2023/08/27 のログ
メロウ > 「そう、なんにも」

彼女の言葉が短い時は、そもそもそれだけを思考とする時

視界に一度過った『過去』の景色は、健康的に血の巡る肌を通り越して、
更に真っ赤になった貴方と重なる筈も無いのだろう
そうだよね。貴方は『今』を見て欲しいって言ってたんだし
貴方の嘗てを知らなくて、悔しく思う心はここに置いていく
その代わり、これからの事は見逃すつもりは絶対にないからね

自分のシュシュを解いて、髪がさらりと解け落ちました
随分と水浸しになってしまった。首の傾きと雫が馴染む
幼くはしゃぐメロウの姿はこうして消えて、瞳も細く。水面の様に済んだ色

「だめ?」

片手は胸に添えて。口から示せるのは、思考の出来る領域は狭いこと
その分、心が随分と思考の中を埋め尽くしている事。言い表し方によっては、『緊張』だ

もう片手は水着の肩紐に指を入れて、ゆっくりと下ろしていきました
今まで、『見られる事』は意識しても、『見せる事』は意識してなかったよーな
メロウの側もきっと、言ってしまった事に動揺して、止まれない

黛 薫 >  
黛薫はじっと貴女の指先を見ている。

桃色のシュシュを解いた指が水着に向かい、
肩紐から腕を抜いたのを皮切りして……
彼女もまた、青色のシュシュに手を掛けた。
揃いの所作は言葉よりも雄弁な同意を示す。
貴女を追うように、薄衣を脱ぎ去っていく。

流されないよう岸に戻って、メロウが置いた
桃色のシュシュに青いシュシュを重ねる。
ひたひたと雫を落とす濡れ羽色の髪を絞る
動作のまま、首の裏で結んだ細紐を解く。

メロウの緊張は視線から感じ取っている。
だから黛薫も目を逸らさない。意趣返しと
受け取ることも出来ようが……もっと単純に、
見ているから、見せられているから見せる。
見せているから、見られているから見る。

細く、緊張の震えと羞恥の熱を孕んだ息を吐く。

首紐が解かれ、擦れ落ちる胸元のフリルを
反射的に手で受ける。必要なのだと踏ん切りを
付ける僅かな逡巡。水捌けのよい黒い生地は
河原の石の上に落ちても水音より軽い布の音が
目立っていた。

以前はもっと目立っていた、薄く浮いた肋。
ほぼ平坦ながら、触れれば年頃の柔らかさを
感じ取れる胸部の先で桜色が主張している。

呼吸を整えて、メロウの様子を伺う。

メロウ > 白磁の肌は、未だ日焼けの境を知らないまま
水を縦に流すような体に双丘の上のアクセント
今の時間に『そこ』まで人体を再現する必要、
無かったのかもしれないけれど
見られていたら、自然と形作られていて
臍に到達するかしないか、そんな場所で一度、両手を離す

貴方の体の傷を見つめ、それが以前より少しでも、塞がっていると知りながら
自分が『見ない』と目を閉じて逃げたとしても、見られているのは分かっていた

お風呂のような必要とも違う。暗闇のような目隠しとも
ましてや貴方が、測定したいワケじゃない
愛を確かめるなんてもっての外のこの状況


『やらなくてもいいのに、やってしまっている』


宿る背徳の心地を、どう処理していいのか
彼女の方が、目線の形で迷っていて

「す、すわろっか...?」

流れる水が隠してくれる?清い流れに、何を期待したのだろうか
腰から力が抜けるように、浅瀬に脚が堕ちていく

多分だけれど、今の私は『愛』を直視できない
想定外の挙動の筈なのに、手招いてくる何かが上手に導いてくれそうで
でも今日はそうじゃなくって、お楽しみはまだこれからもあって...
今更保険を探しても、遅い筈だというのにです

黛 薫 >  
生白い肌、鳩尾の下にうっすら走る境界は
戻らなくなった痣の色でも、はっきり境の
残る裂傷の痕でも、まして点々の形でしか
残っていない火傷の痕でもない。

