2022/02/18 のログ
ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)堅磐寮 部屋」にフィールさんが現れました。
ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)堅磐寮 部屋」に黛 薫さんが現れました。
■フィール > 「すぅー………ふぅー…………」
今日は、薫との接触に関する実験と、薫の肚に仕込んだものの調整だ。
心頭滅却すれば火もまた涼し。
あの薫りに当てられないよう、気を強く持たねばならない。
そんな面持ちで、リビングで正座している。
■黛 薫 >
「……あんま深刻に考ぇ過ぎなくてイィかんな?
上手く行かなかったら行かなかったで、刻印の
調整項目が増ぇるだけだし」
調整に成功すれば本来必要だった手間は大幅に
スキップ出来る。逆に言えば失敗したとしても
手間さえ掛ければ取り返せる。
とはいえ、恐らくフィールが危惧しているのは
調整の成否ではないのだろう。黛薫、魔術関連の
話になると夢中になりすぎて気が利かない。
「んと、ひとまず事前に確認しておこっか。
目標はあーしの胎内を魔力蓄積、発現に適した
構造に調整するコト。あーし自身の魔術適正は
低ぃけぉ、フィールと繋がって人外の器官に
変成した胎内は例外的に高い適正が得られる。
現状はフィーナから貰った刻印を模倣拡張して
自然回復魔力の余剰分を蓄積するに留まってる。
お陰で最大容量なら一般人に近くなってるけぉ、
元の素質が低ぃ上に身体操作や強化で持続的に
魔力を消費するから蓄積に回せる量が少なぃ。
だからフィールが直接胎内に手を加ぇれたら
魔力蓄積量の上限増加、『対価』を与えての
魔力生成が可能になる見込み。
で、今日はそれが実際に可能かどうかの試験。
行けそうならそのまま調整もする予定」
いけそう?と呟いて首を傾げて見せる。
■フィール > 「………その前に。私が薫の薫りに誘惑されないかの試験はしないといけないと思うんですよ。薫の負担を増やしたくはないですし…」
大前提として、薫の肚に手を加える前に自分が暴走しないか否かの問題がある。
自分が暴走してしまえば調整どころではなくなる。
まずはその問題をクリアしなければならない。
「こう、薫は…魔術のことになると他のことが頭から抜け落ちちゃうのが難点ですね?」
■黛 薫 >
「え?……あー、そっか。そっちが先か」
胎を捧げた時点で、黛薫はフィールの『同族』に
近しい存在となった。お陰で普通に生活する分には
『薫り』の影響を受けずに済んでいる。フィールの
言葉を借りるなら、『自分自身』を捕食しようとは
思わないということだろう。
とはいえ胎を捧げた日、つまりフィールが暴走した
あの日以降、強く影響が出そうな行為は避けている。
例えば一緒に入浴するとか、性的に交わるとか。
『捕食』の衝動が抑えられたとて、別の衝動まで
抑えられるかは分からない。性的欲求については
(スライムは相手を選ばないが)概ね同族に向ける
感情だし、黛薫の『供儀体質』の誘惑次第では
衝動が本能的な静止を超えてくる可能性もある。
「それは……仕方なぃじゃん。今までやりたくても
出来なかったコトが出来るよーになったんだから。
そりゃ気も逸るだろーよ。
さておき、フィールがどこまで理性を保てるか
試すなら……あーしの『体質』が強く作用する
環境にあればイィんだけぉ」
すん、とパーカーに顔を近づけて匂いを嗅いでみる。
当たり前だが自分の匂いなんて自分では分からない。
入浴……は、『薫り』抜きでも理性が揺れそうだし。
「……経口摂取?」
考えた末に思い付いたのがそれ。
