2019/08/10 のログ
ご案内:「異邦人街:海水浴場」に東雲 七生さんが現れました。
ご案内:「異邦人街:海水浴場」に深雪さんが現れました。
■深雪 > 「あら、こんな場所があったのね……興味が無かったから知らなかったわ。」
七生に連れられて浜辺にたどり着いた深雪は意外そうに周囲を見回した。
人間が溢れるほど集まった浜辺を想像していたが、異邦人街にあるこの小さな海水浴場はさほど人も多くない。
七生に買ってもらった例の水着を着た深雪は、足跡の殆どない浜辺を歩き、波打ち際まで行った。
「…………。」
足の下の砂が波にさらわれていく、くすぐったい感触。リボンの魔力で焼けた肌が、海水に冷やされる感覚。
敢えてこの場所を選んだ七生の意図は分からなかったが、静かなこの場所は、深雪にとっても居心地が良かった。
■東雲 七生 > 「うん、知らないと思った。」
興味も無いと思った。
深雪の言葉に相槌を打つように呟きながら、七生は砂浜にパラソルを立てる。
常世島の東側に位置する異邦人街の、その最東端。
小さな海水浴場は落第からも遠くないという理由から人が訪れる事はまばらだ。
客も居なければ繁盛してる海の家も無い場所ではあるが、ビーチがあれば十分だと七生は思う。
「それに、あんまり騒がしくない方が深雪は好きでしょ?」
パラソルがしっかり固定されたか確認してから、七生は笑みを浮かべた。
まあ、今言った事は建前で、
本音としては先日興味本位で選んだ水着を結局変えて貰えなかったので、なるべく人目の無い場所にしたかった、といったところ。
■深雪 > 「そうね……まとめて踏み潰して遊ぶなら、多い方が楽しいかもしれないけど。」
わざとらしくそんなことを言いながら、七生が立てたパラソルのところまで戻ってくる。
固定されたパラソルの下に腰を下ろして、七生の方を見上げながら…
「あら、私のために選んでくれたの?
てっきり、2人っきりになりたいからここにしたのかと思ったわ。」
七生を試すようにそう言って、くすくすと楽しそうに笑った。
水着を変えようとしないのは七生の反応を楽しむためでもあるし、深雪自身も、七生にもっと自分を見てもらいたいと、そう思っていた。
■東雲 七生 > 「そうやってすぐ踏み潰すとか言うー
そんな事しなくても俺が一緒に遊ぶから!」
パラソルの下にレジャーシートを敷いて、準備はカンペキ。
上着やら荷物やらをレジャーシートの上に置いて、深雪を見やればこちらへ来るのを確認して。
「……ぅ、べ、別にそんなこと無いし!
二人きりになるなら、家に居ればいいんだしさ!」
こちらを見上げる深雪から目を逸らし、赤くなった頬に手を当てる。
熱いのは強い日差しの下を歩いて来たからか、それとも。
■深雪 > 「安心して、七生で遊ぶ時はもっと優しく扱ってあげるから。」
七生「で」って言うところが深雪らしさなのだろう、きっと。
自分は水着を着てついてきただけなのに、七生が何もかも準備してくれていた。
そんな七生が頬を染めているのを見れば、楽しそうに微笑んだ。
「…あら、残念ね。私は七生と2人きりの方が嬉しいのに。」
少し横に移動して、レジャーシートをぽんぽん、と叩く。
「ほら、突っ立ってないで七生も座ったら?」
■東雲 七生 > 「俺で、って……」
まったくもう、と相変わらずな深雪の様子に七生は溜息をついた。
玩具扱いされるのはもうほとんど慣れたが、それでも最低限の抵抗はするつもりだ。
その為に鍛えているのだし、鍛えてた結果もついてきている……はずだ。
「っ! そ、そういうこといきなり言うなし!」
恥かしいでしょ、と抗議してから、促されるままに深雪の隣に腰を下ろす。
自分で選んだとはいえ過激極まりない水着姿の深雪へと目を向けることが出来ない。
だって何と言うか、太めのサスペンダーみたいなトップスしてるし。
■深雪 > 「あら、世界一強い男の子になるなら、私なんかに負けないわよね?」
為すがままになるような相手では面白いはずがない。
七生が抵抗してくれるのは知っている。
どれくらい努力をしているかも、どのくらい逞しくなったかも。
……もしかしたら、今はもう、七生の方が強いかもしれない。
「あら、私は恥ずかしくなんかないわよ?
