2020/11/22 のログ
ご案内:「違反部活群 廃ビル地下」に日下 葵さんが現れました。
日下 葵 > スラムにほど近い区画。
この辺はスラムに近い事や治安が悪いせいで管理の行き届いていないビルが多い。
そんな廃ビル群はいつしか違法な部活動や組織が根城として使われ、
風紀委員や公安からも管理がなされていなかった。
およそ出入りするのは正規の学生たちではないし、
正規の学生であってもここに出入りする者はろくでなしばかりだ。
そして、そんな場所に私は居た。

「いやぁ、うるさいですね。
 耳が聞こえなくなっちゃうかと思いましたよ」

廃ビルの一つ。
管理者として誰が登録されているのかもわからないこの建物の地下に私は居た。
錆びついて重い扉を押して中に入ると、
そこからはとんでもない音量で再生されるヘヴィメタルが聞こえてくる。
乱暴な歌詞が扉を開ける前から漏れ、開けた瞬間に爆発するように聞こえてくる。

部屋に入ると壁の脇にあるスイッチを押して音楽を止め部屋の照明をつける。
するとそこにいたのは両手足を枷につながれ、
天井から大の字につるされた学生だった>

日下 葵 > 「さて、貴方がここに連れてこられてから既に3日が経ちました。
 私とこうして対面するのは初日以来二度目ですね。
 ほら、どうぞどうぞ座ってください」

まるでぶら下がる様にぐったりとしている学生に近づくと、
部屋の隅に置いてあったボロボロの椅子を二つ手にする。
一つは彼に、もう一つは自分が座るために。
椅子を置くと彼の両手を引き上げていた鎖を緩めてやる。
すると力が抜けたようにドカッと椅子に座る学生。
そんな彼をしり目に、こちらもゆったりと腰かけた。

「さて、先日と同じことを質問しますが許してくださいね。
 貴方は二級学生でありながら学生証を偽装し、
 正規の学生を装って違反部活の資金繰りや物資調達を行っていましたね?
 貴方にこの仕事をやらせたのは誰です?」

手に持っていた資料を見ながら、淡々と質問する。
この質問は私にとって二度目の質問だが、
彼にとっては数えきれないほど訊かれた質問だ>

学生 > 『だから知らねえっつってんだろ』
日下 葵 > 彼が言葉を発した瞬間、殴った。

「もう一度聞きますが、この仕事を貴方にやらせたのは誰です?」

同じ質問が投げかけられるが、彼からの返答は同じだった。
彼が同じ返答をするたびに、拳が振るわれ、殴打の鈍い音が空間に響く。

「いいですか?
 我々は貴方のことは何でも知っています。
 先に貴方や、貴方の所属する組織が犯罪を犯したとき、
 捕まえることもできました。
 しかしわざと泳がせていたんです。
 この意味が解りますか?
 今更書く仕事なんてしても無駄なんです。
 さっさと質問に答えてください?」

埃だらけで擦り切れた制服の胸倉を掴むと、
彼の鼻先とこちらのマスクが接触しそうなほどまで距離を詰めて語りかける。
そして再び乱暴に椅子に座らせると、また同じ質問を投げかける>

日下 葵 > 「手間をかけさせないでください?
 貴方の仲間がここに助けに来ることはありませんし、
 貴方がそうやって白を切ったところで解放されることはありませんよ?」

数発の殴打の後、顔の形が変わってしまうほどに殴られた彼と向き合う。
マスクのレンズ越しに彼を見つめる瞳はひどく冷たい。

「話せば食事を与えましょう。
 嘘をついたら痛めつけます。
 これは決定事項ですから、貴方がどうあがいても変わることはありません」

彼の胸倉を左手でつかんだまま、右手でまた殴打する。
何度も、何度も、何度も何度も何度も。
彼が口を切って血を吐くと、そこで再び殴るのをやめた。

「もう一度聞きます。
 貴方に仕事を任せたのは誰です?」>

学生 > 『しつけぇな……だから知らねぇって言っ――』
日下 葵 > また殴った。
殴った後に立ち上がると、彼の座っていた椅子を蹴とばす。

「それは私が聞きたい言葉じゃありませんねえ?
 知らないわけないでしょう?
 言いましたよね?嘘をついたら痛めつけるって。
 貴方は今嘘をつきましたね。覚悟はできていますか?」