■フィール > 「……まぁ、それが一番無難ではありますよね」
事実として、通常の接触では薫りに理性を揺さぶられることは殆どなくなり、深く接触しない(というか避けていた)限りは暴走はしなかった。
しかしそれでも共に日常を過ごす中で裸を見てしまったり、などということは起こるわけで。
その度に悶々としていたのは内緒にしている。
怪異としての欲が増長されなくとも、人としての欲はあるわけで。
それをフィールが識別出来るかと言われれば、否だ。
「ともあれ、段階的にやるべきだとは思いますね。経口摂取なら…キス、ですかね?」
流石に涎を啜る、という発想はなかった。
■黛 薫 >
「あーしは別にそれでもイィんだけぉ。
フィールはキスしてあーしの体質と無関係に
スイッチ入っちまったりしなぃ?」
実験を行うならバイアスが入らないように。
実験に臨む魔術師としては正しい思考なのだが、
精神を落ち着かせてまで臨んでいるフィールに
向けての対応としては正直デリカシーがない。
「段階的にやるなら最初から原液で摂取すんのも
良くねーだろーし。準備してくっから待ってて」
台所に消えていく黛薫。数分もせずに戻ってきた。
車椅子の膝の上、お盆にはお皿が数枚乗っている。
「あーしの血を水で薄めてきた。フィールから見て
右から順に原液、2倍希釈、8倍希釈、32倍希釈。
つまり左に行くほど薄ぃから順番に舐めてみて」
薬指に絆創膏を貼りながらお盆をテーブルに置く。
彼女の体質は『薫り』に起因するため、本来なら
味覚に影響は与えない。しかし『風味』も味覚を
構成するファクター であり……血の味すら薄れて
分からないはずの32倍希釈の試験液さえ舐めれば
くらくらする甘さの錯覚を覚えるだろう。
■フィール > 「……あー、それは、確かに…失念してました」
少しだけ欲が先行してしまっただろうか。あまり良くない傾向だ。
欲を増長させる薫りの実験なのに、これではいけない。心頭滅却心頭滅却…
「…あぁ、傷を付けずとも唾液で良かったのに」
確かに血液が簡単に取り出せる体液ではあるが…傷を作るのはあんまり心地よくない。
「とりあえず、一番薄いのを……っ」
口に含み、目眩に似た甘さを感じる。
人としての意識を霧散させるような甘さだ。
美味ではある。しかしこれは危険な美味だ。
「…中々、キツイですね」
■黛 薫 >
「ん……あ、そっか。つぃ癖で」
『血液』は魔術の実験でよく使われる。
痛みさえ忌避しなければ容易く採取出来て、かつ
安全確保が出来ていればまとまった量を得られる。
また『生命』の髄に近しいため、体質確認は勿論
触媒としての有用性も高い。
真っ先に血液を選んだ判断は『魔術師としては』
合理的だが、それは痛みに慣れて採血への忌避が
麻痺しているからでもある。
さておき、彼女の体質はなかなか対策が難しい。
長く身に付けた物に移ったり、水に溶け出したり、
嗅覚から影響を与えるなど、その性質は『薫り』
そのものと言って差し支えない。
しかし検査しても由来となる芳香成分は存在せず、
対象が判然としないため封印系の魔術、異能では
抑え込めない。匂い消しの香も効果が無かった。
だから『忌避感による相殺』という原始的手法に
頼らざるを得ないのが現状だ。
「1番薄ぃヤツでもはっきり分かっちまぅのかぁ。
そーなると一筋縄じゃいかねーよな」
自分も舐めてみたが、匂いどころか血の味も不明瞭。
薄めていても強く感じられるのだから、当然希釈の
度合いを緩めれば尚のこと『薫り』は強く作用する。
理性を失わずに済むのも『繋がり』があるからで、
そうでなければ原液に辿り着く前段階、2〜8倍の
希釈液を口にした段階で抑えが効かなくなっても
おかしくないほど。