目を凝らしてようやく分かる程度に薄く分かれた
色の差は、つい今まで纏っていたフリルに沿って。
ごく微かな日焼けの跡は美しいものではないかも
しれないけれど、確かに彼女が生きている証。

素肌をなぞるのは混乱と迷い、緊張と背徳の色。
触発されるまでもなく、胸中を満たすのは後者。

互いしか見る者はいないけれど、公共の場で
晒してはいけない場所を曝け出しているのだと、
素肌に触れる空気がいやに冷たく感じられた。
夏の暑気にそぐわない感覚が、清水の所為だと
言い訳出来ないくらいに。

頷く余裕なんてとても残っていなかった。
けれど、震える指先はおずおずと下衣へ。
汗とも川の水滴とも付かない雫の筋を残し、
脱いでみれば随分と頼りないフリル付きの
薄布が川辺に落ちた。

恥部が外気にさらされる。
屋外で、私的なものでない空間で。
一糸纏わず、自然の中に肌を晒している。

メロウの目の前で、黛薫はゆっくりと清流に
腰を下ろす。ごく浅い水面は僅かな部位でさえ
隠してくれるような深さを持ち合わせていない。

全てが見える姿で、貴女を見返している。
羞恥の熱で震えながら、じぃっと。

ご案内:「◆未開拓区近辺 山間の川辺」から黛 薫さんが去りました。
ご案内:「◆未開拓区近辺 山間の川辺」からメロウさんが去りました。
ご案内:「◆未開拓区近辺 山間の川辺」に黛 薫さんが現れました。
ご案内:「◆未開拓区近辺 山間の川辺」にメロウさんが現れました。
メロウ > びしゃり、と。水に着衣が落ちる音がして
ちゃぷちゃぷ。足踏みで、引っかかっていた最後の枷としての役目を終えた

先に身を水辺に下ろした貴方の目線で、丁度眼前に備わっている秘部の位置
まだ色を知らないように、頑なに閉ざされた形でありながら
腹部に添えられた手が煽情の意も含んでしまうと、分かってしまうのが小賢しさ
自分でも果たして、気付いて良かった事なのだろうか

「『一番適してる』とは、言えないね。そりゃ、さっきまでの方が私達は川には居たけれど」

最後に、自重に負けるように川の中へ腰を下ろす。それでも互いに、体を守る事なんて出来ていない
目線を貴方に沿うだけで、既成事実として熱を蓄えられてしまう
メロウの体は反応しない。けれど、受けた目線に意味を見出している

背徳と排斥。モラルから外された二人と、その共有から齎された一致
この秘密故に心の奥で繋がってしまったとの錯覚か。プラトニックに、意識が深く溺れていきそうになる

黛 薫 >  
黛薫にとって『見る』行為は強い意味を持つ。
視覚を触覚として受け取る異能疾患。
『見られる』ことは、即ち触れられること。

此方が向ける視線はそうでないのだけれども。
触覚を伴わない『見られる』を実感として
知らない彼女からすれば『見る』ことも、また。

だから、触れるべきでない感情が胸中にあるとき。
見るべきでない、秘すべきものが眼前にあるとき。
黛薫は煙に巻くような態度を取って視線を逸らす。
『見ない』ために。

けれど、彼女は今、貴女を『見ている』。
見られているから。……見たいから?

「それ、は……そぅ、な」

当たり障りのない返答。
煮えた頭で貴女の言葉を理解出来ているやら。

黛薫の手は行き場を無くして水を掻いている。
ヒトから離れた胎には迂闊に手も置けないから。

貴女が顔を覗き込めば、見つめ返す。
肌を眺めれば、おずおずと同じように。
胸を、恥部を、秘すべき場所を見られれば
頰を染めつつも目を逸らさないように。

『見られている』のが分かるから、重ねる。
『触れられている』のは自分だけであっても、
それは交合に等しい行為だ。

胸に、秘部に、胎に。貴女の視線が敏感な部位に
触れる度、黛薫は小さく身動ぐ。屋外ではしたない
姿を見せまいとしてか、震える秘裂はきゅうと固く
閉じられている。

メロウ > 胸に、秘部に、胎に。何なら腕に、脚に、それが首であっても
その程度には、メロウの目線は満遍なく揺らいでいた
コンセプトが無い交流に於いて、落ち着く場所が無かったと
川で遊ぶと同じように、彼女はまず行為に意味を見出そうとする
それを欠いた際の挙動は疎らで杜撰で、それだけに所在を求めたがる