椅子を蹴とばされて支えを失うと、
彼は鎖につながれたまま冷たいコンクリートの床に転がる。
吹き飛んだ椅子が音を立てて妙に広い空間に響き、次に響くのは鈍い音。
安全靴のつま先が彼の腹に刺さり、靴底が頬を踏みつけ、
時々嗚咽が混じって聞こえてくる。

痛々しい音が響いて、
コンクリートの床が彼の涙や唾液、胃液で汚されていく。
どこで仕立てたのか、正規の学生服に良く似せて作られた制服は、
ボロボロにすり切れて使い古された雑巾の様になっていた>

日下 葵 > 「巷では鉄火の支配者やら、F.U.R.Yなんてのが幅を利かせていますが、
 私はアレらとは違いますからね?
 彼らは目的のために躊躇なく殺しますが、私は絶対に殺しません。
 殺さない代わりに徹底的に痛めつけて、
 二度と人の前にそのツラを出せないようにしたうえで欲しいものを手に入れます。
 貴方には死に場所も、帰る場所も用意されていません」

どれくらい彼を蹴とばしていただろう。
疲弊しきって既に痛みに反応することもできなくなっている彼を見下しながら、
今度は馬乗りになって殴打する。
執拗に、異様に、やり過ぎだと思われるほどに。
そこに手加減はない。すでに何本か骨を折っているが、
致命傷にならないように場所を選んで殴って、蹴る。

「いいですか?もう一度聞きますよ?
 ここで答えなければまた愉快な音楽の中に置き去りにしますからね?
 貴方に仕事を任せたのは誰です?」

まるで壊れた機械でも演じているのだろうか。
同じ質問を繰り返した>

NPC > 『……』
日下 葵 > ――沈黙。

彼の返事は沈黙だった。
気を失っているわけではない。
ただただ黙り込んで、沈黙していた。

「……そうですか、ありがとうございます」

彼の返事に、掴んでいた胸倉を離す。
それと同時に馬乗りの体勢から彼を開放すると、
出入り口に向かって歩き出し、扉をたたいた。

「彼に治療をしてやってください。
 折れた骨だけ治すようお願いします」

扉の向こうにいる風紀委員に向かって指示を出すと、
入ってきたのはいかにも気弱そうな風紀委員。
気まずそうに彼の元へ駆けていくと、慣れない手つきで治療を始めた。

(今回の目標はなかなか吐きませんねえ……)

治療される彼を見ながら、そんなことを考える。
まだ衰弱して死ぬまでには余裕がある。
あまり焦ることもないが、長引けばその分面倒も増える。

「さて、明日また来ますね。
 ”期待していますよ?”」

治療を終えて、風紀委員が部屋の外に出ていく。
再び彼を拘束する鎖を巻けば、
彼を立たせてヘヴィメタルを爆音で再生し始めた。

”期待していますよ”

その言葉を聞いた時、彼の表情が凍る。
まだ終わらない、この音楽が止めばあのガスマスクの女が来る。
それを一瞬で理解したようで、その表情には絶望の色が浮かぶ>

日下 葵 > 何かを叫ぶように喚いているが、
その声は爆音にかき消されて出入り口まで聞こえてこない。
その様子を眺めながら、ガスマスクのレンズ越しにニヤニヤと視線を向けて、
錆びついた扉を閉める。

――殺すなんてはしたない。
――殺してしまっては二度と使えない。
――殺さず調教して、また使えるようにしてやろう。
――あいつらに違反部活の連中に、墓場や死に場所なんて必要ない。
――恐怖で支配するなら、そこにあるべき手段は死ではなく痛みである。

――死に難いだけが化け物だと思うなよ?

張り付いた笑顔を隠すように、部屋を出てもマスクを取ることはなかった>

ご案内:「違反部活群 廃ビル地下」から日下 葵さんが去りました。