『繋がり』を考慮しても『薫り』の誘惑は強烈で、
捕食欲に例えるなら飢餓状態で嗅がされたご馳走の
匂い、性衝動で例えるなら散々おあずけされた後に
行なった自慰を寸止めしたような感覚だ。
■フィール > 「ちょっと考えないといけないですね…こう、意識が霞むんですよ。理性というか、人としての意識、っていうのが。頭で考えるから『ココ』で考えるようになる、というか」
自分の胸元…核を示して。
その薫りは人の意識を上塗りするように怪異としての本能を引き出すもの、としてフィールは感じているようだ。
今、フィールは人に大きく傾いている。通常接触の薫りであまり欲を引き出されなかったのは、薫と同化していることも理由ではあるが、人としての理性が蓋をしていたことが大きな要因だ。
しかし、その閾値を超えてしまえば…恐らくは本能に振り回されることになる。その閾値を超えないようにするには………
「時間を掛けて摂取して、慣れるのが一番ですかねぇ」
要は、定期的に薄めたモノを摂取してそれが『当たり前』の状態にするということだ。
しかしこれにはデメリットが有る。
その状態に慣れさせる、ということは『依存症』と言ってもいい状態になるということだ。事実として薫の薫りは依存性が非常に高い。
怪異にとっての麻薬と言っても過言ではないのだ。
■黛 薫 >
「その知見は……フィールからしか出なぃヤツだな」
ヒトの胎から産まれた怪異。人としての意識と
怪異としての意識、両方を有する特異な存在。
怪異として振る舞った時期、人として生きると
決めた時期の両方を持つフィールだからこそ
『その感覚』に気付けたのだろう。
「んでも、それが正しぃなら『慣れる』のだって
マズぃよな。クスリやってるよーなモノだもん。
そーゆーの、多分『慣れ』じゃなくて『耐性』
って呼ぶヤツだし、継続的に摂取なんかしたら
依存症になるかもだろ」
事実、それは『本来の用途』として正しい挙動だ。
最上の供物。贄として、対価として差し出すことで
人智を超えた怪異や神さえもそれ以上の要求権を
失うモノ。禍を鎮め、ともすれば従え得る存在。
最上の『供物』を作り上げたのは狂気と呼べる妄執。
贄の捧げ先が『無』であったのは皮肉な話と言える。
「んん……しかしそれだと直接繋がっての調整は
難しぃってコトになるな。ま、その場合は紋に
調整加えつつ、ゆっくり外部から作り替えれば
イィから、時間かかるだけで問題はねーけぉ」
シャツを捲って下腹に刻んだ紋を見せてみる。
フィーナから受け継いだ身体操作の刻印を基盤に、
夢魔の魔術と類感呪術の思想を取り込んで外部から
『胎』に干渉できるようにしたモノ。子宮の形に
酷似した刻印。
■フィール > 「…何れにせよ、直接的な調整はいつか必要になるんですよね。
今でさえ安定はしていますし、能力も制限はさせていますが…いつ暴走してもおかしくはないんですし。
なによりもう孕んでるという可能性だってあるんですよ」
確かに薫の薫りの危険性は大きい。自分が薫りに狂えば本末転倒だ。
しかしそれは薫の肚の中も同じことが言える。
能力を制限したとはいえ怪異だ。その供儀体質の影響を受けて何かしらの変異を遂げる可能性もある。
詳しく調べていないからわからないが、もう既に受精している可能性だってあるのだ。
「魔力の問題だけじゃないんです。抑えるのだって外部からじゃ限界はありますし…。最悪研究所に足を運ぶことも検討しないと」
■黛 薫 >
「ん……それは、確かにそーだよな」
切り離されたとはいえ、黛薫の胎を満たすのは
フィールの一部。フィールが『薫り』に狂うなら
胎内に息づく粘体もまた同様であるはず。
危険域の接触を避けているフィールとは異なり、
