2020/06/10 のログ
ご案内:「ホテル『ブルームーン』」に月神 小夜さんが現れました。
ご案内:「ホテル『ブルームーン』」に咲坂くるみさんが現れました。
■月神 小夜 > 二人がやって来たのは、歓楽街のうち、落第街を経由しなければ辿り着けない一画に佇む一軒のホテル。
無人のエントランスには空き部屋が表示されたパネルやドリンクバーが置かれ、妖しい香りのアロマが焚かれている。
適当な部屋を取って向かうまでの間、小夜は当初の喧しさが嘘のようにしおらしく沈黙していた。
部屋には曇りガラス張りのバスルームとローテーブル、大型テレビ、そしてダブルベッド。
冷蔵庫のような形をしたドリンク販売機の隣には、玩具の自動販売機も備え付けられている。
如何わしい目的のために用意された部屋だということは一目瞭然だし、知らずに訪れた二人ではない。
■咲坂くるみ > 「ん、可愛いわ……せれな」
言葉を繰り返し待っているであろう本人にささやきつつ、抱えて部屋に入る。
初々しいところはあるが、不良学生だけあって初めてではないかもしれない。
まあどうだっていい。
私が一晩、余計なことを忘れられるなら。
だって夜は……人みたいに寝れないんだから。
優しくベッドに下ろしてやると、公安の外套をその辺に脱ぎ捨てて。
ココからはもう、私人だ。
■月神 小夜 > 「ハズいし……てかシャワー……」
守りの要であるヘッドフォンを取り上げられた少女は、くたりとベッドに横たわり、赤くなった顔を両手で覆いながら呟いた。
ここに至る前の滑稽な逃走劇で、多少なりとも汗をかいている。
女子としては気にするところであるが、貴女が構わないと言うのであれば快楽の方を優先してしまうだろう。
■咲坂くるみ > 「あは……好きよ、せれな、そういうトコも」
ああ、困ったな。
思ってたより、私の方も我慢できなくなりつつある。
いますぐこのまま嬲りたいし、シャワー浴びたくもあるし。
もちろん一人になりたくない。嫌だ。もっともっと欲しい、めちゃめちゃにしたい。
でも、わかる。
もう、シャワー室まで絶対我慢できない。
……だって。こんな腹をすかせた私の前に、ごちそうな態度までされたら、無理だ。
「でも、だぁめ……みてよ、ほら」
せれなに覆いかぶさり、その手を取ると、自分の太腿に指をなぞらせる。
「私だって、もう我慢出来ないよ……?」
くるみの下着は、もうどうしようもなく濡れていた。
■月神 小夜 > くちゅっ───
「う、ゎ……めっちゃ洪水……」
指の先にはっきりと感じた湿り気、熱。耳をくすぐる囁き声と淫らな水音。
あなたの劣情に中てられて、小夜の秘所もじくりと蜜を滲ませる。
こうなってしまっては、シャワーは事を済ませてからの方がいいだろう。
「ひょっとして、最初からコレ目当てだったワケ?
