2020/09/08 のログ
ご案内:「何処か分からない地下」にマルレーネさんが現れました。
マルレーネ > ―――ああ、今回はこの手の。


気が付いた時にまず思いついたのは、そんなこと。
記憶が混濁していて、何が起こったかが殆ど思い出せないことは経験が無いが。
気が付いたら拘束されている状況に関しては、覚えがないこともない。
今日の試練もまた、バリエーション豊かですね。 なんて、いつもと変わらぬ思いが少しだけ頭をかすめる。

何があったのかは分からないが。
それでも、現状が最悪に近いことは、よくわかる。

薄い緑色をした長袖の検査衣。
その上から両腕を拘束するようにつけられた拘束ベルト。
両腕を組んだような状態でギチギチに固定され、腕はまるで動かせない。

この状況で「病院に運んでくれたんだ」と考えるほどに、頭はお花畑ではない。

マルレーネ > そして何より、身体に、脳に。
全てに力が入らない。
視界の中央だけが色を感じられ、視界の端がぐにゃりとゆがんでモノクロに染まる。
そうかと思えば、逆に視界の端が鮮やかに色づいて。
脳はとろとろに溶けて落ちるような快楽、甘い心地よさを感じていて。身体の中では、熱と興奮と吐き気が渋滞を起こして、しかも出て行かない。


ああ、これは薬だなぁ、とぼんやりと感じる。

これもまた、経験済みだ。
邪魔だと思われて毒を盛られた経験だってある。
うーん、試練のバリエーションの豊かさが幸いしている。
毒物に対して、若干の………本当に若干の耐性。

マルレーネ > これ、このまま待っていて、いいこと何にもないですよね。
何処を切っても、何処を取っても、悪いことしか浮かんでこない。

足が動く。
おそらく、これだけの薬を入れれば動けないと踏んだのだろう。

「ありがたい、話、ですよね。
 舐めて、頂けるなんて。」

よいしょ、っと起き上がる。
くらん、くらんと目の前が歪み、吐きそうになるのをぐっとこらえて。
金色の髪はさらりと流れ落ち、ただ腕だけががっちりと拘束されたまま。
一歩、二歩と歩いてよろめいて壁にもたれかかり、壁を擦るように足を進める。

小さな個室の病室。
扉にもたれ掛かっても、鍵は全く開かない。

マルレーネ > それがどうした。
マルレーネ > 意思を集中させて、歯をぐっと噛んで。
検査衣と拘束ベルトを、一つ一つ意識して、確認して。
自分が身に着けているもの一つ一つを全て、認識する。

己の持つ物を強化する「物質強化」
彼女自身の検査衣と拘束ベルトが、僅かに光り輝き。
その衣服は、彼女を守る甲冑となり、彼女の障害を排除する槌となった。

「………ふん、りゃっ!!」

がしゃぁんっ、と、金属製の扉をへし曲げて床に叩きつけ、廊下に飛び出す女。
足がふらつくのを壁で支えながら、どちらが出口かもわからぬまま、廊下を走る。

マルレーネ > 曲がり角で現れた眼鏡の男は、彼女を見て驚き、すぐさま腰から何かを引き抜こうとした。
だから、容赦なくタックルで、"理解"してもらう。
壁に叩きつけながら、思い切り真正面で睨みつけ。

「出口はどこ。」

目的だけ、端的に。
相手が口をつぐめば、その鼻に額を叩きつけてやる。
眼鏡が割れて散らばり、鼻血が流れ落ち。

「出口はどこ。」

眼鏡をつけていた男に、また端的に。 今度は声に殺意が篭る。
本気であると相手に分からせ。

マルレーネ > 発砲音が響いた。
響いた。
また響いた。

ガチガチに固めていたはずの検査衣を貫くように、注射器が彼女の肩に、腕に、腿に。 3本。
発砲音と共に身体ががくん、っと跳ね。
2つめの音と共に身体がぐるり、と回転して。
3つめの音で足がもつれて、その場に倒れ込む。

研究員 > 「どうやら常人より耐性があるらしい。」
「濃度が高いものはあるか?」
「今は無い。」
「じゃあもう2発だ。」

動かなくなったシスターに、また2発発砲音が響く。

マルレーネ > 今日の実験が延期になった、それだけの顛末。
ご案内:「何処か分からない地下」からマルレーネさんが去りました。