2020/07/04 のログ
ご案内:「【回想】武楽夢十架と……◆特F(過激描写注意)」に武楽夢 十架さんが現れました。
■武楽夢 十架 > PL発言:前回の回想の続きとなります。ログはwikiにてまとめさせていただいておりますのでよろしければご覧いただければ幸いです。
■武楽夢 十架 > ―――武楽夢十架には後悔がある。
その後悔とともにある物語がある。
これはかつてあった日の出来事。
かつてあった物語。
歌にならず例え、物語を謳う者なくとも今は未だ残る物語。
ここまで思い出した悪夢。
二年前の記憶。
丁度、こんな未だ光注さぬソラだった―――。
■武楽夢 十架 > 意識を取り戻した時、眩い光が視界を塞いだ。
「おや、起きてしまいましたか」
眩い光に顔をしかめながら腕を動かそうとすれば両腕とも動かない。
暴れようとすれば足も固定されているのが分かった。
自分は何処かで仰向けになっているが四肢は拘束されている。
声がした方を見れば、血に塗れた緑色の頭巾や格好にマスクをして、透明なゴーグルまでつけている男がいた。
あまりの様子に体が強張り恐怖するが、動けない。動けないと分かると冷静になろうと周囲を観察した。
その人物の格好とテレビドラマで見たことのあるような照明にこの男は、医者なのか、と想像して疑問を口にしていた。
どうして自分がここにいるのか分からないが。
「医者…と問われればそうでしょう。今、私はあなたについている医者で―――ここは手術室」
諭すような優しい口調の男で、
「君は落第街の裏路地で大男によって連れ去られた。思い出せますか?
君は少し前に行方不明になった二級学生の女の子を探していた。それも結構派手に。
だから、落第街なんて都合のいい場所に来てくれたのなら喜んで出迎えてあげようって迎えに行ったんですよ」
自分がここにいる経緯を『正確』に教えてくれる。
しかし、上手く内容は砕けない。
■武楽夢 十架 > 順を追って男の言葉を考える。
思い、出した。
思い出せたが、ではなぜ、大男に殴られた自分が手術室にいるんだろうか。
「ああ、どうして手術室なんかに?」
男は目を細めて朗らかな声色で僕の疑問を読み取り、言葉を続ける。
「君は知っていますか?最近、この街から外へ『大変特別なもの』が世界に届けられているのを!」
この街から、特別なもの。
なんであろうか、学園の研究の成果だとかそういう話か。
僕の表情から落胆したような顔をして男が心でも読んだかのように否定した。
「違います。
それを取り込めばヒトとして進化できる―――至れなかった選ばれた存在になれる!
この世界で行き続けるために必要な免疫を得て!!
もしまたあの《大変容》が来たとしても、対抗するためのチカラを得られる『可能性』がある!!!」
続いた言葉を興奮したかのように男は語り、一言語るたびに体を震わせていた。
この男は……普通の、医者じゃない。
嫌悪感を伴って、ようやく冷静にそう判断した。
僕の反応から満足したように目を細めて男は僕の耳元でささやくように言った。
■武楽夢 十架 > 「……ようこそ、狂気の貿易商《ルナティック・バイヤーズ》へ」
■武楽夢 十架 > 固唾を飲み込むのを見計らってか、男が急に話題を変えてくる。
僕の拘束されている手術台に寄りかかり見下ろしてくる。
「そう言えば、君はどこかに異能変異した部分があったりするんですか?」
上機嫌に鼻歌を口ずさみながら、そんな問いかけをしてくる。
「いやね、意識がない間に確認してみても表面上はないし、基本は無能は調教して売ることにしてるんだよ。
出来ることなら語らい合いながら、友達とどうでもいい話をするように手術をしたいんだよ。僕はあんまり無反応な相手を手術するのも好きじゃないんだ」
喉を鳴らして笑いながら、男が思い出したかのように語って、僕の腹部に手を置いて言った。
「君の臓器は、綺麗かなぁ?」
先ほどの話と今の話がなんとなく線で繋がりだしてゾッとした。
思わず逃げようとして暴れた。
暴れだしたのをみて、男は更に上機嫌になって笑いながら言う。
■武楽夢 十架 > 「そうそう、それでいいんだよ!