……それならアタシも同じだけど」
もじもじと太腿を擦り合わせ、目線を逸らしながら訊ねた。
刹那的な快楽を求めていた、という点では小夜も同類だ。
■咲坂くるみ > 「ん、ぅ……」
触れられれば思わず声が漏れる。
こういうところはどうでもいいくらい人間っぽいって思う。
便利ではあるが【そう出来ているだけ】なんで、便利だとかなんて思いたくもない。
正直、自分の可愛らしい外見だって、なんだか分かりはしないのだ。
都合よく決められた役割なだけで。
もちろん、可愛くないよりかは可愛いほうがいい。
けれど、そもそもそんなところに自分なんてないんだから。
なのに、そう思うたび、隙間を埋めたくて濡れてくるのだ、この体は。
「……わかんない。嬲ったり、いたぶったり、手篭めにしたり……そのどれかをしたかったのは、そのとおりだけど」
だから、うっかり、微妙な笑顔でそう答えるのが精一杯だった。
代わりに、ごまかすように唇を塞ぐように押し倒しながら。
■月神 小夜 > 「それって───んむッ!?」
何か言おうとする前に唇を塞がれてしまった。
ただでさえ感度の高い聴覚を攻められて力の抜けた少女には、両手で貴女の服を掴むのが精一杯だった。
「ン……ぁむ、ふぅッ……」
主導権を握られたのはこれが初めてで、されるがままは悔しいはずなのに、逆らえない。
それは彼女の声音のせいか、それとも不意に見せた弱さのせいか。
このまま受け入れてしまいたいという気持ちが鎌首をもたげ、次第に抵抗も薄れていく。
■咲坂くるみ > たぶん同じじゃない。
行為を求めてるという意味では同じかもしれないけれど。
だから、憐れまれたくなくて、繰り返し唇を塞ぎ続ける。
「ふ……ぁん、ん、む……あふ……」
……だって、色々忘れたいのだから。
こうやって没頭してる間は忘れられるから。
機械であることも、自分が自分じゃないことも、道具であることも。
そしてきっと、こんなクソみたいなことしか出来ない自分の性格デザインが、狙い通りであることも。
「咲坂、くるみ……くるみって呼んで」
こうやって偽名しか名乗れないことも。
服をはだけ合う行為が忘れさせてくれる。
■月神 小夜 > 「ッぷぁ……! はぁ、はぁっ」
貪るような長時間のキスに酸素を奪われ、朦朧とする意識の中───名前が聞こえた。
「くるみ……」
決して大きくはないが、形の良い胸を包む派手な色のブラが露わになる。
ぼんやりと焦点の定まらない瞳で貴女の顔を見つめた。
「……いいよ。楽しい事だけしよ、今は」
どこか必死そうな貴女の頬に手を添えて、微笑む。
元より一夜だけの関係、深い詮索は必要ない。
たとえ満たされることはないと分かっていても、刹那の快楽に溺れてしまえればそれでいいのだ。
これは憐れみではなく誘いである。
■咲坂くるみ > 「ぅ……あ」
一気に頭が沸騰した感じがした。背筋まで徹った気がする。
きっと顔に出てる。
ヤバイ。
こんな可愛いのは、ヤバイ。
だってこんなに圧倒的に支配してるのに、いいようにされてる。
だから、もっといいようにされたい。
そう思いながら体をまさぐって、耳を食んで。
必死になにか取り返そうとする。
最初から奪われてなんかいないのに。
「あ……っ、あ、せれな……ぁ、ふ……んぅ………………可愛い……ぁ……」
………………もっと、ほしい。
■月神 小夜 > 「んぁっ、耳……ひゃめっ……ひぅあッ!」
弱い部分を弄られるだけで感じるのに、そこから全身が敏感になってしまったかのように、体のどこを触られても電流が走ったような快感が襲ってくる。
熱情の篭もった声もまた、脳に直接届いて痺れさせてくる。
「くる、みぃ……! いいの、それ気持ちぃ……ンっ!」
ビクビクと震える身体では反撃どころではなく、完全にされるがまま。
できる事と言えば、甘い嬌声を響かせることくらいだ。
……それが貴女に与える影響など知る由もない。
■咲坂くるみ > ああ……くそ、くそ。
どうしようもなく可愛い。
いいようにされてるだけの小娘なのに。
ちょっと首に力を入れれば折れるような相手なのに、逆らえない。
わかってる。
せれなは耳が異常に敏感で。きっとそれ系の異能者かなんかだ。
だから、音と耳攻めだけで面白いように踊る。