どう?七生が選んでくれた水着、似合ってるかしら?」
七生が選んだ、という点を強調するあたり、この状況をとっても楽しんでいるようだ。
■東雲 七生 > 「そりゃあ、負けるつもりなんてないけど。
いや、でも、深雪“なんか”っていうのはだいぶ語弊が無い……?」
力を封じられてるとはいえ、神話にその名が聞こえしフェンリルを“なんか”とは流石に言えない。
たとえ見目麗しい少女の姿で、必要最低限のガードしかしていない水着を着ていたとしても。
それでも、人智を超えた存在であることには違いないのだ。
「……割と恥ずかしがるくせに。
はいはい、似合ってるってば。もー、何回聞いたら満足するのさ。」
似合ってなかったら無理矢理でも別の水着を着せてるし、
似合ってなかったらそもそも直視できないという事も無い。
均整のとれた深雪の身体に走るラインのような水着が、大層様になっているのでまともに目を向けられないのである。
そしてそんな事は深雪本人は百も承知なのだろう。
■深雪 > 「自信満々じゃない…良い度胸してるわね?
でも…今の私なんて、小さな子犬みたいなものだと思わない?」
楽しそうに笑う深雪…随分と過激な水着を着た子犬である。
問題はこの子犬、その必要最低限のガードが七生に対する武器になると重々承知している点である。
「あら、心がこもってないのね……良いじゃない、何回でも聞きたいの。」
楽しそうにそう言って,わざとらしく身体を寄せる。
ぴたりと触れた深雪の肌は、まるで雪のように冷たく心地いいだろう。
深雪は視線を逸らす七生の横顔をじっと見つめていた。
「……ねぇ、七生。
七生は何で、ずっと私と一緒に居てくれるの?」
■東雲 七生 > 「そりゃあ……その為に鍛えてるから。
小さな子犬……は流石に、可愛くし過ぎでは……?」
それはそれで逆に自意識が高いのでは。
そんな事を思う七生であった。思うだけにしとけばいいのに、口にも出してしまうのが七生だけれど。
「だってその水着買ってから散々言ったもの……。
いい加減思ってても言うのは疲れてくる……って。」
腕に当たるひんやりとした感触にびくりと七生の肩が跳ねる。
深雪の水着の最低限のガードはほぼ正面だけで行われている。
肝心なところは隠れていても、それ以外は割と溢れた状態である。
七生はひんやり冷たく、そして柔らかな感触にさらに顔を赤らめた。
「な、何でって……そ、そりゃあ俺が、居たいからで…!」
■深雪 > 「……何、私はそんなに可愛くないっていうこと?」
七生が口に出してしまった言葉に、不服そうに抗議する深雪。
自意識過剰なのは今に始まったことではないけれど、こうして七生が面と向かって指摘するようになったのは…共に過ごす時間が長くなってきたからこそだろう。
「…それなら、もう少し慣れてほしいわ。
隣に座ってるのに、ずっとそっぽ向いてたら寂しいと思わない?」
さんざん褒めさせたけれど、それでも真っ直ぐ見てはくれない。
そんな七生の純情さは心の底から愛おしいけれど、時々、もどかしいと感じることもある。
そんな時、深雪はどうしても、意地悪なことをしたくなってしまう。
さらに身体を近づける深雪。
七生の後ろに立つパラソルの支柱を掴んで覗き込む…いわゆる“壁ドン”に近い姿勢で、七生を包むように身を寄せつつ。
「………私が美人だから?」
■東雲 七生 > 「そ、そういうわけじゃなくって……!」
可愛いと言うよりは綺麗、美人の類だろうと思う。
子犬のような可愛らしさとはまた別物だ。
そう言おうか悩んでる間にも七生はどんどん追い込まれていく。
「そ、それは、ごめん、だけど。」
目のやり場に困るのは理解してほしい。
惜しみなく晒された脚も、くびれたウェストも、輪郭が手に取るようにわかる胸も全てが思春期の少年には猛毒だ。
しかしそんな事お構いなしに、いや、解っているだろうからこそ深雪は踏み込んでくるのだろう。
「………。」
美人だから。
問われれば無言のまま、しかし何度も真っ赤な顔で頷く七生である。