数日前のあの赤目の女は『ヤツ』の手駒が遊んで壊してたからやりがいも何もあったもんじゃなかったぁ……。
壊れたヒトガタ相手じゃ興奮しねぇ!勃起しねぇよ!!!」
■武楽夢 十架 > 僕の反応に男は狂喜して、悪魔のように笑っていた。
■武楽夢 十架 > 男が興奮して手術用のメスを雑に手にして振り上げたところで
大きな揺れが起きた。
地震とは違う。なにか別の原因による揺れ。
「んだよ。また抗争かぁ?
白けんだよなぁ」
男は振り上げたメスを銀色のトレイに投げ戻すと部屋の入口へと歩いて行った。
雑にドアを蹴り開けて外に顔を出して悪態を―――
「おめぇら、俺が手術する時は――――――……ぁっ?」
男の居た方から何か液体が飛んできて、手足にまで届いた。
その後に、何かが倒れる音に続いて幾人かの足音。
そして黒に身を包んだ狐の面をした者たちが言葉もなく、拘束されていた俺を助ける。
その中から一人血濡れた狐の面をした者が残って一言だけ。
「今すぐこの建物から逃げろ」
そう言って謎の連中はここを後にする。
手術台から降りてみるこの場所は、掃除のしていない鏖殺場のような状況で今更この不快な臭いを意識して僕は吐いた。
僕を手術しようとしていた男の首の前半分がぱっくりと開いているのを見て、
もう一度嘔吐した。
■武楽夢 十架 > はじめてみたヒトの死体。溢れ出る血、溢れる肉。
胸の動悸が煩くて気持ち悪い。
一分か十分かそれ以上か、どれかくらいの時間そうしていたかは分からない。
なんとか吐き気が落ち着いたところで部屋から出ようとした。
その時、背後から物音がした。
誰も居ないはずの部屋。
しかし、もしかすれば自分と同じような被害者がまだ生きているのかも知れない。
恐怖はある、しかし。
逃げろと言われた、しかし。
―――きっと彼女なら、と部屋に戻る足を進めた。
進めてしまった。
赤混じりの桃色の―――なにかが、僕の足を絡め取った。
よく見れば、部屋に落ちる肉片とも壁に飛んだ血とも違い今なお脈打つソレは生物の―――触手だ。
「ヒッ」なんて情けない悲鳴を上げて恐怖で体から力が抜けた僕に抵抗なんて出来なかった。
その触手は、手術台横のダストボックスから出てきており
僕の足を絡め取りすぐに体へと触手を這わせ、
引きずり込む、その暗闇へ―――深淵の底へ。
■武楽夢 十架 > 落ちた先はそれなりに深く場所のようだった。
しかして地面は弾力性があった。
そして異臭が酷かった。
腐った肉の……血と腐敗の臭いがする。
この場所を背後から緑色の非常灯が照らしている。
「うっ……なんだここ……」
気がつけば絡みついていた触手は離れていた。
地面についた手や服も濡れた微妙に柔らかな床で濡れた。
"私の神殿へようこそ、糧よ"
それは声ではない。
それは音ではない。
"君はどうやら《異能》もない、ただの肉―――"
これは、声ではない。
これは、音ではない。
"否……ああ、昨日消化した糧の情報に居たな『十架くん』"
それは部屋の中央に、黒い脈動する何かの中から―――その目を、黄金に輝く瞳をこちらに向けた。
『脳』に響くその音が呼んだその名前は、
『脳』に響くその声が最後に発した口調は、
―――彼女■リ■のモノと全く一緒だった。
■武楽夢 十架 > 「ぁ、あぁああ……うわああああああああああああああああああああああ!!!!」
恐怖した。絶望した。混乱した。
『理解』する事を恐怖した。『理解』してしまった事を絶望した。こんな『存在』があることに混乱して、
絶叫した。
逃げ出そうとするが、上手く―――手に何か細いものが絡んでいて邪魔だった。
"君は特別に糧にしよう。―――その方が馴染みが早そうだ"
泣き叫ぶ、僕に構うことなく黄金の瞳は続けた。
"私の中でなら君たちは一つだ"
それは提案のようで、それはコレの戯れに過ぎない。
何故なら、この化け物にとってこの会話こそ無意味な行為であり、
既に逃げることの出来ない手のひらの上の獲物など如何様にも出来るのだから。