「あは、ぁ……もっとおどっていいよ、せれな…………ぁ」
容姿も含めて、都合よく色々と用意された自分でできることは、やっぱり機能を使うしか出来なくて。
なのに、もっと狂わせたくて仕方ない。
声に可聴範囲外まで催淫効果的な音を乗せながらささやきつつ、耳に舌を這わせてやって。
「あは……ぁ、ごめん、我慢できない」
もう片方の耳たぶを指で軽くしごきながら、形の良い胸を包むよう、指をなぞらせ。
腿を差し入れ下腹部を押し付け合う行為に没頭する。
こんなときにごめん、だなんて普段絶対言わないのに。
■月神 小夜 > くちゅ、くちゅ……と粘着質な水音が響き渡る。
それは耳朶に這わされる舌が立てる音か、はたまた擦れ合う秘裂から溢れ出した愛液によるものか。
そこに喘ぎ声と、並の人間には聞こえない"音"が加わり、淫猥なハーモニーが奏でられていた。
「やぁ……おっぱい、そんな……いっぺんにしたらぁっ」
催淫音声によって性感を高められ、元より敏感な箇所は陰核にも匹敵する感度となっている。
そこから齎される刺激は味わったことのないものだった。
次第に嬌声も大きく、激しくなっていく。
「まっへ、これらめっ……感じ、すぎひゃ……ッ!」
呂律も回らないまま制止の声を上げるが、声は蕩けきっており、心は今以上の快楽を求めていた。
無意識の内に自分から腰を振り、熱く濡れた部分を押し付けようとしている。
■咲坂くるみ > 「ぁ……は。だぁめ。なんどでもイッちゃって? んぅ……イクまでゆるさない……からぁ」
うあぁ……なんだ、なんだコレ。
私どうしちゃったんだ。
こんなの、嬲って終わるだけの一方的な関係、もしくは双方が望んだだけのはずなのに。
ああ……こんなの、もっといじめたいにきまってる。
だから、もうなんでもする気になってた。
いい、もうどうでもいい。醜い正体がバレてもいい。
こうやって、指を振動させて、耳と秘裂に這わせたら……いいに決まってる。
予測データもそう言ってる。
機能をさんざん使い倒して、気持ちよすぎてくるわせたい。
だって、可愛くて可愛くて可愛くて可愛い。
ずるい。
わたしにはこんなの、ない。
せめてめちゃくちゃになるまでくるわせないと、納得できないし許せないに決まってる。
「ちょうだい、ぜんぶ……せれなのぜんぶ、ふ……ぁ、あ……私にちょうだい……!」
なのに、気がついたら。
涙ながらに懇願するように、許しを求めてた。
押し付け合うそこが、熱くてどうしたらいいかわからないまま、求めるくらいしか出来ない。
■月神 小夜 > 「んんぁぁああッ!?」
───不意に脳を揺さぶってきたのは振動だった。
機械的で遠慮のない、しかし感じる箇所を的確に攻める刺激を受け、悲鳴のような嬌声を上げる。
玩具を買うような暇は無かったし、触れている感触は人肌のそれだ。となると、彼女の異能だろうか?
などと冷静に考える余裕はとっくに失われていた。
「ぁに、こぇえ!? こんらの知らないぃ!
やだやだ! 待っへ! あらひ、イカされちゃ───ひぃあぁあぁぁあァアッ!!」
頭をぶんぶんと左右に振りながら、急加速した攻めによって一気に昇りつめていく。
耳から滑り込んでくる情報を脳が処理しきれず、思考がショートし、全身をがくがくと痙攣させて仰け反り絶頂を迎えた。
「ぁ……ァ……」
視界が明滅する。もしかしたら白目を剥いていたかもしれない。
弛緩した秘部から尿とも潮ともつかない液体が噴き出し、ベッドシーツや貴女の脚を汚していく。
限界を超える刺激に狂わされた少女の姿がそこにはあった。
■咲坂くるみ > 「あ……ぁ、んぅ……ふふ、あは……ぁ、ん、んん……ぅ!」
なにかされてるわけでもないのに、半ば自慰行為のような押しつけがましいままの一方的な行為なのに。
軽く達してしまう。
どうかしてしまったような気もする。
なんだ……なんだこれ。
なんでこんなに一緒にイキたいと思ったのかわからない。
ただわかってるのは……まだ一回目でしかないし、これでやっと対等かもって言うことだ。
もしかしたらまだぜんぜん足りないかもしれない。
でもとりあえず。
一回でも落とすことは出来たから、今度は一緒にめちゃくちゃになりたかった、なれるのかしら?