それでは、逆に。『見ない場所』とは?
目線が首元まで触覚を戻してきたとしても、必ずそこで肩に戻っていく
それ以上に進まない事は、貴方にとって感覚として理解できる、最も容易な把握だろう

メロウは1つ恐れていた。或いは、誘いが求めていた
『見られている事』を『見る事』。それだけは今、唯一残された機械の思考が遠ざける
その間に訪れる無限の逢瀬に、意識のループに耐えられる筈もない。機械とは、そういうものだ

ついぞ、一言も返せなくなったメロウの嘆息から甘く重い息が落ちる
呼吸は必要ではないけれど。自身の魅力の一つとして、欠かせないものだと先程は言ったか

黛 薫 >  
触れる目線はまるでランダム走査のよう。
機械らしい、と片付けてしまえばそうなのだが。

明らかに意図的な除外、例外処理が含まれている
理由までは汲み取れなかったが、理由無くして
目を逸らすような真似はしないだろうと予想する。

走査がコンセプトへの収束を目的とするなら、
与えられる評価値はやはり反応なのだろうか。
それとも、見目の特徴?

腕は特に傷の残りが多い。身を守った跡と思しき
打撲痕、何より手首を中心に数多残る自傷の傷。
切り傷は勿論として、火傷の痕は煙草の火だろう。

自傷の痕なら、首にも。致命に至る血管が走り、
頭に繋がる其処に残る傷は、幾度も命を絶つ
間際まで追い詰められた、苦悩と絶望の名残。

反して、脚に傷は少ない。傷付けば逃げるのに
支障が出る部位だから大切にしていたのだろう。
であれば残る傷は逃げられないよう付けられた物。
傷の数は望まぬ苦痛を強いられた証。

胎の傷は殆どが打撲痕。痛めつけるための傷。
ごく少ない刺し傷は致命を免れた幸運の数か、
それとも死に瀕した修羅場の数か。

胸や秘部に、目立った傷はない。
"使う" ためなら綺麗な方が唆ったのだろう。
目に見えない暴力の数なら、きっと何処より
多くて……だから無感情な視線でも、触れれば
ぴくりと反応する。辱められ、適応した痕。

貴女の視線は、何に意義を見出すだろう。

迷わせていた手が一度水に落ち、おずおずと
差し出すように貴女の側へ。視線から得る物が
無ければ、手を取ってもらっても構わないとの
ささやかな保険、意思表示。

メロウ > 以前との比較と、情報の変化と
彼女の目線の撫で心地はいつも、感情に先立って『分析』の意で触れていた
今回もそれと違わず。違うとすれば後に適合させるべき『感情』を飲み込み、発生させないようにし続けている事

「手首の傷、増えたね」

その言葉も謂わば、現状の反復、確認、診断結果に過ぎず
貴方の体に意義を見出さない。この場では見出せない、見出してはいけない
逃れられない機械としての性なのか、それともモラルを成しえるための抵抗の様子なのか

『何』を感情と呼ぶのかは、いつも人間の側が決める事


差し出された手に呼応するように自らの両手も、川の流れから持ち上げて
包み込みような形で、貴方の手と重ねよう。これが何故の契機か、ようやく瞳を首から上に持ち上げて


メロウが涙を流しながら、いつか川に倒れ込むまでの時間
貴方の網膜に触れたものは、火傷を追想させてしまいそうだった程の、『熱』だったのかもしれない

黛 薫 >  
「……癖は、簡単にゃ抜けねーよ。
 気分が落ち込むコトだって、あるし」

悪い夢を見ることもある。
精神に残る傷が些細なきっかけで開くことも、
不意に嫌な記憶がフラッシュバックすることも、
社会の柵みに今までと違う追い詰められ方を
することだってある。

