2022/02/03 のログ
ご案内:「◆落第街 閉鎖区画」にセレネさんが現れました。
■セレネ > 荒れた建物内は崩壊し誰ともつかぬ血痕や割れた窓ガラスが散乱している。
そこに走り込んでくるのは月色の少女。
追って来るのは赤黒い花を咲かせた人型の寄生体。
服装を見れば女性だろう、黒髪を乱しながら己を執拗に追ってくる。
『……。』
入口は一つ。他の出口もなさそうだ。蒼を走らせ思案を巡らせる。
後ろからの足音はかなり早く、まず常人には難しい速さだろう。
『此処なら平気かしら。』
紡ぐ言葉は異国の言葉。追われているというに存外冷静だ。
さて。そうと決まればやる事はいくつか。
追いつき、襲い掛かろうとする寄生体の攻撃を避けて建物の奥へと誘い込む。
■セレネ > 『人避けの術式、ちょっと時間かかるのよね…。』
建物全体に掛けるのは流石に魔力の消費が激しい。
一つしかない入口と、後は付近のいくつかの窓に。
ただ、このままだとちょっと面倒だ。
『”お出でなさいな、我が僕達”』
己の足元から現れ出でた、月色の猟犬二頭。
それぞれ寄生体の腕と脚に噛みつき、その強靭な顎と鋭い牙で噛み砕いた。
が、前回中身を暴いた通り、体内に張り巡らされている数多の根によりその箇所は修復される事となる。
『少し相手をしてあげて。四肢は捥いでも構わないから。』
尤も、見ている限り手足を失っても根が代わりをしそうではあるが。
猟犬は主の命を受け、寄生体に対し攻撃を仕掛ける。
その間己はじっくり術式を構築していこう。
■セレネ > 己の本質は月と狩猟。名乗っている『セレネ』なら猟犬なぞ喚び出せる筈はない。
でも馬は喚べないの。喚べるのは猟犬と熊と鹿くらい。
しかも今は神格が半分だから、猟犬達の大きさも一回り小さい気がする。
それでも人間程度の相手なら十二分に発揮してくれるけれど。
数分後、構築出来た術式を展開して人避けの魔術を発動させて。
『うん、まぁこれくらいかしら。』
まぁまぁの出来。しっかりした術式は組む必要はあまりないだろうからこれくらいのクオリティでも大丈夫だろう。
『さぁ、そろそろ”大人しくしなさい”』
蒼を寄生体へと向け、そう声を掛ければ空間から蒼色の鎖が伸び
寄生体の手足へ絡みつく。
そのまま仰向けで引き倒すよう、がっちりと固定された。
暴れながら、寄生体の意識はあるのか喚いているが己は聞く耳など一切ない。
猟犬達は己の傍まで戻ってくると一つずつ鳴き、彼らの頭を撫でてやった。
ひょいと足元へ消えていくのを見届ければ、ナイフを取り出しながら動けない寄生体へと歩いて行く。
■セレネ > 『貴女は今どれくらいの寄生率なのかしらね?』
大の字で拘束されている寄生体。生きているもの。
暴ければ、とは思うが、駄目だったらその時は楽にしてやるしかあるまい。
衣服を切り裂き、皮膚に切っ先を走らせる。
意識はある、ならば痛みもあるかもしれない。喚く声が悲鳴に変わった。
切った傷から溢れる血は赤く、薄汚れた寄生体の衣服を染めていく。
だが、感触はやはり肉と植物の根を切るもの。
深く切り込めば切り込む程、即座に根が張られて先に進めない。
イタイ、イタイと叫ぶ声が煩い。思わず眉間に皴が寄る。
『意識があるまま寄生されるのも可哀想なものね』
■セレネ > うーん、と唸る。当初の目的は残念ながら諦めるしかなさそうだ。
あまりに煩いので持っていたナイフで無意識に寄生体の喉笛を掻き切った。躊躇いもなく、迷いもなく、正確に。
飛び散る鮮血、だが修復された傷により思った程出血は酷くはなかった。
『なーんだ、モルモットにもなれやしないのね…。』
残念。溜息を吐くのは実に落胆している証拠。
身体に咲いている赤黒い花を見る。
…いや、よく見れば花が実をつけているではないか。
――これは、マズい。
■セレネ > 実は実のままだ。だが寄生している宿であるこれが死ねば?
種を飛ばす可能性が充分ある。
発見が遅れれば己も”仲間入り”するところだった。
矢避けを使う程のものでもないと思っていたから、完全に油断していた。
『よく観察すべきね…あと油断大敵ね。
あーもう、今日はツイてない日ですこと。』
生きたまま焼き殺す方に決定。
ナイフについた血を振り払いつつ、パチンと指を鳴らせば
寄生体の身体は瞬時に燃え上がる。
人の焼ける臭いと生きたまま焼かれる事に対する濁った悲鳴が上がる。
■セレネ > 後はもう此処に用はない、と。
立ち上がりナイフをシースに仕舞って人避けの術式を解く。
夜空に浮かぶ月は細い三日月だ。これでは失った魔力も満足に補充出来ない。
…まぁ、倒れる程魔力を消費しなければ良いか。
魔力不足で暫くグロッキーになる未来を思い浮かべながら
もう少しだけ駆除しようと決める。
報酬が高いのだから、その分働かねば。
建物を後にすれば、残ったのは黒く焼け焦げた一つの寄生体だったもののみ――。
ご案内:「◆落第街 閉鎖区画」からセレネさんが去りました。