胎内の粘体は黛薫の体液に浸されているような
状態にあるのも念頭に置くべきか。
とはいえ、今のところ目立った害は見えない。
フィールが能力を制限しているのもひとつの
理由だろう。他の要因として母体たる黛薫の
身体が弱過ぎるから、というのもある。
魔術適正を得るにあたり、大きく魂を磨耗させ
身体的に虚弱な黛薫の中で根付いているソレは
母体に無理をさせないようにしているはずだ。
餌を得るために母体が死んでは本末転倒だから。
「どの道、異能封印の更新とか体質の調査とかで
検診には赴くワケだし……相談してみっかなぁ」
■フィール > 「…あとは、私が薫の影響を受けにくくする、という対処ですかねぇ。薫から発するものを止めるのではなく、吸収する私の方にフィルターをつける、といった感じで。」
発生するものに蓋をしても、漏れ出てくるのは当たり前だ。
しかしそれを吸収する側に制限を設けることは可能…なはずだ。
事実として、『忌避感』という相手に影響を与える手法は取り敢えずは上手く行っているのだから。
「なんにせよ、慎重にやらないとですね」
薫の腹を撫でて。
応えるように、ごぽり、と。薫の肚の中が蠢くだろう。
■黛 薫 >
「ああ、その手はアリかもしんなぃ。あーしの
体質に関する対策って個人に向けた方法って
あんまり検討されてねーから。そっち方面を
開拓したら新しく見ぇるモノはあるかもだ」
彼女の体質に関して、受け手側に施す対策は
本来ならあまり意味を成さない。常世島に住む
全員に適用でもしない限り大した効果はないし、
そんな大規模な対策は現実的でない。
しかし、彼女と暮らす一個人が対象となれば
話は変わってくる。異能の影響を受けない種族
以外でも介助が出来るようになる、と言えば
俎上に上げてもらえるかもしれない。
と、考えている最中にお腹を撫でる小さな手。
びくんと小さく身体が跳ね、身を縮めた。
「……えと、言ってなかったけぉ。出来ればお腹の
刻印には直接触らなぃでくれると嬉しぃ、かも。
さっきちょっと話したけぉ、その刻印って胎内を
作り替えるために類感呪術の手法を取り入れてて。
だから、そこ触られると……ナカにまで響くから」
類感呪術。噛み砕いて言えば『似ている』という
縁を用いて対象に影響を及ぼす手法。藁の人形を
対象に見立てて心の臓を打ち抜いたり、双生児の
間にパスを繋いで共鳴させるのが有名な例。
だから黛薫の下腹に刻まれた紋は子宮を模している。
外部から胎を作り替えるため、胎に似せた紋を描く。
時間をかけて共鳴が定着するのを待ちつつ、徐々に
刻印を書き換えて共鳴先にも影響を与える。
つまりその刻印に触れられると、効率良く体液を
絞り取るために快楽器官へと作り替えられた胎に
ダイレクトに感覚が共鳴してしまうのである。
仮に魔力でも流されようものなら、流された分と
同等の魔力を得て『満足』するまで彼女の胎内は
暴れ出すだろう。
■フィール > 「っ、あ、す、すみません」
慌てて、手を引っ込める。
中を作り変えるために、刻印に接触するだけでその感覚が響くのは、少し不便………いや、待てよ?
「その刻印、中にまでつながってるんです?」
その刻印と関連している器官…つまりは子宮。その中には調整するべき自らの分身がある。
直接的とはいかずとも、外部からの調整よりは効率的に行えるのではないか?
いや、寧ろ……刻印を通して体を弄れるのであれば。分身の機能を大きく制限し、自分が薫の体を苗床として整えることも可能ではないか?
あくまで机上の空論ではあるが…薫の刻印と分身の『根』で干渉する可能性もある。
で、あるならば。
「…この刻印から私の分身を操作する…というのは可能ですかね?