加害された痕は増えずとも、自傷の痕は増えたり
減ったりを繰り返して、しかし生新しい傷の数は
緩やかに減っている。

手を重ねて、握り返して。
そうして──視線が交錯した。


黛 薫 >  
……

…………

……………………


貴女が再起動を済ませると、白んだ空が視界に
広がっていた。背に当たるのは柔らかく弾力の
ある冷たい感触……上等なウォーターベッドにも
劣らない、黛薫の使い魔の感触だった。

即席の寝床、休憩場所とするなら枕の感触にも
拘るべきだったが……頭の裏はほんのり温かく、
柔らかくもベッドには劣る程度の肌触り。

「……起き、た?」

やや惚けた声が降ってくる。膝枕の姿勢、
生肌の感触。服を着直しもせずメロウの
目覚めを待っていたらしい。

視線の交錯がトリガーとなって意識が
シャットダウンしたのは覚えているため、
不用意に覗き込まないよう気を付ける。

視線を巡らせれば、2人の水着は付近で一等
大きな岩に貼り付けて乾かされている様子。

黛薫の方を見ても問題ないようであれば、
声から察せられる通りに惚けた表情も
見られよう。視線に込められた『熱』は
甚く効いたようで、額に使い魔を貼り付けて
熱を逃がしている。

『熱』の種類次第では逃がし方、処理の仕方も
あったにはあったのだろうが……流石に屋外で
やらないだけの理性は生きていた。

メロウ > 【再起動】


視界に姿が映った瞬間、瞬時に腕を被せて自身から遮る仕草
自身が込めてしまった、無限に近い気持ちの応答
それが焼き切れるまでの感覚までを、全て伝えてしまったような心地だったから

「ごめんね」

涙はもう流れない、感情では涙は流さない
流したそれは、過剰な負荷に対しての対応だった
貴方の表情を解答を知る前に、寝返りを打って逃げようとする

「欲張りすぎちゃった。今の姿を見るので精一杯だったのに、許されたから
 くっひひ。見て見られるのは良かったんだけど
 本気で見つめ合おうとすると、耐えられなくなっちゃうね」

合わせ鏡は永遠に続く。そしてメロウは特別に、囚われやすい
覚悟しなければ、覚悟していたとしても。自分の脆弱性を遠慮なく貫いてくる

「でも嫌とは思えなかった。これは確かに罪みたい
 やっちゃダメ、そう理解できる事になっちゃったみたい」

黛 薫 >  
「……ん」

いいよ、とは言わなかった。
許してしまえば目を逸らした意味を奪う。
それはきっと、とても残酷なことだ。

「"やったらダメ" にゃ理由があんだもん。
 ホントは安全とか、理に適った理由だけぉ。
 社会的な理由の "ダメ" が乗っかったら
 重みが増えて、反抗の元にもなんのよな」

禁止されるほどやりたくなる。
ルールを破る快感は得てして癖になる。
だから枷が必要で、枷が違反の功罪を生む。
背徳が甘いのは先だって体験した通り。

「理解出来たんなら……ちゃんと、な?」

傍に置いてある荷物を見やる。
見せ合った2着と別に、お色直しが1着ずつ。
ただ、黛薫はお楽しみであるはずのそれらを
明言していない。

屋外で肌を晒す背徳の所為か、交合にも等しい
視線の交錯で溢れんばかりに注がれた熱の所為か。
水辺を離れ、日差しを浴びていたはずの彼女は
まだ "潤んで" いるのだろう。

この状態で、選んでもらったまっさらな着衣に
袖を通して良いのか、と。黛薫にしてみれば
逡巡と呼べようが……背徳の果実のお代わりを
目の前に置いているようなものだ。

メロウ > 「...しばらく思考停止、してもいーかなぁ?」

言葉の機微を読み取る彼女の事だから、言葉の意味の行き場の無さも
渡った橋の中頃で、立ち止まる心の所在も、確かに分かってはしまったのだろう

その上で思考停止、つまりは保留。ここから動けないと口にした

『ちゃんと』の意味には、佇まいを正そうとの意味もあるだろうし
その反対に、『ここまで広げた風呂敷は最後まで』と聞く事だって不自然にはなりえない


(今日は、無理かなぁ)

そんな風に、内心は察してしまえど。溺れてしまうまでの時間を稼ぐような足掻きの形
タイムリミットは日が傾くまで。果たしてその間、耐えきれたのかどうか...

