2019/08/16 のログ
ご案内:「異邦人街:海水浴場」に東雲 七生さんが現れました。
ご案内:「異邦人街:海水浴場」に深雪さんが現れました。
東雲 七生 > どう見ても水泳用でない水着を纏った深雪に手を引かれる様に波打ち際まで来た七生。
どうやったら泳ぐのを止められるのか、と僅かな間にも頭はすごい勢いで回転していたのだが。

「くぅ、つめた……っ」

空回りする頭からは良案なんてものは出ず、海水の冷たさに思わず声を漏らす。
まあ、もしかしたら見た目の印象よりだいぶしっかりした水着かもしれない。

と、楽観にも似た諦めでぐっと決意を固めたのだった。

深雪 > 深雪はと言えば、そんな七生を見て楽しそうに笑っていた。
泳ぐのを止めるなんて考えはまったく無さそうな様子で、声を漏らして立ち止まった七生の手を引き、

「…ほら、いらっしゃい。」

そのまま引きずり込むように、海へと入っていく。
バランスを崩して転んでしまいかねないくらいの勢いで。
なお、七生の心配などどこ吹く風で、深雪としては水着なのだから泳いで駄目はなずがないと、特に気にもしていない様子だった。

東雲 七生 > 「わ、と、と。
 ちょっと、引っ張んなくてもちゃんと行くからっ」

いやそれにしても楽しみ過ぎじゃないか、と普段のクールな深雪とは異なる姿に驚く。
そういえば以前海に来た時もこんな風にはしゃいでたっけ、と思い出して
海が好きなんだなあ、と暢気な感想を抱いたり。

「入っちゃえばどうってことは無い水温だね」

腰まで海に入って、そんな事をぽつりと。

深雪 > 海が好きかどうか…それは自分でもよく分からない。
ただ今は、七生とこうして特別な時間を過ごしていることが楽しい…のかも知れない。
こうしてはしゃげる場所も、時間も、相手も、他には居ないだろうから。

「あら、つまらないわね…?」

どうってことない。という言葉に深雪は悪戯っぽく笑う。

「えいっ。」

七生より少しだけ深い場所に立って、ばしゃ、と七生に水をかけた。
こっそり少しだけ、ほんの少しだけ、5度くらいまで冷却した水を。

東雲 七生 > 「そりゃあ、これだけ日差しが照ってりゃ水温も上がるから……」

つまらない、と言われれば慌てて弁明する。
全部悪いのは夏の太陽の所為だから、と責任転嫁をして。

「って、冷たぁ!?」

おもいっきり責任転嫁の天罰を受けましたとさ。人災だけど。
何すんのさあ、と苦笑いしつつ深雪へと水を掛け返したり。

深雪 > 夏の太陽の所為。
本来の力があれば太陽だって噛み砕ける…のだから、今は力が封じられていて良かった良かった。

「うふふ、七生ってば油断してたわね?」

掛け返されれば、さらに倍返しする。
この娘、腕力が無駄にあるから細腕なのに掛けてくる水の圧がすごい。
ついでにやっぱり冷たい!!

東雲 七生 > 「油断……してたけど、一回食らえばもう同じ手は……!」

何倍ものカウンターを食らう事になるのは既に学んでいる。
だから攻撃後に深雪の反撃モーションを見てから回避にすぐ移れば避けられる。

……はずだった。

「……わー!?」

豪快に水を飛ばしてくる深雪のモーションは狙いが判り易いくらい大きい。
然し、その所為で水着から色々飛び出しそうになっている。
見切る為に深雪をつぶさに観察していた七生の意識はそちらに引っ張られ、危うさに声を上げた直後。

見事に冷やされた水を引っ被った。解せぬ。

深雪 > 思いっきり水を被る七生を見て、楽しげに笑う。

「同じ手は…何ですって?」

馬鹿馬鹿しいことをしていると自分でも思う。
過去の自分が見たら、きっと軽蔑するに違いない。
けれど深雪は、確かに今、楽しいと感じていた。
だからこそ、自分の着ている水着になどは意識も向けていなかったし…

…背後に大きめの波が迫っていることにも、気付いていない。

東雲 七生 > 「冷たぁっ!
 深雪、水冷やしてから掛けて来るの止めて!せめて量減らして!
 冷たいっつーか勢いもあって痛いから、いっそ痛いから!」

まあ水が冷たくとも、燦々と注ぐ日光がすぐに温めてくれるけれど。
それでも急に冷や水を掛けられると心臓に良くない。
水着の件も合せて二重に心臓に良くない。
当人は一切意にも介してないのは一目見て分かるので、七生もとやかく言うのは徒労になるので避けるのだが。

「ホント……あんな楽しそうな顔するのズルいでしょ……。」

深雪さんに聞き取られない様に小声で呟いて、よしもう一度反撃だ、と構えたところで

「! 深雪、うしろ!うしろー!!」

深雪 > 「あら、つまらないわね…もう降参なの?
七生って世界一強い男の子になるんじゃなかったのかしら?」

くすくすと楽しそうに笑う深雪。
意にも介さないと思いきや、次にばしゃっと七生にかけた水は冷たくなかった。
いじめるのも楽しくないと言えばうそになるが、いじめたいわけではない。
そんな微妙な深雪さんゴコロ。
…もし、七生の小声が聞こえていたら、少しは恥ずかしそうな顔をしたかもしれない。

「……?」

深雪は七生の声に後ろを振り向いて…けれど身構えもせず、波に飲まれた。
それもそのはず、大波くらいでよろめくような深雪ではなく、波が去ればその場にすぐ浮いてくる……

「………? ……あら……?」

……はずだったのだが、少し様子がおかしい。
一瞬だけ顔を出した深雪は、何かに気付いたようにあたりを見回し、ざぶんと海面下に消える。

東雲 七生 > 「深雪っ!」

文字通りの余波を乗り越えて波に飲まれた深雪のもとへとやってくる七生。
まさか今ので溺れたりはしないだろうという確信はあったが、それでも心配な物は心配なのだ。

「うん?……みゆ、き?」

心配など無用、と言わんばかりにすぐに顔を出した深雪にほっとしつつ、
しかしその様子がおかしい事に怪訝そうに首を傾げる。
自ら海面下に消えた深雪に首を傾げつつ、再び浮かんで来れば声を掛けようと、

「どうかしたの?足でもつった?」

深雪 > 十数秒、深雪は浮かんでこなかった。
水位は七生の胸元くらいまでで、沈んでしまうはずがない深さなのに。

「………ぷはっ…。」

やがて、七生の目の前に顔を出した深雪。
けれどそこから動こうとしない。
首から下を海に沈めたまま、七生をただ見上げて…

「……………水着…。」

…深雪は、小さく呟くように告げる。
よく見れば、首の後ろで結ばれていた水着の結び目が無くなっている。
その場所が解けてしまえば、どうなるのか。
どうして深雪が顔しか出せないのか、七生にはすぐに分かるはずだ。

東雲 七生 > 「水着?」

さながらアザラシのように頭だけ水面上に出している深雪を見て首を傾げる。
何を一体弱弱しく呟いてるんだ、とじっ、と深雪を見つめること数秒。

はっ、と思い至って目を瞠る。

「え、今の波で取れたの?」

言わんこっちゃない、と思いこそすれど、実際は何も言ってないのだから口には出来ず。
思わず辺りを見回すも、まあ他に利用客も居ない寂れた海水浴場だったこともあって人は居ない。