あと、刻印を介して体を作り変える、というのも。」
分身の機能を生殖及び魔力生産、貯蓄のみに制限し、その他機能をオミット。体の作り変えを刻印を用いてすれば、薫の様子を見ながら調整出来る。
■黛 薫 >
「出来るよ。っつーか、それが出来るから
直接弄れなくても『時間かければ』イケる、
って話だったのよな。言っときゃ良かったか」
元々フィールが切り離した分体を操作出来ない
前提でプランを組んでいたから、刻印を通して
全ての調整を行う予定だった。
「ただ当然直接の調整みたく自由にはいかねーよ。
類感、共鳴を維持するには近しい状態を維持する
必要があっから、紋に変更を加えた直後は共鳴が
弱くなんのよな。『違う要素』を加えるんだから。
だから一度に大きな変更は出来ねーし、変更も
再度共鳴が馴染むまでゆっくり時間をかけての
反映になるってワケ。
んでも時間かけて何度も『ごく僅かな変更』を
加え続けりゃ、最終的には目的の形に収まる。
そーゆーやり方なんだわ」
軽く言っているが、実現にはかなり繊細な調整を
必要とする手法。しかし都度行う刻印の書き換え
そのものは大した魔力を必要としない。
魔術の世界に於いて『知識』は『力』。
積み重ねた知識で勝負できるなら黛薫は優秀だ。
■フィール > 「成程……ということはやはり直接の調整は視野に入れないとですか」
直接薫の中に自分を入れて分身の調整をしなければならないので、薫の負担は大きくなる。
説明の通りであるならば、その刻印で調整できるのは薫の子宮までだ。
自分の分身までは操作はできない。
受精していればまた違う調整もしなければならないし、何より切り離している時点で別の個体となっている以上、直接的な操作出ない限り外部からの命令を受け付けない可能性だってある。
「下手をすると薫との子が急成長してしまう可能性もありますからね…なんにせよ前例がないというのは難しいですね」
■黛 薫 >
「あーしのナカが同化して作り替えられてる以上、
フィールの分体が全く操作を受け付けなぃって
ワケでもねーけぉ。あーしの胎そのものからは
当然離れるから同調も弱め。時間が必要なのは
変わんねーって感じかな」
スライムが黛薫の一部になっている、正確には
黛薫の胎内がスライムに侵食された形だが……
いずれにせよ『深い繋がり』なのは間違いなく。
だから時間さえかければ干渉は可能である。
懸念点はフィールが言った通り、前例がない上に
怪異を狂わせる黛薫の体質がどう作用しているか
分からない点。いずれ暴走する可能性もある。
とはいえフィールを体質に慣らす/依存させるにせよ
刻印で外から操作するにせよ、時間が必要なのには
変わりない。
「ま、あーしは受け入れるって決めてこーなった
ワケですし?腹括ってっからしょーじきあんま
不安は感じてねーのよな。
あーしの体質に影響されてどう変異するかが
分からなぃ分体の制御と、魔力蓄積、生成の
用途に適うよーにするための調整が課題。
前者はフィールが直接やるのが確実、ってか
フィール以外がやって上手くいくのかが不明。
後者は時間かければ自力でも何とかなるけぉ、
直接の調整が出来れば手っ取り早ぃ。
それがまとまっただけでも収穫よな」
■フィール > 「薫が良くても私が良くないんです。いややったのは私なんですけど。
それでも薫には無事でいてもらいたいですから。
なんにせよ、喫緊の課題は分体の制御ですね。この課題をクリアしないと薫の体に不安が残ったままになりますから。」
いわば薫の中に爆弾があるようなものだ。信管がいつ起動してもおかしくないもの。
前回のように母体を顧みない方法であるならば、産めよ増やせよでそうならずに済むのだが、薫を大事に思うのならそうはいかない。
薫の体は今弱っており、産むという行為には体に大きな負担が掛かる。
それを考えれば選択肢には入れられなかった。
「……一応、試してみますか」
16倍希釈の薫の血に口をつける。
甘い香りが口から鼻、喉に至るまでに広がっていく。匂いは鼻でしか感じられないはずなのに内臓にまで届いている感覚がする。