"『ほら、丁度君の下にあるのが彼女/私の抜け殻だよ』"
時が止まった気さえした。
自分の手に絡みつく幾つもの細い糸のようなもの。
これは―――彼女の、髪。
よく目を凝らせば、顔があった。
体の輪郭も見える―――が、お腹に大きな穴が空いていて……あるべきものがそこにはない。
彼女のあの■■瞳は、抉り抜かれていて―――そこにはない。
何かが壊れるような音が遠くに聞こえた気がした。
■武楽夢 十架 > "『それじゃあ、おやすみ十架くん』"
最後に彼女声をしたソレを聞いて、僕の頭に何本もの細い触手が入り込んできた。
そして、大切なものが、奪われてはいけないものが、そこから吸い出されていく。
もう、どうしようもないし―――
もう、どうでもいい―――
意識の中に裸の彼女が現れた。―――ああ、名前はなんだったか。
彼女はいつものように微笑んだ。―――どんな顔をしていたか。
"『さあ、もっと解放して』"
ああ、君と過ごした時間は最高だった。
僕は君に救われた。それからの時間は本当に大切で掛け替えのない時だった。
永遠に続けばいいといつも考えてた。
けど、君は居なくなり……そして、僕も。
■武楽夢 十架 > ――――「ねぇ、十架くん明日は何処に行こうか」――――
■武楽夢 十架 > 「■リ■ァアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーー!!!!」
『彼女』の声が聞こえた気がした瞬間、体の奥底から《熱》が溢れ出た。
《熱》は体を駆け巡り、自身を制御し、異物を―――排除する。
彼の体から瞬間的にすべての触手が、はじき出された。
"?!……脆い肉の癖に何処にそんな力が……まさか、顕現したのか?今、この時に!!"
声にした言葉は、彼女の何だったか。
今聞こえた『彼女』はどんな顔をしていたか。
思い出せない。記憶にない。
ふざけんな。
「ふざけんじゃねぇえ!!!」
閉じていたその―――『赤い瞳』で黄金の瞳を睨んだ。
「僕の―――……俺までてめぇにやっちまったら、彼女がこの街から消えちまう!!
させるかよ! これ以上……俺の『女』は奪わせねぇ!!!」
黄金の瞳が細められて、ようやく感情めいたものがそれから発露していることに気づく。
"喝采せよ、喝采せよ!!―――おぉ、おぉ、素晴らしきかな!《異能》の『可能性』、私の求めた『可能性』!その瞬間、今ここに!"
それは音ではない。それは声ではない。
けれど、この化け物のソレは衝撃を伴って、影響を及ぼす。
―――遠くで鐘の音が響いてる。
今、確かに自分に《異能》があることが理解(わか)る。
しかし、だからこそ、あの状況を脱する為だけに顕現したこの《異能》では、コレには届かない。
何処か遠く天高くを見てでもいたかのようなその瞳が再び、俺を捉える。
■武楽夢 十架 > ”あぁ……!ありがとう糧よ!
特別に君は!
その抜け殻も!
《私》の一部としよう!!”
心の底から感謝するように、ソイツは言った。
直後―――迫る無数の肉塊。
先程の細い触手とは違う、人の身の太さほどある塊が凄まじい速度で迫る!
普通の人では、回避はできない!
戦闘用の異能を持った風紀委員や一瞬でこの部屋の外まで移動できる素早さを有していない限りは―――当然、これまでの俺には回避できなかっただろう。
俺のいる場所に無数の肉塊が叩きつけられる。
求めるは―――《異能者》の脳、それと《異能発現》により変質したその赤い瞳。
「―――遅いな」
そこに俺はもういない。
手加減をしたとは言え、ただのヒトガタに全てを避けれるはずはないものだった。
赤い目は煌めき、迫る無数の肉塊全ての軌道を読み解き計算する―――
俺の足元で黒い―――否、赤い液体が踊る。
目覚めた《異能:赤い液体を操る能力》、この能力が俺に何処までやれるのか教えてくれている。
この場所の床は『真っ赤に染まっている』故に、その上にいる自分自身を『動かして』やればいい。
自身の《異能》の支配領域がこの瞳には映し出されている―――!
