2022/04/10 のログ
ご案内:「◆『蟠桃会』拠点 収容区画」にセレネさんが現れました。
セレネ > ――体中が酷く痛む。先刻受けた怨嗟の影響か、魔力不足によるものか。あるいは両方か。
息を吸うのも手足を動かすのもやっとの思い。
未だ物陰からは出られておらず、一匹の月色の猟犬に周囲の警戒を頼んでいる状態。
自身の視覚も、聴覚もまともに働かなくなってきた。

『……これは、マズい状態ね…。』

荒い息を吐き出し、なるべく物音を立てないようにしながら大人しく。
木乃伊取りが木乃伊に、なんて。そんなオチは面白くない。

セレネ > 暫く、猟犬の目を通して周囲を見ていた所。気付いた事がある。
…うろついていた実験体の数が減っている。
そして、神性を持つ”何か”が一所から散らばったような感覚があった。
……己以外の神族か、神格を持っている者がこの区画にいるらしい。

『……。』

気配を探る。小さな神性持ちの何かが此方に近づいてきている。
カサカサと、小さな音を猟犬の耳が拾う。
ぴるぴる、震えてから耳を立たせ、来る方向へ耳と眼を向けた。
ひらひらしている何かが来ている。あれは…紙か?大きさからするとメモ用紙だろうか。
それがひとりでに…いや、小さな小さな…まるで虫のような種が、糸に括りつけられてやって来ている。

ぞわり、虫が苦手な己は身体を強張らせた。

セレネ > 身体を強張らせた結果、痛む身体が更に痛み、強く咳き込む。
見れば咄嗟に覆った手が真っ赤に濡れていた。
…出血も酷くなっている。けれど、治癒魔術を掛けられる程の魔力はない。
こんな状態になってもやはり、ペリドットの指輪を壊す気にはなれなかった。

カサカサ、小さな種が此方に来た。
読めというよう、紙を根で指す。
猟犬を通して、書かれている内容を読む。

『……何故、此処に…?』

差出人である少女。明確に名を書いてはいないが、すぐに誰だか分かった。
百貨店で色々と己を着せ替えて遊んだ小さな体格の子。彼女がどうやら此処にいるらしい。
タイムリミットは26時。今は何時か、確認する体力も惜しい。
だがこの情報は、黄緑髪の彼に伝えねば。
…どう、すれば良いか。思考能力も落ちてきた。

香るローズも、弱々しく。

セレネ > 死は怖くない。器が消滅するだけだから。
器が無くなればどうなるかは、なってみないと分からないけれど。
あぁ、でも。器が消えたら誰が悲しむかは、明確か。
黄緑髪の彼に、夜色の彼女。小さな銀色の親友に、黒髪眼鏡の友人。
赤髪赤目の弟子兼友人も悲しむだろう。
……存外、悲しみそうな人が多いものだと思った。

深く息を吐き、ボロボロな天井を見上げる。

『…どう生き残ろうかしら、ね。』

五感の殆どがもう機能しない状態で。

セレネ > 立って歩くのも厳しそうだ。そうなれば、もう一頭使役獣を喚ばねば。
トン、トン。地面を指先で力なく小突く。
淡い蒼の陣が展開し、そこから出てきたのは猟犬と同じ月色の毛並みを持つ大きな牡鹿。
もう、この際神族である事を隠している余裕はない。
痛む身体を引き摺るように動かして、己を背に乗せる為座っている牡鹿の身体の上に座り込んだ。
落ちないように力なく角を持ち、ぐったりと頭に寄り掛かる。

立ち上がった牡鹿は猟犬を連れ、主人の同行者である黄緑髪の青年の下へと駆けて行く。
合流した後は、タイムリミットまでにこの施設から彼と共に脱出する事だろう――。

ご案内:「◆『蟠桃会』拠点 収容区画」からセレネさんが去りました。