黛 薫 >  
「ん。じゃ、あーし身体冷やしてくる」

浮遊するウォーターベッドから降りて、
岩の上で乾かした水着を手に取った。

場にそぐわない格好は文化が織り成した
衣服で隠し、けれど貴女が保留するなら
『もう1着』にはまだ手を掛けない。

得手ではない、と言ってはいたけれど。
童心の経験、水との親和性、精密動作を
可能にする魔術の操作が合わされば、
泳ぎもそれなりに形になるようだ。

黒いフリルが揺れて、翻って、水中へ。
揺らめく影が水面と紛れて、浮上して。
浮かんでは休み、左右異なる色の瞳と
水滴に濡れた肌が光を反射する。

悪足掻きと言われたらそうなのかも。
けれど無理なら無理で "良くなった"
1着だけでも堪能したってバチは当たるまい。

メロウ > ん、すぅ...と。ウォーターベッドに凭れ掛かって
見つめる時間、思考を取り戻すための猶予

水に潜って、再び浮上して。繰り返す相手の姿
それをどんな遊びなのかを、理解する余裕が再びそこに生まれれば
...よし、と。シュシュを二つ拾って立ち上がるのでありました


「薫さま~。やっぱり泳ぐの上手だね~?」

岸から手を振る彼女の姿は、一見すると最初に試着したようなラッシュガード水着の様だった
姿を確認したと認識すれば、川に進んでいく。注意して、足がつく範囲なら
転んだり滑ったり、今まで見せてきたドジとガバの全てから学習して、きちんとした振る舞いが出来るのだ

「浮き輪、そろそろ回収しないとだもんね」

黛 薫 >  
「んぇ、浮き……あっ」

学びを形にするのは黛薫も得意事項。
そうでもなくば魔術の修練はやってられない。

が、気が抜けてしまえば経験の浅い女の子。
流された浮き輪が完全に意識から飛んでいたりと
隙の多さが伺える。

流れた物が引っかかりやすい段差があるのは
下見で確認した通り。浮き輪も例外なく其処で
止まっており、回収は容易だった。

「ごめ、気ぃ回ってなかった。
 シュシュもだよな、折角お揃いなのに」

シュシュを受け取ろうとするも、浮き輪で手が
塞がっている。受け取ったとて自分で縛るのは
上手でないのだが。

「……どする?」

思考停止から復帰したなら問うても良いだろうと、
未だ日の目を見ていない方の水着を指した。

メロウ > 「それより、私を見てほしかったんだけど~?」

仮にも『一度知ってる物』を選んだのが敗因だったかな
メロウの内心の反省もそうであるが、先ずは批難に目を細めました

シュシュの二つは手首にはめて、花の無い方の手は浮き輪を一緒に持ちまして
岸の方へと戻っていきます。空を仰いだメロウの判断からすると...やっぱり、休んだ時間が仇となったかも

「これは、お預けになるかなぁ。その代わりって言ったらなんだけど
 岸に上がったらもう1つ、隠してたものをきちんと、お披露目するからさ」

本来、『隠していたもの』と示すなら貴方に向けての、示した先の水着であった筈なのだが
今身に纏うものがそうなのであると、暗に言葉が示していて

黛 薫 >  
「ゴメ……んっ?」

顔と髪に残る水気を払い、ようやく貴女の
服装に気付く。近しいものを当てた記憶は
あれど籠に入れた記憶はない水着と、未だ
岩の上に残る花柄の水着を見比べて目を白黒。