”X※Xv∝▲∂XXX=*/ァXX‰XXXX♯XX0XXXXXXXX◎X‰∝XXXXXXXガXaXzXXXX!!!!!”
必殺の一撃をただの糧がなぜ、と理解できないソレの思考が爆発する。
見下している相手に、煽られて激昂する―――覚え始めたばかりのヒトサマの感情に影響されて。
「……うるさい、黙れ」
しかし、自分に《出来る事》を理解出来るがゆえに自分では、届かないのだ。
これを《消滅》させるには、この《異能》は破壊力がない―――全くといっていいほどに。
■武楽夢 十架 > 逃げ切る事は不可能、倒すことは敵わない。
このままでは、生き残ることさえ叶わない。
■武楽夢 十架 >
「―――逃げろと言ったはずだ、少年」
そう、第三者の声が響くのが先か―――化け物の向こう側の壁が吹き飛んだのが先か。
破壊された壁から光が部屋に差し込む。
黄金の瞳も驚異の対象と感じたのか、こちらから目を外した。
「だが――よくそこまでやってのけた。お前のバトンは俺が受け取ったぜ……少年!」
口に咥えた煙草を吐き捨てた、その男。
壁の向こうに光を従えた、その男。
狼の面の――その男。
「てめぇが【X】か……吐き気がするような不細工面だぜ」
黒尽くめに狼の面の男が、一歩踏み込む。
たったそれだけで空気が―――変わる。
「下がりなさい。まだ、諦めていないのなら」
混沌とした熱気を切り裂く鈴の音、少女の声。
……彼らが盛り上がっている間に、俺は小柄な黒ずくめの狐の面に手を引かれ、男の裏まで逃げることができた。
「拷悶の霧姫《ミストメイデン》、その『少年を守れ』」
「でも、ロワは……――」
拷悶の霧姫《ミストメイデン》と呼ばれた存在は、男に何か言っていたが状況がソレを許さない。
甲高い化物の雄叫びが、少女の音を潰して犯す。
"その糧はッ! 私のッ! 物/材料/食料/燃料だァ!!"
振るわれる、醜き肉塊の触手―――
■武楽夢 十架 > 「貴様の相手はこっちだぜ、【X】!」
男が鼻で笑い腕を振るう。
彼の腕と、肉塊が衝突し爆発する―――肉塊が弾け飛ぶ。
同時に、男の面が弾け飛んだ。
「おっと」
仮面の飛んだ先を追いかけるように振り返った男の顔を、一瞬だけ俺は見た。
茶髪に金の目を光らせるその男の顔は、圧倒的優位な捕食者を前にして―― 不 敵 な 笑 みを浮かべていた。
"何だ、その力は……!? 面倒な!
だが、所詮は人の身!!
小賢しいだけの小動物ッ! 力無き糧ッ!
利用されるだけの下級存在ッ!
幾ら優れた武器を手に入れようが!
この殺戮は避けられまいよッ!"
再び繰り出される触手。
数多の残虐の矛先が俺たちの前に立つ男へ迫る。
対し、男は叫ぶ。
己が《異能》の名を。
己が魂を燃やし尽くす、悪魔の業火の名を。
■武楽夢 十架 >
「絶招の灯火《アニマ・エクスプロージオ》ッ!!」
男の雄叫びと共に、鳴り響く轟音。
数多の触手が男を狙い、狂い放たれた。
その一本一本が、避けられぬ致命の一撃。
人間如きでは、防ぎきれぬ一方的な殺戮。
だというのに―――、
射出/閃光―――怪物から放たれた必殺の触手が、焼け爛れる。
なぜ。
射出/迎撃―――人の肉など一瞬にして抉る筈の触手が、弾け飛ぶ。
なぜ。なぜ。
射出/爆発―――圧倒的な暴力が、燃え盛る黒に塗り潰さていく。
なぜ。なぜ。なぜ!
"何故ッ!!"
男は、振るう。己の拳を。
『暴虐』を両の拳で、迎え撃つ。
あり得ない光景が、俺たちの眼前で繰り広げられている
■武楽夢 十架 > "何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何■▲=‰∝◎■■■ーーーッ!