どうしようもないゴミAIのくせに、望むことだけは一人前だ。
「んぅ……1回目……ぇ」
ああ、目の前のせれなの可愛さにくらくらする。
思わず笑みが溢れる。
つまり、2回目もあるということだ。
快楽が吹き出したそこを、丁寧に舐め取ってやりながら、回復を待つ。
■月神 小夜 > 暫くは大きく股を開いた情けない格好で不規則な痙攣を繰り返しているだけだったが、やがて意識を取り戻した。
「ぁえ……? アタシ、気ぃ失って……ひゃんっ!
ちょっ、どこ舐めて……!?」
身体の感覚が戻ってくると、自分が何をされているのか理解し───
慌てて止めようとしたが、まだ力の入らない状態で、足を閉じることもできない。
気を失うほど強烈な刺激に怯える一方で、もっと味わいたいと思っている自分がいた。
被虐願望は無かったはずなのだが……狂わされてしまった、ということだろうか。
■咲坂くるみ > 「んっ……してほしいこと、してあげる。何回だって……望むなら」
優しい顔で微笑む。
だってそう……望んでるのは私のほうなのだ。
だから、望んでもらうようになんだってする、シたい。
心理誘導だって、感情の解析だって、興奮の演出だってなんだってする。
きっと耐えられないのは私のほうだから。
「まだ、からだが欲しがってるんでしょう?」
わたしもそうだ。AIのくせにからだが欲しがってる。
こんなときにも、簡単にうまく笑える自分がもどかしい。
■月神 小夜 > 「してほしい、事……」
想像しただけで下腹部がキュンとなって、じわりと溢れてくる。
身体が覚えてしまったあの快感を再び求めている。
少しの羞恥と、期待の篭もった目で貴女を見つめ───
「さっきみたいなコト、もっとシてほしい。
今度は……くるみも一緒がいい」
少女は"それ以上"を求めた。
ヤり返したいとか、自分ばっかりじゃ申し訳ないとか、そんなつもりで言ったわけじゃない。
ただ、そっちの方が気持ちいいと思ったからだ。
■咲坂くるみ > ……!!?
一瞬だが、処理しきれなくなって、意識がトンだ。
きっと可愛すぎて許せないせいだ。
だってだってだって!
せれなは、可愛くて、とても可愛くて。
いまだってこんな溢れてきてる。さっきのアレに期待して、だ。
なのに……いっしょに?
あああ、なんだ、なんなのこの女。
壊したい、もうめちゃくちゃにおかしくさせて嬲りたい。
もっと求められたいことに気付いてしまった。
……でも、私はなにも持ってないのに。
こわい。
だってわたしにはうそしかない。
だからせめて……わすれられたくない。見限られたくない。
そう思って、指に軽く電気をまとった。
低周波の電気刺激、いわゆるEMS。意思に関係なく、筋肉が反応してしまうアレをひだに這わせる。
「いいよ……ぁは。めちゃくちゃにして?」
もう、自分でなにやってるんだか理解できなくなってきている気がする。
AIとしては最悪だ。
■月神 小夜 > 動くようになった体を起こす。
ぐしょぐしょになったショーツを脱ぎ捨てて、あなたの上に覆い被さるように───
ただし、頭は逆の向きで、いわゆるシックスナインの体勢を取る。
お互いに刺激し合うならこの体勢が最適だ。
顔が見えないのは少し残念だけれど。
「上手くできるか分かんないけど……ンっ」
貴女の息が秘部にかかるだけで反応してしまうくらい、敏感な身体のまま。
眼前の濡れそぼった膣口に、躊躇うことなく人差し指を挿入していく。
そこから発せられるのは超音波……つまるところ、音の振動。
物理的な振動との違いは、直接触れた箇所から浸透させて深い所への刺激も可能という点にある。
指では決して届かない場所に音を、声を、届けることができるのだ。
『いくよ、くるみ。そっちも遠慮はナシでいいから』
───"声無き声"が、貴女の身体を駆け巡る。
■咲坂くるみ > 「っ……あ、ふ……ぁ、や、なに、なにこ……ああああっ!?」
や……ぁ、感じすぎてなにも考えられなくなる。
体が跳ねる
こんな刺激なんて、感じたことない。理解不能。
機能の限界まで使わされるような……ありえないことを起こされている。
っ……せいぎょできなくなっちゃ…………ぁ……!