よくよく考えてみればメロウにお題を出して
籠を渡しはしたが、他のものを買うなとは
言っていない。水滴で視野を狭めるくらいなら
潜らなければ良かったかとか、その前に思考が
煮えてしまった時点で敗北だったかとか。
悔めどサプライズは不発、後の祭りである。

「……も゛ーー、ホンっト、カッコつかねーの」

泳ぎに不慣れであろうメロウのエスコートに
はじまり、お色直しのタイミング、いけない
体験の共有を経てのクールダウン。どれもが
どれも、上手く出来ていたやら自信が持てず。

不満顔というよりは、おつかいで買い忘れが
あった子供のような表情。しおしおと貴女に
連れられて岸に上がる。

メロウ > 「なんだかずっと、私に踊らされているような
 雰囲気があると...うん。ソレも悪くはないかも?」

先程は、言葉で操られることにもおんなじ台詞を吐いていましたが
気分がここまで高揚するとは思わなかった相手から続いた無茶ぶり
自ずと疲れが溜まって来ていたのだろうとは、流石のメロウも気付くのです

けれども、隙を見逃すのとは違うもので。気が付けば『ぱしゃり』と
再び彼女は手で作った枠を向けていました。この機能、便利に使い過ぎです

「すごい顔、してたんだよ?んひひ、見る?」

以前のラッシュガードを基調に、臍が見える程度の丈の短さ
下はちゃんと選んだ訳ではないけれど、その分シンプルなビキニスタイルで失敗するという事もなく
アクセントの手首にシュシュが二つは、構えた両手の中に納まったまま

『見る?』なんて言いながら。簡単に見せるつもりもないのだろう
一歩程距離を取った姿勢は、手を伸ばすだけでは届かないが。互いに歩み寄れば届く程度
さて、貴方はどうするのだろうかな、と。今はきちんと、瞳を覗く

黛 薫 >  
「お生憎さま、写真より優先して見るモノ
 用意されてますしぃ?」

終始高揚し、ブレーキが控えめだったメロウと
過ごして、疲れていないとは言えないものの。
溜まったそれはフラストレーションと言い換えも
出来るものであり。

ずい、と大胆に大股で踏み込む1歩。
2人が1歩ずつ歩み寄れば触れられた距離を
1人で、一息に詰めてしまうのです。

黛薫が大胆な行動を取るときは、大抵の場合
勇気を振り絞っているのを隠しながらだが。
ちょっと遊び過ぎた、くすぐり過ぎたときにも
度々閾値を超える形で発露する。

今回は、問うまでもなく "そう" なのだと。
雄弁に仕草が物語っているのでした。

メロウ > 「えっ」

想定されたよりも、数秒早く。そして間合いの詰め方も大胆に
『揶揄い』の為の計算を崩すには十分すぎるくらい

この時のメロウは忘れていたのです。貴方の感情の発露の方向
時々己に後悔を誘うほど、『やらねばならない』と思ったことをゴリ押す精神

メロウに出来た行動は決して多くはありません
せめて、邪魔にならないように腕を開いたら
隙だらけになるのは胸元であって

フラッシュバックする記録。心臓に刺したナイフ
暗殺の日々の映像がどうして今更!?

(私、終わるかも~~~?)

起こりえない事ですが。それだけの覇気と諦めの笑みと
それはもう混沌とした場面なのでありました

黛 薫 >  
「ちゃんとお披露目してくれるのよな?」

開いた胸元にナイフをぐっさり……などと
いう展開には成り得ないけれど。
笑顔とは本来攻撃的な云々という冗句も
今この場では冗談と言い切れなかったのやも。

「代わりに、あーしのコトもちゃんと見てよ?」

さっきそれでシャットダウンした相手に
容赦のない付け足しをして、指先でつぃと
貴女の顎を押し上げる。

そのまま指は首を撫で下ろして鎖骨を擽る。
肩のラインに沿って動き、胸元の布地の
感触を確かめるようにさっと撫でていく。

黛薫自身の『視線』に触覚情報は付随しない。
けれど "此処を見ている" となぞって触れることは
出来るのだ。

メロウ > 「見てる、見逃さない、撮ってたけど」

言語道断の体現と言うべきだろう
最早言葉に意味などなく、求められているのは目線の行方と、
弄ばれている最中の、その反応ばかり
観念したように両手を上げて、今は貴方の玩具
...こんな時に、目線を逸らしたらバレてしまうなんて
貴方の異能の、本来想定されてなさそうな利点が生かされています