▲※ァ●xぜなぜななぜァーー∂∬♯ーーーァ■■ーーッ!?"
男の振るう拳は爆ぜる。
暴虐を燃やして、尽くす。
「喚くな――」
"ァ■■※※ゲ‖¬ーーッ!?"
何度も、何度でも。
致命の一撃を、返す致命の一撃にて。
「――囀るな」
"グ‰∝ヲ◎■■■ーーッ!!?"
幾度も、幾度でも。
数え切れぬ程の触手が墨となり、空中で炸裂。
風に散って流れ行けば、跡形もなく消滅する。
「で……終わりかよ、大将……!」
微笑む男の口からは、一筋の血が流れ落ちていた。
その腕からは、剥き出しになった骨が焦げた肉の間から覗いている。
男の連撃は、彼自身に取り返しのつかないダメージを与えていることは火を見るより明らかであった。
それでも、男は屈しない。不敵に微笑むのみだ。
男の眼前の肉塊も、身体の大部分が焼け焦げている。
次の一撃が、勝負を決める。
暴れるまま。先に仕掛けたのは、狂気の怪物であった。
■武楽夢 十架 > "糧の分際でェ=●∂‰%ェーーッ!"
今までに無いほどに、視界を埋め尽くす触手の波が押し寄せる。
その一本一本が、弾丸の如き速度で、繰り出される。
男が自らの足元に作った血溜まりが、震える。
「唸れェェッ!!!」
今までに無いほどに、力を込めた男の拳が握られる。そこ重々しい一撃が、違わず過たず眼前へと繰り出される。
焼け焦げた怪物の頭部が、慄く。
刹那―――。
一際大きな爆発が、圧倒的な力で以て空間を破壊する。
「私の鎖では通じない……でもせめて、命令だけは……!」
爆音の最中、少女の声のどこか、すがるような声が微かに耳に響いた。
刹那、俺の前に割り込む淡い紫の光。
数えきれないほどの大小の破片が、俺の目の前で掻き消えていく。
■武楽夢 十架 > そして。
取り囲む死の灰は、最早傍観者たちの視界のほとんどを奪っていた。死の激突した霧が晴れた時、俺たちの目の前にいた男は、紅に塗れ、立っていた。
体中のそこかしこに、穴を開けても―――尚。
"何故! 貴様は其処に立っている!!
反逆者!
何を糧に力と変えるッ!?
倒れろ、斃れろ斃れろ斃れろ斃れろッ!
斃れて、朽ちろォォ●■※%√ーーーッ!!"
■武楽夢 十架 >
「……『矜恃』だッ! それは貴様のような者には
何千年経とうが、手に入れることの出来ない『誇り』! そして―――」
口の中の血を目の前の怪物に吐いて捨て、男は笑う。ただただ、嗤う。
生命の灯火など、とうに尽きている筈なのに。
立つだけの力など、とうに失われている筈なのに。
「―――貴様如きに背負えない、人間の―――信念の『呪い』だッ!」
男は自らの腹に突き刺さっている太い触手を両腕でがしりと掴むと、そう口にする。
その身体は、最早生ける屍。
喋るどころか、立っているのも不思議な状態だ。
男の手元が、足元が、自らの血液で滑る。
それでも、男は屈しない。
膝を折らず、掴んだその手は、いくら触手が内臓を掻き出そうが、決して離さない。
"貴様は―――そうか、糧ではない。
糧では、無いな?!
そうか、そうか! そうだとも!
そうであろうよ!
貴様は―――我々の《怨敵》! 《仇敵》! 《反逆者》!
このような処にまで顕れるかァァァーー¶§※※●◆ー■■ーッ!!"
【X】は狂ったように叫び、所構わず残された僅かな触手を打ち付け、
暴れている。
「繋げ! 拷悶の霧姫《ミストメイデン》!
裏切りの黒を! 反逆《トラディメント》の歴史を!」
狐面を被った少女を見る男の瞳に、既に生気はなく。
それでも、力強い意志だけは感じる輝きを湛えている。
そして男は俺の方を見れば、口を吊り上げて見せた。
その口から夥しい量の血を流しながら。
「そして生きろ……足掻き……続けろッ!