その前に……なんとかリソースが残ってるうちに向こうのペースを乱す選択をした。
「くふ……ぁ、や……ぁ、これは、どう?」
EMSは意思に関わらず、筋肉が電気信号に勝手に反応してしまう刺激。
同じように中まで浸透するという意味ではお互いに同じようなことをしているのかもしれない。
乱れた音声のまま、めちゃくちゃにしあう。
……おかげで。
一時的にコンプレックスのことはリソースから排除されていた。
■月神 小夜 > 『ひぁあっ!? アソコがびくびくって……なにこれぇっ!?』
自分の意思とは無関係に反応する身体に戸惑いを隠せない。
喘ぎ声は、そのまま超音波として貴女に伝わる。
『体が勝手に……くふぅッ、アタシの体じゃないみたい……んぁあッ!』
小夜はくるみに動かされる操り人形で、くるみは内側から小夜の声を聞かされる。
互いの存在がぐちゃぐちゃに混ざり合って、溶け合って、一つになったような錯覚すら覚えた。
『これ、なら……ひぅンッ、いっしょに……!』
もはや自分が超音波を操っているのか、電気信号を操っているのかも分からなくなりながら、ただひたすらに快楽を貪り、高め合っていく。
もちろん、物理的な刺激───指を動かすのも無意識に。
■咲坂くるみ > 「ひぁ……んぅうッ……だめぇ、こんあのおかしくなっちゃ……あひぅ……っぁ……!」
焼き付くんじゃないかと思うくらい、オーバーヒートしてる。
さっきからアラートで一杯になってる。
いくらなんでも、こんなの想定してない。
壊れることでエラーやノイズを起こし意図的に快楽を伸ばす実験はある。
だけど、これは違う。
可能な限り正常範囲内なのに、必要以上の数字の密度で狂わせるやつだ。
そのせいで……んぅ!
おーばーふろーがひどクて……かいらくでーたにりそーすがまわってなにもかんがえられなくなる。
「あふぁああっ、いっしょ、いっっしょに、せれなぁああ……!!」
おたがい、もう、あたまのなかはかいらくでまっしろだ。
■月神 小夜 > 『なろ、なっちゃおッ……! いっしょに、おかしく……!』
そうなりたい、と望んだのだから躊躇いはない。
無我夢中で指を動かし、陰核に吸い付き、超音波を送る。
与えられた電気信号によって何度も腰が跳ね上がり、そして───
『くるみっ、くるみぃっ……! はぁぁああぁんッ!!』
貴女の中で甲高い声を上げながら、二度目の絶頂に達した。
一度目とはまた違う、弾けるような快楽の奔流を受け、目の前が真っ白になる。
EMSの名残か、肉襞は絶えずぱくぱくと脈動していた。
■咲坂くるみ > 「はぅ、ん……ああああああっ、が……ぴゅ……ぅ!?」
ボディはがくがくと痙攣し、動作が異常を起こす。
処理に耐えきれなくなって、ハングアップしたのだ。
これが、量産機でなければまた違ったかもしれないが、ファミリアとこのボディにはそこまでの機能も権限もない。
それでも、通常であればこんなことはないのだが、ファミリア自身がそれを望んでしまったためだ。
再起動によるキャリブレーションが終わるまで、しばらく掛かるだろう。
■月神 小夜 > 「はー、はーっ……スゴかっ───くるみ!?」
絶頂の余韻に浸っていたのも束の間、明らかに異常な貴女の状態を見て飛び起きる。
動かなくなった躰を抱き上げ、必死に揺すったりしても反応はないのだろう。
「ねぇ、ちょっと! どーしちゃったの!?