同時に、満たされたはずの食欲や性欲を掻き立てられる感覚。本能としてではなく、脳にまで作用してくる。
しかし、32倍希釈の二倍…かと言われればそうでもなく。
意外と、耐えられるような気がした。
■黛 薫 >
「ん。それに関してはあーしも考ぇなきゃだ。
フィールをあーしの体質に慣れさせる方法だと
あーしが助かっても代わりにフィールの方が
大変なコトになるかもだし」
依存症の恐ろしさは身をもって知っている。
出来るなら別の方法で調整したいところだ。
それから、さっきより濃い希釈液を口にした
フィールの様子をじっと観察する。
「濃度が2倍なら効きも2倍、ってワケじゃ
なさそーだな、フィールのその反応だと。
あるのとないので差が大きいからなのかな。
それともさっき口にしたばっかだからか?」
食べ物にしても1番強く印象に残るのは一口目。
薄い方から順に口を付けているのも理由の1つか。
順番に舐めていくと、効果が強まっているのは
はっきり実感出来るが倍々に強まるほどではない。
ただし原液だけは例外。希釈液の『薫り』は
確かに薄かったのだと実感できる鮮烈さがある。
■フィール > 「あるか否か、っていう差は大きな違いですからね…」
そう言いながら、次は8倍希釈に手を出す。
なんだか飲む内に慣れている気がしてくる。
というより、次を欲しているような気がして。
ぐび、ぐび、と、4倍も、2倍も手を付けていく。
酔った用にフィールの顔が赤くなっていく。
まるで、酩酊しているかのように、顔が蕩けていく。
視線があってしまえば、欲情の感情が薫を襲うだろう。
既に冷静さは消えてしまっている。
■黛 薫 >
「ちょっ、フィール?ストッ……」
言われなければ見た目は水と変わらない32倍希釈。
それすらもフィールは『キツイ』と評していた。
辛うじてそれよりは色がついて見える16倍希釈。
問題なく口に出来ているから影響が薄かったと
見誤っていた。
血の赤と断定は出来ずとも無色ではないと分かる
8倍希釈。惹かれるように手を伸ばした姿に僅かな
違和感を覚えた。ここで止めるべきだった。
先の希釈液の影響を精査する前に次の皿へと手が
伸びていて。フィールに自覚がないだけで影響が
出てしまっていると気付いたときには後の祭り。
咄嗟に手を伸ばした頃には2倍希釈の皿も空っぽ。
静止の声を言い切るより早く熱を帯びた視線が
真正面からぶつかって。刻印に触れられていた
お陰もあってか、軽く身体が反応してしまう。
■フィール > 「…美味しい、ですねぇ」
まるでお酒を飲むかのように。
原液までも、口にする。
少し咽るが、それでも飲み干していく。
「んー…いい気分です」
真っ赤になった顔はもはや酔っ払いのそれ。
微睡んでいるのに意識ははっきりしている。
もっと欲しい。いっぱい欲しい。
「……薫…♪」
情欲に塗れた視線を隠そうともせず、薫の近づく。
そうして、薫の下腹部に刻まれた刻印に触れる。
お互い、貪り合おう。そんな気持ちで。手に魔力を込める。
抵抗しなければ、刻印に魔力が込められてしまうだろう。
■黛 薫 >
酔っ払いはしばしばまだ酔っていないと主張する。
睡眠不足に陥った人は一周回って頭が冴えてきたと
錯覚しがち。判断力の低下は自分で判断出来ない。
黛薫とて元薬物中毒者。最近はフラッシュバックが
来なければ概ね寛解状態にあるが、酒や薬物により
自制心が弛むのは知っているし、経験もある。
自分の体質が理性を蕩かす麻薬じみた性質を持つと
先ほど話していたばかりなのに。思い至らなかった
浅慮を今更恨むことになろうとは。
「っ、ひ、フィール、そこはっ……」
咄嗟に抵抗しようと、フィールの肩に手を置いて
押し返そうとしたけれど。それより早く下腹部の
刻印に触れられてしまい、快楽に力が抜ける。
そして──触れた手から、魔力が流れ込む。
びくん、とフィールの腕の中で身体が跳ねた。
じゅ、とくぐもった音がして、ショートパンツが
内側から湿り気を帯びる。身体の震えに呼応する
水音が二度、三度と響く度に染みは大きくなり、
