2019/08/11 のログ
深雪 > 七生を追い詰めた深雪は、そのまま覆い被さってしまいそうなほど近くに身を置き、吐息が感じられそうなくらいに顔を近付けた。
甘く、冷たいが七生の頬にも感じられるだろう。

「……正直で、良い子。」

何度も頷く七生を見て、深雪は笑みを深めた。
その問いを肯定されるのは決して悪い気分ではなかったからだ。

「それなら……私のこと、もっとよく見て。
七生にそう思ってもらえるの…私も、嫌じゃないわ。」

囁く深雪の唇が、七生の目の前にある。

東雲 七生 > 「あ、う、……っ」

深雪の吐息による冷気の心地良さに気持ちが緩みかけたりもしたが、
状況は剣呑ではないものの、穏やかというわけでもなく。
七生個人はおろか、高校生男子としてはあまりにも刺激の強過ぎる状況で。

「み、見てるよ。見てるからっ。
 俺だって、その、ちゃんと……っ」

間近に迫った深雪の瞳、唇、肢体のどこに目を向ければよいのか分からずに彷徨わせながら。
真っ赤な顔で、しどろもどろになりつつも七生は答える。

「でもそれは、深雪の身体とか、そういう事をじゃなくて。
 ちゃんと深雪を、深雪自身を見たいわけで、あの。
 あんまり雑念が混じるのは、は、恥ずかしいし……。」

深雪 > 七生の顔が真っ赤に染まり、視線を定められず慌てているのを深雪は愛おしげに眺めていた。
本当に、いつまでたっても、七生はちっとも変わらない。
身体は逞しく、強くなっていくのに……ずっと、この調子だ。
そんな七生の在り方が、深雪はどうしようもなく、好きだった。

「………知ってるでしょう、私は怪物よ。
人間をみーんな踏み潰しちゃう怪物……でも、七生には別の私も見てほしいの。」

深雪は、笑みを深め…ふわりと唇を重ねる。短めのキス。

「……これも私。だから、ちゃんと見て。」

東雲 七生 > 「ふぁ、……ん。」

唇が重ねられ、離されれば小さく吐息を漏らして。
日差しを遮るパラソルの下に居るにも関わらず、頭も体もどんどん火照り続ける。
目の前に居る深雪がひんやりと涼しげで、否応にも意識はそちらへと向いてしまい、
意識が向けば、自然と求める様になってしまって。

「……うぅ、深雪の……えっち。」

上目で顔を覗き見ながら、深雪の頬に手で触れつつ呟く。
美人にそんなことされたらどうしようもなくなるんだよ、と口を尖らせながら弱弱しく抗議して。

深雪 > 頬に触れる七生の指先さえも火照っているように感じられて、

「ふふふ、ほんと可愛い……。」

深雪はそう呟き、やっと七生を解放した。
抗議の言葉も聞き流して、深雪はすっと立ち上がる。

「……ほら、一緒に泳ぎましょ、せっかくの水着なんだから。」

深雪は手を差し伸べて、七生を誘った。
その手首を焦がすリボン、力を封じ込める憎むべき鎖だが、今はそれがあって良かったとさえ思えた。
それが無ければ七生とは出会わなかっただろうし、もし出会っても……きっと、こんな風に手を繋ぐことなど、絶対に無かっただろうから。

東雲 七生 > 「うぅ、深雪……」

深雪が本当に望んでいるのなら、と七生も自分自身の覚悟を問う。
もう18歳も過ぎて世間的には大人とされてる歳なのだから、と自分に言い聞かせてみたが。

「……え、あ、……うん。」

七生の覚悟は杞憂に終わり、こちらに延ばされた深雪の手を取る。
本当に言い様に弄ばれてるだけな気がする反面、ほっとしたような複雑な感情に頭を抱えたくなりながらも。
まあ今は泳ごう、と切り替えて。

「……え、深雪、泳ぐ気なの?」

その水着で、と目を瞠る。
どう考えても水泳向きではないと思う水着だ。というか運動向きじゃない。
その事をわかってるのだろうか、と少し不安になる七生だった。

ご案内:「異邦人街:海水浴場」から深雪さんが去りました。
ご案内:「異邦人街:海水浴場」から東雲 七生さんが去りました。