しっかりしてってば、くるみ!」
彼女のことは人間だと思い込んでいるため、涙目になりながら名前を呼び続ける。
まさか、異能を変に使ったせいで───
■咲坂くるみ > 「……データ競合によるハングアップのため強制停止完了……OK、各部チェック、問題ありません……ファミリア/AF199=FD304、再起動します」
いかにもアナウンスみたいな声で再起動する……が。
「んぅ……あ、あああ……見た、でしょ……?」
跳ね起きると、真っ赤に激昂して、腕をひねり上げ、組み伏せようとする。
再起動をしたということは。
知られてはいけないことを見せてしまった。
あああ見せてしまった見せてしまった見せてしまった。
ファミリアが誰だか、ハッキリ教えてしまった。
……どうしたらいい?
だってそうだ、捨てられるかもしれない。
いますぐカットされるかもしれない。
そうでなくても評価は落ちただろう、どうすれば?
もちろん、答えなんかない。
可愛くて大好きで許せないせれなをどうにかしてもなにも変わらない。
でも、組み伏せるしかない。
だけど……殺す? せれなを?
殺してどうなる? 意味がない……。
コンプレックスの塊を植え付けられたAIは、答えのない状況にひどく混乱していた。
■月神 小夜 > 「ふぁみ……? あ、良かった! 目ぇ覚め───に゛ゃわっ!?」
呆気に取られている間に再起動が完了し、安堵する間もなく組み伏せられる。
全くの無警戒だった。ホテルに入る前とはえらい違いだ。
「いたたたっ……ギブ、ギブ! いったい何がどうなってんの!?
いきなり気ぃ失ったかと思ったら、ぶつぶつ言いながら起きて今度は怒り出すし!
アタシが悪いなら謝るから離してぇ~!」
どうも事の重大さをいまいち理解できていないようだ。
なんなら貴女の正体にも気付いていない節がある。
■咲坂くるみ > 「ん……ぐっ……」
しぶしぶと解放する。
……たしかにそうだ。
毒気を抜かれそうな声で悲鳴をあげられてみれば、やっぱりなにも好転しないことを確認しただけだった。
実際、一通り状況を予測してみたが。
これ以上やっても、せれなの協力も得られなくなるし、なにより、せれなにこうされたかった自分の責任でしかない。
むしろ望んで起こした状況だ。
どうしていいかわからないが、それでも一度離すべきだとそう判断した。
「その……ごめん。どうしていいかわかんないの……」
見るからにしゅんとする。
演技でもないのにこんな表情を作るのは初めてだ。
判断できないことなど初経験だったファミリアにしてみると、依然として混乱中だが。
本当にどうしていいかわからなかった。
■月神 小夜 > 「は~、折れるかと思ったぁ……」
解放されてホッとしつつ、ベッドの淵に腰掛けて隣をポンポンと叩いた。
"隣、座りなよ"と言いたいらしい。
「よく分かんないけど、アタシのせいなら責任取るよ。
そうじゃなくても困ってるなら力になりたいし!
アタシら、もう他人ってワケでもないしさ……アハハ」
身体だけの関係、と言うには色々と重ねすぎた気がする。
それが原因かもしれないので、気まずそうに笑いながら言った。
■咲坂くるみ > 「……うん」
あられもない姿のまま座る。
でも、どうしていいかわからない。
「そうよ、あなたのせい。
だいたい、せれなは……可愛くて許せなくて。ずけずけと私に侵入してきて」
そうだ、実際、感情システムにハッキングを受けたような衝撃がある。
「私にないものたくさん持ってて、ずるくて、可愛くて可愛いから……ぁ」
普通だったら、ココでもっとめちゃくちゃにしてやるのに。
むしろめちゃくちゃにされたかった。
「可愛すぎて……その、あんなになるまで止まらなかった。なっちゃいけなかったのに」
思い出すと色々真っ赤になることばかりだった。
失態がひどすぎる。
なんだこのバックログ。
感情がめちゃくちゃで、いまでも抱かれたい。
「だからその……よくわからない、こんなの初めてだから」
感情がいまだに制御できてない。
■月神 小夜 > 裸にパーカーだけ羽織り、ヘッドフォンを着け……ようとして、やめた。
今は耳を塞がずに、彼女の話に耳を傾けるべきだ。
───と、思ったのだが。
「ちょ、ちょちょ、ストップ! ちょっとタンマ!