とうとう溢れた淫水がデニムの生地を突き抜けた。
じわりとお尻の下に水溜りが広がり、車椅子の
座席の縁からこぼれてびちゃびちゃと音を立てる。
薄められたものではない、怪異を狂わせる薫りが
むわりとした湿り気と温もりを帯びて立ち昇った。
■フィール > 「おぉ…凄いですね」
ぴちゃり、と。溢れ出た淫液に触れる。
そこから肌を通して吸収していく。
どんどん気分が良くなっていく。
「あぁ、汚れてしまいましたね。脱がさないと」
濡れた部分を手で吸いながら、薫の服を脱がせていく。
脱がし終わる頃には、デニムは乾いていた。
「こういうとき、この体は本当に便利ですね…♪」
車椅子と、そこから溢れたものも手で拭いていく。
怪異にとっての麻薬をどんどん吸収していく。
拭いていく手は、薫の秘所へと近づいていく。
■黛 薫 >
抵抗はない。出来ないと言った方が正しいか。
黛薫の胎内は居座ったスライムが効率良く体液を
得るため、陰核並みの感度を持つ快楽期間へと
作り替えられている。そんな子宮と繋がった紋に
直接触れられた快感は如何ほどか。
しかも魔力を、餌を流し込まれた胎のスライムは
活性化を始めている。フィールと同様に『もっと
欲しい』と黛薫の体液をねだっている。
ショートパンツの下、シンプルな白のショーツを
脱がすと、ねっとりと濃厚な愛液がクロッチと
割れ目の間で糸を引く。吸収すれば濃さに見合う
悦楽を感じられるだろう。
丁寧に前戯をした訳でもなく、強く欲情していた
訳でもない。それなのに黛薫の身体は紋に魔力を
込めただけですっかり出来上がっていて。絶頂に
震える秘部はどろどろに蕩けて貴女を誘っていた。
■フィール > 「よいしょ、っと」
秘部に指を入れ、奥へと伸ばしていく。
理性は砕けていても思考は明瞭で、本能が強く出ているが寧ろ頭は冴えている。
今明確に薫に触れていて、問題は起きていない、コントロールできている。そう自分では思っている。
だから、『直接的な調整』に着手することにした。
子宮にまで入り込んだ指が、子宮と癒着した核に触れ、弄っていく。
思いつきのように刻印に触れ、核と刻印を強くリンクさせようとする。
それだけの魔力が、中から、外から、流れ込む。
■黛 薫 >
きゅう、と秘部が強く指を締め付ける。
理性が蕩けてしまっている今、その反応は快楽に
悦んでいるように感じられるだろう。実際には
強過ぎる快楽に余裕を失っているだけなのだが。
流し込まれる魔力のお陰で胎のスライムは貪欲に
暴れ回り、どれだけイっても発散されるどころか
欲情は深まるばかり。おもらしと見紛うくらいの
愛液が車椅子の座席を、床を、フィールの身体を
汚して、濡らした側から吸われていく。
そして、フィールと分体が繋がった。
理性が働きを放棄していても思考だけは明瞭で。
『うまく調整出来ている』という実感がある。
しかし、理性がない状態での調整が予定通りに
進むはずもなくて。繋がった胎内のスライムが、
子宮と感応した下腹の刻印が、淫らに変質する。
■フィール > 「ん、いい感じ…♪」
分体と繋がり、分体を介して子宮に張る根を蠢かす。
刻印と一緒に作り変えていく。
魔術刻印と、物理と。両面で作り変えていく。
理性もなく、望むままに。淫らに、子を作るのに適した環境へと作り変えていく。
そして、子宮から、核の根が別の場所へと伸びようとしていた。
子宮に隣接する卵巣、そして繋がっている膣、それを収める腹へと。
■黛 薫 >
黛薫の身体は素より敏感だ。落第街で下卑た視線に
晒され続け、悪意なく開発された。時には無理やり
性行為を強いられ、嫌悪と苦痛を快楽にすり替えて
砕けそうな心を守ったこともあっただろう。
しかし、それは慣らされただけ。今行われている
行為は違う。膣が、生殖器が、浅ましく快楽を
貪るための器官に作り替えられていく。構造から
別物に変わっていく。
胎内に居座っていたスライムは更に深く根を張り、
膣や子宮と同化していく。自慰や性交などという
行為に頼らずとも自発的に快楽を得られるほどに。
