2020/06/20 のログ
ご案内:「裏路地の一角」にモノ・クロさんが現れました。
■モノ・クロ > 裏路地の一角から、悲鳴が聞こえる。
何があったのか、と思ってしまうほどの絶叫だ。
裏路地でなければ。
ご案内:「裏路地の一角」にエルピスさんが現れました。
■エルピス >
「この辺だったと思うんだけれど────。」
路地裏の住人から『PAS-S』なる異能開花薬なるものを売っている。
そんな話を仕入れていたので、頃合いを見て買いに行こうとした矢先。
路地裏ではそう珍しくない悲鳴が聞こえた。
(……売り買いで揉め事でも起きたかな。)
そう思いながら絶叫の元へと足を運ぶ。
辿り着けば、そっと角から様子を覗くだろう。
■モノ・クロ > 「ねぇねぇ、どんな気分、どんな気分?」
そう言って、人を吊るしている人影。
暗い裏路地だとその異常性がよく分かる。
異常なほど白い肌に、異常なほどに張り巡らされた紋様。
一番異常なのは、四肢がないのに、立っていることだ。
吊るされている人間は、紋様に侵食され、泡を吹いて痙攣している。
「壊れちゃった。つまらないの」
まるでゴミを捨てるように、投げ捨てられた。
■エルピス >
「うえ……。」
気持ち悪いものを見てしまった。
あの魔術紋のようなものが四肢の代わりをしているのだろうか。
理由があって男を吊るしているようにも見えない。
目的のある行動ではなく、純粋な何かだろうと思いながら一連の光景を見遣る。
「……"捨てるだけマシ"……でもないか。」
投げ捨てられた人間を見遣る。
不用意に駈け寄ったりはしない。
■モノ・クロ > 「……野次馬はっけ―ん」
ぐるり、と。顔だけがこちらを向く。
閉じた目と、怪しく光る赤い目を合わせるだけで、そこから呪いは始まる。
『見られている。』
■エルピス >
「邪視……!」
嫌な視線を感じる。
"見られている。"頭の中に直接叩き込まれるようなものを覚えれば瀬背を向けて視線を逸らす。
逸らしたまま、背にある建物の一つを『乱雑に叩いて力づくで壊す』。
朽ちた建物を倒壊させ、一帯に瓦礫の雨を降らせる。
瓦礫による遮蔽 兼 範囲攻撃だ。
■モノ・クロ > 「おー」
がらがらがら、と頭上から瓦礫が振ってくる。
呪紋を傘のように展開させ、自らの被害は防ぐ。このままだと見失いかねないな―、と。粉塵だらけになった裏路地を練り歩く。
呪いは、まだ続いている。
『見られている。』
■エルピス >
違和感が続く。
見られている感覚は好ましくないし、そもそも苦手だ。
「くッ」
何かと何かがぶつかる音。
何らかの手段で防いだのだろうが、安易に確認する訳にもいかない。
とは言え多少の時間は出来た。
一寸の思考の後、廃材を拾ってから突貫し、極力目を合わせぬようにしながら胴体を狙って振り抜く。
何が効くかは分からないが、直接触れるのは不味い。
直感がそう告げている。
「……聖水、あの魔術師に全部売らなきゃよかったね!」
■モノ・クロ > 「へぇ?」
ベキリ、と嫌な音を立てて直撃する。
直後、『痛み分け』が発動する。
防御も、受け流しもしていない直撃の激痛が、襲うだろう。
怯めば、伸ばされる呪紋に捕らえられてしまうかもしれない。
■エルピス >
「痛、ッ」
苦痛が跳ね返る。
跳ね返るが、ここで怯む様な性質はしていない。
むしろ、痛みが入ったことで"スイッチ"が入った。
「くた、ばれッ!」
足を止める。
視線すら気にしない。
理解不能な"痛み程度"なら突き崩してしまえ。
そう言わんばかりに左腕で腹部を狙って殴りに向かい、機械の右腕で脳天を掴みに掛かる。
様子見は最初の一合のみ。
先の一撃よりも力と敵意、そして熱の籠った打撃と掴撃が展開される。
■モノ・クロ > 「顔はやめてあげてほしいなぁ」
左腕は避けず、右腕だけ避けるように、身体を傾ける。