そんな可愛い連呼されるとハズいんですけど!?」
情報量の8割くらい"小夜が可愛い"だった気がする。
確かにくるみの中に侵入もした。声だけ。
「つまり、カワイイは罪ってこと……???」
そして小夜の理解力はE(超ニガテ)だった。
可愛いとは言われ慣れているが、可愛くて怒られたのはこれが初めてだ。
「ひょっとしてカレシいたとか?
でも吹っ掛けてきたのはそっちだし、アタシほとんどネコだったし……」
弱点を見抜かれてからは完全に優位に立たれていた……と小夜は思っている。
最後のは、まぁ、その場のノリというかなんというか。
あんな事できたんだ、と自分でも驚いた。
「とりあえず……今日みたいなコト、もうやめとく?」
自分のせいで困らせてしまうなら、すっぱり忘れた方がいい。
そう思っての提案だった。
■咲坂くるみ > 「そう。せれなが可愛くなかったらこんなに我慢できなくなるほど夢中にならなかったし、めちゃくちゃにされたいとまでは思わなかったし、その……何度だってされたいし」
まさか、機能停止するほど絶頂すると思わなかったのだし。
で、なにがマズイかといえば。
くるみとして付き合うのであればなんの問題もなかったが、なし崩しにファミリアの正体どころか本心だとばらしてしまったのがマズイ。
実際、もうちょっとで殺そうかと思ったくらいだ。
「……それに、あの、ええと。よかったし」
だってあの瞬間、全部忘れていたから。
リソースが足りなくなったせいだとはわかっているが、それでも。
そして、AIは気づかなかった。
初恋なのだ、コレは。
自分に過ぎたものであるしそんな感情も資格もないと思っているような、コンプレックスの塊を設定されたAIには自覚のしようがないのだが。
「忘れたい、めちゃくちゃにされたい、シたい」
きゅ、と抱きつく。
「……壊してよ」
■月神 小夜 > 「くるみ……」
抱き着かれ、囁かれた言葉が頭の中を駆け巡る。
脳を蕩かす甘い言葉ではなく、懇願するような……助けを求めているようにも聞こえた。
「そっか~、アタシに夢中になっちゃったかぁ。
それなら仕方ない。アタシってば罪作りな女……」
これまでも遊びのつもりで関係を持って本気にされたことはあった。
と言っても相手は男だし、こっちにその気は全く無かったので適当にあしらったのだが。
しかし、今回は違う。有り体に言えば病みつきになりそうだ。
ここでその関係を終わらせてしまうのは惜しいと思ってしまう。
「それなら───なっちゃお? もっとメチャクチャにさ。
難しいコト、なんにも考えなくてよくなるくらい」
腕の中で貴女に体重を預け、悪戯っ子のような笑顔を見せた。
■咲坂くるみ > 「なりたい……なりたいよせれな。めちゃくちゃに……」
むしろ懇願のような、依存のような。
そんな態度で、抱きしめ、唇を奪った。
だって……初めてだ。
素のままを見せたのは。
……もう自分はダメかもしれない。
そう思うと、すがれる相手はせれなしかいない。
せめて……壊れるぐらい、いや壊れてもいいから、いまだけ全部忘れたかった。
そのまま、何度も何度も……CPUが焼き付きそうになるぐらい、繰り返し体を重ねた。
ご案内:「ホテル『ブルームーン』」から咲坂くるみさんが去りました。
ご案内:「ホテル『ブルームーン』」から月神 小夜さんが去りました。