子種を流し込まれずとも望むだけで孕めるように。
快楽に意識が明滅する。黛薫は己がこの上なく
淫らに作り替えられていることを知らない。
絶頂から降りられないのに重なって絶頂する。
潮を吹き、失禁し、脱がされて床に落ちた着衣と
折り重なったフィールの身体を濡らしていく。
胎内とフィール、双方が望むままに甘露を垂らし、
甘い薫りを溢れさせる。
そうして、人外の存在を内に飼っていただけの
生殖器は完全に人外の器官へと成り果てる。
■フィール > 「ん…もったいない………」
吹き出る甘露を逃さないように、口で覆う。
飲み込めば飲み込むほど、自分がより良いものに変わっていく気がする。
頭はどんどん明瞭になり、考えがどんどん浮かんでいく。
分体の懸念は、自分からも、薫からも独立した存在だからだ。
なら。
分体から出た根が、脊髄へと伸びていく。
薫の神経と同化する為に。
薫自身が、分体を動かせるように。
薫が、自分で、出来るように。
■黛 薫 >
『人外』の侵食はさらに深くまで。
損傷すれば死に、身体能力不全に至る髄にまで。
ここから先に進めば戻れない。
身体の一部が、では済まない領域。
脊髄への接続は脳への接続に等しい。
即ち、黛薫が『人間』でなくなることを意味する。
彼女に抵抗の意思はない。意識を保てていない。
■フィール > 「……………」
フィールは理性を保てていない。
本能の示すままに、動いている。
脊髄にまで伸びようとしていた根を、止める。
理性ではない。
本能でもない。
フィール自身の『欲望』が、手を止めさせた。
「…薫」
声を、掛ける。
頭が明瞭だからこそ、気付いている。
此処に繋がれば、取り返しがつかないと。
酷く後悔することになるかも知れないと。
「薫」
愛しい存在。自分が征服してしまっている存在。
だからこそ、聞かねばならない。
「私と、同じに。なってくれますか?」
■黛 薫 >
返答は、ない。気を失っている。
ただでさえ過敏だった内側を、刻まれた紋と共に
弄り回され、作り替えられたのだ。快楽は素より
身体への負担も大きい。
緩み切った秘部からは未だ甘い薫りが漂っている。
怪異を狂わせる薫り、しかし今この時だけは……
『求める』からこそフィールの意識を明瞭に。
■フィール > 「……………」
気を失っている薫を見て、ほんの僅かの理性が戻る。
考えてみれば、神経をつないだからといって、動かせるようになるわけではない。
それなら、下腹部の魔術刻印とリンクさせ、そこから操れるようにしたほうが、よっぽど薫にとってはやりやすいはずだ。
脊髄に触れようとした根を、引き下げる。代わりに、核と下腹部の魔術刻印を強くリンクさせ、命令系統を作るために、核に刻印を刻む。
本来、フィールには持ち合わせていない知識。しかし薫の供儀体質によって明瞭になった頭脳は薫の刻印を介して理解し、それを実行出来るまでにしていた。
■黛 薫 >
模倣、拡張されているとはいえ基盤になったのは
フィーナから貰った身体操作の刻印。書き換えが
うまく行ったのは、フィールがフィーナの素質を
受け継いでいたのも理由のひとつだろう。
少なくとも、これで黛薫の胎内と同化した分体が
暴走する危険は大きく抑えられた。不測の事態が
起きれば話は別だが、不明な可能性まで潰すのは
そもそも現実的ではない。
刻印の書き換えが終わればひとまず当初の目的は
果たされたことになる。思考を焼くほどの快楽に
身体改造の負担も加わり、黛薫はしばらくの間
気を失ったままだろう。
■フィール > 「…………」
ほんの僅かの理性は消え、再び本能と欲望のままの思考に戻る。
目的は達成した。でも、足りない。
足りない。吸えば吸うほど、足りなくなる。
でも、このまま続ければ薫の命に関わる………ので。
唇を塞ぎながら、陰核を男根へと作り変える。いつしかの、えげつない形の。
そうして、唇から自分の栄養を送り出す。秘所へと男根をあてがい、栓をする。漏れ出ないように、少しも無駄にしないように。
そうして、快楽を求めて揺すり始める。