2019/02/19 のログ
■蛟 > 「あらら、慈悲なんて与えずに粉微塵にした方が良かったかな?」
相手の冗談を受けて、歯を見せて笑って見せた。
そこまでしぶとい執念を持ち合わせているのならば、いっそのこと跡形も無く消してやろうかと出来もしない事を、冗談には到底聞こえないトーンで述べる。
「なんだ、正義の味方でも気取っているのかな?まあ、確かにそれならば君との相性は最悪だ。
しかし、この屑溜まりの環境自体が君には最悪な影響を与えそうだ。交戦する日が来る前に、君の胃が持たないだろうなぁ…」
はっきりと敵と公言する相手に、くくっと声を出して暫く笑い続けた。
声を押し殺して極力抑えた分、心身を落ち着かせるように息を吸ってそれからこちらからは申し訳程度の忠告を与える。
風紀委員が見回っても尚、非人道的行為が蔓延する無法地帯である。私情でも挟んで立ち寄る者には、多少過激な惨状を度々目の当たりにするだろう。
気でも狂ってしまわないかと、そう告げるように。
■白鈴秋 > 「かもしれねぇな、まぁそれでも残るのかもしれねぇが」
相手の笑顔に少し笑いを返してみせる。
トーンから本当にそう出来るかもしれない。そう思わせる凄みがあった。
正義の味方といわれれば先ほどと違い本当に笑ってしまう。
「安心しろよ。こういう環境には慣れてる。それに俺が正義の味方のわけねぇだろ、正義の味方がむかつくからなんて理由で襲うか」
正義の味方はどんな事にも高尚な言葉を垂れる。自分にはそんな物はない、むかつくから襲う。それだけである。
「でもそれなりに知ってる顔もいるみたいでな、そして組織にすら属してねぇ上に仕事でもねぇ。おまけに恨みも買っててな、その内仕事としてお前の方に話が行くかもしれねぇ。そう思って敵って告げただけだ……知り合いは殺さない、そんなたまじゃねぇだろお前は」
まるでその時はよろしくと言わんばかりの軽い口調で返す。
もっとも、それで簡単にいくとは到底考えて居ない。そうならない事を願いたいばかりだ。
■蛟 > 「そんな怒りで真っ直ぐ進む直情的な正義も悪くないと私は思うよ。まあ、そんなの実在するなら是非ともお目にかかりたいけどね」
論理も無視して、その場の感情だけで動く。そんな単純な人間も悪くはない。寧ろ好みとすら公言する。
混じりけの無い思考と単純な動機を持つ者は相手取り易い。
対して冷静沈着で真逆の性質を持つ相手は非常に踏み込み辛い難敵である。
「あっはは、その時は宜しく。と言いたいけど、君の話が舞い込んできたら内容次第ではパスするかな。
知り合い?育ての親は居ようとも親しい人物なんてこれっぽっちもいないから、邪魔する子には退場して貰うだけさ…」
躊躇いなく自ら身を退くような発言。
馴れ合いや、優遇というわけではない。彼の様に何かしら特別な技能のある者を相手に、暗殺命令なんて出されたら難解である事この上ない。
仮に交戦する時は真っ向からの対立となる構図、それ以外はパス。不可能に近い内容を安請け合いする気は全くない。
知り合いという言葉には疑問を向けた。
彼女にそんな者は存在しないからである。異様な人脈の狭さと肩書の無い気楽な立場。孤立こそが彼女の裏組織としての強みだったりする。
故に相手の最後の答えには即答した。持ち合わせていない要素に躊躇う必要が無いからだ。
「さて、お話が過ぎた。
私はそろそろシャワーが浴びたいし、ここで失礼するよ。またね」
大分相手との雑談に時間を費やしてしまった。
気付けば先程の用心棒や死骸と化した男の姿は消えてしまっていた。
手を振って踵を返せばフードをめくり上げて、振り向くことなく、その場から走り去るが、階段等は一切使用せず、忍の如く家屋から家屋へと軽やかな足取りで飛び移る。
数軒先まで移動した後、途中でその身を黒い霧が包み込み。夜景に溶ける様に相手から完全に姿を消した。
ご案内:「スラム街 裏路地」から蛟さんが去りました。
■白鈴秋 > 「そうか、案外笑い飛ばされるかと思っていたんだがな」
仕事をする場合笑うかもしくは変に同類と思われるかのどちらかだと思っていたが悪くないと返されるのは少し予想外だった。
「言い方を変えれば内容次第では受けるということか……ゴメンこうむりたいな」
わざとらしく肩をすくめる。こちらとしても相手の技能がわからないままやり合うのは色々と難しいのである。
特別に強力な異能ではないために相手をある程度知っておかないと場合によっては大変な事になる。
「……またなとはかえさねぇぞ。その時に敵でしたってオチになりそうだからな」
彼女と次に会うとすればそうなる可能性も高い。だからこそお互いを考えると会わない方が良いのかもしれない。
もっともそれでも会ってしまうときには会うのだろうが。
「最後までつかめねぇ女だったな……組織か」
考える。一人での行動もそろそろ限界だ。いずれ考える必要があるだろう。
だが少なくともここでではない。彼もまた闇の中へと消えていく。風を切る音だけがそこに響いていた。
ご案内:「スラム街 裏路地」から白鈴秋さんが去りました。