『お前』は『お前』を繋げ、少年……!」
■武楽夢 十架 > 俺は、その光景に呆けてしまっていたが、
隣にいた彼女に腕を引かれた。
俺の腕をとった彼女の掌は、硬く。
「走ります」
少女は俯いた。ほんの一瞬、刹那の間。
見逃してしまいそうな、瞬きの間に。
「……走ります」
少女の声に引かれ、俺は無我夢中で走った。
外に出てもしばらく走り続け、しばらくしたところで掴んでいた俺の腕を離して
―――後ろを、仮面を取って見ていた。
その虚ろな瞳の奥底に湛えられていたものは、何だったか。
未だ陽の光注さぬ世界《そら》に――――天を突くような光の柱が、逃げてきた方向から上がっていた。
『裏切りの黒《ネロ・ディ・トラディメント》』。その矜持には、血が流れている――。
■武楽夢 十架 > これは、かつてあった出来事。
これは、かつてあった物語。
知る者は少なく歌にはなっていない物語。
この物語は今未だ謳われない。
何故なら、物語は未だ続いている。
武楽夢 十架と裏切りの黒《ネロ・ディ・トラディメント》の物語はここから始まったのだから。
ご案内:「【回想】武楽夢十架と……◆特F(過激描写注意)」から武楽夢 十架さんが去りました。
ご案内:「落第街の一室」にフィーナさんが現れました。
■フィーナ > しゅたん、と。なにもないところから現れるフィーナ。転移術だ。
きょろきょろと、周囲を見渡す。
■スライム > もごもごと。物陰から、姿を表す。
まるで、待っていたかのように。
しゅるしゅると、ゲルの触手を伸ばし、フィーナに触れる。
(ナゼ、モドッテキタ)
わざと、片言で、思念を伝える。
■フィーナ > 「………そうさせたのは、そっちでしょうに」
すぐに手を出さないスライムに、不満げに答える。
もう、ここまで来てしまった時点で、道は決まっているのだ。
スカートをたくし上げ、何も穿いていない秘所を、両手でくぱ、と広げる。
犬のように涎を垂らし、誘うようにひくつく膣。その奥の、物欲しそうにぱくぱくと、開閉を繰り返す子宮も見えるように。
「満たして、ください。全部、めちゃくちゃに作り変えて、苗床にして、いいから。」
その心は、もう、屈服していた。
忘れられなかった。
足りなかった。
満たされなかった。
もう、スライム無しでは生きていけない。
そう、確信してしまっていた。
■スライム > ぶるり、と震える。そして、満足そうに。
(オカエリ、ふぃーな)
そう告げて、開かれた場所に入り込んでいく。
そうして、最初にした時のように、コアを分離させ、子宮に寄生する。大本のスライムは、そのまま離れ、部屋を出ていく。
■フィーナ > 「ぁ、ぁ♡」
望んでいたものが、中にはいってくる。
肚にそれが蠢くのがわかる。
「は、ぁあっ♡お、おほぉっ♡」
自ら体を差し出したからか、肚に入ったスライムは容赦がなかった。
子宮から、徐々に、徐々に、『植え付けて』いく。その度快楽が増えていく。
手つかずだった卵巣にも手が入れられる。遺伝子はそのままに、快楽神経を植え付けていく。排卵する度に絶頂するように調整していく。
遺伝子を拒む防護膜も全て溶かされ。卵子にまで快楽神経を植え付けられ。受精の瞬間に絶頂してしまうように。
その徹底さは、まるで『お前は気持ちよく産むだけで良い』と言われているようで。
暴虐の快楽の中、フィーナは身を委ねた。
■ヒトガタスライム > 部屋を出、ヒトガタ…というより、フィーナと似た姿に形を変える。
「…さて。これであの子は完全に私達のもの。楽しみだなぁ、どんなの産んでくれるかな…?いろんな種、交配して…フフ、楽しみ。あぁ、あの子の代わりも、やってあげないとね。」
とても楽しそうに、笑う。苗床と化したふぃーなと代わって…私が、フィーナ・マギ・ルミナスとして活動する。
その中で獲物が居れば、拐かしてやろう。犯してやろう。搾り取ってやろう。苗床にしてやろう。
楽しみで、仕方がない。
ご案内:「落第街の一室」からフィーナさんが去りました。