バキ、とまた直撃する。伸ばす呪紋も揺らいで当たらない。
しかし、また『痛み分け』だ。
『見られている』
『痛い』
『痛い』
『気持良い』
■エルピス >
「あは、はッ!」
頭は避けたが腹は受けた。
狙うべきは頭か。
視線は痛みに塗り潰されて意に介せない。
痛みに痛みが重なり、意識が飛びそうになる。
脳内麻薬でも出てきているのか、気持ちよさすら感じる。
思わず笑ってしまった。
"何かを飛ばしてきている"ことと"頭を避ける"ことは理解する。
無意味なものを飛ばすようには思えない、が、引く気にもなれない。
「……そこッ!」
距離を詰め続ける。
左拳で腹を狙い、右の義腕の一つで頭を掴みに掛かる。
……加えて、今度は『足払い』を仕掛ける。
■モノ・クロ > 「近づいてくれるんだぁっ!?」
足払いは予想外だったらしく、足の紋様が『たわむ』。
そのまま姿勢を崩して相手の攻撃が空を切る。
そして、相手は呪紋に触れてしまった。
触れた足に、『生への絶望』が襲う。
『見られている』
『痛い』
『痛い』
『気持良い』
『生理的嫌悪感』
■エルピス >
「っ……!」
異様な感覚が身体を蝕む。
たじろぎ、思わず飛び退く。
(……手足に触れてもダメ!)
が、生理的な嫌悪に熱が引く。
次いで襲い掛かる痛みと快楽に気が狂いかける。
異様な視線も感じるが、他の感覚に呑まれた。
「……ああ、もうッ!」
大きなゴミ箱を右腕2本で掴んで跳び、上空から中身を散乱させながら圧し潰さんと叩きつける。
下敷きにでもしてやろう。との魂胆だろう。
■モノ・クロ > 「いらっしゃい」
先ほどと同じように、呪紋で傘を作って防ぐ。
但し、今度は包み込んで。
まるで網のように、呪紋がエルピスを包み込もうとしてくる。
『見られている』
『痛い』
『痛い』
『気持良い』
『生理的嫌悪感』
■エルピス >
「────!!」
出迎えてくるように広がる傘。傘でいいのだろうか?
──アレに包まれて正気でいられるのか?
吊るされていた男性を思い浮かべる。
……が、退いた所でどうにもならない。
「"呪い"らしく、刺し違えるかい!」
"刺し違える覚悟"でゴミ箱をひっくり返して頭上から叩きつける。
包むのならば、ゴミ箱に包まれることを覚悟しろ────
────狂気にも近い、確たる意志だ。
■モノ・クロ > 「あーあーあー!」
刺し違える気で来られるとは思っていなかったのか、『網』が破られる。しかして呪紋はエルピスに触れ…
頭に直撃したゴミ箱の衝撃が、エルピスに襲った。
『見られている』
『痛い』
『痛い』
『気持良い』
『生理的嫌悪感』
『生理的嫌悪感』
『生理的嫌悪感』
『生理的嫌悪感』
『生理的嫌悪感』
『生理的嫌悪感』
『生理的嫌悪感』
『痛い』
『前後不覚』
『気持ち良い』
■エルピス >
「あ、っ、」
呪いに喰われた。前後も左右も分からない。
その辺の建物をもうひとつブチ壊してゴミ箱の上から簡単には這い出れぬように『塞いでおく』。
正直、出来ているかもわからない。何せまともな感覚が残ってない。
わからないが、やっておくしかないのだ。
やっておくしかないし、これ以上は"逃げる"しかない。
「ぅ、 ぅ、 ぁ」
自宅がどっちだったかも分からないし、
追われでもすれば『後がなくなる』。
這いずり回ってでもここから離れて、勘と運で帰還するしかない。
ロクに立てぬまま、瓦礫の中から這い出て逃げ始める。
無防備が過ぎるが、どうしようもないのだろう。
呪いで感覚が壊れたまま何かがすることが無茶なのだ。
出来る方が異常なのだ。
■モノ・クロ > 「あー……身体に引っ張られると、辛いな…」
相手が前後不覚に陥ったのは、こっちも前後不覚に陥っているからだ。追えるような状態じゃない。
「うえー…だから頭にもらうの嫌なんだよ…」
立てないのは同じのようで、壁にもたれる。今なら逃げられるだろう。
『見られている』
