出すまいとして、素っ気なさで包んだ態度。
意味がないと分かった上でのいじましい強がり。
途切れた集中のお陰か、着替えの時間は先よりも
ほんのり長く。ハンガーにかけなおした水着を
壁に掛け、パーカーのファスナーを来たときより
ちょっぴり高くまで閉めた。
「……どーだった?」
貴女の態度が全ての答えと言えばそうなのだが。
素直にその場で問うのではなく、脱いでから聞く。
やっぱり素直になれない黛薫であった。
■メロウ > 「私はそれが、良くなったかな」
『あっち向いてて』との命じられた傍ら
少女も自分の頭に手を伸ばし、髪を解く
そして聞こえ始めた布擦れの音は、彼女の着替えも始まった合図
「選べないから選べないといけないから、私は何かを好きになる
そういう事だと、もうね。薫さまが着ちゃったからさ
色々を試すと、どんどんそれになっていく。薫さまが迷う事
だから今決めちゃった。次に試したら、今度は『それ』と出会いたくなるに決まってるもん」
ん、ふぅと。この一息で彼女の着替えが終わったとの合図
相手のファスナーの音も、もう暫く待てば聞こえてくる
振り返った彼女はまた、変わらぬ笑みを浮かべていた
「今年の私はコレ、って事なのかな?」
ハンガーにかけなおした、先程の水着と
ハンガーにかけたままの、未着の水着と
いつの間にか彼女はその両方を手中に収めていたのだった
■黛 薫 >
「……ふぅん」
良いと思った、ではなく "良くなった"。
比較ではなく体験を通して得る物があった。
体験を増やせば得る物も増えるのだろうけれど、
際限がないから、一期一会で決める。
選び始めればキリがないというのは黛薫が抱えた
悩みと同じで。メロウの決め方がスマートなだけに
自分の未練がましさは鏡によく映る。
であれば、自分も同じように決めてしまえば
外れはしないと言い切れる──の、だけれど。
「アリ寄りのアリ」「んでも、今日は欲張らせてよ」 ▼
■黛 薫 >
メロウが手にした2着をそっと自分の手に収め、
試着室の近くに積んであったカゴに入れる。
「メロウがコレ着たとき、言ってたろ。
外すばっかじゃもったぃねーですしぃ」
追加で手に取ったのは、青色のシュシュ。
メロウのシュシュは水着の色に合わせていたが、
黛薫が同じように選ぶと、髪とシュシュの色が
被ってしまう。揃えつつも少しズラしたチョイス。
カゴには試着済みの水着が2着、シュシュが2つ。
──そして、未着の水着が1着だけ。
「"良くなる" なら、出会ぇるもんな?」
今度は黛薫が悪戯っぽい笑みを浮かべる番。
"平等に、自分が着る1着を試着無しで" と、
言外のオーダーを。
■メロウ > 二人並んで外に出て、貴方の言葉の意図を1つ読みかねる
『欲張る』とは何だったのか
シュシュを手に取った時、『新しいものを増やす』のがそうなのだろうか、と
うん、それも良いと思う。少女は隣で頷いて歩く
そのまま会計に向かうものだと思ってた。その前に、振り向いた貴方の顔が
あまりにあんまり、ずるいもので染まっていたのに気づいた時
メロウは既に深い罠に嵌っていたと。周囲に並べられた、とりどりの『選択』の中で思う
「か、薫さま...?」
これはご褒美?それとも罰?
言葉を交わせば、もしかしたら判断できるかも...?
■黛 薫 >
つい先程、黛薫は言っていた。
メロウは何を着ても似合うから、選ぶ側としては
少し楽をさせてもらっているのだと。
そして試着に際して、メロウは言った。
試すと "それ" になっていく。出会えば好きになると。
そう、これも鏡写し。選ぶ条件は同じだった。
カゴの重みは1品分だけ、黛薫の選択が多い。
2着あるメロウはお色直しも出来るけれど、
黛薫には "まだ" それが無い。
欲求のリフレクトは巡り巡ってもう一度。
合わせ鏡に返したなら、また返ってくるのが道理。
「ま、無理はしなくてもいーんですけぉ。
無理させた結果じゃ嬉しかねーですしぃ」
やりこめ返す形でも、罰にはしたくない。
そう言いつつも、どっちもどっちで小悪魔だった。