2020/08/14 のログ
ご案内:「落第街裏通り とある静かなビル」に園刃 華霧さんが現れました。
■園刃 華霧 >
さて、お誘いを頂いたわけだけど……
ここ数日、クソ暑いのにネグラが定まらなくて困ってるんだよな……
いや、クソ暑いから……か。
というわけで、此処には汗だくで薄汚れた猫一匹。
こんな状態で後輩ちゃんに会うのは気が引ける。
かといって、流石にこんなことで誰かの手を煩わせんのもなあ……
しょうがない……気は進まないけど……あそこ、いくか……
■園刃 華霧 >
目の前には静かな佇まいのビルがあった。
そこにはほのかな明かりが灯り、近づけば人がいることは分かる。
しかし、決して目立たず密やかなそこ。
それは落第街にある、一部の人間だけが知っているとある娼館だった。
■園刃 華霧 >
「……」
正面はパッと見では分かりづらいが、しっかり警戒はされている。
いつ、なにが、起きてもいいようにだ。
だから、裏手に入る。
かつての通り道だ。
ぬるり、と闇の中に入り込む。
「……かっわンねー……」
ぼそりとつぶやく。
香ってくるすえたような臭い。
わずかに響く艶めかしい嬌声。
薄暗い空間。
何もかもが記憶にあるとおりだった。
この、なんともいえない生がただよう空気……
■女 > 「ぇ……? ひょっとして、猫ちゃん?」
■園刃 華霧 >
女の声がした。
うげ、もう見つかった。
いや、隠れるつもりもなかったから当然なんだが。
しかし、心の準備くらい欲しかった。
■女たち > 「みんな、猫ちゃん!猫ちゃんがいるっっ!!」
「え、本当!?」
「猫スケが来てるって!?」
「わ、何年ぶり……!?」
■園刃 華霧 >
ドヤドヤと女達がやってくる。
うわ、なんだこんなにまだいたのか……
なんか中には髪が乱れたままとかいるんだけど。
つか、そこのおまえ。途中で抜け出してきてないか?
なにか白いのついてんぞ?
心のツッコミが追いつかないウチに、
とうとう囲まれた。
うえぇ……
■園刃 華霧 >
「……ァー……よォ……」
もうこの囲みからは逃げられない。
諦めの気持ちで軽く手を上げてアイサツをした。
■女たち > 「嘘……猫ちゃんが、挨拶した……」
「成長したのねえ……」
「メシ、カネ、しか言わなかった、あの猫ちゃんが……」
■園刃 華霧 >
さんざんに言ってくる、昔のアタシを知っている女達。
クソ、だから此処来たくなかったんだ……
というか、アタシはまだ数年前のままの扱いか!?
というか珍獣扱いだよな、これ?
■園刃 華霧 >
女達がわきゃわきゃしているところに、年かさの女が一人出てくる。
ただ、それだけで一同が静まりかえった。
それだけの空気を女はまとっていた。
■年かさの女 > 「なにかと思ったら、猫じゃないか。どうした、おまえ。
制服なんて着ちまってさ? …………まあ、いいさ。」
じろりとねめつける。
見透かすような視線。
「数年ぶりじゃないか。とっくに野垂れ死んだと思ってたよ。
今日は何しに来たんだい? メシか? 寝床か? 稼ぎかい?」
女は静かに聞いてくる。
■園刃 華霧 >
取りまとめの因業ババアじゃんか。面倒なのがでてきやがって。
思わず心のなかでため息を付いた。
いや、どっちにしてもコイツを乗り越えなきゃいけないんだけど。
「……バ……っと。すマん。その……頼む。
フロ……と。あトできレば、すコし……寝床モ」
なにかいいかけるが、機嫌を損ねないように黙り。簡単に要件を伝える。
この因業ババアに通じるかってのが問題なんだが……
■年かさの女 > 「ふぅん? だいぶシツケがされたみたいじゃないか、猫。
の割に、なってないねえ。タダで借りようってか?」
品定めするような眼で女は見る。周りの女達は心配そうに見ていた。
しかし、女達に口出しは赦されない。
■園刃 華霧 >
クソ、昔からこの女は嫌いだ。
人を見透かすような目で見てきやがる。
それに……なんだか、何かわからないけれどイラッとする。
「……やレってンなら、仕事くラいすンよ……」
仕方ない、と口に……
■年かさの女 > 「あはははははは!ホントしつけられたねぇ、猫?
いいよ。カネならやれないけど、風呂と寝床くらい貸してやるよ。なあ?」
女は突然大笑いした。ついで、周りに目配せをする。
女達は一斉に我が意を得たり、と頷いた。
■女たち > 「そうよぉ、猫ちゃんが久しぶりに来てくれたんだから。それくらい、ねえ!」
「そのかわり、私と一緒にお風呂入りましょ?」
「あ、ずるい。私も!」
女達がきゃいきゃいとまた騒ぎ始めた。
■園刃 華霧 >
……は? どういうこった?
思わず、ぽかん、とする。
というか、本当に騒々しい。
ん?待て待て待て、客の何人かが寂しそうに裸でこっち見てんぞ?
おい、なんか一人で始めてんのもいる……
本当に大丈夫か?
■園刃 華霧 >
「……うルせぇ……ってイうか、やっぱヤめとキャよかッタな……」
かつて、軒先で餌を貰っていた……いや、奪っていた野良猫。
別に毎日いってたわけでもない。
いけば、かまってきたのも居たけれど、そんな程度の関係だし。
野良猫自体はなつきもしなかった。
それを、久しぶりとはいえこうも楽しく受け入れるかね、こいつら……
……けれど、これも見ないふりをしていた暖かさだったんだろうな。
まったく……やれやれ、だな。
■園刃 華霧 >
しかし――
それはそれとして、この先のことを思ってため息を付いた。
■園刃 華霧 >
しばらくの後。ほかほかさっぱりな娘が出来上がっていたという。
「……やっぱ、どーニかせンと……アタシの身がもタん気がすル……別の意味で……
ま……そレはまず後とシて……」
空を見上げる。
そろそろ頃合いの時間だ。
■園刃 華霧 >
「……行くカ、ね」
ご案内:「落第街裏通り とある静かなビル」から園刃 華霧さんが去りました。