「...薫さま?」

これまで、直接触れられなかったから
当たり前だが、普通目線に『触覚』は伴わない
だからその行先に、ぞわりと身を震わせて見せる
この反応は、今日はじめとの事なのでありまして

「ん...えっと...?」

ラッシュガードの水着なのは、もしかしたら不運の1つ?
普通の水着の前面に、隙だらけなファスナーなんてありませんので

黛 薫 >  
つん、つんと指先がファスナーをつつく。
なぞり、でも摘んで下ろすことは "まだ" しない。
メロウに触れていない片手は自身の鳩尾に置く。
視線の誘導。貴女に触れる手の鏡写し。

水着と肌の境目を指で弄び、自身の水着の
フリルを緩く持ち上げる。胸の下の形を
確かめるように手のひらで押し上げ、
薄く浮いた自身の肋を指でなぞってみせる。

撫で下ろした指は貴女の臍へ。
人差し指を挿し入れて擽り、お腹をぐっと
押し込む。2人で肌を晒したとき、メロウが
煽情の仕草を以って手を添えていた場所を
丹念に撫でる。自身の胎には手を添えるだけ。

鼠蹊部、下腹を撫でた指先は足の付け根を
擽って、ビキニスタイルの下衣に手を添える。
人であれば敏感な突起を指で押し込み、
薄布越しに秘裂を開く。自身も同じように
しているのに、フリルで隠して見せない狡さ。

最後に、貴女の唇をそっと撫でた指先は。
ファスナーにまで戻ってくる。

メロウ > 「あの...体、冷やしたんじゃ...?」

手の触れる度に、『逃げた方が良いんじゃないか』と
警鐘のようなものが聞こえ続けるものの
手と目線が先回りするように。深く追っては捉え続ける

胸を持ち上げるような形からは、簡単に重心を崩されて
腹を押す手は自ずと、メロウの体位を低くするように促す
下腹部の形を強調させるような愛撫に対してはもう、
開かれた部屋を反射的に閉ざす形で脚を閉めると、
いつの間にやら地面だったものが床になっていた

唇に添えられた指は、『上』を取った薫の勝利宣言だったのだろう
秘かに、体の中に溜め込んだままの、『貴方の香り』が漂っていた
されてる、押されてる、濡れてる?私も?
貴方の愛の気持ちには反応出来るようになった、学習の末路

「お、お手柔らかに...」

とはいえ、『押される側』の学習なんて、出来てなかった訳なのですが

黛 薫 >  
「知ってる? 熱って煽られると燃え直すの」

不味かったのは隠してあった1着のお披露目か、
追い討ち気味に見せた満足げな顔か。
もっと遡るなら無邪気で無防備なハイテンション、
貴女を自由にした夏の魔物がじわじわ掛けていた
負荷が想定を遥かに超えて大きかったか。

じぃ、と音を立ててファスナーが下がる。
"やっちゃダメ" と学習したばかりの行為、
秘すべきモノを曝け出す感覚。
とさり、黛薫の胸を覆うフリルが臍に落ちる。

押し倒し、未だ残る布地が重なれば、冷やして
流そうとした蜜がじゅくりと染み出す。香りと
混ざる。一度は思い止まり、しかし追い討ちで
敢えなく決壊した我慢の証。

「ちゃんと」「見てて」

自分の物を学んだ、今は貴女の香りが漏れ出す。
飲み干しされたあの日、組み敷かれていた黛薫は
今日は貴女の上にいる。

おろしたての水着がぐちゃりと糸を引く。
貪るように、敏感な場所が擦り合わされる。