『痛い』
『痛い』
『気持良い』
『生理的嫌悪感』
『生理的嫌悪感』
『生理的嫌悪感』
『生理的嫌悪感』
『生理的嫌悪感』
『生理的嫌悪感』
『生理的嫌悪感』
『痛い』
『前後不覚』
『気持ち良い』
■エルピス >
何かを言ってるが聞き取れない。
が、追ってくる様子はない。
『相手前後不覚』となっているから気付けるのも呪いが癒えた後になるだろう。
……それも癒えるまで耐えられればの話で、情報の整理はもっと先だ。
「は、ッ……、ッ……」
這いずりながら逃げる。
どうにかして、瓦礫からの離脱そのものは成すだろう。……ひとまずは。
■モノ・クロ > 「あー……見失ったなぁ」
ガラガラと瓦礫の中から出てくる。いつの間にか腹の痣も頭の出血もなくなっている。
「確かに残念だな。あそこまで耐えるのはなかなかいない」
妙なことをつぶやきながら、その場を後にするだろう。
ご案内:「裏路地の一角」からモノ・クロさんが去りました。
ご案内:「裏路地の一角」にデザイア・ハートさんが現れました。
■デザイア・ハート > 「……なんかすっごい音したけど、いったい何…。」
すべてが終わった後、路地裏の一角で響いた音と、”用意していた警戒網”に反応して、魔女はここにまでこっそり慎重に顔を覗かせていた。
■エルピス >
お隣さん──少女のような少年が転がっている。
外傷はほとんどない。ないが、呪いがあちらこちらに叩き込まれている。
『悪化』することはなさそうだが……
……自然治癒に任せるには多すぎるし、重すぎる。
■デザイア・ハート >
「……っ!ちょっと!エルピス!?」
倒れている隣人のかわいらしい少年に駆け寄って、その状態を確認する。
それが呪いによる何らかの異常である事を推察するのは魔女にとって容易い事であったが、なにぶん、ぱっと見だけでその呪いが重大で、そしてそれが多数であるのがみてとれた。
――つまるところ、大分大事であった。
■エルピス >
駆け寄るのにも一苦労だろう。
何せ暴れに暴れ回り、辺りは滅茶苦茶だ。
元の形をとどめているものの方が少ない。
「で……い……」
補足すれば、幸いなのは外的要因による呪詛であることか。
内部からの暴走ではなく、本人から産まれた呪いではない。
つまるところ、これ以上の暴走はない。
虚ろな瞳で無理やり焦点を合わせようとする少年の姿は、
何ともまぁ痛々しいし、彼の強引(きあい)さも伺えるが。
■デザイア・ハート >
「ああもう!局所的大地震でもあったのかいここ…!よっとと。」
そんな文句を言いつつも、小さな身体をひょいひょいと器用に動かして、倒れている隣人の元へと向かう。
「…まったく、何したかしらないけど緊急時だしちょっと持ち帰るからね!」
ひとまずこれ以上の”なにか”がない事だけが確認できれば、少年を小柄な身体で不思議な事に両手で担ぎ上げるだろう。
見る人がみれば、それが魔術の身体強化によるものだと分かるであろうが。
■エルピス >
「ごめん、ね。」
そして、『誰かと居るときのエルピスは弱い』。
暴力的な振る舞いも、強引な活動も独りだからこそ成立する。
"今の彼はそのようなものとして成り立っている"
……デザイアの姿を認識すれば、何かを詫びると共に意識を落とした。
意識を失って力が抜けた彼の身体は、採寸の時に比べて遥かに重い。
ご案内:「裏路地の一角」からエルピスさんが去りました。
■デザイア・ハート >
「……謝るならお代、払ってもらうからね。」
はぁ…とため息を吐きながら、少年を抱えて魔女はふわふわと浮かびながらアトリエまで飛んで行く。この荒れ果てた路地裏を抜けるには、人を抱えながら…それも重く感じる相手…は少々厳しいものがあったためだ。
程なくして、二人の姿は路地裏のとある店の中へと消えて行った。
ご案内:「裏路地の一角」からデザイア・ハートさんが去りました。